再就職ママが餌食に? やりがいを搾取するブラック企業の実態と注意点
ほとんどの子育て卒業再就活ママさんは、このようにおっしゃるでしょう。その通りだと思います。
ただ、みなさんにとっても“やりがいの搾取を狙ってくるブラックバイト先”というものは決っして無縁ではないことだけは記憶しておきましょう。
少し前ですが、“ポエム居酒屋”というものがマスコミでも話題に上りました。
「お金なんか二の次。大切なのはやりがいだ!」などと書かれたポエムともいえないような詩を店長が自ら掲げて、アルバイトの学生や主婦の人たちに唱和させるという、見ようによっては異様な光景ともいえる朝礼・夕礼を実践している居酒屋チェーンの話題です。
知名度があり職場環境もまずまず衛生的な会社なので、30代から40代くらいの子育て卒業ママもアルバイトとして数多くの人が働いていました。
ところがこの会社、店長が「○○さんの笑顔を待っているお客様がこれから来店するのだから、あと1時間頼むね」などと、主婦や学生のアルバイトの人たちに退勤のタイムカードをスキャンした後の残業を強要 し、多額の未払い賃金を抱えていたのです。
有名企業だしお客さんたちとのコミュニケーションも楽しいと感じて“やりがい”を持って働いていたママさんたちは、騙されてしまったわけです。
●やりがいの搾取は精神科医の立場から見ると“悪質な詐欺”
前述した精神科医のT先生は次のようにおっしゃっています。
『やりがいの搾取は、自己のアイデンティティーを確認したいという、人間が本来持っている基本的な欲求に付け入っているため、わたしたち精神科医の立場から見ると“悪質な詐欺”行為であると断言せざるをえません』(50代女性/前出・精神科医)
T先生によると、やりがい搾取の被害に遭ったという趣旨の訴えでクリニックに来院した患者さんに比較的多い職種として、塾の講師、不動産関連の会社の営業ならびに事務職、介護関連職、居酒屋やファミリーレストランのアルバイト店員などが挙げられるということです。
筆者自身の体験から申し上げますと、医療関連職は医師や看護師さん以外はやりがいの搾取に遭いやすいですし、小売業・卸売業などの物品販売業も縮小社会となったわが国の国内市場に限定すれば、やりがいの搾取に遭いやすいといえます。また、商業デザインやアクセサリー製作、キャッチコピー・ライティングのようなクリエイティブ系の仕事を「自宅に居ながらネットで手軽にできます」