子育て情報『健康管理しすぎは逆効果? 医師たちが語る“フィンランド症候群”の根拠』

健康管理しすぎは逆効果? 医師たちが語る“フィンランド症候群”の根拠

次に紹介させていただくのは多彩な評論活動でも知られる精神科医の和田秀樹さんの見解です。

和田先生は筆者が介護退職するのと入れ違いで『国際医療福祉大学』に就職され、現在は同大学大学院の教授として教鞭をとられています。

和田先生がその著作である『50歳からの活力人生』の中で、フィンランド症候群の根拠について述べられていることの主旨は、次のようなものです。

“フィンランド症候群の教訓は健康に気を配らなかったグループの方が最終的には長生きした点にあり、それは心の問題が身体に影響を及ぼした結果と考えられる。

結局、ストレスこそが身体に一番悪い。やれ「コレステロール値が高い」とか、やれ「塩分が過多」だとか、ガチガチに管理され言われつづけることが精神に大きなストレスを与えていた ということだ。

つまり、あまりに健康を意識するのではなく、生き生きとした毎日を送ることこそが大切なのである。楽しく生き生きと生活することはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化し、結果的に健康に結びつく。


NK細胞は身体に入ってきた細菌を殺してくれるとともに身体が作り出す癌のもとになっている「できそこないの細胞」をどんどん掃除してくれる細胞で、60代になると20代のときの半分にその活性が落ちてしまう。加齢とともに癌が増えるのはそのためである。

研究結果から、うつ状態になるとNK細胞の働きが悪くなり、コントや漫才などで笑い転げるとNK細胞が活性化されることがわかっており、つまるところ健康を気にしすぎるのではなく、楽しみを見つけて生き生きと暮らしていればNK細胞が活性化し健康な人生を送れることにつながる。フィンランド症候群の事実はそのように解釈することができるのではないか”

いかがでしょうか。精神科の医師ならではの視点でとても参考になるのではないでしょうか。

●フィンランド症候群に関連して筆者自身が思うこと

おしまいに、フィンランド症候群に関連して筆者自身が思うことについて、お話しさせていただきたいと思います。

この原稿を書いている時点で筆者は56歳。もうすぐ57歳になりますが、ここ20年来ずっと健康診断を受けるたびに指摘される“検査結果数値が正常範囲を超えた項目”が3つあります。
その3つの項目の数値が大幅に正常範囲外だと、そのことはとても珍しいある難病に罹患(りかん)している可能性を示唆するため、30代後半のころの筆者はこの検査結果数値のことを気にするがあまり、これといって気になる身体症状もないのに、うつ状態を呈するようになってしまったのです。

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