3、4年生からサッカーを始めた初心者にも理解しやすい「3人目の動き」を身につけるメニューはある?
でも、そのあたりを説明をします。
池上「あそこにパスしたいんだけど、邪魔する人がいます」
子ども「こっちに動けばいい」
池上「ほかに方法はないかな?」
子ども「(ボールを持っている)池上コーチが動けばいい」
そのように、子ども自身が考えて選択したものは浸透します。「コーチの言う通りに動きなさい」と教え込まれていくものは「その子たちのもの」になりづらく、またそこから発展しません。そのことをぜひ心にとめて指導してください。
■「3人目の動き」が分かってくる初心者向けにおすすめのメニュー
練習メニューはネットや書籍でいくらでも学べるかと思いますが、初心者向けにひとつユニークなメニューを紹介しましょう。
8人グループで行います。半径6メートルほどのサークルに8人が立ち、パス交換をします。AがBにパス。
その際「C君!」と3人目の名前を呼びます。BからもらったCはDにパスをしながら「E君!」と呼ぶ。そうすると、蹴る子も3人目を誰にするかを意識しなくてはなりません。名前を呼ばれた子も意識します。中高校生にやらせてもいい練習です。
3人目のもらい方がわかってくると、パスがどんどん続くようになります。そうなったら、「サッカーは何が一番の目的なの?」と尋ねます。子どもたちは「ゴール」だとわかっています。
そこで「できるだけ早くそこにいけるにはどうしたらいいか?」を求めていくのです。フニーニョをやりながら、時折止めて解説すると理解が増すでしょう。
■「うまくできない」が大事、最新のコーチング理論で分かったこと
気をつけたいのは、その練習がうまくできるまでやってしまわないことです。コーチが「ほら、うまくできてないよ!」と指摘する声をよく聞きますが、何度も反復させてできるようになるまでやらせる必要はありません。
うまくできていないことが実は大事です。なぜならば、最新のコーチング理論「運動学習理論」では、反復練習は初期段階では効果があるが、それを長く続けても効果はないということがわかっています。そうではなく、メニューをポンポン変えて複合的な動きをやっていくと技術の獲得が上がっていくというのです。そうすれば伸びるスピードは落ちません。
これを「非線形理論」といいます。
一からコツコツ積み上げていく「線形理論」はごく初期段階での考え方です。「今まではこうやってきた」という経験則ではなく、根拠のある指導方法を選択しましょう。