親の自己肯定感の低さは子どもに連鎖する――過干渉・教育虐待をしていませんか?
「長年かかって形成された自分の価値観や思考を変えることは大変」と田宮氏も述べるように、親になったからといって自動的に自己肯定感が上がることはなく、むしろその根深さに気づかされることも。前出の古荘氏は、現代の子育て世代が幼少期を過ごしてきた時代背景にも関係があると分析しています。
現在子育てをしている親の多くは、1970~80年代の高度成長期から安定成長期にかけて子ども時代を過ごした世代です。その後突然のバブル崩壊を経て、日本全体が長い不況に陥る様子を青年期にかけて目の当たりにしています。
一生続くと思われた幸せの図式があっという間に崩れ去り、将来の見通しが立たなくなるという不安定な時代を生き抜いてきた世代だからこそ、自分たちの生き方に自信がなく、常に将来に対する不安を感じているのです。
自己肯定感が育まれないまま大人になり、親となったいま、わが子のためにも、まずは自分自身の自己肯定感を上げることを目指してみませんか?
親の自己肯定感を上げる5つの方法
親の自己肯定感を上げるには、どのような方法があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
1. 夫婦で日常的に「感謝の気持ち」を伝え合う
自己肯定感を高める方法として有効なのは、ほめられることです。
しかし、大人になるにつれて他者からほめられる場面は確実に減ってきます。そこで、前出の高橋氏は「大人同士は『感謝すること・されること』を意識しましょう」とアドバイス。
「いつもおいしいご飯をつくってくれてありがとう」「食器を洗ってくれて助かるよ。ありがとう」など、親が日常的に感謝の気持ちを伝え合うように心がければ、その様子を見た子どもも「感謝すること・されること」の大切さを感じ取り、自己肯定感の土台を築けます。
2. 自分に対して「魔法の言葉がけ」をする
多くの保護者たちと接するなかで「親の自己肯定感の低さ」を実感したという教育評論家の石田勝紀氏は、「いまの自分を肯定できないのであれば、『楽しむ』という世界へ自分をもっていくようにするといい」と述べています。自己肯定感が低い人ほど、現状の自分を否定し、物事を悲観的に考えてしまいがち。そこで「楽しいね~!」「ワクワクするね~!」という言葉を、自分自身に向けて発してみましょう。「面倒だな、イヤだな」という方向に思考が向いてしまいそうになったとき、「どんなことが起こるんだろう?ワクワクするね~」