どうやって立ち直る? “母ロス”に陥った女性たちの体験談3つ
母に育児の悩みをうちあけ、「何言ってるの、あなただって小さいころは手がかかる子だったのよ〜」と笑い飛ばしてくれればどんなにいいか……出産後の母ロス、なかなか根深い問題となりそうです。
●(3)20年経っても悲しみを抱えるCさんの話
Cさんは20年前に母と死別しました。今でもふと、深い悲しみに襲われることがあるといいます。
『ふとした瞬間に、強烈に母のことを思い出します。「おかえり」って言ってもらいたい、思い切り甘えたい、たくさんほめて欲しい……おかしいですよね。でも、一度その状態になるとしばらくは立ち直れません。長いと何か月間も、やり場のない怒りや強い喪失感で一杯になってしまいます 』(50代女性/パート)
母とはまるで姉妹のように仲良しだったというCさん。その分だけ、なくなったときの喪失感は強かったそうです。
20年という長い月日がたっても、母ロスを完全に克服することは難しいのでしょう。
●母ロスから回復するために〜キューブラー・ロスの5段階プロセス〜
深い母ロスに陥らないようにするためには、死を受け入れる心の働き(プロセス)を知っておくことが役に立ちます。
ここで、死生学やホスピス運動の第一人者キューブラー・ロス博士が提唱している『受容の5段階プロセス』をご紹介しましょう。
このプロセスは、もともと「自らの死を受け入れていく過程」として構想されたもの。しかし、愛する人の死を受け入れるときにも、同じ心の働きを経ると考えられているんですよ。
●第1段階:「否定と孤独」
死別への衝撃から、強い否定の感情が生まれる。焦り、無力感、不安感で一杯になってしまう時期。
●第2段階:「怒り」
「どうして私を残して死んでしまったのか」というような、亡くなった本人への怒りや、死別の苦しみを経験していない友人などへの妬み、憤りなどを感じる時期。
怒りが自分自身に向かい、自責の念にとらわれることもある。
●第3段階:「取り引き」
「もしもあの人が生き返るなら、何だってする」といったような思いが押し寄せてくる時期。
少しずつ過去を振り返ることができるようになってくる。●第4段階:「抑うつ」
痛烈な孤独感や不安感、喪失感がやってくる。「誰とも関わりたくない」「1人になりたい」という気持ちになる時期でもある。
●第5段階:「受容」
穏やかに死別の現実を受け入れることができるようになる時期。