さわって実感! 子供に“命の大切さ”を教える動物介在教育学のポイント
こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。
幼児期から小学校低学年にかけての子どもたちの“命の重さに関する価値判断能力”の未熟さについては、これまでにも複数のパピマミライターの方々が取り上げてこられたかと思います。
今回筆者は農学博士で帝京科学大学教授の花園誠先生がテーマとしている動物介在教育学から、子どもたちに“命の大切さ”と“命の多様性”を伝える方法について考えてみたいと思います。ご一緒に考えてみましょう。
●現代では、野生の生き物とのつき合い方を親も子も知らない
比較的最近のことですが、筆者はこのような光景に遭遇しました。
自宅マンションの中庭にある小さな池にオタマジャクシがいっぱいいたのですが、就学前から低学年くらいの子どもたちが根こそぎ捕獲して、ビニール袋に入れて遊んでいたのです。
通りかかった筆者は見かねて『オタマジャクシがカエルに成長して行くのを観察したいなら何匹か家に持って帰ってもいいけど、ちゃんと育てきるつもりがないのなら池に返すんだよ』と注意したのですが、その子たちはみなきょとんとして、わたしが何を言っているのかさえ理解できないでいる様子でした。
しかも、数十m離れたところで話しに花を咲かせているママたちも、子どもたちがやっていることを咎める気配すらありません。
あの感じだともしかしたら、ビニール袋に詰め込まれたオタマジャクシたちは育ててもらうどころかママたちに「気持ち悪い」と一蹴されて、捨てられてしまったかもしれません。
筆者が暮らすC市は一歩足を延ばせば東京では珍しくなった野生動物が数多く生息する自然の宝庫ですが、中心部のライフスタイルは都心と同じで人工的です。
おそらくあの子たちに悪気などは一切ないのでしょうが、自然と共存しているという実感のない都市部の環境しか知らずに育った親たちが、野生の生き物とのつき合い方を子どもに教えてやれない がゆえに目にした光景だったと言うことができなくもないのでしょう。
●まずは“生き物たちと共存している”という意識を親が持つこと
わたしたち人間は野生の動物たちを支配しているのではけっしてありません。人間は野生の生き物たちと“共存”“共生”の関係にあります。
オタマジャクシがいなくなってしまった土地にはカエルがいなくなりますから、カエルを探しに近くの川からアオダイショウがやってくることもなくなってしまいます。