アメリカのウィスコンシン州に住むカイリー・エンゲルハートさんは、自宅のそばで1匹の犬を見かけました。犬は住宅街の真ん中にある消火栓につながれていて、まるで誰かを待っているように大人しく座っていました。その犬をかわいそうに感じたカイリーさんは、犬のそばに座り、一緒に飼い主が戻って来るのを待つことにします。しかし、1時間経っても誰も現れなかったため、カイリーさんは犬のそばに置かれたバッグの中身を確認。すると、中にはその犬が大好きだという、おやつやおもちゃと、飼い主からの手紙が入っていたのです。そこには、飼い主が健康上の問題や生活における困難を抱えていて、愛犬の世話ができなくなった事情が記されていました。この犬が捨てられたことが分かったカイリーさんは心を痛め、犬を動物保護施設に連れて行きました。「この犬の飼い主さんへ」メッセージに心が痛むそのメス犬の名前は、ベイビーガールといい、犬を保護した『ウィスコンシン・ヒューメイン・ソサエティ』はFacebookに、どこかで見ているかもしれない飼い主に向けてメッセージをつづりました。何よりもまず、あなたが親友と別れなければならなかったことを気の毒に思います。あなたがどれだけ彼女を愛していたかは明らかで、あなた自身の健康問題や人生の難題にもがきながら、最善を尽くしたことが分かります。彼女の好きなものを丁寧に詰め込んだバッグから、あなたの愛が見えます。彼女が車に轢かれないように、しっかりとつないでいたことに愛が見えます。すぐに見つけてもらえる場所に彼女を置いていったことに、愛が見えます。あなたが、愛犬のために行った思いやりに感謝します。彼女は安全な状態にあり、まもなく次の家族を見つける手順に入りますので、ご安心ください。Wisconsin Humane Societyーより一部引用(和訳)施設のスタッフは、飼い主のことを責めませんでした。ベイビーガールがいた状況から、彼女がどれほど飼い主に愛されていたのかが分かったからです。この投稿には「心が痛む」「涙が出た」「悲しいね」など、さまざまな声が寄せられています。後日のカイリーさんの投稿によると、ベイビーガールの新しい里親が決まったということです。ペットを保護施設に引き取ってもらうには、手数料がかかる場合があります。ベイビーガールの飼い主はおそらく、その手数料が払えずに、愛犬をこのような形で手放したのでしょう。ペットを道路などに放棄する行為は、決して許されることではありません。しかし、元の飼い主を責めるのではなく、事情を汲み、寄り添った施設のスタッフの言葉に、多くの人が胸を打たれたようです。[文・構成/grape編集部]
2022年05月17日過酷な環境で生きている野良猫たち。病気やケガなどで命を落とす前に保護したくとも、命の責任の重さを感じ、二の足を踏む人は少なくありません。2022年現在、2匹の猫と暮らす忍者ママ(mother_ninja_)さん夫婦も、最初の1匹と出会った当初、すぐに保護には踏み切れませんでした。『尻尾のない猫が家族になる話』子猫が健気に生きようと頑張る姿を見たら、とても見捨てられなくなった、忍者ママさん夫婦。猫を飼ったことがなく、知識不足なものの「何かできることをしよう」と、猫用のごはんを買いに行くことにします。しかし、自分が動くと情が移ってしまうと分かっているからか、夫は指示を出すだけで、自分は子猫の様子を見ているだけ。仕方がないので、忍者ママさんが猫用のごはんを買いに走ります。子猫のために全部買う!台風が接近している時に保護しようとするも、忍者ママさんは子猫を見つけられませんでした。ガックリしていましたが、子猫は無事だったことが判明!ひと安心ですが、屋外で生きる危険さを痛感した忍者ママさんは、本気で子猫と暮らすことを考えます。子猫のケガに気付く子猫の尻尾のケガに気付き、保護に踏み切った忍者ママさん夫婦。今までごはんをあげていたことも功を奏し、子猫を捕獲することに成功します。そしてようやく、子猫を獣医師に診せることができました。尻尾が完治するまで1か月分のアルバイト代を手放し、忍者ママさんは子猫の手術を優先。自宅に連れて帰ると、動物を飼うことを禁止していた夫も、「治るまで」という期限付きで子猫と暮らすことを受け入れました。その後…夫婦と子猫は、すっかり家族になったのです!忍者ママさんと子猫の出会いは多くの人の胸を打ち、「素敵なラストでよかった!」「たぶん、尻尾が生えてくるまで完治ではないんですよ。ずっと一緒ですね!」などのコメントが寄せられています。忍者ママさんがInstagramに投稿しているほかのエピソードを見ると、子猫はすっかり大きくなり、今も元気に暮らしている様子。優しい一家の家族になれて、幸せを感じていることでしょう![文・構成/grape編集部]
2022年04月25日アメリカのルイジアナ州にある動物保護施設『ルイジアナSPCA』の建物の外で、1匹の犬が見つかりました。犬はフェンスにつながれていたため、誰かが故意にその場所に置いていったと思われます。ウェブメディア『The Dodo』によると、犬は人を怖がっていて、施設のスタッフにもうなり声を上げていたのだとか。なぜ自分が知らない場所で見知らぬ人たちに囲まれているのか、状況が理解できなかったのでしょう。捨てられた犬の里親になったのは?犬はカウと名付けられ、スタッフが愛情を注いで世話をするうちに、だんだんと心を開き始めました。そして2か月が経った頃、里親を募集していたカウにぴったりの家族が見つかります。その『完璧な家族』とは…カウが離ればなれになった飼い主さん!実は、カウは数か月前に何者かによって連れ去られ、飼い主はずっと探し続けていたのです。@laspcaReunited and it feels so good! After being separated from his family for months, Cow finally gets to go home!♬ Heat Waves - Glass Animals飼い主の女性の姿を見たとたん、全身で喜びを爆発させるカウ。ちぎれそうなくらい激しく振っている尻尾から、どれほど嬉しいのかが伝わってきます。この動画には「最高の結末」「嬉し涙が出た」「この犬は、飼い主のことが本当に好きなんだね」など、喜びの声が上がっています。2か月の間にシェルターのスタッフにも懐いていたカウですが、飼い主さんと再会した時ほど興奮した様子は一度も見せたことがなかったそう。カウにとって文字通り、これ以上ない『完璧な家族』の元に帰ることができて、よかったですね![文・構成/grape編集部]
2022年04月25日「アルバイト先の店がなくなった」など、コロナ禍で収入源を断たれた人は多い。借金することが頭をよぎるかもしれない。でもその前に、生活を補助してくれる制度を賢く利用しよう――!「コロナ禍で失業や休業を余儀なくされ、生活が苦しくなった人が急増しています。多くは生活福祉資金の特例貸付といった国の融資に流れているようですが、借金をすると返済義務が生じるので要注意です。本当に困っているのであれば、生活保護を検討することをお勧めします」そう話すのは生活保護のケースワーカーなどの相談業務に携わり、現在は高千穂大学教授として制度運用の研究に取り組む大山典宏さん。「生活保護とは、資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。なので、困窮している人が申請をためらい、受けられないということはあってはならないことです」困っているなら堂々と声を上げたい。そこで、「いまの自分の状況で生活保護を利用できる?」との疑問に大山さんが答えてくれた。【1】収入は足りないが、職はある「収入があっても生活保護制度の定める最低生活費(目安として東京都内の一人暮らしで13万円程度)に満たず、財産も蓄えもなければ利用できます」(大山さん・以下同)【2】ローン完済の持ち家がある「ローンの残債がなければ利用できます。よほどの豪邸でなければ処分を求められません」【3】年齢がまだ40代だ「生活保護は年齢に関係なく『困窮している人』が対象となります」【4】年金や各種手当をすでに受け取っている「年金や手当をもらっていても、それが最低生活費に満たず生活が苦しければ保護の対象になります」【5】住民票が居住地と異なる「生活保護は実態で判断します。いま生活している居住地の福祉事務所で申請することができます」【6】住むところが定まっていない「最寄りの福祉事務所を現在地として申請することができます」【7】車を所有している「原則として売却を求められます。ただし、交通の不便な地に居住していたり、自営業で車が必要な業務に就いている場合は、保有が認められることもあります。このほかのケースでも、自分はもらえないだろうと思っても、保護の対象となることはよくあります。怖がらず、恥ずかしがらずに、助けてと素直に言える『受援力』を身につけることが大事です」と言う大山さんから、受援力の上げ方についても教えてもらおう。■まずは早めにアクションを「この制度は“最後の手段”ととらえられがちですが、そうではありません。たとえば、あと数日で家を出なければならないギリギリのタイミングではなく、『家賃の支払いが苦しい』くらいの早期に、最寄りの福祉事務所へ赴いてみてください。困っている状況を伝え、その後も通い、『手を尽くしたが仕事が見つからない』『病状が回復しない』など対話を重ねれば、受給につながりやすいと思います」〈申請時にあるといいもの〉・家の賃貸借契約書・印鑑、通帳・本人確認書類(免許証や保険証)・収入がわかるもの(直近の給与明細、年金や児童扶養手当などの受給者証など)【PROFILE】大山典宏’74年埼玉県生まれ。高千穂大学教授、社会福祉士。生活保護ケースワーカーなどを経て現職。著書に『生活保護 VS ワーキングプア』などがある
2022年04月25日「先月、バングラディシュに避難していた父親が病気で亡くなりました。病気と知っていたけれど、何もしてあげられなかった。仮放免だから」と涙ながらに訴えたミャンマーを追われたロヒンギャのミョーチョーチョーさん(撮影/畔柳ユキ)約9割の人が「生活が苦しい」と答え、病気やけがをしても経済的に医療機関を受診できないと答えた人は約8割にものぼる。また約6割以上の人が食事も満足に取れていないと生活苦を訴える。就労も医療保険の加入も生活保護も認められず、日本で苦しんでいる仮放免の外国人がたくさんいることをご存知だろうか。生活困窮者の支援活動を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏によるレポート「追い詰められる、仮放免者たちの悲鳴」。「仮放免」という言葉を耳にしたことがあるだろうか?出入国管理法(入管法)に基づいて収容令書または退去強制令書により収容されているものについて、病気やその他やむを得ない事情がある場合、一時的に収容を停止し、例外的に身柄の拘束を解くための措置である。自国の政治、宗教、民族対立などで迫害され、命からがら日本に逃げてきた人たちが難民申請をしたとする。しかし、日本での難民認定率は他国に比べ突出して低い。2020年の認定実績は、ドイツの認定率が41.7%に対し、日本はわずか0.5%という有り様だ(難民支援協会のHPより)。認定されずに何年もの月日が経過し、そして入管施設に収容される。また難民ではなくとも、すでに滞在が長期化して、生活のベースが日本になってしまった人たちだっている。例え母国に帰ったところで生活していく術はなく、帰ろうにも帰れない人たちが在留許可を得られず、また入管に収容される。このように、日本にはさまざまな理由があり、自国に帰れない外国人が数多く暮らしており、仮放免者の数は2021年12月末現在5,781人。苦しい暮らしを余儀なくされている。仮放免者を支援し、医療費の寄付活動を行っている北関東医療相談会(通称:アミーゴス)の大澤優真氏は怒っていた。3月8日、NPO法人「北関東医療相談会」が開いた記者会見で、「仮放免者」の生活実態に関する調査結果を厚生労働省記者クラブで行ったときのこと。穏やかな表情と、感情を排した口調の裏には、おさえても、おさえても溢れる悲しみと焦燥感、怒りが見れ隠れする。「周知のように、仮放免者は働くことを認められていない。収入を得ることができない。では社会保障はあるのか?国民健康保険、一切ない。医療費が全額負担になるから我慢を重ねて重症になって緊急搬送になる。生活保護も対象外。食糧がない、病院にいけない、家賃払えない。しかし、支える支援策はなにもない。『大げさではないか』『そんなこといっても、結局どうにかなるのでしょ?』と言われるが、ならない。どうにもならないんです」北関東医療相談会の事務局長・長澤正氏と大澤氏には、忘れられない人がいる。カメルーン出身のマイさんだ。難民申請が下りず、入管施設に収容された。収容中に体調を崩したが、一年間治療もされずに放置された。その後、症状の悪化に伴い仮放免されたが、お金がない。健康保険の加入もできないため、満足に病院にかかることもできず、末期がんの状態でホームレス状態に。家賃が払えなくなって友人宅やホテルを転々とした挙句、42年の生涯を閉じた。治療を受けていれば、まだまだ続いた命だった。太陽のように明るい彼女の笑顔は、関わる日本の人たちを温めただろうに、もうその笑顔を見ることはできない。仮放免者たちの深刻な状況マイさんのような例を挙げると、「極端な例でしょ?」という意見がしばしば聞かれた。そこで大澤氏は、昨年10月~12月の間に仮放免者の生活実態調査を始めた。仮放免者に向けアンケートを450件発送し、141件の回答を得た。想像はできていたとはいえ、その結果は過酷極まるもので、数字はそのまま悲鳴となって筆者の耳に届いた。瞬きもせずにデータを見つめた。【報告書】「生きていけない」外国人仮放免者の過酷な生活実態「仮放免者生活実態調査」報告()生活状況を「とても苦しい」「苦しい」と答えた人は約9割にのぼり、経済的問題により医療機関を受診できないことがあると答えた人は8割を超えた。日本の家賃の高さも彼らに大きな打撃を与えている。家賃の負担を「とても苦しい」「苦しい」と答えた人は8割越え。すでに家賃を滞納している人は4割にのぼる。中には、部屋を貸してくれる代わりに性的関係を強いられる女性の例も複数あり、まるで奴隷のような日々を強いられていることがわかる。同じ仮放免者の中でも、女性はさらに弱い立場に置かれていることがわかり、言葉を失った。「なら国に帰れ」と言う前に読んでほしいそんな苦境に喘ぐくらいなら、国に帰ればいいじゃないかと言うだろう。おそらく、この記事に対しても、日本に住む外国籍の人々を快く思わない人たちがワラワラと集まってくるはずだ。そんな人たちには特に、タイトルや見出しだけに反応するのではなく、最後まで読んでほしい。排斥(はいせき)は自分たちにとって損だということを知ってほしい。仮放免者たちは、そんな苦境にあっても、自国に帰れないさまざまな事情を抱えた人たちだ。そもそも、考えればわかるのではないだろうか。昨年3月、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんのように入管施設で亡くなる人はあとを絶たず、仮放免になっても暮らせないようにされている。そんな拷問のようなことをされながらも、なぜ帰らないのかを。帰れないからでしょうが!日本に残っても施設収容や仮放免も地獄、帰国したら速攻で殺されるかもしれない更なる地獄が待っている。殺害されるほどの危険はなくても、自国で生きていけないことがわかっている場合、やはり帰れないのだ。前述のように、日本の難民認定率は1%未満。難民条約に加盟していてこの有様では、条約に加盟しているのはポーズに過ぎないということになる。やっているアピールはしていても、実際は追い返すための嫌がらせにあの手この手を尽くす挙句に、目の前で死なせたりする。とても恥じることであって、あってはならないことだ。「外国人に俺たちの仕事が奪われる」は本当か?筆者は普段、生活困窮者支援の活動をしている。その関係で国籍問わず、生活に困ってしまった方々に出会い、そこで思わず顔を曇らせてしまう主張を聞くことがある。「仕事を探しているが全然ない。外国人が俺たちの仕事を奪っているんだ!」聞けばその人が探していたのは駅前の自転車管理の仕事だった。筆者は駅前の自転車管理の仕事に外国籍の方が就いているのを見たことがない。「その仕事を外国人が取ったんですか?」と聞くと、男性は口ごもる。「あなたのお仕事のライバルは外国人ではなく、低年金でアルバイトをしないと生計が成り立たない日本人の高齢者ではないでしょうか」と諭さずにはいられなかった。男性の後ろには、病を抱えながら医療にかかれず、家賃も払えず、食費にも事欠く外国籍の男性がうなだれて生活相談の順番を待っていた。生存を椅子取りゲームにせず、ともに生きる道を模索することはできないのだろうか?仮放免者の生活と命を存続させるために必要なこと北関東医療相談会の長澤正氏と大澤優真氏ら支援者が国に求めるのは以下である。・就労を認めてください・国民健康保険など医療保険の加入を認めてください・無料定額診療事業を行う医療機関への支援をしてください・生活保護法を適用してください仮放免者に向けたアンケート調査の結果、回答者の87%が20~50代の働ける年齢層だということがわかったため、まずは就労許可と医療保険への加入が特に急務だ。筆者が所属する「つくろい東京ファンド」のシェルターにも5名の仮放免者が滞在しているが、彼らは異口同音に「働きたい」という。記者会見にはアフリカ出身で難民申請中の男性B氏とミャンマーのロヒンギャ難民のミョーチョーチョ氏が参加していた。B氏は難民申請を却下され続けていて、現在、三度目の申請をし「アフリカ、戦争のところばかり。一週間で50人とか死んじゃう。ほんとに帰れない」と語った。ミョーチョーチョー氏は2月6日にバングラディシュに避難していた父親を病気で亡くしたばかり。自分が仮放免で働けず、父親に治療費も送ることができずに死なせてしまったことを悔いて、涙ながらに訴えた。そして二人とも、仕事をしたいと訴える。人に頼って生きるのは心苦しい。仕事をして、自分の力で生活したい、家族の面倒をみたい。誰かの役にも立ちたい、そして病気になったら病院にも行きたいと。これは、わがままだろうか?私たちの便利は外国人技能実習生に支えられている働かせてほしいと懇願する仮放免の外国人たちがいる一方で、日本は深刻な労働力不足の問題を抱えている。農業、水産、畜産分野で後継者不足が顕在化しており、今やベトナムや中国からやってくる技能実習生たちによって、日本の産業が支えられているということを、どれだけの日本人が知っているのだろうか。和牛も牡蠣も小松菜もメロンもみかんも、技能実習生がいなかったら、これまでどおりにスーパーに並ばなくなる。オリンピックなどの一大プロジェクトを労働力で支えているのも外国人だ。少子高齢化の日本で、私たちはもはや日本人だけで自立などできない現状がある。日本はまだ豊かだと思いたいのは筆者も一緒だが、つらくても現実を直視した方がいい。「外国人が日本の富をかすめ取りにくる」は幻想だ。日本はバブルのころの力をとっくの昔に失っている。あまり外国人差別をしていると、コロナ禍でなくても技能実習生が来てくれなくなると考えないのだろうか。そうでなくても、一部の良心的な雇い主を除き、劣悪な環境で働かせたり、実習生たちに暴力、差別を繰り返す日本企業や雇用主の情報はアジアの国々に伝わっていて、日本人気はダダ下がりになってきている。労働力を補い、少子化対策としての移民政策深刻な人手不足は農業だけではない。コンビニや外食チェーンも同様で、私たちが日ごろよく利用しているチェーン店でも外国人がいなければ営業できない。そのくらい、私たちの生活は外国人に依存している。人手不足の深刻化は就労の現場にとどまらない。日本の少子高齢化は地方の過疎化を促進している。北海道東川町は2015年に全国で初めて自治体が運営する日本語学校を設立し、町独自の奨学金を設けて学費を助成、留学生の受け入れを進めている。留学生の増加によって人口が増加すれば、国の地方交付税が増える。外国人の流入によって増えた地方交付税を、町の高齢者福祉や子育て支援の財源にしている。島根県出雲市も同様で、少子化と人口減に強い危機感を持っている。出雲市の長岡秀人市長の言葉が重い。「人が住まないと街は衰退する。人口減少がもたらす弊害は惨憺たるものがある。外国人だろうと日本人だろうと住みやすさをもっと極めていけば、なんとか人口減社会に逆らうことができるのではないだろうか。ぜひこの地で永住してもらいたいという思いがある。それにしっかりと取り組んでいくことが元気な地方として生き残る手段だと思っている」(光文社新書『データでよみとく外国人”依存”ニッポン』より抜粋)日本が生き残るための手段としての共存おわかりいただけただろうか。人道的観点から仮放免者(や技能実習生)の対応を改善しろというよりも、筆者はこの国が生き残るための手段として、外国人の受け入れを積極的にしてほしいと考えている。受け入れるからには、相手を「労働力」としてではなく、自分と同じ「人間」として受け入れてほしい。せめて、働きたい仮放免者に就労許可と医療保険を。それだけで、自立できる人はたくさんいることはデータを見れば明らかだ。筆者が身を置く「つくろい東京ファンド」のシェルターでも外国籍の仮放免者を受け入れていると書いた。しかし、過去には渡航先でホームレス化して帰れなくなった日本人の支援をしたことも何度かある。アメリカで、アジアで、路上生活をしていた日本人を助けたのは、日本大使館ではなく、地元の地域住民たちだった。地域住民で支援ネットワークを作り、交代で部屋に住まわせたり、食べ物を持って行ったりした。帰国を希望していた彼らのために、クラウドファンディングで帰国費用を集め、その傍らで日本での生活が保障されるよう、私たちの団体に連絡をしてくれた。日本に帰国し、地域で暮らして既に数年になる彼らを、海の向こうの市民たちは今も暖かく見守ってくれている。日本も、自国に帰れない外国人を差別せず、敵視せず、ともによき隣人として暮らせるようになってほしいと切に、切に望む。どうか、仮放免の人たちに就労許可を!医療保険加入を!彼らの「生きる」を応援してほしい。同じ命なのだから。NPO法人「北関東医療相談会」(通称:アミーゴス)では、支援している仮放免者の治療費への寄付を募っています。通信欄に必ず「仮放免者への寄付」とご記入ください。民間ができる限界はとうに超える中、仮放免者の命をつなぐために奔走しています。ご協力、お願いいたします。銀行名:ゆうちょ銀行当座預金:アミーゴ・北関東医療相談会記号:00150-9-374623※NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)が事務局となっている下記の署名活動も現在行われています。●【お金のない人から、高額な医療費をとらないで!】 コロナ禍で苦しむ移民・難民の命を守る制度を整えてください。()※記事参考文献光文社新書データでよみとく外国人“依存”ニッポンNHK取材班小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を出版。
2022年03月18日杉並区荻窪事務所(筆写撮影)【実録】生活保護申請者の「扶養照会拒否の申出書」を受け取らず、照会を強行した杉並福祉事務所の冷酷生活困窮者の支援活動を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏による同記事は、SNSで瞬く間に拡散され、多くの人の目にとまった。生活保護の申請をする際、親族に知られたくないと扶養照会を拒否する申出書を提出しようとするも、杉並区荻窪福祉事務所に受け取りを拒否され、照会を強行されてしまった男性がいる。謝罪はおろか杉並区の冷酷な対応はさらに続き、区議会で発せられた福祉部長の耳を疑う発言、開き直る杉並区の“その後”を追った小林氏による第2弾。生活困窮者が生活保護の申請をする際に“大きな壁”となっていた扶養照会の運用が、昨年3月30日付の厚生労働省通知により大きく緩和され、現場で働くケースワーカーたちが実務の際に参考にする生活保護手帳別冊問答集にも改訂内容が記載された。高木さん(仮名・50代)は、その改訂がされてから3か月後の7月に杉並区荻窪事務所にて生活保護申請をした。その際に、家族へ援助の可否を問う扶養照会をしないでほしいこと、また、親族に援助ができる見込みがないことを再三説明している。口頭の説明だけでなく、弁護士や研究者、支援者たちで作成した「申出書」を提出するも、杉並区はその受け取りを断固拒否し、高木さんの訴えに耳を貸すこともなく、11月には親族のもとに扶養照会通知が発送された。このことについては、2月に上記記載のとおり記事に詳しく書いた。高木さんが申請時に持参した「申出書」は、厚生労働省が「扶養照会をしなくていい例」として挙げた申請者の事情や、親族の経済状況をそのまま表に落とし込んだものだ。これまで、生活保護の申請時に「申出書」を提出されて、内容を確認した上でなお扶養照会を強行する福祉事務所は、筆者が知る限りでは、ない。いわんや、申請者の切実な意思を書面にしたものを受け取り拒否する自治体があるなんて、さすがに想定外だったので、高木さんからの報告を受けたときは心底驚いた。2月の記事を読んでいただければわかるが、そのやり方はまるでイジメのようで、自分の身に起きたことでないとはいえ、胸が痛んだ。要望書提出時に見えた組織の歪み杉並区荻窪事務所の対応は、厚生労働省や東京都の通知内容に逆行するものであり、コロナ禍で生活困窮する人々が増える今、その弊害はあまりに大きく看過することはできない。そこで、杉並区の超党派の区議たちと、生活保護問題対策全国会議、つくろい東京ファンドは、高木さんとともに杉並区に申し入れを行うことにした。しっかりと話し合いをした上で、高木さんには謝罪をしてほしかったし、高木さんの希望である再発防止を約束してほしかった。ところが、杉並区側はコロナ禍を理由に「申し入れと話し合いは当面不可能」とのお答えだった。。話し合いを拒否するという反応も、なかなか前例を見ないことであり、私たちは仰天した。まさに「ルールを決めるのはこっちだ」という王様仕草。区民や支援団体に対して、「テロリストの交渉には応じない」という考え方をしているのだとしたら、私たちはとても傷つく。しかし、謝罪どころか話し合いすら拒絶されたら仕方がない。私たちは高木さんと一緒に要望書を提出するということになった。2月4日、高木さんと私たちが杉並区荻窪事務所に赴くと、受け取る側の杉並区荻窪事務所の人間がカウンターの向こうから出てこない。カウンター越しに要望書を渡す羽目になったが、渡す場面というものは写真に撮って「提出しました」とブログや新聞記事などに使う部分なので、私がスマホを構えると「所内での撮影禁止」と止められた。ならば、撮影可能な場所まで出てきてほしいと要望し、職員が渋々カウンターから出てきたのだが、聞けば相談係の係長だというではないか。申し入れや要望書というものは、その組織に対して行うものなので、そういう場面では、ふつう組織の管理職が出てくるものである。それなのに、所長でもなく、部長でも、課長ですらなく、管理職ですらない相談係の係長が押し出されてきたことに衝撃を受けた。これまでのように「言った、言わない」になるのが目に見えているため、高木さんや支援者たちの質問や要望、回答する係長の音声を撮るためにスマホを近づけた。顔に汗を流しながら、蚊の鳴くような声で答える係長が不憫だった。現場の人間がスケープゴートにされていると感じた。区民だけでなく、職員をも守らない組織なのだなと。高木さんと私たちが杉並区荻窪事務所に要望書を提出した2月4日の夜、東京都が通知を各自治体に向けて発出した。「申出書」を意識させる文面である。本件を区議会で質された保健福祉部長の回答2月16日、ひわき岳議員(立憲)が一般質問で、「生活保護を申請した区民が親族に扶養照会をしないよう求める申出書を出したのに、区職員が受け取りを拒否したのはなぜか」と、一連の対応の問題点を挙げ、話し合いと謝罪を求めた。それに対し、保健福祉部長はこう答えた。「抗議、要請書への対応についてですが、今回の事案において福祉事務所は誤った対応は行っておらず、本人から謝罪も求められておりませんので、特段の対応は考えておりません」2月4日に要望書を提出をし、謝罪を要求した際に、高木さん本人はその場にいたのにも関わらずのこの答弁は正直意味がわからない。要望書&謝罪要求の場に高木さん本人がいたことすら無視されているわけだが、その存在のみならず、高木さんの悲痛な訴えがほぼすべて否定されていることに愕然とする。そして、筆者が高木さんから取材をして書いた記事(【実録】生活保護申請者の「扶養照会拒否の申出書」を受け取らず、照会を強行した杉並福祉事務所の冷酷)についても、「事実誤認、事実無根の箇所も多数あり、そのせいで福祉事務所を貶めるような匿名の誹謗中傷が一時集中し、電話での抗議もあった。福祉事務所は謂れのない非難に晒された」と、被害者意識丸出しである。これが公務員の姿かと驚きの連続だ。本当に謂れがないと思っておられるのなら、私たちを訴えてくれればいいと思うのだが。質問に対する喜多川保健福祉部長の回答を、是非動画で見てほしい。区民、市民一人ひとりの目で確認してほしい。何を感じるだろう。【動画】杉並区議会録画配信(本件に関するひわき区議の質問の動画13:45あたりから)保健福祉部長は本当に知らないのだろうか?それとも虚偽の報告をされているのだろうか?組織ぐるみで立場の弱い人間を悪者にして隠蔽を図っているのだろうか?これは、杉並区の方針なのだろうか?ひわき区議が質問の中で述べた「(本件は)結局、扶養にはつながっていない。昨年の定例会で扶養照会について質問した際『扶養照会しても扶養につながる例はほとんどない』と区が答弁したのと同じ結果です。踏みにじられた申請者の尊厳と、病を抱え、高齢な家族が負った心理的な負担と引き換えに得たものは何だったのでしょうか?」という質問が重い。ホームページに見られる杉並区の扶養照会への誤解議会答弁で保健福祉部長は、荻窪事務所の対応はあくまで厚労省の指導に則った適切な対応であり、自分たちは個々の要保護者の気持ちに寄り添っていると述べている。本当にそうだろうか?次は杉並区のホームページの「生活援助」の中の「よくある質問」のページである。(2022年3月6日現在)Q保護を受けるための要件はありますか。保護を受ける前提として、以下のような努力をしていただきます。1.働ける人は能力に応じて働いてください。2.貯金や生命保険など活用できるものは生活費に活用してください。3.親・きょうだい・子どもなど扶養義務者からできる限りの援助を受けるようにしてください。4.年金や手当など他の法律や制度で受けられるものは全て受けてください。国は、扶養照会の位置づけを「保護に優先されるもの」としており、「要件」とも「前提」とも定めていない。どうしてもしなくてはならないものではないのだ。でも、杉並区のホームページにはしっかり書いてある。法律違反である。2月4日の要望書提出時には支援団体が、そして、16日の区議会一般質問ではひわき区議がホームページの記載を指摘しているが、保健福祉部長は「ともすると、保護の要件であると誤解を与える可能性もあるため、今後わかりやすい表現となるよう工夫してまいります」と回答しながら、3月7日現在、未だに修正はされていない。一区民、尊厳を賭けた区長への手紙謝罪もしない、話し合いもしない、間違えていないから改善もしない、当事者の言い分は全部ウソである、その指摘には当たらない。こんな杉並区の対応では埒が明かない。おかしいことに「おかしい」と声を上げる区民や、支援団体を敵とみなしているかのような公務員の態度は問題だ。話し合いの場すら設けるつもりがない福祉事務所相手に万策尽きた高木さんは、ついに区長宛に手紙を書いた。************杉並区長への手紙本年2月16日に喜多川保健福祉部長が区議会において答弁した内容を知り、たいへん驚きました。昨年7月、私は、厚労省の通知に基づいて作成された意思表示の行使として「扶養照会に関する申出書」の公的な書面(※)を提出しようとしましたが、申請時に相談担当職員とケースワーカーから強圧的に拒まれたことは事実です。また、その後も、拒否の意志表示を口頭で何度もお伝えしましたが、扶養照会を強行されたことも事実です。また、当該である私自身は、支援団体や各議員、新聞社にこの事実を伝え、相談しました。杉並区の制度の運用は、厚労省や東京都の示している基準に合わせて改善されるべきだと考えているからです。違法でなければなにをやってもよいわけがありません。同部長は「事実関係」という文言を多用して、あたかも生活保護申請者・受給者である私本人が、意思表示を自主的に取り下げていると言い、当該の私本人とは別に、支援団体やネットニュース、新聞社と国会議員が「事実誤認、それから事実無根」な「福祉事務所や区政の批判」「福祉事務所を貶める」「いわれのない非難」を拡散させていると言います。しかし、新聞やネットにおける記事や、各議員の質問と発言は、まぎれもなく事実です。杉並区が「事実関係」という言葉で話し合いを拒否し、虚偽の答弁で区民を欺くのではなく、事実に基づいて問題を解決するとともに、事実誤認について区議会で謝罪することを求めます。私自身も記録の情報公開請求を3月3日に申請しましたので、速やかに記録を開示していただきますよう要望します。福祉事務所の現場の職員やケースワーカーの皆さんはとても誠実に献身的に仕事をされており、私は信頼し感謝しております。「円満に円滑に」関係を築くよう努力します。それと扶養照会の不適切な運用の改善を求めることは矛盾しないと思います。喜多川部長は現場のせいにしてはいけません。組織ぐるみで困窮者の人権を軽視する方針を上から現場に押しつけているのは部長ではないでしょうか。それとも、区長ですか。話し合いをできないということは、杉並区が国や都からの通達にも反する運営をやっている自覚があるからなのだろうと思いますが、いかがですか。現場の職員やケースワーカーの錯誤やミスではないと確信しています。私を嘘つきと呼ぶのなら、五分の魂をかけて、全力でたたかいます。************高木さんの勇気、その声に、福祉事務所は無視を決め込んだ。この手紙を読んだ杉並区長はどうお考えになるだろうか。区長選が迫っている。杉並区が何を大切にしているかが問われている。※手紙の中の「公的な書面」は厳密には誤りです。書類事態は公的ではありませんが、厚労省の通知に基づいて作成された書面であり、「公的」に提出された申請者の意思そのものであります。小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を出版。
2022年03月09日アメリカのインディアナ州にある動物保護施設『グリーンズバーグ・アンド・ディケーター郡アニマルシェルター』。保護動物たちに素晴らしい家族を見つけてあげようと、日々、スタッフが尽力しています。目隠しをして保護犬の名前を当てられる?この施設に勤務するケイシーさんが、あることに挑戦しました。それは…『目隠しをして、なでただけで保護犬の名前を当てられるか』!施設には体の大きさも、顔立ちも、性格もさまざまな、たくさんの犬たちがいます。果たしてケイシーさんは、触っただけでどの子か分かるのでしょうか。@gdcashelter 6/7 is pretty good! Great job Kasey. All of these doggies are available for adoption at the shelter! Click the link in our bio to access our facebook with more details about them. #animalsoftiktok #shelter #kenneltech #fyp #foryou #shelterlife #animalshelter #dogsofttiktok #shelterdog ♬ original sound - gdcashelterなんと7匹中、6匹が正解!7匹は体格や毛の長さなどが似ているのにもかかわらず、ケイシーさんは見事に当てました。最後の犬にいたっては、なでてすらいないのに「レイブンね!」と即答。彼女は犬たちの見た目だけでなく、性格まで熟知しているのです。では犬が分かるなら、猫も当てられるのでしょうか。彼女は猫バージョンにも挑戦しています。さて、どうなったでしょうか。@gdcashelter You guys begged for cats- and we delivered! We hope you guys like this video as much as our dog version! #animalsoftiktok #shelter #kenneltech #fyp #foryou #shelterlife #animalshelter #catsoftiktok #sheltercat ♬ original sound - gdcashelter6匹のうち、5匹が正解しました!猫は犬より難しそうなのに、5匹も正解するのはやはりお見事ですね。これらの動画は、多くの人たちを笑顔にしたようです。・感銘を受けたよ。この女性は本当に動物たちのことをよく知っている。・彼女は、この仕事が大好きなんだろうね。・最後のレイブンのキャラが強すぎて笑った!触っただけでどの子か分かるほど、動物たちを知り尽くしているケイシーさん。彼女がどれほど愛情をもって、動物たちを世話しているかが伝わってきます。またこれらの動画には、登場した犬や猫たちが気に入った人たちから「里親になりたい」というコメントも寄せられています。それぞれの犬や猫の性格やかわいらしさが、動画によく表れているからなのでしょう。この動画がきっかけとなって、個性豊かな犬や猫たちに1日も早く家族ができるといいですね。[文・構成/grape編集部]
2022年03月04日写真はイメージです生活困窮者が生活保護の申請をする際に“大きな壁”となっていた扶養照会の運用が緩和され9か月が経過。Aさんは、東京・杉並区荻窪福祉事務所に生活保護の申請をする際、親族に知られたくないと扶養照会を拒否する申出書を提出。すると職員に受け取りを強く拒否され「申出書をひっこめないと保護申請の手続きは進められない」とまで言われてしまった。一体、なぜそんなことが起きてしまったのだろうか。生活困窮者の支援活動を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏が、Aさんと福祉事務所職員らのリアルなやり取りをはじめ、その全容を語る。厚生労働省が生活保護申請に伴う扶養照会(親族に援助の可否を問う通知)の運用を改善した2021年4月1日から早9か月。この間、私たち『つくろい東京ファンド』は扶養照会を巡ってのトラブルに対応してきたのだが、このたび、過去に例を見ないケースが報告されてきた。「杉並区で生活保護の申請をした。親族に連絡されたくなかったので、つくろいさんのHPからダウンロードした(扶養照会を拒否する)申出書と添付シートを持参したが、受け取ってもらえなかった」と、Aさんから連絡が入った。■厚生労働省が扶養照会の運用を改善、しかし…2021年3月30日に厚労省から通知が発出され、4月1日から運用が改善された。しかし、これまで長い間、生活保護申請の同行をしてきた筆者は、福祉事務所の職員が「扶養照会」を“追い返しの手段”に使ったり、あるいは杉並区がAさんにしたように、相手を支配するための脅しに使っているとしか思えない場面に、何度も、何度も、何度も遭遇してきた。自己責任論が渦巻き、恥の文化が染みついたこの国で、生活保護を利用することを親族に知られたい人なんているだろうか?扶養照会通知を送られる親族の側も、突然届く福祉事務所からの通知に動揺し、平和な生活や精神状態が脅かされることが数多く報告されている。関係性のよかった家族が、扶養照会によって疎遠になったり、中には縁を切られたりすることさえある。だから、私たちつくろい東京ファンドは、法律家や研究者、元福祉事務所職員などが名を連ねる生活保護問題対策全国会議と一緒に「扶養照会を拒否するための申出書と添付シート」を作成したのだった。厚労省の通知をそのまま落とし込んだ内容とし、申請者の意思、そして親族に援助する見込みがないことが、ひとめ目でわかる便利なアイテムだ。■申出書、その実際の効果は?運用が変わった直後は、差し出された申出書を見て、福祉事務所の職員が困惑することもあったものの、これまで何件もの申請同行をした中で、扶養照会を拒否する申請者の意思が無視されたことは一度もなかった。ましてや、申請者の意思そのものである申出書を受け取らないなんてケースは聞いたことがない。申出書は、福祉事務所にとっても便利アイテムなはずだ。なぜなら、この申出書があれば、福祉事務所は無駄な作業をしなくてすむし、その無駄な作業を省いたことで東京都や厚労省の指導が入ることもない。厚労省の言いつけを守っているだけなのだから。さらにいいことに、なんと、申請者とよりよい信頼関係が築けるのだ。一体なんの問題があるのだろうか。申出書を見て、「むしろ助かります。これがあれば、上司への説明に困りませんから」と言い、生活保護申請書の家族記入欄も「そこは書かなくてもいいですよ」と申請者を心底ホッとさせたりもする。その一方で、扶養実績も無残なほどにゼロに近く、しかも厚労省が「本人が嫌がっていて、親族に援助見込みがなければ省いてよい」と言ってるにもかかわらず、「決まりだからやる」と強行しようとする福祉事務所の職員も、残念ながら存在している。これから登場する、杉並区荻窪福祉事務所と相談者のやり取りを読んでほしい。■「受け取らせようというのなら、手続きは進められい」前出の男性Aさんは失職を機に生活困窮し、2021年7月、杉並区荻窪福祉事務所に生活保護の申請をしに行った。地方に住む両親は80代と高齢で、しかも二人ともに持病を抱えているので心配をかけたくない。なにしろ老々介護状態の両親は、自分たちの生活でいっぱいいっぱいだ。きょうだいも自分を援助する見込みはない。その旨を記入した申出書を持参した。Aさんは生活保護の申請書を記入した後、「これもお願いします」と相談係B氏に扶養照会拒否の「申出書」と「申出書添付シート」を差し出した。B氏はちょっと戸惑った声で「ちょっとお待ちください」と一旦、相談室を出ていき、しばらくして戻ってきた。B氏「これは受け取ることができないので、お持ち帰りください」Aさん「なぜですか?この書類は法的にも認められた意思表示で、受け取ることでそちらが困ることはないと思うんだけど……。公共の福祉事務所で、受け取りたくないとかじゃないでしょ?」B氏「受け取っちゃいけないと言われているので受け取れません」Aさん「父親は何度も手術しているし、母親は要介護の状態なんですよ。今、コロナ禍で生活困窮者が増えているじゃないですか。命が掛かっているときに扶養照会がハードルになって生活保護を受けない人たちが大勢いるって、俺テレビで見ましたよ。自分もそうだなーって思う。(略)お願いだから(申出書)受け取るだけ受け取って。厚労省からも通知が出ているでしょ」B氏「これを受け取らなきゃいけないという法律はありません。どうしても受け取らせようというのなら、手続きは進められません。保護申請を進めたいなら、申出書はお持ち帰りください。どうしますか?どうしても受け取るわけにはいかないので。保護申請をするなとは私たちは言ってないですからね」Aさん「口で言うだけでは言った言わないになるからイヤなんで。あとでやっぱりダメだっていうなら仕方ないけど、自分の意思を形に残したいから受け取ってくださいよ」B氏「申請してくださいといってるのに、しないのはそちらの自由です。こちらは申請するなとは言っていないですから。その書類(申出書)は受け取れないと言っているだけです」Aさん「なんで受け取ることもできないの」B氏「私もケースワーカーも、お話やご事情は伺いましたから意思表示は受けました。こっちで記録は残していますから、その書類は要らないです。必要書類以外は受け取れません」途中から同席したケースワーカーのC氏も無表情で、ひたすら「できないものはできない」「ダメです」「受け取りません」と機械的に答えるのみであった。3時間交渉を続けたが、結局、「申出書」と「添付シート」は受け取ってもらえなかった。■まるで公務員による区民イジメここからがすごい。必死に頼み続けるAさんに業を煮やしたのか、相談係B氏は申請関連の書類を全部机の上に並べて、「これ以上、お話することはないので。御用があったらお呼びください」と言い残して、ケースワーカーC氏とともに面談室を退出してしまったのだ。面談室にたった一人で残され、「申出書」の提出をあきらめないと生活保護の申請ができない状況に追い込まれたAさんは、つくろい東京ファンドの事務所に電話をしたのだが、慙愧(ざんき)に堪えないことに、その日は誰も事務所にいなかった。生活保護の申請ができなければ、明日からの生活に困ってしまう。万策尽き果てたAさんは、背に腹は代えられぬと観念し、「申出書はひっこめます」と大きな声で職員を呼んだ。すると職員が戻り、面談が再開され、申請手続きが完了した。「本当に屈辱的でした」とA氏は語った。■「ただでお金もらってるわけじゃないんだから」申請が完了し、数日後にケースワーカーのC氏が家庭訪問に来た際などにも、Aさんは年老いた両親への扶養照会を止めてほしいと訴え続けたが、聞き入れてはもらえない。2か月後、担当がC氏から地区担当D氏に替わる。D氏から電話で「扶養照会はすることになった」と連絡があり、そこでもなお、Aさんは止めてくれるよう頼んだ。その月の支給日に福祉事務所を訪問した際、再びD氏に「どうしても止められないのか」と聞いたが、D氏は「扶養照会はどうしてもやらなくてはならない。やるのは違法じゃない。ただでお金もらっているわけじゃないんだから」と発言。この発言にショックを受けたAさんが抗議をしたところ、D氏は謝罪した。そして11月ころ、地方在住の両親に照会の郵便が送付された。息子の援助ができない両親は、息子を案じながらも白紙の扶養照会通知を福祉事務所に送り返した。それなのにAさんは、今に至ってもなおD氏から「親から援助は受けられないのか?」と聞かれ続けている。■リトマス試験紙となった扶養照会の運用変更2021年3月30日に厚労省から各自治体福祉事務所に対して発出された扶養照会の運用変更で何が変わったのか。一番の改善は、これまで申請者の意思とは無関係に、問答無用で行われていた扶養照会が、2021年4月1日からは、拒んだ場合にその理由について「特に丁寧に聞き取りを行い」、照会をしなくてもよい場合にあたるかどうかを検討するという対応方針になったことだ。また、扶養照会を実施するのは「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に限る、という点が明確になった。■令和3年3月30日「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について」これにより、親族に問い合わせがいくことを拒否したい人は、申請時に「拒否したい」という意思を示し、一人ひとりの親族について「扶養照会をすることが適切ではない」または「扶養が期待できる状態にない」ことを説明すれば、実質的に照会を止められることになったのだ。そして、人によっては解釈が変わるこの通知内容は、自治体の福祉マインドを図るリトマス試験紙になってしまう。「しなくていい」は「禁止」ではないのだから「してもいいはず」と、申請者の気持ちを押さえつける底意地の悪い職員や自治体も出てきてしまうのだ。厚労省もそのあたりはうっすら予想しているのか、わかりの悪い職員でも少しは良心的な運用ができるよう、扶養照会を「しなくてもよい」とされる項目をズラズラと並べている。Aさんから聞き取った親族のご事情の場合は、「70歳以上の高齢者である」「明らかに援助してもらえない事情がある」「主婦、失業中など、主な稼ぎ手ではない」「これら親族に扶養を求めることが、明らかに有害である」など4つも扶養照会を省いてよいとされる項目に当てはまる。さて、ここで気になるのが扶養実績である。相談者がそれほどまでに嫌がっていること、そして厚労省がしなくてもいいと定めてくれた扶養照会を、驚くほどの熱意をもって強行した杉並区の扶養実績はどんなものだろうか?立憲民主のひわき岳杉並区議が区議会第一回定例会(令和3年2月16日)の一般質問で実績を質したところ、保健福祉部長の答えはこうだった。「扶養照会から親族による扶養につながったケースについてのお尋ねですが、実際につながったケースはほとんどございません」扶養実績については、中野区の共産党区議が区議会事務局を通じて調査した、令和元年度東京23区の扶養照会数および扶養実績一覧で、特に金銭面での援助数や、扶養照会の実施数が多い自治体に注目してみたい。■嫌がらせには役に立つ杉並区と同様、他区でも、他県でも、実際に親族に援助の可否を問う通知を送ったところで、援助(特に金銭的な)につながる例は、トホホと思うほどに少ない。都内でも1%に満たないほどで、中には0%なんていう自治体もあった。都市部より恥の文化が色濃く、家族のつながりが重んじられる地方を加えた全国となると、少し上がって1.45%となるが、継続的に援助を続けられる世帯がどれくらいあるだろうか。生活困窮した人たちを制度から遠ざけ、しかもほぼ結果が出ない扶養照会に、ただでさえ仕事に忙殺されている職員の労力(人件費)とバカにならない切手代をつぎ込むのはなぜなのだろうか。一般企業だったら考えられないことだ。そこに使われているのが、私たちの税金だからだろうか?それともお金の問題ではなく、生活困窮してほかに頼る者もなく助けを求めてやってきた申請者に対して、「あなたに決定権はない。決めるのはこちらだ」と、権力を誇示できる最強な武器を手放したくないのだろうか?その意識から出た「ただでお金もらっているわけじゃないんだから」というセリフなんだろうか?あまりにも、あまりにも情けない。■滋賀県県議会でのやり取り杉並区と好対照となる例を紹介しよう。日本共産党滋賀県議会議員団の黄野瀬明子議員が市川忠稔健康医療福祉部長に対して、つくろい東京ファンドと生活保護問題対策全国会議で作成した扶養照会拒否のための「申出書」の活用について質問したところ、市川健康医療部長が以下のように答えた。「自分の意思をうまく伝えられない方などが福祉事務所に対して自分の意思を伝える上でこうした様式(申出書)を活用することもひとつの有効な手段と考えられますため、今後、各福祉事務所へ情報を提供していきたいと思います」ちなみに滋賀県の県内15の福祉事務所で行われた扶養照会数は、2019年1月~2021年9月までの間でのべ9726件。そのうち、経済的支援が可能と回答があったのは68件、0.7%である。黄野瀬議員も、「なくすべき」と扶養照会の無意味さを述べている。■生活困窮者が急増、福祉行政はどうあるべきか長引くコロナ禍の影響で生活困窮する人は激増している。いつ果てるとも知れないコロナとの闘いに耐える人々の不安と悲鳴が日本中を満たし、民間が行う炊き出しやフードパントリーには長い列ができる。生活保護の申請件数は前年の同じ月に比べ、7か月連続で増えている。しかし、筆者たちが把握している人数に比べるとまだまだ少ない。今後、必要とする誰もが福祉制度につながるためには、そのハードルとなる要素は減らしていかなくてはならない、その筆頭が扶養照会だ。厚労省には是非知っていただきたい。どんなにその運用を改善してくれても、多くの現場の職員には届いていないし、届いたところで捻じ曲げてしまう。これだけ時代に合わず、経済状況や雇用形態、家族の形態が変わった現代では扶養実績にもつながらず、扶養照会通知を送る実務にはかなりの税金と労力を要し、そしてなにより、生活困窮者を制度から遠ざけ、親族をも苦しめている。こんなことを続ける意味を考えてほしい。そして、国民の命と生活を守ることを最優先に考え、百害あって一利なしの扶養照会を禁止にしてほしい。2月4日、杉並区荻窪福祉事務所に申し入れをお願いしたら、コロナを理由に拒否されてしまった。やむを得ず、杉並区本庁に要望書を提出することとなったが、杉並区はきちんと問題に向き合い、話し合いに応じてほしい。小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を出版。
2022年02月04日狭いケージに閉じ込められたままの保護犬。普段からこのサイズのケージに入れられているという(関係者提供)動物愛護の機運が高まる一方、自称・動物保護団体によるトラブルが相次ぐ。中でもとある自称・保護団体の代表男性に批判が集まっている。愛護センターから引き取った保護犬や猫の様子をSNSで公開し、寄付金を募ったり、預かり先をあっせんしているというが……。元ボランティアらがその実態を訴える―。■複数のボランティアとトラブルに環境省によると2020年度、全国の保健所で殺処分された犬猫は過去最少の2万3764匹。動物を保護する動きが広まる一方で、自称動物保護団体がトラブルを起こすケースも……。そのひとつが鹿児島県で保護犬のシェルターを運営する団体『S』および責任者のH氏だ。同氏は以前より、動物愛護センターから犬猫を救助する『引き出し』を行っている。だが、引き取った犬たちの動画や写真をSNSで公開、寄付金集めのために利用している、などと指摘されていた。「私たちは支援金詐欺の疑いもあるとみています。団体はNPO法人ではないのにNPOや特定非営利“団体”と名乗るので、多くの人がこれに騙されます。そしてまじめに保護活動しているように見せかけ、関心を持った人に個別でメッセージを送って支援金を募っているようです。事情を知らない人は投稿をうのみにして寄付してしまう」そう憤るのは九州の動物保護団体の関係者。H氏とのトラブルをきっかけに活動方法やその姿勢に疑問を持ち、注意を呼びかけてきた。「H氏は数年前から動物保護活動と称し、接触した複数のボランティアとトラブルになってきました。被害者の多くは女性。志を持って活動に参加したのに騙され、警察にも相談できずに泣き寝入りしてきた人ばかりです。されたことや、取られた金額は小さいかもしれませんが、被害者は全国にいるとみられ、騙されていることに気づいていない人も多く、実数はわかっていません。こうした悪質な団体がいるとまじめに活動をする団体も同じように見られてしまう。それに犬猫を保護したい、何かしたいという人々の善意までもつぶしてしまうんです」(九州の保護団体)■ボランティアに押し付け特に大きな問題になっているのが動物愛護センターから犬や猫を引き出し、預かりボランティアに無理やり押しつけていたことだ。被害女性がそのときの様子を明かしてくれた。「H氏の活動はSNSを通して知っており、ちゃんと保護活動をしている人だと信じて、応援していました」ある日、女性にH氏からメッセージが届いた。「“すぐに里親を見つけるので愛護センターから引き出した犬を一時的に預かる活動をしませんか”という誘いでした。動物愛護の活動に興味があり、不幸な犬猫を助けるお手伝いができればと、参加しました」短期間なら、とボランティアを申し出た。小型犬の預かりを希望していたが、連れてこられたのは大型犬だった。だが、いつまでたっても里親は決まらず、H氏も探しているそぶりを見せなかったという。大型犬の世話に女性も家族も限界になり、引き取ってほしい、と相談したがH氏ははぐらかすばかりで話にならなかった。しばらくして、犬は引き取られたがH氏はSNSで女性が犬を虐待していたから引き取った、などと誹謗中傷をしたという。こうしたトラブルは後を絶たず、ケージの準備もないまま、突然、犬を引き出して預かることを要求された人や、里親が見つからず飼い続けることを決めたボランティアもいた。多頭飼育崩壊になりかけたケースもあったという。「H氏に言われるがまま20頭以上、預かることになりました」(A子さん、以下同)リビングは犬のケージでいっぱいに。エサ代、ペットシーツ代で月4万~5万円の出費。散歩もひと苦労だったが里親は決まらなかった。金銭的にもきつく、相談すると、「甘え」だと一蹴された。結局、H氏やほかの支援者に引き取ってもらった。「H氏はうちからの犬数頭だけは引き取り、“あとはおまえが処分しろ”とほかの支援者に押しつけたそう。みんな最初は信じて犬を預かったのに裏切られた」ボランティアらの献身的な世話や動物たちの様子は定期的にH氏自身のSNSで紹介されており、支援金の申し出も多かった。だが、その寄付金は保護犬やボランティアに使われなかったと被害者たちは明かす。さらに犬はお金になると言われた人もいた。「猫はお金にならないからと、ほとんど引き出していませんでした。でも犬は例えばブリーダー崩壊で保健所に収容される場合は犬種がわかるのでペットショップで数十万円かかる犬種でもH氏のところなら数万円で譲渡してもらえる。ただし“売れなかった子は山に捨ててこい”と言われている人もいましたね」(九州の保護団体関係者、以下同)■H氏にとって動物はお金そして現在、状況はエスカレートしているという。「今までは個人を対象に騙していましたが、H氏は鹿児島県内に大規模シェルターの計画を立ち上げたんです。その設立のための寄付も募っていました。シェルターがあればもっとたくさんの犬を収容できますし」当初は同県H市で地権者には無断でつくろうとしており、地元の保護団体関係者らも巻き込んだトラブルに発展。すると今度は隣のK市にある空き地に移転させることにしたのだという。空き地にはプレハブ3つと仮設トイレを設置。そこに茨城県、広島県、熊本県などの動物愛護センターより引き出した犬12匹を収容した。「犬たちは移動用のケージに入れられたまま。建物は当初、電気もなく、水道は今もありません。スタッフは朝少しだけ来て、ケージの掃除をして1日1回エサや水を上げたら引き揚げると見られています。夜は無人、犬たちは寒いプレハブに押し込められているんです」ケージの大きさは犬たちの体には合わない窮屈な状態。そこから出されるのは掃除の数時間だけ。散歩に連れていかれることもなく1日の大半を狭いケージの中で過ごしているのだ。「排泄もケージの中でし、ペットシーツもすぐには替えられないので糞尿まみれ。最近は建物の周辺のにおいがきつくなってきました」関係者によると犬たちは朝、世話をする人が行くと一斉に吠えだすという。「以前、夜中に近くに立ち寄ったときに鳴いていました。寒い日でした。寒くて助けてほしくて鳴いているんです。その声が切なくて、私も思わず泣いてしまいました……」こうした現状に危機感を覚えた元ボランティアや全国の動物保護団体らは警察や愛護センターに再三訴えているが重い腰が上がらないという。「行政は殺処分ゼロを掲げているので1匹でも引き出してくれるところには渡してしまう。それに余計な仕事も増やしたくないと、見て見ぬふり。ですが、引き出されても、押しつけられたり閉じ込められたり……。完全な悪循環です。ここで止めないとほかの市町村の愛護センターからも引き出されてしまう可能性はあります」悪質な団体であっても書類の不備がなければ実態を調べられることもなく犬猫の引き出し登録がされてしまう。「H氏の団体に限らず愛護センターで殺処分されなくても引き取られた先でエサも満足に与えられない状態だったり、ネグレクトされたりなどの虐待も横行しているんです」被害者は今後、集団訴訟を起こすことも検討している。「私たちが願うのは犬たちの幸せです。閉じ込められた犬たちを解放してやりたい。そして引き出した犬を押しつけられる人たちが増えないようにしていきたいです。押しつけられる頭数が増えれば多頭飼育崩壊にもつながる恐れがあります。里親は見つからないけど、愛護センターに戻したら殺されてしまう……と病んでしまう人もいます。H氏にとって動物はお金なんです」関係者らは「H氏にはもう動物には携わらないでほしい」と訴える。この状況についてH氏にメールで質問を送ったが期日までに回答はなかった。「危惧しているのは閉じ込められている犬たちの健康状態です。元気なまま里親の元に行けるのでしょうか……」
2022年02月03日送検のため、埼玉県警東入間署を出る渡辺宏容疑者(写真/共同通信)「今日も解除されることはありません」事件現場を警備する警察官はそう答えた。発生から5日目を迎えた今も、容疑者宅付近200メートル四方ほどは規制線が張られたままで、事件がどれだけ世間を震撼させたのかを表している。1月27日の夜9時ごろ、埼玉県ふじみ野市の郊外で猟銃を乱射し、3人を人質にとった立てこもり事件が発生した。■母親に関わった医療関係者を呼び出して…無職・渡辺宏容疑者(66)は前日、2人暮らしでみずからが介護をしていた母親(92)を亡くす。すると、母親のかかりつけ医だった鈴木純一医師(44)とその関係者7人を、「線香をあげに来い」と自宅に呼びつけた。そして、「まだ蘇生するかもしれないから、心臓マッサージをしろ」と指示。鈴木医師が拒否すると、いきなり猟銃を3発発砲。うち2発が鈴木医師と医学療法士(41)に当たる。以降は3人を人質にして籠城し、駆けつけた警察とのじりじりとした神経戦が続いた。「猟銃を持った立てこもり事件だったため、近所の住人200人以上が最寄りの中学校に避難していました」(近所の住人)発生から約11時間後の翌朝8時ころ、防弾チョッキを着た埼玉県警の特殊部隊が強行突破して渡邊容疑者を確保し、殺人未遂の現行犯で逮捕した。容疑者は取り調べに対して、「母親が死んで、1人で生きていく価値がないと思った。1人では死ねないから、医師たちを殺して、自分も死のうと思った」などと供述している。被害に遭った鈴木医師は事件後間もなく死亡が確認され、理学療法士は重体。もう1人の介護士は軽症だった。「鈴木医師は365日昼夜を分かたずに在宅の患者さんを診察して回っている、医師の鑑のような素晴らしい人物でした。このコロナ禍の中も、自宅で療養している患者さん宅に往診していましたからね」(全国紙社会部記者)渡邊容疑者は、およそ3年前に、現在の自宅へ母親とともに引っ越してきた。「町内会費は払っていますが、集会には一度も来ていないので、顔も見たことがないですね。“介護で忙しいから、近所づきあいはできない”と言っていたようですから」(近所の主婦)■生活保護で散弾銃を所持現在の自宅は家賃月5万円ほどの借家で、母親とともに生活保護を受けていたという。付き合いのあった別の近所の住民はこう話す。「1人あたり10万円を切る程度もらっていて、ここへ来る前から生活保護を受けていたんじゃないかな。彼らは家財道具や何やら物が多い人たちで、アパートやマンションだと入りきらないから、一戸建てを借りたんだと思います。築50年弱で古いんですけどね」容疑者の性格は大人しくて、母親にとにかく優しいという。「私と話をしていても“あっ、いま母が呼んだかな?”とか“そろそろおむつを替えないと”などと容疑者は常に母親のことを考えているんですよ。生活保護であれば、特別養護老人ホームなどへ優先的に入所できるんですが、“自分で面倒をみたい”というタイプで母親思いではありました。まさかあんな酷いことをするとは……」(同・別の近所の住民)犯行に使用された猟銃は、容疑者が20数年前から所持しているものだった。前出の社会部記者によると、「銃の免許は何度も更新していた。以前は、埼玉県の西北部にある射撃場で練習していたようです」生活保護とは、国や自治体が“健康で文化的な最低限度の生活”を保障するための公的扶助制度。銃の免許更新にも費用がかかり、散弾銃などはある程度価値があるものだ。財産とみなして、自治体などが没収しなかったのだろうか。ふじみ野市福祉課に尋ねると、「価値があるものについては、売却して生活に当ててくださいと言います。価値がないものについては、こちらが処分してくださいとは言えません」結果として、その猟銃が尊い命を奪ってしまった。
2022年02月02日アメリカのペンシルベニア州にある動物保護施設『ベッドフォード群ヒューメインソサエティ』で、夜中に施設内が荒らされるという出来事がありました。朝に出勤してきたスタッフのジョイス・ロスさんは、廊下に散らばった大量の破壊された犬用おもちゃを見てびっくり。まるで泥棒でも入ったかのような状況ですが、誰がこんなことをしたのかを知るまでに時間はかかりませんでした。なぜなら…犯人が現場に現れたからです!@stardust9822 Gillagan had one crazy night last night. #funnydogvideos #shelterdogs #dog ♬ original sound - Stardust9822夜中に大暴れしたのは、この施設で長年暮らしている保護犬のギリガン!前日にギリガンをケージに入れたスタッフが、うっかりカギをかけ忘れてしまったのです。スタッフが全員帰宅した後、ギリガンはケージを抜け出して、たくさんのおもちゃで夜通しパーティーを開いたのでした。It’s a good thing Gilligan was on patrol…Something destroyed all these toys sometime during the night♀️Posted by Bedford County Humane Society on Sunday, January 16, 2022It’s a good thing Gilligan was on patrol…Something destroyed all these toys sometime during the night♀️Posted by Bedford County Humane Society on Sunday, January 16, 2022まったく反省する様子もなく、「僕、楽しかったよ!」というようにジョイスさんに近付くギリガン。そんなギリガンを見た彼女は、怒るどころか大笑い!そして、この動画を投稿したところ、32万件の『いいね』が集まったのです。・罪悪感ゼロなところがかわいすぎる!・この犬は、おもちゃの耐久性をチェックしただけだよ。・きっと昨夜は本当に楽しかったんだろうね。海外メディア『WTAJ』によると、この動画が話題になってから、施設には犬用おもちゃの寄付が続々と寄せられているのだとか。また、ある人物からは「これから一生、毎月1個、ギリガンにおもちゃをプレゼントします」という申し出もあったといいます。子犬の頃からこの施設で育ったギリガンは、昼間はオフィスでスタッフたちと過ごし、夜だけ自分のケージに入って眠っているのだそう。スタッフにとっては、ギリガンは家族のような存在なのですね。ちなみにギリガンが壊したのはおもちゃだけで、施設の備品などは一切手をつけていませんでした。これだけのいたずらをしても笑って許してもらえるギリガンは、普段からとてもいい子なのでしょう。でも掃除が大変だから、真夜中のパーティーはほどほどににね![文・構成/grape編集部]
2022年01月28日SNSで話題!浮気とDVを繰り返す夫との夫婦生活の実態を紹介!「@puyozip」さんの「【#45】「生活保護を受けられません」私は、夫の暴力に耐えられなくなり、役所に相談をしに行ったが…?!【10年間、夫に浮気された話】」を紹介します。結婚後に明らかになる夫の浮気癖…さらには暴力まで振るう夫との10年間に及ぶ壮絶な夫婦生活の物語…。前回、心配してくれるH田さんの言葉を素直に聞き入れられなかったJ子さん。しかし、その日の夜、暴力を受けているJ子さんを見ながら必死に涙をこらえている子どもの姿が…。J子さんは「自分が一番子どもを傷つけていた」ということに気づいたのです…。子どもは全部知っていた…この生活を続けてはいけない…助けを求めたものの…貯金があると生活保護を受けられない…?子どものために夫から逃げることを決めたJ子さん。でも逃げるためには、今後の生活の保障が必要ですよね。ところが貯金があると生活保護を受けられないことを知り、絶望的な状況に…。逃げたいのに逃げられない…J子さんはどうするのでしょうか…?!今回は「【#45】「生活保護を受けられません」私は、夫の暴力に耐えられなくなり、役所に相談をしに行ったが…?!【10年間、夫に浮気された話】」をご紹介致しました!次回、「生活費稼ぐからもう少し待っててくれよ!」私はもう夫の言葉を何も信用できなくなって…?!毎日1日1話更新中♪次回の配信もお楽しみに!(恋愛jp編集部)(イラスト/@puyozip)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。
2022年01月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「生活保護」です。自分の命守るため、困ったら、臆することなく利用を。生活保護は、受給条件を満たす誰もが受け取る権利を持っています。憲法によって、国は「国民の健康で文化的な最低限度の暮らしを保障しなければならない」と定められているからです。まず条件は、収入が厚生労働省の定める最低生活費よりも低いこと。金額は地域や同居家族の人数によって変わりますが、東京都内で一人暮らしなら、世帯全体の収入が月13万円、年156万円以下の場合には受給が可能になります。一般に家や車、預貯金や土地などの資産を持っている人は受けられませんし(例外あり)、世に言う「生活保護があれば働かなくても暮らせる」というのは歪んだ意見です。潤沢なお金を手当てしているわけではありませんし、贅沢は認められません。食費、光熱費、服、家具家電の購入費などの生活扶助、家賃を払うための住宅扶助ほか、医療扶助、介護扶助など、使用目的が制限されています。受給条件には、親や親族などから支援を受けられない人というのがあります。たとえば、子供の貧困対策で、子供がNPOから何かサポートを受けた場合、最低生活費が満たされ受給条件から外れたとみなされ、学費が払えず子供が大学を辞めざるを得なくなるというケースも出てきています。ですから、生活保護と子供の教育は切り離して考えるなど、課題はあるんですね。病気や怪我をして働けなくなった場合でも受給は可能です。ワーキングプアで、働いていても収入が最低生活費に満たない人は、全額ではなく足りない差額分を支給してもらえます。不正受給のニュースが広がり、生活保護には悪いイメージがついてしまいました。でも、不正受給は全体の0.4%程度。悪意なく、条件から外れていたのに気づかなかったケースも含まれます。誰しもが、いつ何が起きるかわかりません。突然、鬱になり働けなくなり、頼る先もなく暮らせなくなることもあるでしょう。「自分の頑張りが足りないんじゃないか」「自尊心が傷付けられる」などと思わずに、一時的にでも助けてもらい、生活を立て直せばいいのです。本当に追い詰められる前に、ぜひ住んでいる自治体の福祉事務所に相談してほしいと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月29日大切な人との日常は、人生にきらめきを与えてくれます。それは、動物でも同じです。@turi2018さんの父親は、2021年3月、カラスにつつかれていた子猫を保護しました。猫は『るる』と名付けられ、新しい家族と穏やかな生活を送っています。父親と保護猫の『初めてのクリスマス』2021年12月24日に投稿されたのは、るるちゃんの初めてのクリスマスの様子。ほほ笑ましい光景を見て、投稿者さんを含む多くの人はこう思ったそうです。「父親が誰よりも楽しそう!」…と。猫がはじめて迎えるX'masというより親父が楽しそうで笑った️(プレゼント届きますように…むにゃむにゃ) pic.twitter.com/hpYLStycmT — (@turi2018) December 24, 2021 豪勢な食事を前に、るるちゃんを抱えて満面の笑みを浮かべる、投稿者さんの父親。この後、父親はるるちゃんに首輪とオモチャをクリスマスプレゼントとして贈ったといいます。きっと最初は父親も「気に入ってもらえるかな?」とドキドキしたことでしょう。しかし、るるちゃんはオモチャを気に入ってくれた様子です!幸せがたっぷり詰まった『1人と1匹』の姿は拡散され、「見ているこっちまで幸せになる」「幸せをありがとう」といった声が寄せられました。また、るるちゃんが保護されてからの経緯を見ている人からは「お父さんがどんどん若返っているように見える!」という声も。楽しいことや新鮮なことが起こると、人には変化が起こるといわれています。るるちゃんとの日々は、父親を生き生きとさせているのかもしれません。父親とるるちゃんの写真は、クリスマスプレゼントとして多くの人に幸せをおすそ分けしてくれました![文・構成/grape編集部]
2021年12月26日救えるペットの命(所在地:静岡県湖西市、代表:鈴木 克典)は、全国の保健所、愛護センターなど500箇所へ、保護犬や保護猫の譲渡登録依頼を12月1日より開始します。また、当社では保護ペットや高齢化によりペットを手放す方のためのマッチングサイト「Matching Pet/マッチングペット」を提供しております。Matching Pet -1Matching Pet -2Matching Pet -3■「Matching Pet/マッチングペット」開設の背景全国の動物愛護施設や保護活動団体、個人の活動者には、保護犬や保護猫、小動物類など様々な保護動物が引き取られます。愛護施設に連れていかれたペットは、引き取り先が無ければ数日で殺処分となります。本サイトは、引き取られた動物だけでなく、高齢や病気、コロナ禍で増加した動物が自己都合などで飼育が困難になり、愛護施設や団体等に引き取られる場合や、未来の保護動物予備軍にも手を差し伸べることで、事前に「みらいの里親になる」という選択が可能になる新時代のペットマッチングサイトです。現在だけでなく、みらいまで手を差し伸べることが重要。Matching Pet -4■「みらい譲渡&みらい里親」は、将来のもしもの時の安心!もう飼えないと言う状態になる前に、今の飼い主と新しい里親の、未来マッチングを目指す、「Matching Pet/マッチングペット」は、従来のペットの里親探しサイト同様に今の里親探しはもちろんのこと、飼い主の健康不安や年齢的な不安、仕事や生活環境の変化により、ペットの世話が出来なくなる可能性や、ペットの将来が不安な方のために、現状のまま事前にみらいの里親を決めておく事のできるペットマッチングの場を提供いたします。“保護されるペットの大半は、飼育放棄や飼うことが出来ないから”保護団体等のデータでは、保護される動物の70%は、高齢者が飼うことが出来なくなり、捨てられていると言われています。保護動物の譲渡活動をされている方にとって、コロナ過での活動は大変厳しく、高齢化社会とリモートワークが相まって、増え続ける保護動物の譲渡活動に大きな支障をきたしているために、多くの保護動物が里親を見つけられずに悲しい思いをしています。Matching Pet -1C■コロナ禍での、屋内外の譲渡活動は、長期的にままならない状況Matching Pet -6静岡県浜松市の、アニマルフォスターペアレンツ様(現在までに、犬猫7,000頭ほどを保護譲渡)のように、ボランティア等で犬猫の保護活動をされている方々のたゆまぬ努力によって、全国では沢山の小さな命が救われていますが、特に高齢ペットや成長した野良犬猫などは短期間では里親希望者も少なく、譲渡先探しが難しいため、行き場がなければ殺処分される可能性も高くなります。新時代に向けた「Matching Pet/マッチングペット」を活用して、現在の保護ペットだけでなく、ペットの世話が出来なくなる前に、みらいの里親を予め決められれば、愛護施設や保護団体などに引き取られる動物達がいなくなり、飼い主とペット共に幸せになる事ができ、殺処分を回避することに繋がります。Matching Pet -2■飼い主の年齢比率は、60代以降の飼い主が全体の20%以上2019年の全国犬猫推計 飼育頭数、犬850万頭、猫965万頭と微減傾向でしたが、2020年からの新型コロナの影響で、飼育頭数が激増していると言うペット業界のデータがあります。飼い主の年齢比率は、60代以降の飼い主が全体の20%以上となっています。1,800万頭(匹)の犬、猫と、その他の動物類を合わせ2,000万頭(匹)以上の内、20%の約400万頭(匹)の数パーセントは保護動物予備軍が存在する事になります。飼育数は、急減することは無いため、今のままの保護体制では飼育困難や家庭の事情での保護動物数は減らないでしょう。日本の高齢者人口の割合は、世界で最高(201の国・地域中)。2019年の高齢者の総人口に占める割合を比較すると、日本(28.4%)は世界で最も高く、今後も高齢化社会は加速していきます。■「アニマルセラピー」は、高齢者の健康にとって重要Matching Pet -7高齢者にとってのイヌやネコなど、ペットのいる生活は、高齢者の毎日に癒しを与えてくれます。ペットの世話をすることで気持ちや生活にもハリが生まれますし、動物とのふれあいは「アニマルセラピー」とも呼ばれ、認知症などへの効果も認められ、寿命が延びるというデータもあります。しかし、現実は家庭の事情などで愛護施設に持ち込まれるペットが後を絶ちません。今のままでは、高齢者又はペットの寿命から換算した自身の家庭環境、仕事環境の変化や10~15年後の飼い主の年齢を考えると、新たにペットが飼えなくなってしまいます。そんな不安は、今健康な全ての方にも当てはまります。何時か飼えなくなってしまう前に、事前に里親を募ることが出来れば、高齢者でも安心してペットを飼うことが出来ます。そんな、これからの時代に向けたサイトが待たれていました。「救えるペットの命」代表 鈴木 克典は、保護犬猫活動への支援協力を長い間行って参りましたが、飼育放棄などで保護され、未だに多くの動物が殺処分されている現状に心を痛めています。「Matching Pet/マッチングペット」を、登録ご活用いただき、皆様の温かいご支援をお願いいたします。 Matching Pet -8&9救えるペットの命の支援の輪を、全国に広げるためお待ちしています。これから迎える仔は、譲渡ペットと言うご選択を! 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月25日メンタリストDaiGo(’18年3月)「みなさん、お待たせいたしました」10月5日、メンタリストのDaiGo(34)が約2か月ぶりにYouTubeへ動画を投稿した。■DaiGoの復帰動画に違和感「8月7日にYouTube配信した動画で“僕は生活保護の人たちにお金を払うために税金を納めてるんじゃないからね。生活保護の人たちに食わせるくらいなら、猫を救ってほしいと僕は思うんで”“自分にとって必要がない命は僕にとっては軽いので。ホームレスの命はどうでもいい”などと発言して、生活保護受給者やホームレスへの差別であると批判され炎上しました。その後、謝罪動画を配信した際に当面YouTubeを休止すると報告しました。でも休止期間中、DaiGo個人の有料動画配信サービス『Dラボ』は継続し、瞑想や猫や、富裕層の習慣について配信し続けていました」(スポーツ紙記者)再開する前日の10月4日には「そろそろYouTubeチャンネル再開しましょうか?」とYouTubeチャンネルのコミュニティ上でアンケートを取るなどしていた。では今回配信した、休止明け一発目となった動画はどのようなものだったのか。「まず、これまでの動画はDaiGo自身が映し出され“DaiGoです”などの通常あいさつから始まるものがほとんどでしたが、今回は愛猫の“みこ”から始まります。今までの声のトーンよりやや優しい口調のようにも感じました。その後、高級ワインをたしなみながら“断食”についての解説をするという内容でした」(同上)これまでのDaiGoの動画は大学の研究結果などをもとに、日常の悩みを解消する方法や自己啓発のしかたなどを解説するものが多い。あくまで自身を「文献を読むのが好きな、ただの理系」とし、独自の考察で事実を確定するものではないと説明している。久しぶりの動画には「待ってました!」「おかえりなさい」などファンの歓喜のコメントが並ぶも、なかには「ろくでもないホームレスや生活保護受給者に気なんて使わなくていいと思う!」というコメントも見られた。動画のコメント欄は、DaiGoサイドが書き込みされたコメントを精査できる承認制を選択しているようで、“アンチコメント”は見当たらない。7日以降、『【嫁vs旦那】夫婦が上手くいくのはどっち問題』『人生が180度変わる【目標達成の5つの極意】』など5本の動画を公開しているが、コメント欄はDaiGo本人以外はなかった。さらに、今回の動画で「気になったことがある」と話すのはあるフリーライター。「今回再開した動画では、これまで配信していた動画と違う箇所がいくつかあります。まず、テロップの編集がされていたり、高評価・低評価の数値が表示されなくなっています。また、謝罪に追い込まれて配信を休止した人は、再開するにあたり、休止期間に何をしていたのか、どんなことを考えていたのかなどを説明する人が多いのですが、DaiGoは、まったくそういったことがありませんでした。差別発言が炎上のきっかけだっただけに、しれっと再開したことが疑問です」DaiGoはYouTubeの動画配信を休止中に、友人である脳科学者の茂木健一郎の紹介で、ホームレスや生活困窮者への支援を行うNPO法人『抱樸』へ「学びの機会」を与えられ、代表の奥田和志氏を紹介されたという。「茂木氏が『抱樸』の奥田理事長に“DaiGoが(炎上して)大変なことになっているから、連絡を取ってやってくれないか”と、相談したようです。その後、DaiGoは奥田氏と2人でやりとりをし、茂木氏を含め“約束ごと”をしたようです」(フリーライター)NPO法人『抱撲』のホームページを見ると、DaiGoは奥田氏と以下のような約束を交わしている。■NPO法人『抱撲』とDaiGoの約束(1)今回の抱樸での学びに関しては途中経過を含めてすべて配信等はしない。これを配信のネタにすることはしない。DaiGo氏は、配信を仕事としておられるが、これは配信やビジネスのための学びではない。学びが足らない状態で安易に配信し、目的がズレてしまうと抱樸は関わる事はできない。(2)抱樸の宣伝や応援、寄付は一切行わない。抱樸としても寄付等は受け取らない。何よりも大切なのは、DaiGo氏がこのことを経て学び変わることである。誤った情報ではなく、人の命に資する知識をDaiGo氏が有することである。抱樸は自分たちのためではなくDaiGo氏が学ぶ必要があると考えている。抱樸としては学びたいと欲している人に応えたいと考えている。DaiGoがYouTubeを再開した際に、休止中の活動について語らなかったのは、このような約束があったからということだ。NPO法人『抱撲』にDaiGoの“学び”について問い合わせると、「DaiGoさんの件について、学び以外の理由でお互いを利用しない、経過を発信をしないとお約束させてもらっています。また、学びたいと言われているため、DaiGoさんとのやり取りは外部に漏らさない、守るべき対象です」とし、DaiGoの今後について「学びの機会」を与えている姿勢を見せた。『抱撲』のホームページには「コロナの状況があるため、抱樸への訪問は当面できませんし、当事者の方々がいる場所への訪問には最大限注意を払い、準備と同意が必要であることは言うまでもありません」とあるため、DaiGoが実際に困窮者やホームレス支援の現場に出たかは不明だ。休止期間中、彼はホームレスや生活保護受給者について、どのような「学び」をしたのか。YouTubeの再開にあたり、気持ちの変化を担当者に問い合わせたが、期日までに返事はなかった。学びを経てDaiGoの心境に、どのような変化があったのだろうか。「ろくでもないホームレスや生活保護受給者に気なんて使わなくていいと思う!」というコメントを“承認”していることに違和感が残るが……。
2021年10月20日困っている動物を見つけた時、心配で何か手助けをしたくなりますよね。しかし、「責任をもって自ら救おう」と思い切れる人は、どれだけいるでしょうか。傷付いた野良猫のために動いた人ゴリ兄(goriani)さんは、ある日、ケガをして痩せた野良猫が家に住み着いたことに気が付きました。飼い主がいないか、また保護ができないかを確認すべく、ほん走したのですが…。@goriani猫アレルギー持ちの犬派なのに…最近よく猫に絡まれる…##田舎暮らし ##猫かどうかも怪しいな ##ねこ♬ ねこふんじゃった - 城ゆかり/東映児童合唱団殺処分の可能性も示唆され、悩んだゴリ兄さんは、正式な手順を踏んで家に迎えることに決めたそうです。野良猫を警察署に拾得物として届け出ると、受け取った『拾得物件預り書』をしっかりと保管しました。なぜなら、3か月以内に遺失者が現れなかった場合、ゴリ兄さんが野良猫の所有権の取得を希望できるのです!その日が来るまで、ゴリ兄さんは野良猫を自宅で保護。病院へ連れて行ったり、お風呂で体を洗ったりと、甲斐がいしくお世話を続けました。遺失者が現れないまま、ついに3か月が経過したことを確認すると…TikTokに投稿された、喜びにあふれる報告がこちらです!@gorianiフランス語の黒『le noir』から ノワールと名付けました。よろしくお願いします( ・∀・)##田舎暮らし ##保護猫 ##猫アレルギー ##猫♬ 打上花火 (オルゴール) - ring of orgel『取得通知書』も届き、いよいよ警察署まで手続きに行く様子もご覧ください。@goriani警察署に行ってきました。##田舎暮らし ##猫 ##猫アレルギー♬ Beautiful World - 2021 Remastered - Hikaru Utada最後に警察官から「これから、よろしくお願いします」といわれたゴリ兄さん。正式に野良猫を家族として迎え入れることができて、感無量だったことでしょう。猫にはフランス語で『黒』を意味する、『ノワール』くんと名付けてかわいがっています。一連の出来事を見守っていた人たちも、ようやくお迎えできたことに感動していました。・猫様との下僕契約書ですね!・これからもノワールくんの健康などを、看守並みに見守ってください。・どうぞ末永くよろしくお願いします。・捨てられたであろうノワールくんが、もう一度人間を信じてくれてよかった。「責任をもって育てます」とゴリ兄さんはコメント。ノワールくんには、温かな家の中で、自由気ままに過ごしてほしいですね![文・構成/grape編集部]
2021年10月07日犬や猫の保護活動をしている、LuckyStar(@LuckyStar111222)さんは、Twitterに1枚のベストショットを投稿。写っているのは、保健所を経由して投稿者さんの家にやってきた、推定5歳とされる猫のぷぅすけくん。どうやら、ぷぅすけくんのモデル並みのかっこよさに、ネットを通して多くの人が心奪われてしまった模様!投稿者さんが思わず突っ込んでしまった、最高の1枚をご覧ください。そのカッコ良さ必要か pic.twitter.com/1E9LEOvCtK — LuckyStar☆おねっさん (@LuckyStar111222) September 12, 2021 モデルのようにやや体を斜めにして腰かけ、すらっと伸びる後ろ脚をクロスさせたぷぅすけくん。見事なカメラ目線といい、美しいポージングといい、人間の売れっ子モデルのような雰囲気をかもし出しています…!指定していないにもかかわらずポーズを切ったぷぅすけくんに、投稿者さんは「そのかっこよさは何!?」とツッコミ。写真は拡散され、多くの人から「貫禄がすごい」「最高の1枚だ」といった声や『いいね』が寄せられました。猫界のトップモデルとして、今回の投稿で人間界での知名度を上げたぷぅすけくん。今後の活躍が楽しみですね![文・構成/grape編集部]
2021年09月26日東京都中野区区役所の新庁舎建設工事が着工したが、“炎上”している。生活困窮者に関わる部署である「生活保護課」だけが、新庁舎の基本設計から“排除”されたのだ。一体、なぜ?生活保護利用者を新庁舎に入れたくないから?差別は絶対に作ってはいけない。生活困窮者の支援を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏がレポートする。東京都・中野区区役所約3年後に完成を予定している、東京都の中野区区役所の新庁舎建設の実施設計が固まり、建設工事が着工した。予定通りに進めば、2024年2月竣工、5月開設となる。その新庁舎の設計が今、議会で大炎上している。何が問題になっているのか。新しい区役所の基本構想は「ワンストップ型サービスの構築」。これは利用者にはとてもありがたい。ではなぜ、炎上なのか。それは、ワンストップが最も必要とされるであろう生活困窮者に関わる部署のうち、生活保護課だけが、外に出されることになったからだ。■二転三転したこれまでの経緯当初は既存の部署はすべてが新庁舎に入るはずだった。約2年半もの時間と、議事録によれば9,000万円の予算(税金)をかけ、利便性や導線を追求したレイアウトが練られ、その時点では生活保護課の窓口は一階に設定されていた。しかし、区は「高度なプライバシー性を確保する観点」などを理由に、その基本設計を突如変更、生活保護に関する窓口は新庁舎の外に出す方針を決め、野方にある教育センターに福祉事務所を丸ごと移転してはどうかという提案をしてきたのだった。新庁舎1階から教育センターという重大すぎる変更は、2020年3月にはすでに区側で方針が決まっていたのだが、どういうわけか10月になるまで議会にも公表されておらず、文字通り寝耳に水の報告となった。この案に対し、「むしろ教育センターに丸ごと移転することでプライバシーが守られないのではないか」「新庁舎から距離のある、教育センターを区民(利用者)が行き来することは大変ではないか」などという疑問が議会から発生。実際に教育センターの現場を見てみると、躯体(建築構造を支える骨組みにあたる部分)に無理があることがわかり、構造的にも福祉事務所には向いていないということで、区は見直しを迫られる。この段階で初心に戻り、新庁舎に入ってもらうという流れになればよかったのだが、なぜか「福祉事務所を外に出す」という案だけは動かない。行き場をなくした福祉事務所機能をどこに持っていこうかと、新区役所整備課は苦心惨憺、悩んで探し回った挙句に、今年6月になって突如浮上してきたのがスマイル中野、現在、社会福祉協議会が入っているビルのフロアである。■民間組織である社協を新庁舎に迎え、身内を外に出す不思議社会福祉協議会が新庁舎に入ることは、当初から決まっていたらしい。思わず首をひねりたくなるのだが、社会福祉協議会は民間の社会福祉活動を推進することを目的とした民間組織である。連携が必要な場合も多いが、どうしても庁舎内に常駐する必要があるとはいえない。現に、他区でも社会福祉協議会が庁舎から離れた場所にあることはよくあることだ。中野区では、その社会福祉協議会の職員が新庁舎に入り、代わりに生活保護課が庁舎から出て、スマイル中野に入るということになった。7月30日の厚生委員会で決まったこの新案を、現場の職員は突然聞かされて仰天することになる。なぜなら、区は福祉課を外に出すと決定した2020年3月に、その理由を「新型コロナウィルス感染症の影響もございまして、(生活保護利用者の)相当数の増加が見込まれてございます。」と述べており、利用者増、職員増を見込んで広い場所が必要ということなのだが、3月の段階で感染拡大や区民の生活困窮を予測していたのだとしたら、それはそれですごい。生活保護利用者の増加に伴う職員増員も考慮した上での「生活保護課の庁外移転」だったはずなのに、最終的に落ち着いたスマイル中野の床面積が、現状の550平方メートルより更に狭い360平方メートルという結論に「え、え??」となるのは道理である。550平方メートルでも手狭だった事務所が360平方メートルになって、職員が収まりきるわけがない。そこで、当局は奇案を提案した。生活保護課を二つに分ける。つまり、こうだ。・生活相談、自立支援、中野くらしサポート→新庁舎・生活保護課→スマイル中野ちょっと待って、ワンストップどこに行った?あなたが将来、生活に困窮し、生活保護の申請を考えるとする。まず、申請は新庁舎だ。そこで相談をし申請に至る。しかし、保護が決定したあとはスマイル中野に行ってくださいねと言われる。スマイル中野で担当ケースワーカーと会い、その後、必要に応じて住民票を取得したり、稼働年齢であれば就労相談をしてくださいという話になるが、それは新庁舎が窓口となる。新庁舎にいる生活援護課(最初に相談する課)と生活保護課(利用開始後に担当になる課)の連携は必要不可欠であるが、離れてしまって業務は成立するのだろうか。情報の伝達時にはIT技術を頼るのだろうが、高いセキュリティを搭載したプログラムはいくらするのだろう。また、生活保護課は大きな現金が動く課でもある。今後はお金を運ぶ警備員がずっと必要になるだろう。いくらかかるのだろうか。そして何より、区民の利便性はどこに行ったのだろうか?二転三転した新区役所の企画は、一体だれ得なのだろう?考え込むほどにデメリット以外なにもないものに仕上がってしまっている。■生活保護課の庁外移転、他区の場合東京都23区の自治体で、本庁舎内に福祉課がある区は15区、外に設置している区は8区ある。本庁舎内に福祉事務所があり、支所も複数箇所おいている練馬区、世田谷区などもあれば、本庁舎内に福祉事務所が入っていない区もある。新宿区、豊島区、渋谷区、板橋区などがそれだ。新宿区は制度利用者の急増に伴い、庁舎が手狭になったために福祉事務所がまるまる外に出た格好となったが、豊島区と渋谷区は新庁舎建設をきっかけに、もともと入っていた福祉事務所を外に出した中野区と似たケースだ。どのような理由で外に出したのだろう。2015年5月7日に開庁した豊島区役所は、財政難を補うために再開発手法によって庁舎建設をしたという経緯がある。1階の一部および3階~9階が区役所、1階~2階には商業施設、11階~49階は分譲マンションが整備された、かつてない新しいタイプの新庁舎だ。福祉事務所と保健所を除外した理由は、1、民間と合築で、一階は災害などのときに必要な豊島区の空間(豊島区センタースクエア)と 民間の商業施設となる。区役所が全て占有できない。2、福祉事務所にはシャワーなどの整備も必要で、三階以上には福祉事務所は置けないなど。(シャワー設備が3階以上に入れられないという理由が分からないが…)「路上生活者を新庁舎に入れたくない」とは決して言わないまでも、お話しを伺った元区議は『 根本的に「排除の思想・差別」はあったと思います』と、当時を振り返る。■「受給者が並ぶ、そんな状況はみっともないでしょう」2014年10月に改築工事が終了した板橋区役所本庁舎南館。当初、福祉事務所機能を入れて本庁舎でワンストップサービスが行えるようにしたいと提案があったにも関わらず、それは実現しなかった。議事録を読むと、いろいろもっともらしい理由が並べられてはいるが、象徴的なのが2014年3月17日の予算審査特別委員会で自民党の区議が発言した以下。板橋区区議会議員・川口雅敏「私は、現在の保健所、あそこに板福(板橋福祉事務所)を持っていったほうがいいかなと、そして、旧保健所のところに、また民間活力で保健所を建て、というのは生活保護の受給者が並ぶ、そんな状況は役所の前でみっともないでしょう。向こう側だったらいいんじゃないかなと、そんなようなことも思っておるんですけれども、その辺も少し考えてみていただければと思いますけれども」こんなあからさまな差別発言をする人の方がむしろ「みっともない」と誰もが思う世の中を希求してやまない。近年、新庁舎を建設しながら福祉事務所機能を外に出す自治体に通底しているのは、いかなる理由をいくつ並べたところで、本音は生活困窮者を「見えなく」したい差別意識であるように感じる。差別する気はないとどんなに訴えようが、実際には排除のメッセージにしかなっていない。■多様な街の豊かさを分断によって消さないで私は中野区民ではないが中野で働き、中野を愛する都民である。中野のどんなところを愛しているかと聞かれれば、酒井直人区長が中野区のホームページ内の「区長の部屋」に書かれているように、『情に厚く、あらゆる個性を受け入れるまちであり、また、変わらぬ良さと変わり続ける発展性の両面を感じる』からだ。私の職場がある町もおせっかいな人が多い。商店街は特別に活気が溢れるわけでもないが、かといって沈んでもいない。淡々と毎日店を開ける。商店街に挟まれた一車線の狭い道には、バスもトラックも、自転車も、人も行き交う。車椅子も、リハビリ中の高齢者も、子どもも、外国人も、入り乱れて通る。車が来ないときには、道いっぱいに歩行者が広がり我が物顔で歩く。見知った顔とすれ違うと挨拶が交わされる。「ゴチャゴチャしているのがデフォルトだから、かえって交通事故が起きない」と、中野で働き始めたころに地元の人に教わった。多様な人が共存する場は、誰もが「自分はそこにいていいのだ」と思わせる環境だ。豊かで寛容な懐の広い地域だ。見えなくしてはいけない。隔離してはいけない。分断こそが無理解、差別の入り口だから。差別の旗振りを区役所がしては、絶対にいけない。区長は更に続ける『中野区最大の財産である「人」が一層活躍できるよう、セーフティネットの取組と、区民と区の協働・協創を進め、必ず感染症の危機を乗り越えて、中野の未来を築いていく決意です。』中野区が特定の人を新庁舎から排除することなく、さまざまな人が行き交う庁舎を作って、これからの地域の在り方を他区にも見せつけてやってほしい。小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を出版。
2021年09月16日保護猫の、ししゃもちゃんと暮らす、飼い主(@0707_Shisyamo)さん。ししゃもちゃんは、2021年7月7日に生まれ、その2日後に保護されたといいます。保護から2か月が経過した、同年9月7日現在。飼い主さんが「かわいすぎて反則」と語る、ししゃもちゃんの成長した姿をご覧ください。おてて舐めてるだけでそんなにかわいいのは反則 pic.twitter.com/yWyqULesI5 — ししゃも (@0707_Shisyamo) September 2, 2021 思わずキュンとしてしまいますよね!ししゃもちゃんは、手をきれいにしたくてたまらないのかもしれませんね。ししゃもちゃんの姿に、多くの人が癒されたようです。・無限大のかわいさ…。抱きしめたくなりました。・世界一愛くるしい猫ちゃんですね!・無限に見ていられます…。見た人を癒してくれるししゃもちゃん。今後も、キュートさを見せ続けてくれることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年09月07日ある女性がFacebookに紹介した愛犬の話に、感動の声が上がっています。2021年1月、アメリカのワシントン州に住むチェルシーさんは、インターネットで1匹のメス犬の写真に目を留めました。ウェブメディア『The Dodo』によると、クレメンタインという名前のやせ細った犬は、数週間前に路上で保護されたのだそう。しかし、数々の健康上の問題があることから、数日以内に安楽死させられることになっていたのです。それを知ったチェルシーさんが、急いで里親の申し込みをすると、すぐに施設から電話がかかってきたのだとか。施設のスタッフは、チェルシーさんがクレメンタインに興味を持ったことに驚き、涙を流していたのだそう。なぜなら、その施設では過去数週間に数百人の保護犬の里親希望者が現れたものの、クレメンタインを引き取りたいといった人は1人もいなかったからです。Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021チェルシーさんがクレメンタインを家族に迎えたのは、安楽死させられる予定日の2日前でした。当時のクレメンタインは体重が約203しかなく、5つの感染症にかかっていて、体からは悪臭を放っていました。その臭いは、薬用風呂に毎日入れてあげても、なかなかなくなりませんでした。またクレメンタインの病気は体だけでなく、心の傷も重症で、すべての人間を極度に恐れていたのです。チェルシーさんの家で、ちゃんと眠れるようになるまで2週間、壁に向かって座るのを止めるまでに3か月、おもちゃで遊ぶようになるまでに5か月もかかりました。Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021それでもチェルシーさんは、クレメンタインにたくさんの愛情と食べ物を与え続けます。そして8か月後、体重は約323にまで増えて、感染症は治りました。人と目を合わせられなかったクレメンタインは、愛と信頼を学び、まるで別の犬のように陽気で明るい性格に変わったのです。Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Wednesday, August 4, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Tuesday, August 17, 2021Posted by Chelsea Elizabeth Cossairt on Tuesday, August 17, 2021チェルシーさんがFacebookに投稿したクレメンタインのストーリーには、「涙で途中から読めなくなった」「今のこの犬の姿を見て本当に嬉しい」などの声が寄せられています。今では、クレメンタインは先住犬たちと仲よく遊び、広い庭を走り回っています。チェルシーさんが朝起きて「おはよう」というと、喜びのあまり狂ったようにしっぽを振るそうです。一度も愛される喜びを知らずに、一生を終えることになりそうだったクレメンタイン。チェルシーさんによって、愛されて生きる幸せを手に入れることができてよかったですね。[文・構成/grape編集部]
2021年09月03日物議をかもした、『メンタリスト』として活動しているDaiGoさんの、生活保護受給者に対する差別的発言。ことのほったんは、DaiGoさんが自身のYouTubeチャンネルで「自分にとって必要のない命は僕にとって軽い。ホームレスの命はどうでもいいんで」などと、生活保護受給者に対して、否定的な意見を展開したことでした。その後、発言が差別的だとしDaiGoさんに対して批判の声が続出。ワイドショーなどでもDaiGoさんの発言は取り上げられるなど、大きな注目を集めました。『EXIT』兼近大樹が、自身の経験から持論を展開2021年8月26日放送の『ABEMA Prime』(ABEMA)では、DaiGoさんの発言をはじめ、少年によるホームレス襲撃事件などを特集。なくならない差別やホームレスが被害にあう事件について、お笑いコンビ『EXIT』の兼近大樹さんが持論を展開しました。過去にホームレス生活を送っていたことがある兼近さん。差別や事件が起きる背景には、想像力の欠如があると指摘します。例えば、DaiGoさんなんて、たぶんちゃんとした家庭に生まれて、そういうまっとうに生きてきた人なわけですから、たぶん想像できないと思うんですよ。そういう人がいて、どういう背景があって、その人はなぜこうなっているかっていう。そういう人のことをまったく想像できない人って、たぶんこの世の中にいっぱいいて。だからホームレスの方でも個人こじんだと思うんですよ。みんな理由があって、それぞれ違うっていうのがあるんですけど、その背景をまったく見なかったからこういうことをいってしまったっていうことだと思うんですけど。ABEMA Primeーより引用その上で、それぞれ事情を抱えた人の背景を想像できない、世の中にも問題があるとした兼近さん。放送終了後、視聴者からは兼近さんの意見に共感の声が寄せられています。・想像力のなさは、まさにその通りだと思う。相手の立場で考えることも、想像力の1つ。・表面的なことだけでなく、その問題の根っこまで考える必要があるよね。・個人の問題ではなく、社会全体の問題としてとらえるべきという兼近さんの意見に賛成。残念なことに、こうした差別問題は定期的に発生し、そのたびにさまざまな意見が交わされてきました。一体なぜ差別問題はなくならないのか…その1つに、私たち一人ひとりの想像力の欠如が間違いなくあるのでしょう。人権意識や生活保護受給者がおかれている状況について意識を改めたいものです。[文・構成/grape編集部]
2021年08月28日ホームレスが建てた小屋にはいろいろな物が置かれ、まるで秘密基地のよう「ホームレスの命はどうでもいい」「生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら、猫を救ってほしいと僕は思う」メンタリストDaiGoによる差別的発言が物議を醸している。20年以上にわたってホームレスの取材を続けてきたライターの村田らむさんによる寄稿をお届けする。僕はDaiGo氏の発言以上に彼の意見に賛同し、褒めそやすコメントが多数投稿されているのを見て、ゾクリとした。カルト教団の信者たちを思い出したからだ。かつて、オウム真理教の後継団体に潜入取材をしていたことがあるのだが、潜入中にひとりの信者が病気で亡くなった。すると、指導者が、「彼が病気になったのは彼が修行を真面目にしなかったからだ。ああいう人は死んでも仕方がない。教団に入っただけでは救われないよ。もう2度と人間には生まれ変われない。よくて動物だね」と話し、亡くなった信者を蔑むように笑ったのだ。そして他の信者たちもそれに同調して、ゲラゲラと笑った。■DaiGo氏を擁護する声も指導者の言葉に同調し、仲間の死すら差別し笑う姿は痛切に恐ろしかった。DaiGo氏の言葉にただ乗っかり、ホームレスを同じ人間として見ていない“彼ら”の言葉に同じ空気を感じた。しかし、一般社会においてDaiGo氏が発言した内容はさほど珍しいものではない。例えば飲み屋でサラリーマンと話をすれば、「ホームレスとか一箇所に集めて無理やり労働させればいいんだよ」「生活保護受給者のほとんどは働く気のないクズ。そういうヤツの子どももクズ。排除したほうがいいよ」などなど、ホームレスを人とも思わない差別発言をする人はいくらでもいる。『2ちゃんねる』創設者のひろゆきこと西村博之氏も、「日本国内で人権軽視されていることがすごく多くあるのに、そのことに関して何もしていない人がDaiGoさんだけ責めてて。DaiGoさん何もしていないじゃないですか、口で言っただけで」とDaiGo氏を擁護する発言をしている。確かにサラリーマンが酒を飲み、ホームレス不要論を説いたとしても、現実にホームレスに危害が及ぶわけではない。だが、何万人という人に影響を与えるインフルエンサーの発言が、「何もしていない」と言えるのか?カルト教団の信者たちように、人を人とも思わない価値観を増殖させることに繋がってくるのではないだろうか。そもそも、彼らだって生きている人間であり、生計を立てる必要があるのだ。野宿生活をする人の多くは廃品回収で日銭を稼いで生活している。アルミ缶を集めて、業者に買い取ってもらうのだが、実はこれ過酷な肉体労働なのだ。何十キロもあるアルミ缶を抱えて10時間以上も動き回る。それでも稼ぎは3000円いくか、いかないか。でも、稼いだお金はすぐ食費に消えるし、毎日のように稼げるわけではない。■暴力を受け続けるホームレス炎天下では熱中症になるし、風が強い日は缶が飛ばされて仕事にならない。空き缶を集めていると「泥棒!!」とどやされ、警察を呼ばれることもある。DaiGo氏は、「自分はホームレスを愛さない」動画の中でそのような言葉を繰り返し発言していたが、わざわざ宣言する意味はあるのだろうか? だって、ホームレスが愛されていないことは、一目瞭然なのだから。高速道路の下にはホームレスが寝られないように突起状の石が敷かれ、ベンチの真ん中には横たわれないようにする肘かけが設置されている。これは建造物が本来の用途以外で使用されることを防ぐための『排除アート』と呼ばれるものだ。ホームレスを排除するのが主目的の『排除アート』も多く、今では街中のいたるところで見ることができる。テントを張ったり小屋を建てたりするのも難しい。警察などに強制的に撤去させられてしまうからだ。排除されるだけではない。多くのホームレスは理不尽な暴力を受けている。僕は20年以上ホームレスの取材をしているが、暴力を受けた話はなくならない。「河川敷で寝ていたら、子どもたちに花火を打ち込まれて大やけどを負った」「駅で寝ていたら卵をぶつけられた」「地下街に続く階段で寝ていたら、上から自転車を投げつけられて大怪我した」などの話を彼らから聞いた。大阪では、「知り合いのホームレスが、商店の前で寝ていたら頭を踏み割られて死んだ」と悲しそうに語るホームレスと会ったこともある。■『蜘蛛の糸』を思い出す謝罪動画暴力を受けた後、警察に相談しても無視されたという話も非常によく聞く。先の花火を打ち込まれた人は、多摩川の河川敷に住むホームレスだった。「結構なやけどをしたから川崎警察署に行ったんだ。そうしたら警察に“警察はホームレスに関わっている時間はないんだ、帰れ!!”って怒鳴られた。もう何があっても行くものかって思ったよ」と悔しさを滲ませた。実際、ホームレスへの暴力は、よっぽどな重症を負うか死亡しないと、ニュースにならない。たとえ命は助かっても、彼らには病院に行く金銭的余裕はない。エアコンもなく、熱がこもる小屋の中でひとり、うずくまって痛みに耐え、傷を癒やすしかないのだ。「はやく死にたい」そう話すホームレスも少なくない。彼らは社会からだけでなく、自分自身からも愛されてない。孤独でみじめだ。DaiGo氏は謝罪動画で自身のイジメられた経験を盾のように話したが、ホームレスが社会から排除され、理不尽に暴力を受けている現実があることを想像することはできなかったのだろうか?彼の想像力の欠如は、謝罪動画にも表れている。「“自分の責任でもないのに生活保護を受けることになった人”“必死に立ち直ろうとしている人”は救われてしかるべきなのに、そういう人を傷つける発言をしてしまった」この発言を聞いて、僕は芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を思い出した。“悪事に手を染めていない”善なる人間にだけ生活保護という“蜘蛛の糸”を垂らしてやる。だが、行いが悪ければ、糸を切って地獄へ叩き返す。と言っているように聞こえるのだ。自分はお釈迦様として居心地のいい極楽で蓮池を眺めながら人の生死を決めるということなのか……。そんな“神様目線の差別発言”に、僕はこれまで会話をしてきた何百人ものホームレスのことを思い出した。■誰もがホームレスになる可能性がある「俺は昔、人殺したことある」と自慢する人もいれば、「スーパーの万引で食べている」「稼いだ金は全部、酒」「元暴力団員だった。今も覚せい剤をやっている」という言語道断な発言もよく聞いたし、包丁を振り回されたことや、無理やりキスされたこともあった。だが公的な福祉は、そういう人にも差別せず行わなければならない。中には、どう見ても“精神疾患”や“知的な障がい”を抱えていると思われる人もいる。そういう人は、本人の努力で解決できる状態ではない。福祉の網の目からこぼれ落ちてしまった人であり、積極的に保護する必要があるだろう。罪を犯して刑務所に入っている人間だって、食事は摂り、布団で寝ている。今の日本において、貧窮者が犯罪者と同じレベルの生活を、享受することすら許さないと言うのだろうか?「生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら、猫を救ってほしい」そんなDaiGo氏の呼びかけに応えてみながそう望んだら、生活保護制度が打ち切られ、野宿生活をすると逮捕される時代がくるかもしれない。餓死者が増え、自殺者が増え、犯罪が増えて世の中が地獄になっても、別に自分は成功しているから関係ないと本当に言えるのだろうか。ほとんどのホームレスは、なりたくてホームレスになったわけではないのだ。誰もが同じ立場になる可能性があるのだから――。取材・文/村田らむ1972年、愛知県名古屋市生まれ。ライター兼イラストレーター、漫画家、カメラマン。ゴミ屋敷、新興宗教、樹海など、「いったらそこにいる・ある」をテーマとし、ホームレス取材は20年を超える。潜入・体験取材が得意で、著書に『ホームレス消滅』(幻冬舎)、『禁断の現場に行ってきた!!』(鹿砦社)、『ゴミ屋敷奮闘記』(有峰書店新社)、『樹海考』(晶文社)、丸山ゴンザレスとの共著に『危険地帯潜入調査報告書』(竹書房)がある。
2021年08月23日仲間と酒盛りをいていたホームレスたち。娘との関係について語ったCさん(左)とBさん(右)「人間の命と猫の命は人間の命の方が重いなんて僕全く思ってない。自分にとって必要もない命は軽い。だから別にホームレスの命はどうでもいい」「僕は生活保護の人たちにお金を払うために税金を納めているわけではない。生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら、猫を救ってほしいと僕は思う」これはメンタリストDaiGoが、自身のYouTubeチャンネルにて発言をした内容だ。社会的弱者への差別的な発言に批判が殺到。生活困窮者やホームレスの支援を行う団体が声明を発表するなど、社会的問題にまで発展している。■河川敷にいたホームレスを直撃“必要ない”と言ったDaiGoに何を思うのか。ホームレスに話を聞くため、『週刊女性』記者は多摩川の河川敷に足を運んだ。橋脚の下に建てられた小屋で談笑していたホームレス3人に声をかけた。「週刊誌の記者さん?どこの雑誌だい?」最初は怪訝な表情を浮かべたが、名刺を出して話を聞きたいと伝えると、「いいよ!何が知りたいんだよ!!」と気さくに取材に応じてくれた。「今日は雨で天気も悪いし、みんなで飲んでいるんだよ。兄ちゃんも飲むか?」ひとりの男性(便宜的にAさんとする)が第三のビールを手に取ると、記者に差し出した。時間は午前11時過ぎ。カップ酒を手にもって、昼から宴会をしていたようだ。タバコも吸って、意外に裕福な気もするが……。「アルミ缶拾いが稼げるかって?まぁ1日頑張って3000円ぐらいかな。今はアルミの買い取り価格も高くて、1kg180円ぐらい。それでも時給換算したら、いくらもないよ。なんとか生活できるなってぐらいでね」(Aさん)身なりは整えられて、そこまで臭う人もいない。トタンとブルーシートで建てられた小屋には、洗濯物干しがかけられていた。ちゃんと洗濯もしているようだ。では、なぜ彼らはホームレスになったのか?「まぁ、いろいろね……。過去のことはあんまり話したくないんだよ……」(Aさん)そう話すと俯いて酒をあおった。年齢を聞くと、「みんな成人式3回ぐらいやったぐらい!そこから察して!!あ、でもそこにいる“村長”は3回半ぐらいだな(笑)」Aさんが指を刺した先には、ひげをたわわに蓄え、帽子をかぶる長身の男性(Bさん)が。記者を見て、穏やかに笑った。「もう70歳は超えて……。この生活も20年ぐらいになるんじゃないか。出身は高知なんだよ。もう何十年も前だけど、名古屋の会社に勤めていたよ、まだ俺がまじめなころ(笑)」(Bさん)と懐かしむように語ったところで、Aさんが口を挟む。「俺は沖縄なんだよ!結婚してた母ちゃんが名古屋だから俺もわかるぞ!!まぁ、昔の話だけどな……」(Aさん)それだけ話すと再び口をつぐんだ。今度は黙って会話を聞いていたスキンヘッドの男性(Cさん)が口を開いた。「でもよぉ、週刊誌さんは最近、何を追っかけてんだ。安倍元首相のことは取材しないのか。検察の黒川とか、俺はもともと麻雀仲間だよ。よく一緒に卓を囲んだ」黒川とは元検事長の黒川弘務氏のことだろう。本当かどうかはわからないが、ほかにも黒川氏が連れてきた部下たちとも麻雀をしたという。一体何をしていた人なのか――。■ホームレスたちの“本音”「俺はこの生活をして3年ぐらいだ。以前は建設会社を経営してたんだよ。わりと裕福な生活をしてたんだけどな、ただまぁ会社を潰すことになって……。あのとき死んどけばよかったなってよく思うよ。保険金も出たし、家族に迷惑をかけずにすんだ……。でもね、死ねなかったんだよ。死ぬ勇気がなかった」(Cさん)淡々と語っているが、当時のことを思い出し、悔やんでいるように見えた。家族とは、会ってないのか。「娘がふたりいるんだけど、今は28歳と32歳。たまに会ってるよ。一緒にカラオケに行ったりね。“お父さん一緒に住もう”って言ってくれるけどな……」(Cさん)それでも、家族とは一緒に住めないという。「負担になるだろう。俺を抱える責任を、娘たちに押し付けられない。ホームレスをやってるような俺にも、心配してくれる人はいるけれど、やっぱり迷惑はかけられないから。娘には、自分の人生を大切にしろって言ってるよ。悪い男につかまったときと、困ったときは連絡しろって。こんな状態だから、あんまり力にはなれないけれど(笑)」(Cさん)横で聞いていたAさんが再び口を挟む。「そもそも、俺はこんな状態になっているって新潟にいる兄貴や、北海道にいる姉貴に言えねぇよ。家族もいて、子どももいるんだから」生活保護という選択もあるはずだが……。「確かに月15万円もらったら、楽だと思う。でも、俺みたいな人間が国の世話になんて、とてもなれない。死ぬこともできないし、だったら、どう生きようかって考えてこの生活をしてるのよ。なにより縛られるってのは向いてない。金を稼ぐのも楽ではないし、高校生に殴られて骨を折ったことだってあったけど、自由がいいのよ」(Cさん)では、DaiGoが“ホームレスは必要ない”“命は平等じゃない”と発言したことについては、どう思うのか。この発言を知らなかった彼らに説明すると、「そんなこと言われたって、ホームレスはいるんだからなぁ……」とAさん。Cさんは、「税金も払ってないし、俺たちは“人間”じゃないのかもなぁ。犯罪行為で金を稼ぐ暴力団や半グレと一緒さ。空き缶を盗んでいるんだから。背負う罪の重さは違うけど、そう言われても、しょうがない気はするけどな」としたうえで、こう続ける。「迷惑はかけていないとは言わない。だけど、必要ないって、死んだほうがいいってことだろ。誰かにそこまで言われる筋合いはないよ。死んだほうがいいなんてことは、自分が一番わかっていること。だからこういう生活をしているんだから」(Cさん)そう話すと、河川敷を見つめ、手にしたワンカップをぐびりとあおった――。それぞれの事情を抱えているホームレスたち。自称“月収9億円”のDaiGoでも、彼らをバッサリ切り捨てる権利なんてないのだ。
2021年08月20日メンタリストのDaiGoが自身のYouTubeチャンネルで、生活保護を利用する人やホームレスの人たちを侮辱し、排除する発言をした。その後、二度の謝罪をするも騒動は収まらず、社会問題として発展。DaiGoの発言を受け、緊急声明を発表した、生活困窮者の支援活動を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏による寄稿。DaiGo250万人のフォロワーを持つメンタリスト・DaiGo氏がYouTubeに投稿した動画を知ったのが8月12日。その日からずっと心を削られ続けている。「社会的無責任論者」と自己紹介に書いている250万人のインフルエンサー、その彼が動画配信サイトで流した差別的な発言は、明らかに度を超えていた。DaiGo氏の投稿が炎上してから、私たちのもとには生活保護利用者たちからの悲痛な声が届いている。コロナ禍で仕事を失い、所持金も100円から数十円になって、慣れない路上生活も経験したのちに支援につながった若者たちだ。彼らのほとんどがテレビは見ず、テレビを必要とも思っておらず、もっぱらスマホでYouTubeやインスタを楽しんでいると知ったのも、若い世代と関わるようになった最近のこと。DaiGo氏に「どうでもいい命」と切り捨てられた元路上生活者や、生活保護利用で命や生活をつなぎとめた若者たちは、どんな思いでDaiGo氏の発言を聞いただろう。「あれはいくらなんでもあんまりですよね」「誰だかわからない人に、私の命の線引きをされたんですよね」「ナチスと同じじゃないですか。学校で習わなかったんですかね」LINEやメールで届いた彼らの言葉に心が痛む。そして腹が立ち、たまらなく悲しくなる。■インフルエンサーの“辛口”トーク、その罪とは考えて欲しいのだ。好きで生活困窮する人がいるだろうか?ーー頑張りたいけど思うように頑張れない、頑張ってきたけどうまくいかない。それは、彼らのせいではない。そうでなくても生活保護バッシングや路上生活者への襲撃や殺人が後を絶たないこの国で、後ろめたい気持ちを抱えながら生きる人たちに対し、DaiGo氏の吐いた言葉の罪は非常に重い。彼の言動は、ホームレス状態の人たちの命や安全を脅かすだけでなく、これから制度を使うべき困窮者の生きる道をも閉ざしてしまう。やっとのことで生きている人の力を奪い、自死に向かわせるリスクをはらみ、また優生思想に共感してしまう人たちをヘイトクライムに向かわせるに十分な影響力を持っているのがインフルエンサーの罪であり、その罪深さの前に「社会的無責任論者」だなんて言いわけは通用しない。2012年に芸能人の親の生活保護利用について一部の政治家(片山さつき議員ら)が生活保護利用者のバッシングをし、メディアがこぞって追随し、バッシングの嵐が日本中に吹き荒れた。そのころ、私が在籍していた困窮者支援団体には、泣きながら電話をしてくる方、家から外に出られなくなった方、ほかに生きる術はないのに「生活保護を切ろうと思います」と取り乱す方からの電話が相次いだ。バッシングはもともと精神的に疲弊しながらも、それでもなんとか生きようとしていた人々の心を折った。■あの厚労省が動いた社会は優生思想を絶対に許してはいけない。それはなぜか。優生思想は我々が暮らす社会の基盤を崩すからだ。「あいつは生きていていいが、こいつはダメだ」という身勝手な線引きは、この社会で暮らすすべての人の安心を奪う。ある日突然、誰かが自分の好き嫌いだけを理由に「おまえは生きなくてヨシ!」と指を指されることを想像してほしい。そんなことが許されていいはずがない。だから、社会がこの危険な発言には大きなNOを突きつけなくてはいけないのだ。ヘイトクライムや差別に敏感な国であれば、影響力のある有名人のヘイト扇動発言に対しては、首相や大統領レベルが自ら発言をし、差別を許さないという姿勢を見せ、国民にも強い牽制をするだろう。しかし、残念ながらこの国では差別に関しての認識と意識は何周も遅れを取っているため、まず期待はできない。と、思っていたら今回は国が動き、正直、驚いた。DaiGo氏の投稿が炎上した翌日の13日、厚生労働省がツイートを更新した。「生活保護の申請は国民の権利です」ホームページのコピペという省エネ投稿ながら、絶妙なタイミングが国民への強いメッセージとなり、DaiGo氏への牽制の役割も担って、2.9万 リツイート、4万いいねという低燃費ながらすこぶる大きな反響を残した。■生活困窮者支援団体による緊急声明厚労省に一日遅れの14日、生活困窮者支援に取り組む4団体が共同で緊急声明文を出した(メンタリストDaiGo氏のYouTubeにおけるヘイト発言を受けた緊急声明)。声明文の内容要約(4団体の声明文を要約すると以下のとおり)1形だけの反省・謝罪にとどまらず、自分の発言内容の重大さをきわめて危険な反社会的行為であることを認識し、真摯に自己と向き合い、反省した上で撤回、謝罪すること。2菅首相からも、DaiGo氏の発言が許されないものであることを明言したうえで、生活保護の申請が国民の権利であることを率先して市民に呼び掛けること。3厚生労働省も、公式サイトで生活保護制度の案内を大きく取り上げる等、制度利用を促す発信に力を入れること。福祉事務所が追い返しなどしないように、周知徹底をはかること。4マスメディアは、DaiGo氏の起用を差し控え、その発言の問題点を報道し、このような発言を許さない姿勢を明確にすること。5私たち市民は、今回のDaiGo氏の発言を含め、今後ともこのような発言は許されないことを共に確認し、これを許さない姿勢を示し続けること。これを前後して、DaiGo氏を広告に起用していた会社のひとつが彼を降ろした。日ごろからホームレス支援活動を応援している会社だったので当たり前すぎる対応である。メンタリストがこの展開を読めなかったのは残念だ。DaiGo氏は13日に謝罪動画をYouTube投稿し、14日には「昨日の謝罪コメントを撤回します」という釣りタイトルのような動画を相次いでアップしたが、そこで分かったのは、「この人、なんにもわかってない」ということだった。■私刑、集団リンチという意見今回の一件で、乙武洋匡氏は自身のツイッターで以下のようにつぶやいている。《件の“人権軽視”発言を擁護するつもりは毛頭ありませんが、だからと言って集団リンチによる“私刑”が、他者に社会的な死をもたらす社会が健全だとは思えません。失敗から学び、再出発できるチャンスを奪うことは、それこそが人を死に追いやりかねない構造をつくり出してしまうのではないでしょうか。》乙武氏はその後、『DaiGoさんの炎上発言に思うこと』という記事をnoteにまとめているが、これがまた有料なので残念ながら読んでいない。「集団リンチ」とか「私刑」の言葉の強さに思わず息をのむ。ネットの世界では、言葉がどんどん過激性を帯びていくという傾向を知っていてもなお。そして、和や秩序を大事にし、対立を好まない国民性によるのか、次第にDaiGo氏擁護派がチラホラと出てくる今、私は考え込んでいる。今から27年前、私がマレーシアで働いていたころ、職場でストーキングされたことがある。会話を交わしたこともないその職員は、目が合うと柱の陰などから避妊具をちらつかせた。上司の一人にそのことを話すと翌日から姿を見せなくなった。聞くと、「安心して。昨日でクビ」と言われ、私は慌ててしまった。「そこまでしなくてもよかったのに。つきまといさえやめてくれればよかったのに」と言うと、「アンタ、なにいってんの?」という顔をされた。国際的に見れば、ハラスメントもヘイトスピーチも一発アウトな国は多い。それらが一発アウトの解雇理由となり得ることは、過去ニュースを検索してもわかる。しかし、残念ながら、日本では明らかな暴力があっても、被害者がバッシングを受け、企業や社会が加害者に配慮するケースが未だにあとを絶たない。「ダメなものはダメ」という毅然とした態度が取れない中で、差別やハランスメントは助長されていく。「ダメなものはダメ」という姿勢は、スポンサーや企業など社会全体が取る必要があり、それによって世の中の人々にも浸透していくものなのだと思う。それは、「失敗から学び、再出発できるチャンスを奪うこと」とはイコールではない。彼が学んだあとに再出発はできるはずだし、そんな社会を作らなくてはいけない。■困窮者支援団体で学ぶことを手引きする是非DaiGo氏の投稿動画が炎上し、DaiGo氏側に心を痛めた人がいる。茂木健一郎氏だ。「友人のDaiGoという人が問題になっている。話をしてあげられないか」と北九州市で長きにわたりホームレス支援の活動をして来られたNPO法人『抱樸』理事長の奥田知志氏に打診したそうである。謝罪動画の中でDaiGo氏が「抱樸に行く」と言ったとき、誰が手引きしたのだろう?と思った。そして、ザラッとしたものが心に残った。自分が「ホームレス=犯罪者」のように言い、そして社会から抹殺してもいいとすら匂わせた対象を支援するNPOを石鹸代わりに使って、自分の不始末を洗い流すつもりなのかと驚いた。それは不謹慎だと思ったし、どれだけ無神経なのかとも思った。たとえば性暴力加害者の友達が「友達が問題になっている。そちらで学ばせてやってほしい」と性暴力被害者たちが保護されている女性支援団体に連絡してきたらとどうだろう。彼の言動は、それとどこが違うのだろうか。とはいえ、『抱樸』理事長の奥田氏も心得ていて、守るべき人たちの安全を万全にした上で、学びたいのなら教えるという寛大な姿勢を取っており、また、「反省」という行為についても過不足のない見解を述べておられる。さすがである。私たちの気持ちも総括してくださった。DaiGo氏の差別発言に関する見解と経緯、そして対応について■「反省する」とはどういうことか緊急声明の厳しさを批判する声やバッシングなど、多くの反響がある中でずっと考えていた。反省というものは一朝一夕にできるものではなく、自分のこれまでの人生を振り返り、向き合い、その価値観を否定し、ひっくり返すような作業を伴うもので、それは身を切る痛い作業の積み重ねだ。困窮者支援の活動を始めて12年になる私にも、消えては浮かぶ差別意識がある。今でも向き合う内省作業はずっと続いているし、きっと一生続くものと思っている。これまでの自分が長い時間をかけて培い、積み上げてきた価値観を否定していくという作業は、誰にでもできることではない。とても身近な高齢者で、DaiGo氏と似た発言をする人がいる。その人と議論を続けて10年以上になるが、あるとき、悲しそうな顔をしてその高齢者は言った。「自分はこれまでこんな自分が正しいと思って生きてきた。どうかこのままでいかせてくれ」それは、価値観を変えるということはそれほどまでに難しいことなのだと知った瞬間であった。■守るべきもの、守るべき対象を見誤るなDaiGo氏が全否定したホームレスや生活保護利用者に、その人らしく生きる権利が保障されているのと同様、DaiGo氏にも反省したり、学ぶ権利がもちろんある。やり直す権利も当然ある。それが社会であり、人権というものだ。だが、いま、私たち社会が守るべきは、今回DaiGo氏に差別され、否定され、不安と恐怖にさらされている人たちではないだろうか。DaiGo氏の権利を守ろうとする人々には部分的には共感する。しかし、日本の人権教育が一向に進まない最大の理由は、守るべき根幹の部分が常にブレてしまう点にあるようにも思えた。思いやりは大切だ。しかし、バランスを大事にするあまり、被害者が見えなくなってしまう。そんな中で、被害者たちは更に傷つき、孤立し、不安と恐怖に苛まれながら日々を過ごす。今回、私は「いなくていい」とされた人たちと共にあり、その恐怖を自分のこととして体感した。今でも怖い。だけど、その恐怖に負けて黙ってはいけないのだ。これまで想像を絶するバッシングにさらされてきたフェミの女性発信者、命の脅迫を受けながらヘイトスピーチに抗ってきた在日コリアンの方たち、障害者運動の方たちの顔が浮かぶ。どれだけの恐怖と闘いながら立ち続けてきたのかと。心からの敬意を表し、私もしっかりと立ち続けたい。そして、DaiGo氏の動画に傷ついた人たちと共にあるということを、声を大にして叫びたい。要らない人なんて誰もいない。みんなで一緒に生きられる社会にしていきましょう。そこにはDaiGoさん、あなたもいるのです。小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を出版。
2021年08月18日生活保護利用者に対し、差別発言をしたメンタリストのDaiGoメンタリストのDaiGoさんが、自身のYouTubeチャンネルで8月7日、生活保護を利用する人やホームレスの人たちを侮辱し、排除する発言をして問題となっている。■一度ネット上に出た言葉は、自分にずっと付いてまわる発言をした動画はすでに非公開になっているが、「生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら、猫を救ってほしいと僕は思うんで」「自分にとって必要ない命は軽いんで。ホームレスの命はどうでもいい」「いない方がよくない?正直、邪魔だしさ。プラスになんないしさ。臭いしさ。治安悪くなるしさ。いない方がいいじゃん」と、生活保護利用者やホームレスの人の命を軽んじて、いなくていいと言いきって排除するもの。とうてい許されるものではない。保護猫を飼い、猫の保護活動に寄付をするなどの活動を熱心にしているDaiGoさんだが、猫の命を大事に思うなら、人の命をどうして大事に思えないのだろうか。さらにDaiGoさんは、「もともと人間はね、自分たちの群れにそぐわない、社会にそぐわない、群れ全体の利益にそぐなわい人間を処刑して生きてきてるんですよ。犯罪者を殺すのと同じですよ。犯罪者が社会の中にいると問題だし、みんなに害があるでしょ?だから殺すんですよ。同じですよ」と、「殺す」といった殺害を示唆するような言葉まで使っていたのには驚く。たとえばネットで誰かへ殺害予告をすると威力業務妨害罪などが適用されるが、不特定の誰かだとしても、そういう重い言葉だと果たしてどこまで自覚していたのだろうか。また元の動画は非公開になったものの、YouTube上には問題の発言だけを切り取って投稿されていたりもする。発言はいまも彼の口から発せられる言葉としてネット上にあり、たまたま見た生活保護を利用する誰かを傷つけることもありえるし、インフルエンサーが発したこれらの言葉に同調する人が出てくることもある。これまでユーチューバーとして活躍してきた彼なら、そうしたことだって想像し得るであろう。一度ネット上に出た言葉は自分にずっと付いてまわり、その責任を問われ続けることになる。当然ながらこれら発言には数多くの批判が集まったが、すぐには謝罪には結びつかず、その後も自身のYouTubeチャンネルで、「自分の税金が生活保護の人たちにまわるぐらいだったら、猫にまわしたいと思うんですよ」などとも言っていた。野良猫を保護することにもちろん意義はあるが、それと生活保護を同列で語るのは違う。生活保護は憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化したもので、国は生活に困窮する市民に対してその程度に応じて必要な保護を行う。そして批判の声がさらに高まった13日夜、DaiGoさんは「間違ったことを言ったので謝罪します」とした動画を配信(15日深夜に非公開に)。そこで長年ホームレス支援活動をしているNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の奥田知志氏と連絡をとって、近々、奥田氏が活動をする福岡・北九州市へと赴くことを話した。奥田氏のことをDaiGoさんは、「2020年には赤坂御所に招かれて天皇皇后両陛下に生活困窮者支援について、なんかこう説明とかしてるみたいなんですけど、その方にさっそく連絡をとって行かせてほしいと話しました」と言うが、なぜわざわざ北九州まで、このコロナ禍に?都内にも困窮者支援団体はいくらでもあるだろう?と不思議に思わざるを得ない。■命に優劣をつける権利が自分にあるという考えは危険そうした謝罪そのものも生活保護やホームレスの人たちへの理解に欠け、差別的なものだと指摘するのが、生活困窮者支援を長年続けている、一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表の稲葉剛さんだ。「13日夜の謝罪では生活保護利用者全般や、ホームレスの人たち全般に対する差別を取り下げたわけですが、そこで使われているロジックが『頑張っている』という表現なんですね。抱樸へ行って奥田さんと話をするというのも、抱樸が支援したホームレスの人の『半分以上、57%ぐらいの人が復帰する。そのおかげで僕らが払ってる税金が無駄にならないで済むわけじゃないですか』と話していて、ホームレスの人たちの中でも頑張っている人は生きる権利を認めてあげていいよという話です。それは、生産性とか、自分の好みとか、頑張ってないと自分が思う一部の人たちを社会から抹殺しても構わないという根本的なところが変わっておらず、線引きを変えただけです」そもそもDaiGoさんの一連の発言について稲葉さんは、「(7日の動画の)発言のすべて、あまりに問題が多すぎてどこが問題かひとつに絞れないほどですね。根本的には死刑制度の例を出して、処刑してもいい、殺すといった言葉を使い、優生思想があります。命に優劣をつける権利が自分にあるという考えが、いちばん危険だと思います。他者の生きる権利を決定できると思っていて、その矛先がホームレスの人たちと生活保護の利用者に向かっている」と言う。そのことでホームレスの人たちや生活保護利用者が傷つくことも心配されるが、それと同時に稲葉さんは「生活保護の利用が妨げられること」を懸念している。「ただでさえ生活保護の利用をためらう方がたくさんいらっしゃるのに、制度から困窮者を遠ざけてしまい、間接的に人を殺してしまいます。またホームレスの人たちについてかなりひどい言葉で差別して、『いないほうがいいじゃん』とまで言っている。昨年も岐阜と渋谷区で路上生活の人が襲撃によって殺されていますし、90年代半ばから全国で襲撃によって命を奪われた方は20数人います。ほとんどが若者による襲撃ですが、元々そういうヘイトクライムが日本各地で起こっている状況で、さらにヘイトクライムを誘発しかねない発言をYouTubeでチャンネル登録者数が250万人にも及ぶインフルエンサーとされる人がするのは、偏見をさらに助長する危険なものです」命を選別し、命を危険にさらす恐れのあるDaiGoさんの発言はとてもこのまま沈静化すれば終わり、というのではすまない。つくろい東京ファンドはじめ都内で生活困窮者支援を行う4つの団体は14日に『メンタリストDaiGo氏のYouTubeにおけるヘイト発言を受けた緊急声明』を発表した。■それでも生活保護を後回しにする厚労省そこではDaiGoさんに反省や謝罪にとどまらず「動画がヘイトスピーチに該当する内容であることについて真の理解に至ったうえで、改めて発言を真摯に反省・撤回し、生活保護利用者、ホームレス状態にある人々に謝罪すること」を求めている。さらに「『処刑』や『殺す』という言葉を用い、特定の人たちを社会から排除・抹殺することを正当化することは、ヘイトクライムやジェノサイドを誘発しかねない反社会的行為であることを認識し、この点についても明確に発言を撤回し、謝罪すること」を求めた。この提案が報道されると15日、DaiGoさんはスーツ姿で「昨日の謝罪を撤回いたします」という動画を再度、配信した。しかし稲葉さんが指摘していた「頑張っている」というロジックは変わらず。「何かから抜け出そうと努力している人は評価されるべき」「(生活保護利用者の中に)努力している人がいっぱいいます」「自分はこんなに頑張れない。ひたすら後悔の念」と、頑張っていることを基準としており、その基準によって他人が生きることの権利を阻害していることに考えが至っていないままだった。世の中にはさまざまな理由で頑張りたくても頑張れない人はおおぜいいる。そもそも、頑張るという、その基準は誰が決めて、誰が判断するのか?そんな抽象的な概念で、人が生きることを邪魔することは決してあってはならないだろう。DaiGoさんの「頑張る」というその基準は自分の価値観であり、それを他者に押しつけることは間違っていることに気がついてほしい。コロナ禍に於いて、生活に困窮する人は増えている。しかし、生活保護を利用する人は実は増えていない。稲葉さんによると、「厚生労働省が13日に生活保護の申請は国民の権利ですとした呼びかけをツイートしたことはよかったんですが、ホームページでは、生活を支援するためのメニューを紹介するページを、広告費をかけてまで宣伝しているのに、そこには最初のページに生活保護が出てきません。貸し付けの話がいちばん最初で、生活保護はページの最後にPDFのリンク先があって、そこに飛ぶと、18ページ目にやっと出てきます。生活保護の担当課はがんばっていても、厚労省全体として生活保護を後回しにしようとしているのかもしれません」と、国の対応にも疑問を呈している。生活保護を利用することは憲法で定められた権利だ。臆することなく、申請をしてほしい。なお、8月31日まで『あしがらさん』()というホームレスの男性を追ったドキュメンタリー映画がYouTube上にて、無料で公開されている。これはDaiGoさんの発言に対しての、監督の飯田基晴さんの反論だという。ホームレスの人たちのこと、生活保護について考えるきっかけになってくれるはずだ。和田靜香(わだ・しずか)◎音楽/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生などに関するエッセイも多い。主な著書に『ワガママな病人vsつかえない医者』(文春文庫)、『おでんの汁にウツを沈めて〜44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー』(幻冬舎文庫)、『東京ロック・バー物語』『スー女のみかた』(シンコーミュージック・エンタテインメント)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。
2021年08月16日DaiGoホームレスに対するあからさまな差別発言に対し、世間から猛批判をを浴びたメンタリストのDaiGo。当初は強気の姿勢だったが、謝罪で鎮火に走った。謝罪動画で「自分のしてしまったことは無意味であり差別的でありヘイトスピーチであり」と全面的に非を認めているが、あれほどインテリジェンスのある人が腹の中にないことを発信するとは考えにくい。確信犯的な差別主義者のにおい、プンプンだ。■論点をズラしたズル賢い謝罪DaiGoはYouTubeライブで、「自分にとって必要がない命はボクにとっては軽いんで」「ホームレスの命はどうでもいい」「どちらかと言うといないほうがよくない?邪魔だしさ、プラスにならないしさ、臭いしさ、治安悪くなるしさ」と、信じられない差別感、人権意識を丸出しにした。DaiGo本人の発言も身の毛がよだつが、それ以上に恐ろしかったのは、DaiGo発言に賛同するコメントの多さ。比率で言えば、否定的コメントの方が多数だったが、なかには、「みんなの思いを代弁しているだけ。これを叩いているのはきれいごと言ってる人たちと考えてます」「俺からしたら正論にしか聞こえない」「だいごに賛成」「本音とたてまえ皆んな思ってるけど言わないだけ」「完全同意なんだけど、言っちゃダメ!」「みんな思っているけどダメ!」と、DaiGoと同じ考えのいる人が一定程度いることを、DaiGo発言が露呈させた。当初、世間の反応に強気だったDaiGoも、問題の拡大を受け平身低頭。「その謝り方がまたDaiGo流のごまかし。ダークスーツに黒ネクタイというスタイルで出てきて、謝罪したのはいいのですが、母親のことを持ち出して、『うちの母が生きていたら、いまボクがこういう状況になっていることをどう思うかと考えると……』と涙したんです。本当に論点のずらし方が巧み、ズル賢い人です」と、この問題を取材したスポーツ紙記者も苦笑いだ。さらにこう続ける。「もともと確信犯ですよ、彼は。過去にも自身のYouTubeで『生活保護のお金をもらってパチンコ行くんでしょう。死んでしまえと思いますよ』と生活保護受給者に牙をむいていましたし、『ホームレスと猫を同列並べるのは猫に失礼なんで』『野良猫が増えるより生活保護を受けている頭の悪い人が増えるのが困る』ということを堂々と言っていたんです。無茶苦茶でしょ?今回の差別発言は、さらに踏み込んだために炎上したのであって、もともとDaiGoはそういう体質の持ち主だということですよ」インテリジェンスがあり、見かけもかっこよく、おしゃれな生活スタイルを確立し、弁も立つ。だが、実際は差別主義者だったという内面。メンタリストの本当のメンタルが知りたいところだ。〈取材・文/薮入うらら〉
2021年08月16日イギリスにある動物保護施設『バターシー』に、7匹の子猫が連れて来られました。子猫たちは生後数週間と見られ、道路わきに捨てられていたのです。母猫は見つからず、まだ幼いことから、里親を募集できるくらいに成長するまで施設のスタッフが育てることになりました。7匹の子猫のベビーシッターになったのは?スタッフは7匹の子猫たちに哺乳瓶でミルクを与えたり、遊んであげたりと大忙し。すると、そんな様子を見ていた犬のバーティは、知らんぷりをしませんでした。自身も元保護犬のバーティは、現在は『バターシー』のオフィスで飼われています。そこで、バーティはやんちゃな子猫たちのベビーシッター役を自ら買って出たのです。@batterseaWe think Bertie makes a great ##catdad, don’t you? ##fathersday ##rescue ##rescuecat♬ Curiosity - Danilo Stankovic自分の足に子猫たちがまとわりついても、嫌な顔ひとつせずに見守っているバーティ。海外メディア『Bored Panda』によると、バーティは子猫たちをまるで我が子のようにかわいがっていたのだそう。バーティと子猫たちのほほ笑ましい動画や写真には、たくさんのコメントが寄せられています。・なんていい話。ハートがとろけた。・面倒見のいい優しい犬だね。・バーティをハグしてあげたい! View this post on Instagram A post shared by Battersea (@battersea) バーティにすっかり懐いた子猫たちは、一緒に昼寝をしたり、遊んだりしながら、すくすくと成長。その後、7匹全員に無事に里親が決まったということです。子猫たちがいなくなった後、バーティは静かなオフィスで、のびのびと過ごしているといいます。実はバーティはまだ1歳なのだとか。若くても「自分よりも小さな子猫たちを守ってあげなくちゃ」と、本能で感じたのかもしれませんね。たとえ短い期間でも、優しい『犬のお父さん』と過ごした時間を子猫たちは決して忘れないでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年08月16日SNSで話題!泥沼な国際離婚の話を紹介!「@pandapanta0918」さんの「なぜ責める?!家事や育児に追われながら仕事する私に夫は「君のせいで生活保護を受けれない」と言ってきて…?!【ドイツで交際結婚そして国際離婚する話】<Vol.20>」を紹介します。ドイツ人の旦那と国際結婚してから、離婚するまでの話です…。前回、クリスは薬がなくなると、深夜に何度もぱん太さんを起こしていましたね…。クリスが薬を飲み続ける限り、この悪夢は終わらない…。再び…ちょっと期待したけど…毎日がんばってるのに…なんで責められなくちゃいけないんだ…!毎日の家事や育児に追われながら、夫の分まで稼いでいるのに…まさか責められるとは…。ロクに家事も育児もしない、無職の夫の惨めな気持ちなんてわかりません…!病んでいるとはいえ、本当に自分のことしか考えていない男ですね…。今回は「なぜ責める?!家事や育児に追われながら仕事する私に夫は「君のせいで生活保護を受けれない」と言ってきて…?!【ドイツで交際結婚そして国際離婚する話】<Vol.20>」をご紹介致しました!次回、仕事を辞めて余計病んでしまった夫、「肯定感UPするために働けば」と提案するがドイツの職業制度は厳しくて…?!毎日1日1話更新中♪次回の配信もお楽しみに!(恋愛jp編集部)(イラスト/@pandapanta0918)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。
2021年08月01日