罰を与えるのは絶対にNG! 我慢ができない子どもに足りない「未来を想像する力」
「我慢は美徳」という言葉があるように、「我慢できる子=いい子」というイメージはいまだに健在です。日本の子どもは、幼い頃から「我慢しなさい」と言われて育ちます。しかし国によっては、我慢よりも「自己主張」を大切にするところも多く、最近は日本でも、我慢と自己主張のバランスを見直す流れがあるようです。
また一方では、「我慢=自制力」ということで、我慢は人生に大切な非認知能力のひとつとも考えられています。そこで今回は、「子どもにどんな我慢をさせるべきなのか」という点を中心に、我慢について深掘りしてみましょう。
「ママに怒られるから、我慢しよう」はかなり危険!
まず、想像してみてください。公園は遊びに来た家族で賑わっています。人気遊具の前には順番待ちの列ができていて、並んでいるふたりの子どもに、それぞれの親が声をかけているところです。
【Aさん】「もう、何度やったら気がすむの。いいかげん、帰るわよ!」
【Bさん】「4時に帰るって約束したから、あともう1回やったら帰ろうね」
どちらの子どもも、もっと遊びたい気持ちを我慢することになるわけですが、親の対応によって「我慢するときに感じる気持ち」に違いが生まれています。
Aさんのお子さんは、お行儀よく、聞き分けのいい子になるかもしれません。ですが、じつはこのAさんの対応、とても危険なのです。特に親が厳しくしつけているケースでは、子どもは「親に怒られるから我慢する」だけであって、「なぜ我慢するのか」をまったく理解していないことが多いからです。Aさんはわが子に「親の言うことを聞かせている」だけで、「なぜ我慢するのか」を伝えることを怠っています。ですからこの場合、子どもにとって我慢するメリットは「親に叱られないこと・罰を与えられないこと」だけ。これは、抑圧的な「悪い我慢」のさせ方です。
Bさんのお子さんも、本当はもっと遊びたいのに我慢をしています。しかしこの場合の我慢は、本人も納得しているので、子どもが自らを自制できている「よい我慢」と言えるでしょう。子どもに我慢をさせるときは、我慢する理由が「親の抑圧」なのか「子どもの自制心」なのかを考えたいですね。
我慢できる子の未来は「成績優秀で社会的にも成功」
子どもの自制心についての有名な実験が、当時スタンフォード大学教授(現コロンビア大学名誉教授)の心理学者ウォルター・ミシェル氏が考案した「マシュマロ・テスト」