「ごめんなさい」が言えない子ども。「ごめんなさい」を言わせようとする親。
【乳児期~幼児前期】0歳~3歳頃
3歳くらいまでは、自我を育み、自己主張できるようになることのほうが大事な時期。「仲間に入りたい」といった積極的な行動も見られます。しかし、感情のコントロールが難しくお友だちとケンカすることも多いので、まだ “謝罪適齢期” ではありません。とはいえ、この時期に「他者を傷つけてはいけない」などのしつけは始めましょう。
【遊戯期】3歳~5歳頃
東京大学大学院教授の教育心理学者・遠藤利彦氏によると、いろいろな経験を経て、社会性が身についてくるのは4歳頃からなのだそう。社会にはルールがあることを理解し、周りの人たちと仲良くしたいと思うようになるので、この頃から「謝る」ことができるように。 “謝罪適齢期初期” と言えるでしょう。
【学童期】5歳~12歳頃
「謝罪には『誠実な謝罪』と『道具的謝罪』がある」と言うのは、京都大学こころの未来研究センター研究員である田村綾菜氏。
前者は「心から謝ること」で、後者は気持ちとは関係なく「円滑な関係を保つためや、場を納めるための謝罪」とのこと。6歳以前は後者の傾向が強いそうですが、協調性が身につき、罪悪感の感情をもち始める6歳頃からは、心から謝ることができるように。
その後は成長とともに、人間関係も複雑になっていくため、「誠実な謝罪」と「道具的謝罪」を使い分けながら、コミュニケーション力を高めていくことになります。
このように、子どもが「ごめんなさい」と言えるようになるのは4歳頃から、心から謝ることができるようになるのは6歳頃からなのですね。当然、発育には個人差があるので、個々の発達ペースに合わせて、「謝る」という行為を促していく必要があると言えるでしょう。
すぐに謝らせようとする親が招く深刻な問題
日本社会では、礼儀やルールを守ることをとても大切にしています。その影響で、しつけのベースには「人に迷惑をかけないこと」という意識が強く根づいているのです。そのため、「ほら、ごめんなさいは?」と言ってしまう親御さんが多いのかもしれません。
たとえば、「おもちゃの取り合い」で子どもがお友だちを強く押してしまいました。お友だちが泣き始めたあたりで、親は状況に気づきます。
親「〇〇ちゃん泣いてるじゃない。どうしてそんな乱暴するの。謝りなさい!」
子「でもね……」
親「言い訳しないの。ほら、早く謝りなさい」
子「ごめんなさい……」