全体練習前の個人プログラムでケガ予防、プレミアリーグのクラブが実践する個々に合わせた外傷予防策とは
海外では、全体練習の前に個々の選手の状態に合わせて行うケガ予防プログラムがあります。いったいどんな事を行っているのでしょうか。
イングランドプレミアリーグ、クリスタルパレスFCのトップチームのコーチ、デイブ・レディントン氏に、日本の少年サッカーの現場ではまだ根付いていないその「ケガ予防プログラム」について伺いましたのでご覧ください。(取材・文・写真:末弘健太/BAREFOOT)
子どもがケガをした時、保護者が知っておくべきこととは......(写真は少年サッカーのイメージ)
<<前編:疲労を可視化してケガを回避、プレミアリーグのトップチームが行うケガ予防とは
■個人の状態に合わせたケガ予防プログラム
――プロの選手はメイントレーニング前にインジャリー・プリベンション(外傷予防)といって、各自それぞれのケガ予防プログラムを終えてからグランドに出てきますが、これはどのようなものですか?
基本的にはストレッチポールやゴムバンド(チューブ)を使ったストレッチやトレーニング、腰や股関節の可動域を広げる運動をします。
ハードルを使って腰部を刺激してあげたり、ゴムバンドを使った運動を通して体を温めていきます。また、ゴルフボールを足の裏で転がし、足裏のストレッチにも使いますね。
マッサージも受けることができるので、必要な選手はインジャリー・プリベンション中でもマッサージを受けます。
――そのメニューは彼らが必要としているものをベースにしているということですよね?
そうですね、それぞれの選手によって取り組むメニューは変わってきます。
若手の選手はすでにチームで用意されているケガ予防のルーティーンメニューをこなしていくことが多いですが、年齢を重ねるにつれて、より個人に合わせたものになります。
そしてそれを習慣化させていき、プレーヤーが無意識でもこれらのメニューに取組めるようになることも実は大切です。
プレーヤーは試合前に「これをしろ、あれをしろ」と指示されることを嫌います。このインジャリー・プリベンションが習慣化していれば、細かいプログラムも自分のペースで行うことができます。これらのメニューはスタッフによってアドバイスを受けたりモニタリングはされますが、基本的には個人で行う傾向が強いです。
■個人プログラムをこなしてから全体練習
――ということは、選手は個人でケガ予防メニューをこなしてから、外に出てチームでのウォームアップをしてボールトレーニングに移るということですよね?ロックダウン前と解除後の今とではウォーミングアップに違いはあるのでしょうか?
解除後のウォームアップは非常に軽めでした。