“10歳までに” すべき4つのこと。なぜ「遊べていない人間」はダメなのか?
そうならないように、「子どもをひとりの人間として尊重することが大切」と話すのは公認心理師の佐藤めぐみ氏です。親が意識すべきは「質問をする」「相談をする」「意見を聞く」の3つ。子どもの決断や判断の機会を奪わないように、まずは子どもに「どうしたい?」「○○くんはどう思った?」と聞いてみてください。子ども自身が考え、自分の気持ちを正直に言えるようになるといいですね。
■10歳までに言語能力を伸ばす
開成中学校・高等学校校長を経て現在は北鎌倉女子学園学園長を務める柳沢幸雄氏は、「人間としての基本形ができあがる10歳までに、幅広い経験をさせる必要がある」と話します。ただしそれは、習い事をたくさんさせるという意味ではありません。この時期に培いたいのは、学力や特定のスポーツの能力ではなく、「総合的な生活力」いわゆる「生きる力」です。
なかでも「言語能力」を伸ばしてあげることを意識してあげるといいそう。
というのも、人から何かを教わるときにも、自分で物事を考えるときにも、人間は言語を使うから。つまり、「言語能力こそが学びの基礎」なのです。
子どもの言語能力を伸ばすには、「子どもの話をきちんと聞くこと」が基本です。成長過程にある子どもはボキャブラリーが少なく、話を組み立てることがまだ苦手。柳沢氏は、「話すのに時間がかかっても、親は辛抱強く待って、子どもに考える時間を与えてほしい」と述べています。「子どもがしゃべる時間が2、親がしゃべる時間を1」を意識するよう心がけましょう。
■10歳までに思い切り遊ばせる
「10歳くらいまでに思いきり遊べていない人間は、将来的に伸びない」と断言するのは、教育改革実践家の藤原和博氏。これからの時代に求められるのは、正確な答えをすばやく導き出す能力ではなく、「正解がない問題に対して多くの仮説を立てられる力」だと藤原氏は説きます。
その力は、遊びのなかで育まれるのだそう。遊びというのは決まった正解がなく、想定外のことも起こります。だからこそ、その場の状況を踏まえて仮説を立てて乗り越えたり、みんなが楽しめるように臨機応変にルールを変更したりする柔軟性が求められるのです。
実践教育ジャーナリストの矢萩邦彦氏も同様に、「小学2年生まではできるだけ外遊びをして、ものを観察したりつくったりする時間を確保する必要がある」と述べています。習い事に追われて遊ぶ時間がない子どもも多く見られますが、できるだけしっかりと外遊びをさせることが、その先の学びの基礎づくりになるのです。