2022年6月21日 20:00
インタビューのプロ二宮清純さんに聞いた「今日の試合どうだった?」「別に......」で終わらせない会話術
そのニュアンスにヒントが隠されているので、よく観察することですね。その中で、イライラしている素振りがある、足をバタバタさせている、目に落ち着きがないなどの変化を感じたら、ひょっとして何かあるのかな? と考えを巡らせてあげてほしいと思います」
■何かあったと感じても無理に聞き出そうとするのは逆効果
二宮さんは、「子どもの変化を感じた場合、その場で『何があったの?』と問い詰めない方がいいですね」と、優しく語りかけます。
「問い詰めることで、相手が態度を硬化させることがあります。インタビューをするときに、無理やり首根っこを捕まえて『喋れ』と言っても喋りませんよね。取材対象者に、『この人になら話をしてもいいかな』と思ってもらえるように、手を変え品を変え、コミュニケーションをとりながら話をしてもらうのが、僕らの仕事です。相手が自分の子どもであっても、そのような配慮はするべきだと思います」
子どもはひとりの独立した人間です。小学生の頃は親の庇護下にありますが、いち個人として尊重することから、良好なコミュニケーションは始まります。
「大人も子どももそうですが、喋りたくないことってあるじゃないですか。
それを無理に聞き出そうとすると逆効果になるので、相手が話したくなるまでは、見守る方がいいと思います。ただし忘れてはならないのが、子どもの異変に鈍感でないこと。気がつきつつ、見守るというスタンスがいいと思います」
サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
■親子でも距離感が大事。近ければいいわけではない
そんな中で、様子がおかしいと感じることが続くようであれば、話をするようにうながすのが良さそうです。
「異変が何日も続くのであれば、『話してごらん』と、優しく諭すように言ってあげるといいのかなと思います。親が子どものことを一番よく知っているわけで、観察していたら、いつもと違うなと察知できるはず。それが大事なことだと思います」
キーワードは観察すること。そして、大切なのはお互いの距離感。
二宮さんは「スポーツは距離感を教えてくれる」と言います。
「選手とコーチ、親御さんと子どももそうですが、スポーツは距離感のトレーニングになります。距離感はすごく大切で、ただ詰めればいいというわけではないんですね。相手の近くに寄り過ぎると見えづらく、離れすぎても見えません。カメラと一緒で、顕微鏡が必要なときもあれば、双眼鏡が適しているときもあります。