「ごめんなさい」が言えない子ども。「ごめんなさい」を言わせようとする親。
この会話を、どう思いますか?親は、子どもふたりのあいだで何が起こったのか、最初から見ていませんでした。泣いている原因は小競り合いですが、小競り合いになった原因は知りません。それなのに、問題の一部だけを見て、子どもに謝罪を求めているのです。
大人に置き換えて考えてみましょう。会社で上司に呼ばれ、「あなたの対応が悪いと取引先からクレームが来ている」と叱責されたとします。そして、何があったかなどの事情も聞かれずに、ただひたすら責められ続ける――あなたならどうしますか?「ちょっと待ってください!事情を説明させてください」と言いますよね。それと同じです。子どもにも言い分はあります。
ですから、子どもが「でもね……」と言うのは、とても正当なことなのです。
小田原短期大学保育学科准教授で教育心理学を研究している風間みどり氏は、日本のしつけは「気持ち主義」だと述べています。しかし、ここでの気持ちは「他者の気持ち」であり、「子ども本人の気持ち」ではありません。親が「お友だちの気持ち」を優先するほど、子どもは言い訳すらできない状況に追いやられてしまうのです。
さらに、臨床心理士の福田由紀子氏は、「『ごめんなさい』を言いすぎる子」に警鐘を鳴らしています。「とりあえず謝る」クセがついてしまうと、「自分は悪くない」と思っていても謝ります。そうやって自分の気持ちを押し殺し続けると、人の顔色ばかり伺うようになり、自己肯定感もどんどん下がってしまうでしょう。
頭ごなしに子どもを怒ることのデメリットを改めて認識する必要がありそうです。
親に話を聞いてもらった子は、心から謝ることができる
子どもには、心から「ごめんなさい」を言えるような人間になってほしい……親であればそう思うもの。そのためには「子どもの話をきちんと聞くこと」が一番大切なのだそう。子どもの気持ちをしっかりと受け止めたうえで、冷静に状況判断し、何が悪くて謝る必要があるのかを、子どもに説明します。前出の福田氏は、その際に「責任」について教えるべきだと言います。
自分が100パーセント悪いとか、相手が全部悪いといったことは、あまり起こりません。「自分にも悪いところはあったけれど、自分だけが悪いわけではない」ということがほとんどではないでしょうか。
自分の非を認めることは、勇気も要りますし、大切なことでもありますが、だからといって30しかない責任を100負う必要はないのです。交通事故の過失割合のように、自分の責任はどこにあり、どの程度のものなのかということを、判断する習慣をつけましょう。そして、子どもにも考えさせましょう。
(引用元:All About|謝り癖がある子供の心理「ごめんなさい」