十年後の社会が心配!? 若者たちに蔓延する“スマホ病”の実態と弊害
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。
附属病院併設の医療系大学で事務職員として仕事をしていた筆者は今でも現役で医師をしている友人を数多くもっていますが、ここ数年、彼(彼女)らが自分の専門の診療科目を超えて危惧している共通の心配事があります。
筆者と会ったときにも必ずと言っていいほど話題に上るその心配事。
それは、「子どもたちのスマホ依存はもはや一定のレベルを超えた“スマホ病”ともいうべき段階に入っており、スマホ病の子どもたちが大人になった十年後の社会がとても心配だ」ということです。
医師たちがいう“スマホ病”とはどのようなものなのでしょうか。
その病を患った子どもたちが大人になった十年後の社会はどうなるのでしょうか。一緒に考えてみることにいたしましょう。
●すでに若者の多くはスマホなしには人間関係の“間”がもてなくなっている
まずご紹介したいのは、精神科医の立場から子どもたちの“スマホ病”を危惧している、都内でメンタルクリニックを開院するA先生のお話です。A先生は言います。
『お気づきかもわかりませんが、すでに高校生・大学生の多くはスマホなしには人間関係の“間”がもてなくなってしまっています。
通学の電車の中でも友人たちとの昼食中でも、スマホを奪われたらそれこそずっと居眠りをしていなければならないほど現実の人間たちと向き合えないような子が大多数 になっています。
これでは少子化にますます拍車がかかるのも当然ですし、スマホという隠れ家を手に入れて面倒な人間関係にかかわらなくてもよくなったわが国の子どもたちが海外の同世代人たちと外交交渉をしなければならなくなったときにどうなって行くのか。とても心配ではあります』(50代女性/都内メンタルクリニック院長、精神科医)
●世の中がLINEによる“村八分”にビクビクする人間の集団に
次に取り上げたいのは、これはもう中学生・高校生の子どもをもつ親御さんであればみなさん気にはなっている問題だろうとは思いますが、優れたメール機能を有するスマホアプリの代表格『LINE』における“村八分(むらはちぶ)”の問題 です。
村八分とは、昔の日本の農村部で村の決まりに背いた人が出たときに村人全部が申し合わせてその人やその家族と絶交することで、火事と葬式以外の件は一切の交流を断つというわが国特有の陰湿ないじめの一類型です。