【産婦人科医監修】子育て世代は要チェック、マザーキラー(子宮頸がん)とは?自覚症状はある?子宮頸がん検診の内容と注意点について
マザーキラー(子宮頸がん)とは?
「マザーキラー」という異名を持つ子宮頸がん(しきゅうけいがん)は、子宮の入口である子宮頸部にできるがんのことをいいます。検査で発見しやすい反面、痛みや出血といった初期の自覚症状がほとんどなく、進行すると治療が難しい厄介ながんともいわれています。異常が発見されたときにはすでにがんが進行しているケースもあり、場合によっては子宮を摘出しなければならないこともあります。
マザーキラーと呼ばれる理由は、多くの女性が出産や育児をしている時期と重なる20代~40代で罹患リスクが高くなるためです。2018年の統計で子宮頸がんと診断されたのは約11,000人で、2019年には2,921人の方が亡くなっているとの報告があります(※1)。
死亡率が高くなるのは50代以降が多いとされていますが、診断数は年々増加傾向にあります。ママの健康を保つことといざというときの早期発見につなげるため、毎年、子宮頸がん検診を受け異常がないかを確認しておくと安心ですね。
子宮体がんとの違いは?
子宮頸がんと同じく子宮にできるがんに子宮体がん(しきゅうたいがん)があります。
名前は似ていても、このふたつはまったく別の場所に異常が起こる病気です。
大きな違いは、がんが発生する場所です。子宮頸がんは子宮の入り口に発生するのに対し、子宮体がんは赤ちゃんが育つ場所となる子宮体部に発生します。
原因や発症しやすい年齢も異なります。子宮頸がんはウイルス感染によるものがほとんどで、20代から40代に多くなります。子宮体がんは女性ホルモンが関係していると考えられ、50代〜60代の更年期世代になると罹患のリスクが高まる傾向があるようです。
子宮頸がんの原因は?
子宮頸がんは性交によるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が主な原因です。HPVは性交経験があれば50~80%以上の確率で生涯に一度は感染するといわれている一般的なウイルスです(※2)。
性交経験がなければ感染のリスクは極めて低くなるといわれています。
ウイルスに感染しても約90%の人は自己の免疫が働き、ウイルスは自然消失することがほとんどです。しかし、残りの約10%の人はウイルスが体外に排出されず、数年から十数年にわたって感染状態が続きます。このような状態から数年かけて自然に回復することもありますが、なかには子宮頸がんに進行する場合があるので注意が必要です。