“心が折れる” 子どもが増えた? ストレスを回避する「エゴ・レジリエンス」の鍛え方
どんなに前向きな人でも、生きていれば落ち込むこともくじけることもあります。もちろんその感情自体は悪いものではなく、むしろそのような経験をしたからこそ、得られるものもたくさんあるでしょう。
しかし近頃では、頻繁に「へこむ」「くじける」「心が折れる」と口にする若者が増えてきているそう。今回は、子どもが自分の力で気持ちを立て直せるようになるにはどうしたらよいかについて考えていきます。
「心が折れる」と言う若者が増えている
学校心理士スーパーバイザーとして多くの生徒や教師から相談を受けてきた臨床心理士の芳川玲子氏は、友だちとのちょっとしたトラブルに深く傷つく、教師が少し大きい声で注意しただけで萎縮してしまうといった「ストレス耐性が極端に弱い子どもたちが増加している」と指摘しています。
実際に、トラブルへの対処力や問題解決能力の不足が原因で、不登校や引きこもりといった深刻な状況に発展してしまうケースも少なくありません。いま教育業界では、いかに子どもたちに「社会的スキル」を身につけさせるかが切迫した課題となっています。
芳川氏によると、乳幼児期における親の「無関心」「放任」そして「過干渉」が、子どもの心を折れやすくする要因となっているのだそう。
乳幼児期に注がれる親からの深い愛情によって、子どもは「自分は大丈夫」「自分には価値がある」と自尊感情を育みます。すると、将来傷ついたりへこんだりすることがあっても、自分の力で乗り越えられるようになるのです。
一方で、幼い頃から親との接触が少なく、愛情が不足した環境で育つと、自尊感情が育たずにちょっとしたことで心が折れ、さらには回復するのに長い時間を要するようになります。親がわが子へ注ぐ愛情は、子どものその後の長い人生に大きな影響を与えるのです。
また、愛情過多であることも危険をはらんでいます。親が子どもの世話を焼きすぎると、子どもが自律的に行動することや、転んでも自分の力で立ち上がるという経験を奪います。その結果、友だちとのトラブルに直面したときや、勉強やスポーツで失敗したときなど、自分で乗り越える方法がわからずに右往左往してしまうようになるのです。
「ほめ育て」「叱らない子育て」がもたらすストレス耐性の弱さ
子どもの心が折れやすくなった背景について、もう少し詳しく見ていきましょう。
先に述べた、乳幼児期の「無関心・放任・過干渉」