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世界初の長編アニメーション映画として1937年に生まれ、世代を超えて愛され続けてきた「白雪姫」。普及の名作を90年近くを経てミュージカル版として実写映画化した『白雪姫』がついに公開。レイチェル・ゼグラーが演じている白雪姫のプレミアム吹替版声優を務めるのは、二十歳の注目俳優・吉柳咲良(きりゅうさくら)。ホリプロタレントスカウトキャラバンPURE GIRL 2016でグランプリを獲得し、2017年にはミュージカル「ピーター・パン」の10代目ピーター・パン役でデビュー。その後もアニメ映画『天気の子』の声優(ヒロイン・天野陽菜の弟・凪役)、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」、NHK大河ドラマ「光る君へ」(最終回に登場し、のちに「更級日記」を記すちぐさを演じた)など話題作に出演し、1月より放送のTBS系ドラマ「御上先生」にも生徒役のひとりで出演し、存在感を放っている。すでに劇中歌「夢に見る ~Waiting On A Wish~」のトレーラーも公開され、その力強く透明感のある歌声に称賛の声が集まっているが、そんな彼女にディズニープリンセスの“原点”とも言える『白雪姫』の魅力について語ってもらった。「プリンセスへの憧れをどこかで否定し続けた自分」――オーディションを経て、プレミアム吹替版で白雪姫の声を演じることが決まった時の心境をお聞かせください。ずっとプリンセスというものに対して憧れていて、いつかディズニーの作品に携わりたいという気持ちはあったので、本当に嬉しかったです。自分自身がどこかで遠い存在だと思っていたディズニープリンセス――“プリンセス”というものに対しての憧れをどこかで否定し続けてきた自分をやっと肯定できたようなところがあり、どこか救われたような気持ちになりました。でもオーディション中も本当に気が気じゃなくて、受けてから結果が来るまでずっとドキドキだったので、ちょっとひと安心という感じでした。――発表されてからの周りの反響は?いままでで一番反響が大きかったですね。母は普段、あまり映画館に行かないのですが、「絶対観に行くよ!」と言ってくれました。それと、うちの父の誕生日がこの映画の公開日の3月20日なんですよ。最高の誕生日プレゼントだなって思っています(笑)。本当にたくさんの方々、特にミュージカルをきっかけに私を知ってくださった人たちが「おめでとう!」と言ってくださいました。ちょうどドラマの撮影期間中だったのですが、ドラマの関係者の人たちもすごく喜んでくれて、本当にいっぱい「おめでとう」とか「夢が叶ったね」というメッセージをいただけて、とても嬉しかったです。――ご自身では「プリンセスへの憧れをどこかで否定し続けてきた」ともおっしゃっていましたが、憧れつつもあきらめの気持ちを抱いていたのはなぜなんでしょうか?この仕事をやっていると、いろんな意見をいただくことがあって、もちろん否定的な声をいただくこともあります。それを自分では「気にしない」と言い聞かせつつも、どこかでそういう声が自分の中に蓄積されていたっていうのも少しあったと思います。あとは、この仕事をしていて、本当にすごい人たちをたくさん目の当たりにして、どうしても自信が削られていくこともありました。私にはないものを持っている人たちがたくさんいて「勝てない」、「まだまだ実力が足りてない」という気持ちに何度もなりますし、どれだけ頑張っても、まだ壁があって、まだ壁があって…という繰り返しで、やればやるほど自信がなくなっていく感覚があったと思います。「白雪姫の成長が楽曲のひとつひとつから見えてくる」――子どもの頃にアニメーション版の『白雪姫』を見たことはありましたか?実は、小さい頃にちゃんと観た記憶がなくて、ディズニー作品に限らず、あんまり子どもの頃に映画館に足を運ぶ機会がなかったんですね。というのも、私は栃木の田舎の町の生まれで、映画館が子どもだけで行けるような距離にはなくて、親に連れて行ってもらわないと映画館に行けなかったんです。ただ、そんな私ですら、断片的にですけどディズニー・アニメーションの『白雪姫』はどこかで見て知っていましたし、今回オーディションを受けるにあたって、改めて見直して、これがディズニー初の長編カラーアニメーション映画だと知って、すごくびっくりしました。――収録されてみて、いかがでしたか? 白雪姫の声をあてるにあたって意識したことや大切にした部分を教えてください。基本的には、アニメーション版に出てくる、誰もが知る白雪姫の人物像と大きく変わっているところはなくて、心優しくて思慮深く、本当に誰に対しても平等で、愛がある“善良”という言葉がすごく似合うプリンセスという部分は、実写版になっても全く同じだと思います。その意味で、アニメーション版のイメージを大事にしつつ、実写でレイチェル・ゼグラーさんが表現した白雪姫のニュアンス――凛々しさや強さみたいなものを少しずつプラスしながら演じました。みなさんがイメージする白雪姫像と、レイチェル・ゼグラーさんが演じる白雪姫の素敵なところをどう組み合わせていくかみたいな部分は、調節が難しかったですね。――すでにオリジナル楽曲の「夢に見る ~Waiting On A Wish~」のトレーラーも公開されていますが、歌唱に関してはどんなことを大切にされたんでしょうか?全体的にすごく音域の幅が広くて、結構な低音のパートもあれば、すごく高音の部分もあって、しかも種類がそれぞれに違って、パンっとわりと強めに張り上げるところもあれば、ものすごく繊細に裏声を使ってキレイに歌い上げなくてはならないシーンもあって、いろんな喉の使い方をしなくてはいけませんでした。楽曲の難易度の高さにはびっくりしましたが、白雪姫の感情を大切にしました。「歌詞を届ける」ということの素晴らしさをレイチェル・ゼグラーさんの歌声から感じたので、その雰囲気を絶対に壊すわけにはいかないという思いが強くあって、何度も何度も原曲を聴いて、レイチェル・ゼグラーさんの声を意識して練習しました。――歌詞の持つメッセージ性にエンパワメントされる部分、歌に背中を押されるようなところはありましたか?「夢に見る ~Waiting On A Wish~」を歌うのは、映画の中でわりと序盤でその時はまだ「夢に見て」いるんですよ。そこから物語が進んでいく 。その成長過程が、どんどんいろんな曲を通して現れていくところがあって、このストーリーの中での白雪姫の成長が楽曲のひとつひとつから見えてくるのが、すごく面白いなと思います。しかも「夢に見る ~Waiting On A Wish~」は、同じ楽曲の違うバージョンが流れたりもして、曲自体は同じなのに場面が変わることで心情の変化も見れて、音楽的にも工夫されています。――河野純喜(JO1)さんが声をあてているジョナサンとのデュエットはいかがでしたか?あの曲が一番難しかったです。柔らかく繊細に歌う部分が多い楽曲だったし、(デュエットが)ハマらないといけないので、拍をすごく大切にして歌いました。息をするタイミングまでぴったり合わないといけないので、原曲の息遣いのタイミングを丁寧に探りながら歌いました。おそらく一番ピュアなラブソングになっていると思います。みんなに「甘いなぁ…」と感じていただけると思います(笑)。先日、私も完成した曲を聴かせていただいたんですけど、ジョナサンが歌い始めた瞬間に、そこにいたみんなが「甘い…」って、もう感情がダダ漏れしてましたから(笑)。それくらいピュアで甘い歌声に包まれるように、ジョナサンがこの白雪姫の歌声を支えるように歌ってくれているすごく素敵な楽曲になっていて、絶対に皆さんが好きな楽曲になると思います。現代に描かれる“白雪姫”や“プリンセス”とは――実写版ならではの魅力を感じたシーン、これから見る人たちに「ここを楽しみにしてほしい」というおすすめのポイントを教えてください。例えば「ハイ・ホー」もそうですけど、アニメーション版で見たことのあるシーンがそのまま出てくるんですけど「こんなふうになってるのか!」と。(アニメーション版と重なる描写を)探すのもすごく楽しかったです。立体的になっていて、アニメーションでは見えなかった部分を感じられると思います。(毒リンゴなど)球体の表面だけじゃなくて、ちゃんとその裏側まで見られるような感じがあったし、生身の人間が演じることによって生まれる温度感みたいなものをすごく感じることができて、動物たちも本当にかわいいし、あの時、アニメーションで見ていた世界がこんなふうに目の前に広がるのか! という感覚があって、ゾクゾクしました。これは観ていただければわかるんですけど、この映画は“絵本”として始まり、終わる、つまり物語をちゃんと閉じることができるんです。すごく考え抜かれて、ちゃんとそれに意味があってこうなっていて、生身の人間が演じる生々しさとファンタジーを感じさせる美しさのどちらもあり、夢を見させてくれる作品だなと思います。――これまでもディズニー・アニメーションの実写版がいくつも製作されていますが、価値観が現代にアップデートされた描写であったり、メッセージ性を強く打ち出した新たな楽曲が加えられたりするということがありましたが、その意味で、いまの時代に実写版『白雪姫』が公開される意義を感じるようなシーンや描写はありましたか?ディズニーのプリンセスの物語を観ていると、実写に限らず常にその時の時代背景というものが反映されたプリンセス像が描かれているなと感じられて、年代が変わる中でちょっとずつ女性像も変わっていきますよね。それこそ、作品ごとにしゃべり方や佇まい、ドレスの雰囲気も年代によって違うし、ディズニーはすごく細かい部分を大切にしているんだなと思うし、例えば『ラプンツェル』ではしゃべり方もそうだし、着ているドレスも母親が着ているのと全然違ったりするんですよね。今回の『白雪姫』で言うと、良い意味でその中間をしっかりと描いているんじゃないかなと思っています。先ほども言いましたが、白雪姫が生来持っている優しさや思慮深さ、誰に対しても愛をもって接する純粋な心を描きつつ、現代だからこそ描くことができる凛々しさであったり、アニメーションでは内面には持っていたけど、見えなかったかもしれない女性の強さ――いや「強い」という言い方は、もしかしたら違うのかもしれなくて、自分を律する凛とした女性の姿ですよね。それも彼女が映画の中でストーリーを通して成長していくからこそ見えてくるように描かれているなと思いました。(アニメーション公開当時の女性像と現代の女性像の)どちらもきちんと描かれていて、「なるほど」と思いました。――最後に吉柳さんにとって“プリンセス”とはどんな存在なのかを教えてください。やっぱり憧れであり、理想であり、目指したい先にある女性像ですよね。他者に対しての優しさ、思いやりといったものがないプリンセスを見たことがないですし、誰かを想う気持ちであふれていて、常に優しく視野を広く持てる人だなと思います。と同時に自分をきちんと律していますよね。誰にでも優しくできるからこそ、くじけたとしても、周りの誰かが助けてくれて、それはプリンセス自身が培ってきた誰かに対しての優しさというものが、連鎖しているのだなと思います。その中で自分というものをしっかり持っていて、女性というか人としての理想像、私が目指したい先に常にいてくれるお手本のような人物がプリンセスだと思います。(text:黒豆直樹/photo:You Ishii)■関連作品:白雪姫(2025) 2025年3月20日より全国にて公開© 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2025年03月20日広瀬すず、木戸大聖、岡田将生が共演を果たした映画『ゆきてかへらぬ』。同作で、広瀬は女優の長谷川泰子を、木戸は詩人の中原中也を、そして岡田は文芸評論家の小林秀雄と、それぞれが実在した人物を丁寧に演じた。泰子は中也と恋仲になるのだが、中也の分筆の才を見出す小林が加わったことで、その関係は3人でしか成り立たないアンバランスさをはらみ進んでいく。泰子は中也と小林の才気に嫉妬し、中也は小林に傾く泰子に執着を見せ、小林は二人とうまくやろうとしながらも振り回され、3人が3様に溺れるのだ。『ゆきてかへらぬ』とは「後戻りすることのない」という意味。刹那と情愛が交差する先にあるものではなく、その稀有な関係性を観客は見つめる。シネマカフェでは、広瀬、木戸、岡田に演じたトライアングルの関係についてインタビューを実施。さらに、劇中で描かれる大正~昭和初期の“スマホがない時代”にまで思いをはせてもらった。演じたのは「実在の人物」その人柄を分析――『ゆきてかへらぬ』では実在の人物を演じられましたが、それぞれどのような人柄だと捉えて臨みましたか?広瀬:泰子は女優になるという夢を見ているけど、中也と小林という二人の天才に出会って、その才能には勝ることができずにいる女性です。自分が成功しなかった分、天才といると自分が削れるような、何か欠けていくような感じを受けていました。二人への依存というか執着がどんどん出てきてしまい、マインドコントロールがあまり上手にできない感じが魅力的でもあったし、危うさがちゃんとあって。そこにちょっと色っぽい瞬間もある、不思議なバランス感の持ち主だなと思いました。木戸:僕が演じた中原中也は、今も支持されている天才詩人です。調べていくと、目上の人にガツガツいったり傍若無人な性質もあるけど、ちょっと孤独なところもある人間でした。でもこの二人と出会ったときに、強く見せかけているけどその孤独をわかってくれると感じた気がするんです。繊細かつ、すごくストレートな人なんだなと思っていました。岡田:根岸監督から小林さんに関する資料をたくさんいただいて読んだところ、とにかく破天荒だったのが印象的でした。たくさんの逸話を持っている人ですけど、なかなかつかみきれない人物で。この作品に関しては、特に中也を目線から外さないようにするということが、役作りにつながっていったのかなという感じです。二人の心をつかんだ泰子の魅力――中也と小林という二人の心をつかんだ泰子ですが、泰子の魅力はどこにあると思いましたか?木戸:自分自身として考えると難しいんですが、中也としてだと、やっぱり自分の詩を支持してくれたこと、自分の詩が生まれる根源となってくれたというか、エネルギーとなってくれたところかなと思います。それは小林さんに対しても同じかもしれなくて、二人は中也にとって欠かせない存在だったんだろうなと。泰子はそもそも隣にいるときだけでなく、小林の元に泰子が行って喪失感に襲われているときも、その存在自体がいろいろな詩を生むための引き出しになってくれた気がします。中也にとっては生きていく上で、詩をつかまえる上で本当に欠かせない存在だったと思います。岡田:泰子はセンシティブな部分を持っていましたけど、人間としてたぶん目が離せないくらい魅力的ではあったと思います。一緒の空間にいると、どうしたってフォーカスがそちらに合ってしまうというのは、言葉にはできないけどあったんじゃないかなと。あと、小林さんは泰子の芸としての才能を認めていることがおそらく前提にあって、さらに中也の才能は誰よりも小林さんが一番理解していたんですよね。その二人の関係を崩すことによって、中也も泰子の才能も、もしかしたらまた違う形で開花するんじゃないかと考えていたのかなと…そう思った瞬間はありました。――演じられた広瀬さんご自身は、泰子の魅力をどう思っていましたか?広瀬:魅力なのか、こっちの執着を押しつけているのかは分からないですけど…何かあるんでしょうね。岡田:言葉にできないよね。木戸:ね、難しいよね!広瀬:うん。ほかにいない、なかなか出会わないタイプというか。その醸し出している何かが色っぽさや危うさに繋がったり、いろいろなものの色が一瞬で変わるような何かを持っていて。自分自身でも、どれも本当だから「こういう人」みたいなものにハマっていない人だなと思いました。そういうエネルギーの醸し出しもあるんだなあと感じましたね。3人は「足りないものを補って埋め合っている」――いびつなようでいて、この3人だからこそ成り立っている絶妙な関係を、皆さんはどのように感じていたんでしょう?広瀬:今思えばですけど…カオスだなって思うようなシーンがいっぱいあります(笑)。泰子は人の感情で心が埋まっていたいというか、求めて返ってくる人に執着してしまっていたんだろうな、と。なんか…女優の仕事も同じかもと思うんです。人の感情で発信したり演じたりするので、すごく似ている感覚でした。人のぬくもりじゃないけど、触れていることで生きている証明をしているような意思表示の仕方をしていて。最初はそれに巻き込まれているように見えていたんですけど、思ったより二人も結構ぶっ飛んでいるから、みんなで埋め合って埋め合って執着しているような。だからたぶん脆いんでしょうね。木戸:“三角関係”みたいなことより本当に“三角”という感じで思っていました。トランプピラミッドってあるじゃないですか。あれとすごく似ているのかもしれない。1個1個の軸はすごく不安定だけど、上手い具合にバランスが取れているから、そこに三角として立っているというような。ちょっとつついたらカタっと崩れちゃうところは、3人の関係性とすごく似ていると思いました。だから一人では何か足りないと自分たちも分かっているし、それを補って埋め合っている関係性なんだろうな、と。岡田:僕はボートのシーンの座り位置で、3人の関係性がものすごくわかるから素敵だなとずっと思っていたんです。中也と泰子さんが向き合っているようで、意外と向き合っていなくて。間に小林さんがいて、小林さんも泰子さんも向き合っている。その3人の関係性がとても素敵だなと思いながら撮影していました。ボートでの座り方や位置が、この3人の人間性を表しているんだなと感じていたので。木戸くんがトランプの話をしていましたけど、小林さんの目線から言うと、テトリスをしている感じに思っていました。僕は積み上げていくタイプで、ガチガチにハマっていかなかった、どんどん積み上がっていくという。それをあえて楽しんでいるのか、悲しんでいるのか、わからない。そんな感覚で捉えていました。「不便」を楽しむ――舞台となる大正~昭和初期は、スマホもなく家に音楽も流れていないような静けさがあり、令和とはずいぶん感じが違います。今と比較してどんな風に感じましたか?広瀬:今の時代は、便利は便利ですよね。木戸:ね、確かに。広瀬:嫌な世界でもあるけど便利でもあるし。この時代のように何もないと、本当にここ(自分)としか向き合う時間がないのかもしれない。そう思ったら、ちょっと追い詰められるような感覚になるというか。世界が狭く感じるのかもしれなくて、それは良くも悪くもだと思うんですよね。岡田:でもなんか、割と(3人とも)不便を楽しめる人たちだと思います。広瀬&木戸:うん!――岡田さんも不便を楽しめるタイプだと?岡田:結構好きです、何もないっていうのが。静かなところに生きていたい気持ち、意外とあったりします。木戸:え、普通に好きそう。広瀬:意外とかないですよ?岡田:一応言ってるの(笑)。うるさいところが苦手で。木戸:年を重ねるたびに、僕もそうなっている気がします。ガヤガヤした音が、どんどん無理になっていってる気がする。広瀬:へえ~、私は逆かも。年々、聞こえなくなってくる。勝手にシャットダウンできるのかなあ。――広瀬さんは、音があっても気にならないような感じなんですね。岡田:台本(覚え)とか、どうしてるの?木戸:あ、気になる!広瀬:覚えるときはテレビを見ながらも全然覚えられるし、お風呂場で覚えたりもします。携帯で台本データを見れば、それを見て覚えられるから。木戸:それ現場でめっちゃ思った!広瀬:そうそう。湯船だけはゆっくり入りたいので、時間がないから湯船で覚えて…って同時進行でやってる。環境とかよりも、自分が整っておけば結構何でも良くなってきました。――木戸さんと岡田さんはいかがですか?岡田:長期間タイプ。広瀬&木戸:へえ~!岡田:なので、ゆっくりゆっくり。映画だと撮影に入る前に時間があるので、そうすると台本をいただいたときから覚えて、全部覚えてからクランクインする。木戸:全部ですか!?岡田:基本的に8~9割ぐらいは初日の段階で覚えてる。そうすると撮影中は覚えることじゃなくて、相手にずっと集中できるから。そういう時間の使い方をしますかね。広瀬:集中力が長いんだ!岡田:いや、短いんだよ。広瀬:私は短期集中型だから。木戸:わかる!パッと覚えて、「OK」の声が出ると午前中に撮っていたのがすでに抜けていってる感覚で。――木戸さんは広瀬さんタイプなんですね。広瀬:木戸くんは柔軟にできそう!木戸:いやあ、僕は2日前とかから外でブツブツ言ってるタイプ。すずちゃんは本当に感覚的に(台詞が)入るのが早そう。岡田:それ、朝ドラやったのがあるんじゃない?広瀬:もしかしたら朝ドラじゃなくて、10代のときにやった連ドラで、毎週10何ページの台詞があったからかも。覚えられちゃって、苦じゃなかったの。木戸&岡田:すごい!広瀬:結構覚えられる人なのかもしれない。興味があるものにはうわーって(向かって)なって、終わっちゃったらわーって(忘れる)!全員:(笑)。岡田:みんな違うんだね、いいね(笑)。▼広瀬すず・スタイリスト:丸山晃(Akira Maruyama)・ヘアメイク:奥平正芳(Masayoshi Okudaira)▼木戸大聖・スタイリスト:佐々木悠介(Yusuke Sasaki)・ヘアメイク:石邑麻由(Mayu Ishimura)▼岡田将生・スタイリスト:大石裕介(Yusuke Oishi)・ヘアメイク:細野裕之(Hiroyuki Hosono)(text:赤山恭子/photo:田中舘裕介)■関連作品:ゆきてかへらぬ 2025年2月21日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開(C)2025 「ゆきてかへらぬ」製作委員会
2025年02月20日ディー・アップは2月13日より、ディーアップ マスカラ&アイライナーシリーズ「ハイパーリフトマスカラ」の新CM「ディーアップ 欲張りマスカラ ハイパーリフト篇」を全国で放送開始しました。■自然に際立つまつげや、透き通った表情にも注目!同CMには、「ディーアップ マスカラ&アイライナー」のイメージキャラクターである吉岡里帆さんが出演。昨年10月に発売され、美容業界の最高峰アワード「ベストコスメ」で1位を連続受賞した大人気シリーズ「ハイパーリフトマスカラ」を使用したアイメイクが注目ポイントです。吉岡さんのナチュラルな美しさが際立つ仕上がりと、吉岡さんの目力が、見る人を思わず惹きつけるCMとなりました。吉岡さんは、ノースリーブにパンツスタイルの全身白コーディネートで、ナチュラルな透明感を表現。リラックスした自然な仕草や表情が映し出されます。自然光が差し込む真っ白なスタジオに座っている吉岡さん。カメラを見つめる、凛とした表情からCMはスタート。吉岡さん本人の「私って欲張りだから、マスカラだって、カールも欲しい。長さも欲しい。無理かなぁ〜って思ってた」というナレーションの後、柔らかな笑顔に。まつげを引き立てたメイクが、吉岡さんの透明感をさらに際立たせています。「ディーアップ ハイパーリフトマスカラ」と共に、目を閉じて上を向く吉岡さんが写り、そっと目を開けるとマスカラのブラシが現れます。最後のカットでは、柔らかな表情で「私は、これ!」と、マスカラを手に強い意志を感じさせてくれました。< 「ディーアップ欲張りマスカラ」ハイパーリフト篇 15秒 YouTube>■撮影時の雰囲気は?撮影は郊外のスタジオで行われました。吉岡さんはスタジオに入ってから、明るく楽しく話しながら、穏やかな雰囲気で撮影がスタート。セットに入ると一転、集中モードに切り替わり、それぞれのシーンに合った表情とポージングを見事に演じる吉岡さん。監督の説明を瞬時に理解し、俳優ならではの多彩な表現で、シーンごとに異なる魅力を披露してくれました。「私って欲張りだから」という吉岡さんのナレーション録りでは、同じフレーズを何通りものトーンで使い分け、様々な感情のパターンを表現。最後にOKカットの声がかかると、スタジオ内から拍手が湧き上がり、吉岡さんも笑顔を見せていました。緊張感の中にも温かさがあり、笑顔があふれる和やかな撮影現場となりました。<メイキング動画>◇キービジュアル■新CM撮影インタビューで、待ち望んでいた夢のマスカラを語る今回のカールマスカラを使ってみていかがですか?・「これまでのディーアップさんのマスカラっていうのも、使いやすくて、まつ毛がとても綺麗に上がるっていうのが魅力の1つだったんですけど、今回のマスカラは、 長く伸びるっていうのももちろんなんですけど、カールのキープ力があって、しかもダマにならないっていうので、このマスカラを使ったことがある人は、みんなが待ち望んでいたような、夢のようなマスカラになってるかと思います」「目元が印象的で透明感がある」ということでディーアップのイメージキャラクター就任2年目を迎えますが、感想を教えてください。・「はい、ありがとうございます。自分のまつ毛は結構生まれつきあんまり上がってはないんですよ。下の方に下がってるようなまつ毛なんですけど、そういうまつげだからこそ、マスカラであげた時にすごい印象が変わるというか。メイクで表情が変わったりとか、雰囲気が変わるので、自分的にはその元のパーツがメイク映えしやすいような気がしていて。上げすぎないとメンズライクっぽくできたりとか、しっかり上げたらフェミニンに演出できたりとかで、そこは自分のチャームポイントかなと思っています」ディーアップのマスカラを使った時と使っていない時では、ご自身の中で気持ちの変化などありますか?・「あります!ヘアメイクさんにもディーアップさんの商品を本当に偶然使ってもらってることも多くて、すごい相性がいいっていうのを言われるんですよね。 なので、割とスッキリしたメイクとか、上品な清潔感あるメイクっていうのを求められることが多いんですけど、すごく長さは出るけど、ダマになってないので、 凛とした雰囲気が出るっていうのがあって、私はとても大好きです」今回のCMの「まつ毛も、人生も上向いて長〜く」に関連して、2025年、ご自身の長く伸ばしたいことを教えてください。・「そうですね。もう自分の特性としては、“真面目に誠実に、真心持って取り組む”っていうのを長年大事にしてきたので、そこは変わらずこれからも磨いていきたいなって思ってます。プラス、年を重ねるごとに、面白みを持ってお仕事するとか、魅力を届ける時とか、広告させてもらっていても、やっぱり丁寧さのそのまた向こう側というか、そこからエネルギッシュさみたいなのは出していきたいと思っているので今年は特に磨いていきたいと思っています」そろそろバレンタインのシーズンですが、印象に残っているバレンタインのエピソードを教えてください。・「これは忘れられないバレンタインデーなんですけど、幼稚園の時から好きだった男の子がいて。その子は小学校で離れちゃったんですけど、どうしてもチョコレートが渡したい、と。好きだったことを思い出して、家族に相談して手作りチョコを家族全員で届けにいくっていう(笑)。もしかしたら迷惑だったかもしれないんですけど、その時のチョコレートはすごい時間かけて作ったので、よく覚えてます。大袈裟に言ったんですけど。ハートの型に溶かしたチョコを流し込んで、ペンシルで、“LOVE”みたいな メッセージを書いて、その子の名前を入れてギフトしました」今年のバレンタインの予定は?・「今、学園ものドラマを撮っていまして、 学校の先生の役で、生徒たちも29人いてみんなすっごく可愛くて。去年から撮っているので、クリスマスとかもそうですし、年始もそうですし、なんかイベントにかっこつけて、みんなにおいしいものをあげたい、楽しい時間を提供したいっていう気持ちがすごくあります。今年は 多分、大量のチョコレートを現場に差し入れしようかなと思っています」理想のバレンタインは?・「理想のバレンタインか〜。でも、バレンタインが、その、女性から男性へ送るとか、お世話になってる方、会社とかでも、女性から男性へお礼のギフトみたいな風潮が悪くないと思うんですけど、男性から女性に、気の効いた素敵なギフト送るっていう文化に変わってってもいいんじゃないかなって私は思っていて。海外みたいに、お花とか、バスソルトとか、ちょっとしたものでも嬉しいと思うので、なんかそういうのもらえる日とかがあったらいいのになと常々思ってます」最後に一言メッセージをお願いします。・「普段ディーアップをお使いの皆様、そしてまだディーアップを手に取ったことがないお客様。今回のCMではですね、ハイパーリフトマスカラという商品で私はCMさせていただいています。実際今日つけているんですけど、本当に撮影は朝から続いてて長時間経ってるんですけど、その後そんなにあげてないけど、すごくキープ力があったりとか、ダマにならないので、スッキリした目元を演出してくれると思います。ロングタイプが好きな方とか、ダマになるのがすごく嫌だなっていう風にお困りの方がいらっしゃったら、 ぜひ手に取ってみてください。きっと納得していただけるマスカラだと思います。太鼓判押してます!よろしくお願いします」<インタビュー動画>■CM概要「ディーアップ欲張りマスカラ」ハイパーリフト篇」尺数:15秒、30秒放映開始日:2025年2月13日放映地域:全国(一部地域を除く)【CM動画リンク】< 「ディーアップ欲張りマスカラ」ハイパーリフト篇15秒> < 「ディーアップ欲張りマスカラ」ハイパーリフト篇30秒> (エボル)
2025年02月18日京都造形大学(現・京都芸術大学)の卒業制作『オーファンズ・ブルース』(2018)が第40回ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを獲得し、2021年には『裸足で鳴らしてみせろ』で商業デビューを飾った工藤梨穂監督。豊かな感性に裏打ちされた抒情的な物語と人物描写、確固たる映像言語/スタイルを有する彼女の最新作『オーガスト・マイ・ヘヴン』が、2月1日から劇場公開中。本作は元々、2024年にスタートしたメディア配信プラットフォーム「Roadstead」のオリジナル作品。黒沢清監督の『Chime』と共に第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に正式招待され、Roadsteadでの先行配信を経ての劇場公開となる。依頼人の家族や知人を演じる「代理出席屋」の女性が、行きつけの中華料理屋の店員の頼みで旧友に扮し、失踪したはずの男性と共に旅に出る。約40分の中にアイデアと奇妙な出会いによって紡がれるひと夏の時間が詰まったロードムービーだ。映画について学び続けた地・京都に舞い戻り、新作を創り上げた工藤監督。Roadsteadとの協働や自身のクリエイティブについて、語っていただいた。Roadsteadとの新たな企画と取り組み――Roadsteadサイドからは、同世代のスタッフとともに制作をされてはどうか、と助言があったと伺いました。ロケ地にもその要素がありますが、改めて、Roadsteadの皆さんとの協働はいかがでしたか?そうですね。私自身、学生時代に経験した映画づくりの充実は心に残っていたので、またいつかかつての仲間と再集合して作品を作ることができたらという思いは持っていました。それがこんなにも早く叶うとは思っていませんでしたが、そうしたアドバイスもいただいたので、今回はそのチャンスかもしれないと思い、学生の頃から交流のあったメンバーやこの企画を機に出会えた同世代の方々にも参加していただいて、非常に自由度の高い中で取り組ませてもらいました。また、キャスティングについても縛りのようなものがなく、作り手の思いを第一に希望を汲んでくれるというのはこの企画の大きな特徴だと思います。なので、主要の人物については当て書きに近い状態で脚本を進めたりもできてイメージが湧きやすかったですね。あと何より、オリジナル作品の可能性を信じてもらえたことが私は単純に嬉しかったです。――『Chime』の黒沢清監督は「中編だと謎のまま投げっぱなしにしていても観客に怒られない」と語っていらっしゃいましたが、工藤監督は今回、約40分の中編を手掛けられてどのように感じられましたか?工夫した点やメリットなど、教えていただけますと幸いです。正直に打ち明けるととても難しかったです。ドラマとしての着地点は見つけたいと思っていたので、この尺の中でどの要素を削り、何を残していくか、また彼らのどんな時間を画面に捉えるべきかということにはかなり悩みました。旅を描いた短編や中編映画はどのように物語っていたっけ?と他作品のシーンの組み立てを振り返ったりもして。そうして模索しながらも、今回工夫した点で言うとタイムカプセルの中から出てくるガラクタなどそういった小道具に象徴的な意味合いを持たせ、短い物語だけど映画としての奥行きを出せたらいいなと思っていました。あとは、「何か映画を観たいけど今2時間観るのは体力や時間的にどうしても難しい」という時が誰しもあると思うんですが、そういう方にとって映画へのハードルが低いというか、手が伸びやすいのは尺の短さとしてメリットの一つだと思います。どうしても映画を観るというのは体力も使うので、日常の中で疲弊している人も楽しめるかもしれないというような、誰も取りこぼさないことが中編映画の可能性かなとも思います。作品の“テーマ”への追求――『オーファンズ・ブルース』『裸足で鳴らしてみせろ』『オーガスト・マイ・ヘヴン』には「記憶(が薄れる不安)」があるように感じています。ご自身が惹かれるテーマなのでしょうか。上記以外にも、映画制作において追究しているトピック等があれば教えて下さい。私の祖母が実際にアルツハイマーを患っていたので、忘れてしまうことや忘れられてしまうことは勿論のこと、記憶が失われていくことで祖母の人柄が変わっていってしまう過程も目の当たりにしてきました。しかしそれでも、その人の中に残っていくものがあるのだと感じたことが私にとって「記憶」というテーマを特別にしたように思います。それと同時に「嘘」や「偽装」といった要素や、様々な関係性の中だったり生きる中で生じる「矛盾」も人間を描く上でこれからも追求していきたいテーマです。また、映画表現のテーマとして追求したいのは音や光、身体の運動などです。このような原始的な要素が映画をより豊かにすると信じていますし、それらを物語るドラマに用いて映画でしか表現できないような光景を目指したいと思っています。――こちらも『裸足で鳴らしてみせろ』とも通じるかと思いますが――「3人」という構造での見せ方が絶妙です。本作では「なりすます」も重要な要素ですが、人物の関係性を構築するうえでどういった部分に特にこだわられていますか?3人という構造についてはなぜか惹かれます。ただこれまでは、3人のうち1人は不在だったり、1人のために2人が奮闘するというように最終的には一対一の話になることが多かったのですが、今回は3という数をはっきりと意識して、3人の男女が特殊な関係性の中で関わり合う物語にしたいという思いがありました。まず映画としての感情の最終地点や題材、主軸となる人物を固めてから人物相関図的なものを作成するのですが、その関係性においてそれぞれが抱く思いが交錯したりすれ違うことの複雑さを考えながら、ドラマにうねりをもたらせるよういつも試行錯誤しています。『オーガスト・マイ・ヘヴン』の撮影については特に、1人を2人の間に挟むような構図だったり、サークル(形としての円)、3人の視線の交わりを意識して動線や立ち位置、座り位置などにこだわった記憶があります。影響を受けた人と作品、今度の展望――――工藤監督の感性に影響を与えた作品や作り手、近年琴線に触れた作品や作り手には、どういったもの/人がいるのでしょう。近年ですと、川上未映子さんの「夏物語」をはじめとして「ヘヴン」や「黄色い家」には、かなりくらいました。それらの物語は苦しくもあるのですが、最後には生きることに背中を押してくれるような力強さがありますよね。また、どの登場人物も「ひとり」であることが印象的で、読み手に対して小説にしかできない寄り添い方をしてくれるような気がします。それが魅力的です。映画作品では、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの『不安は魂を食いつくす』や『自由の暴力』などを劇場で観ることができて、彼の描く人間の非情さや愛に心を射抜かれました。また、昨年は素晴らしい邦画作品との出会いが多かったように感じていて、特に森井勇佑監督の『ルート29』がとても好きでした。画面の切り取り方やショットの繋ぎ方に鳥肌が立つほど感銘を受けたのですが、何よりも寓話的要素も含めながらこんなにも心の奥深くに迫る作品が邦画として作られたということが嬉しくてたまらなかったです。その他にも、空音央監督の『HAPPYEND』や山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』、川添彩監督の『とおぼえ』には本当に圧倒されました。素晴らしかったです。――『オーガスト・マイ・ヘヴン』は第74回ベルリン国際映画祭でも上映されました。工藤監督の今後の映画制作における展望や野望、目標、或いは現状の課題に感じている点等々、将来に向けた想いを伺えますでしょうか。これまでは作品に現代を意識するよりももっと根源的なことをテーマにしたいという思いがありましたが、世界的な映画祭に参加したこともきっかけの一つとして最近は考えが変化してきていて、今のこの世界を生きている人たちの励みになるような作品を目指すことができたらと思うことが多くなってきました。それは、リアルタイムで起きている戦争や虐殺について自分自身が自分ごととして向き合う機会が増えたことが背景として大きかったと思います。それと同時に性暴力や貧困、LGBTQや特定の人種に対するヘイトの動きなど日本に限らず世界中どこでも毎日のように起きている。私自身、精一杯の生活の中で挫けそうになることもありますが、いろんな状況の中でそれぞれ何かに耐えて暮らす人のことを考えながら、それでも生きていくことを信じられるようなものをいつか撮ることができたらいいなと今は思います。(SYO)
2025年02月14日ワールドパーティーが展開する傘ブランド「Wpc.(ダブリュピーシー)」は2025年春夏コレクションのイメージキャラクターにダンサー・俳優として活躍するアオイヤマダさんを起用。2月3日、「さ、躍り出よう。-私は、傘とコーデする。-」というコンセプトを表現した5つのシーズンビジュアルとブランドムービーを公開しました。■アオイヤマダさん起用の理由とは?雨空を彩る明るいデザインと使い心地の良い機能性を兼ね揃えた傘を揃えるWpc.。年間約600万本の傘を販売しながら、傘とファッションの可能性を追求しています。今回、ダンサー・俳優として活躍し、多くの人々を魅了するアオイヤマダさんをイメージキャラクターに迎え、2025年春夏のシーズンコンセプト「さ、躍り出よう。-私は、傘とコーデする。-」をテイストの異なる5つのコーディネートと共に、アオイヤマダさんの自由な発想と独創的な世界観で表現しています。このシーズンコンセプトは、アオイヤマダさんが次世代を担う表現者として自分を持って生きる姿と、傘を“日用品”ではなく“ファッションアイテム”として新たな価値を発信し続けながら傘の既成概念を覆すWpc.を重ね合わせることで、枠にとらわれず自由に「躍り出よう!」という意味を込めています。ファッションアイコンとしても注目を浴びるアオイヤマダさんを中心に、ファッションを愛する全ての人がそれぞれの感性で傘を楽しんでほしいと考え今回、イメージキャラクターに起用しています。■ブランドムービーブランドムービーでは雨が降るなか、ウェービーアンブレラを手にこちらを振り向いたアオイヤマダさんがリズミカルに階段を下りてくるシーンから始まります。両手を広げて全身で雨を感じたり、水たまりに飛び込んで思い切りステップを踏んでみたり。Wpc.の傘を“自分を表現するファッションパートナー”として、エレガント、レトロ、カジュアルといった様々なコーディネートに合わせて、雨を味方に躍り出る姿が印象的です。同時公開のメイキングムービーでは2日間に渡る撮影の様子をはじめ、「Wpc.(ダブリュピーシー)」というブランド名をドラマチックな音に乗せて表現したアオイヤマダさんオリジナル楽曲を楽しめます。インタビュームービーとあわせて、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。Wpc.×アオイヤマダ 「さ、躍り出よう。-私は、傘とコーデする。-」 2025 Spring&Summer▼ブランドムービー▼メイキングムービー▼インタビュームービー■シーズンビジュアルビニール傘:地球屋×Wpc. 空色アンブレラ/トワイライト (2,640円)空色アンブレラの淡いグラデーションとイエローのドレスが夕焼け空と重なることで一気に幻想的な雰囲気に。傘の透け感と空のコントラストを楽しめるのもビニール傘ならでは。「さ、躍り出よう。」というテーマを体現するアオイヤマダさんの姿は圧巻です。雨傘:フローティングチューリップ/オフ (2,860円)春の訪れを感じさせる軽やかで柔らかなタッチで描かれたチューリップ柄は、パステルカラーを基調とした大人レトロなスタイリングによく似合う傘です。傘の持ち手にクリアとゴールドのパーツを使用することで上品さもプラス。ビニール傘:ウェービーアンブレラ/オフ (2,640円)遊び心があるファッションには遊び心のある傘をチョイス。波のようにうねる形と傘を沿うピンクのパイピングが目を惹くビニール傘。カラフルなカラーチップが入った持ち手を合わせることで、個性的でポップな印象になります。雨傘:オメナ/ブルー (2,750円)フィンランド語で“りんご”を意味するオメナ。様々な形、向きで並ぶブルーのりんごに差し色となるグリーンを取り入れて、雨の日が待ち遠しくなるような明るいデザインに仕上げました。まさに傘が主役になる1本です。ビニール傘:THE MET 名画アンブレラ ルノワール -菊の花束- (3,410円)降り続く雨のなか、暗闇に浮かび上がるのは傘いっぱいに美しく咲き乱れるルノワールの“菊の花束”。雨と夜が交わる瞬間をアオイヤマダさんがドラマチックに表現しています。◇アオイヤマダさんインタビュー (一部抜粋)Q.撮影を終えていかがでしたか?この青空の中ですごくかっこいい建築物に大きな布がふさっと流れていて、そこに雨が降って傘をさして踊っている時間っていうのが、私のすごく好きな映画があるんですけど『雨に唄えば』っていう。そこの登場人物になった気持ちですごく楽しい時間でした。Q.今回のムービーのテーマは「私は、傘とコーデする。」ですが、ブランドムービー衣装のお気に入りのコーデは?この服装(黄色のワンピース)の時にさした傘が“青空”なんですよ。雨の日ってついつい下を見がちなんですけど、これだったらふと信号で止まった時間とかに見たくなるなぁっていう気持ちになりました。(傘の)青と(ワンピースの)黄色、(傘の)紫と(ワンピースの)黄色っていう組み合わせはすごく好きなので、良いなぁって思いました。Q.普段のファッションコーディネートのこだわりは?普段のファッションは「色」から選びます。今日は“黄色の気持ちが足りない”と思ったら黄色を着るし、“赤い気持ち”、“青い気持ち”って、何を食べるか選ぶみたいに「この色が今日は欲しい!」って思ったらついそれを選んでる感じがしますね。ちょっと落ち着きが足りない日とかは青っぽいものを選んだりとか、気持ちをもう少し上げたい時は赤とか黄色とか選んだりするのかなぁと思います。Q.長年Wpc.をご愛用いただいてますが、どのような傘をお持ちですか?これなんですけど、すごくボロボロだから見せるのちょっと恥ずかしいんですが、たぶん4年前ぐらいに外を散歩してたら急に雨が降ってきて、近くのショッピングモールに入ったんです。傘売ってないかなと思って見てたら、ふとこの色が目に留まって。その日何色着てたんだろう…青っぽいもの着てたのかな。赤いピンクのものが、帽子を選ぶ感覚ですかね、「今日の洋服にこれさしたらかわいいな」と思って買ったらWpc.さんでした。晴雨兼用でもう4年ぐらい使ってます。(この撮影が決まった時はWpc.ってご存じでしたか?)「やりたいです!」「使わせてもらってます!」って連絡しました。Q.ファッションに傘を取り入れることについてどう思いますか?ファッションアイテムの一つだなと本当に思っていて、帽子を選ぶとか時計を選ぶ、指輪を選ぶと一緒で傘を選ぶっていうものがあるともっと解像度が高まるというか、楽しみ方のレイヤーが増えて良いなって思います。Q.最後に視聴者のみなさまへメッセージをお願いします。嬉しい日も悲しい日も楽しい日も、雨の日も晴れの日も、心の傘をさしてちょっと外の世界を見てみると楽しいのかなって思いますので、私も傘をさして、心にも傘をさしてお散歩に行きたいなと思います。◇イメージキャラクター・アオイヤマダさんアオイヤマダ(ダンサー/俳優)東京2020オリンピック閉会式ソロパフォーマンス、ダムタイプ「2020」パフォーマンスの他、ヴィム・ヴェンダース 作品『PERFECT DAYS』やNetflixドラマ『First Love初恋』に俳優としての出演や、宇多田ヒカル「何色でもない花」のMVを振付。NHK『ドキュメント72時間』のナレーションなどに携わるなど、身体と声で活動を広げている。ポエトリーダンスユニット アオイツキ、生き様パフォーマンス集団「東京QQQ」としても活動中。3月に所属するクリエイティブコレクティブ”海老坐禅”の作品集『EBIZAZEN』が刊行される。■販売について▼Wpc.公式オンラインショップ・Wpc. ONLINE STORE:▼直営店舗・Wpc.心斎橋パルコ店542-0085 大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 心斎橋パルコ5階大阪メトロ 御堂筋線心斎橋駅 南改札より直結・Wpc. Echika fit 銀座店104-0061 東京都中央区銀座4-1-2東京メトロ 丸ノ内線銀座駅構内 C4出口すぐ・Wpc. LUCUA 1100店530-8558 大阪市北区梅田3-1-3 ルクアイーレ7階JR大阪駅より直結(エボル)
2025年02月10日第97回アカデミー賞で3部門ノミネートを果たしたドリームワークス・アニメーションの映画『野生の島のロズ』。都市生活のために開発された「最新型アシスト・ロボット」のロズが体験する予想不可能な冒険と、すべてを変える運命的な出会いを描いた物語だ。全米のみならず、世界43か国でNo.1ヒットを記録している話題作が、2月7日(金)に日本公開となる。日本語吹き替え版では、ロズに綾瀬はるか、チャッカリに柄本佑を迎え、キャラクターたちにオリジナル版とは違う魅力を添えた。シネマカフェでは、作品公開を間近に控えたメインキャストのお二人に、作品の魅力、それぞれの役柄などについて聞いた。声を通してキャラクターを見る――本作への出演が決まったときの気持ちは?柄本:僕はアニメがすごく好きなので、単純に嬉しかったのと同時に、緊張しました。ただ、作品がとっても面白かったということで、どう転んでも素敵な作品には違いないからと思って臨みました。あと、日本語吹き替えの監督がとっても素敵な方で。ね?綾瀬:優しくて、わかりやすくて。柄本:とても具体的な方で。だから、この監督の船に乗って行けばいいんだなという感じでやらせていただきました。綾瀬:声優は『インクレディブル・ファミリー』以来6年ぶり。ロボット役はやったことなかったですし、微妙な感情の表現を声でうまく使い分けてください、研究してやってくださいというようなことが書いてあって。難しそうだなと思いました。いろいろなパターンを最初にやってみて、どこまで機械っぽくするのかというところも、監督と細かく話し合いながらやっていきました。――どのような気持ちで役に臨んだのでしょうか。柄本:僕は、吹き替えがどうしたこうしたで揺らぐような作品ではないというのがどこかにあって。いいお芝居はもうアニメがやってくれているから、自分が楽しくできるようなところに身を置けたらいいなと思いながらやっていました。チャッカリという役に、そんな雰囲気があるので。綾瀬:チャッカリいいなと何度も思いながらやっていました(笑)。すごく羨ましいなって、途中でこういう役やりたいなと…(笑)。最初は本当にロボットっぽく、割と決まった感じでやっていて。でもちょっと人間っぽいところも出てきたり。その辺のバランスが難しくて。終わりの方になってくると気持ちがだんだん芽生えてくる。変化していく感じが上手くいくのかなぁと思っていましたが、完成版を観てみると、最後にロズという存在がはっきり見えていて感動しました。――感情移入したキャラクターはいましたか?綾瀬:私は、チャッカリ。最初は嫌な奴だったのに、あんなに意地悪だったのに。そのギャップが。柄本:振れ幅は大きいね。綾瀬:ロズがいないと…みたいな感じになっていてすごく可愛いなと思いました。最後のチャッカリの気持ちを考えて泣けたというところがあって。すごく感情移入しました。柄本さんは、やっぱりチャッカリ?柄本:そうだね。あと、感情移入というのとは違うんですが、すごく好きなとこがあって。ロズは敬語を使っているんだけど、ある瞬間から動物たちに対してため口というか、敬語じゃなくなる。あそこがね、妙に感動するんですよ。あの辺から始まる気がして。綾瀬:確かに急に人間っぽくなってね。柄本:わくわくするような感じかな?ぐっとロズ、チャッカリ、キラリの3人の距離が縮まっているような感じがして。物語としても一段ステップアップしてるような感じがすごく好きでした。綾瀬:確かに最初、ロズには感情移入しづらい。感情ないし(笑)。だけど、あそこから急に入り込めるからグッとくるのかな?柄本:多分そうだと思う。作品の魅力は「物語のピュアさ」「ロズの純粋さ」――お互いの声について、感想を教えてください。綾瀬:チャッカリは本当に素敵だなと思って見ていました。顔の表情も凄いから、それがすごく伝わってくる。声の強弱だったり、高低差だったり、見ていて飽きないなと思って。意地悪なんだけど、本当は可愛い様子が声に出てる。柄本:そう?声を録るとき、僕が最初だったらしくて。超不安な中でやっていたんだけど、初めて日本語完成版を観て綾瀬さんの声を聞いたとき、本当にぴったりだなと思いました。僕は英語版を何度も観ながら録音していましたが、吹き替え版のロズを見たとき、すんなりそこに入っていけて。奥行きが出てくる感じが、深いんですよね、声が。それがとても素敵だなと思いました。――本作の魅力について。柄本:物語的な面白さというのは大前提としてある。あとは作品の持つピュアさですかね、心が動くというところで言うと。監督自身がとてもピュアなんです。柔らかくて優しくて、本当に壁のない人。そこが作品に反映されているんだなという感じ。かつ、監督の“物語を信じる力”ですかね。僕は涙したんですが、いろいろな場面でキャラクターたちの姿に感動するんです。そういうのがすっと入ってくるのは純度が高いから。やる人がやったらめちゃめちゃあざとくなるシーンでも、喜びも悲しみもすっと入ってくる。これは物語のピュアさから来るんじゃないですかね。綾瀬:ロズに純粋さがあるからこそ、素直にいろんなことを吸収して、本当にいいことをしよう、誰かのためにやろう、ということができる。だから動物たちもロズが必要になっていく。相手の心を変えられるロズの存在がすごくステキで、見習うところがいっぱいあるなと思いました。雁の長老クビナガの言葉もいいなと思いました。クビナガが出てくるたびに結構ぐっとくることが多かったですね。長老の知恵を聞いているみたいで。柄本:いいよね!あと、キラリに飛び方を教えるサンダーボルト先生も良いこと言ってた。少ししか出てこないキャラクターも、みんな素敵なんです。現実社会にも繋がる物語――ロボットの物語ですが、価値観の違う存在をどう受け入れるかとか、プログラムを先入観や固定観念と捉えればそこをどう打ち破って自分の可能性を広げていくかなど、私たちの社会にも関連のある物語だと感じました。柄本:普遍的な話ではあると思う。開かれた大地に住む動物たちも、ひとつところに集まると争いが出てくるし、社会ができてくる。基本的には人間社会と同じなんじゃないかと思います。動物ということでテーマが純粋にわかりやすく見えているだけで。綾瀬:私も基本的には人間社会と同じ構図だと思います。親子とか友達とか、ライバルなのか敵なのかとか。どこにでもありそうなトラブルもある中、ロズがピュアな心で先頭に立って、みんなを引っ張って行ってくれるから、みんなも自然にそれを受け取って影響を受けていく。柄本:そう。ここに登場するキャラクターの中で一番先入観なく突き進めるのってロズしかいない。だからロズにみんなが影響されていく。そこが素敵ですよね。綾瀬:理想ですよね。皆が同じ方向を向いたときの絆の強さと言ったら!小さなことの積み重ねだと思うけれど、ロズが島での生活の中で、一個一個優しさを置いていった。それがやがて沢山になって、道となった。ロズが歩いてきた、優しさでできた道。柄本:ロズが置いてきた優しさは、彼女自身に表れる変化として投影されていると思う。ポスターにもあるように、ロズの片足が木になっているとか、ロズに草が生えてくるとか、どんどん温かみを増していく。ロズは心も見た目も有機的になっていくんです。ロズに生まれるそんな細かい変化も楽しんで欲しいです。息の合った掛け合いで、作品の裏側について語ってくれた綾瀬さん、柄本さん。日頃から耳慣れている二人の声が、物語が進むにつれ、完全にロズとチャッカリに同化し、二人の顔が全く浮かばなくなったことを伝えると、「顔、浮かんでこなかったですか!」と綾瀬さん。柄本さんも「それはよかった、嬉しいです」と話し、共に笑顔に。まさにそこが目標だったという二人の、声優としての魅力も再発見できる本作。壮大なるスケールで描かれる野生の島の美しい物語に没入するためにも、ぜひ大きいスクリーンで楽しんで欲しい。【綾瀬はるか】スタイリング:中澤咲希ヘア:ASASHI(ota office)make-up: Asami Taguchi(home agency)【柄本佑】ヘアメイク:星野加奈子スタイリスト:KYOU(text:June Makiguchi/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:野生の島のロズ 2025年2月7日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開Ⓒ2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.
2025年02月05日取材・文:ミクニシオリ撮影:渡会春加編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部SNSにマッチングアプリ。数十年前と比べて、出会いの形は一気にユビキタス化し、どこにいても環境の遠い誰かと話したり、知り合ったりすることが容易になりました。その一方で、若者の「恋愛離れ」は社会問題化しつつあります。「便利な世の中にも、不自由さはあるよね」そう語ってくれたのは、映画『大きな玉ねぎの下で』でW主演を務めた神尾楓珠さん、そして桜田ひよりさん。令和時代を生きる現役学生と、平成初期を生きた親世代の青春時代を行き来しながら進むストーリーを演じる中で、彼らが感じたのは「不自由だった時代の自由さ」でした。■不便さこそ、運命の恋を演出してくれる『大きな玉ねぎの下で』は、1980年後期〜90年代に一斉を風靡したロックバンド・爆風スランプが、1989年にリリースした曲でもあります。まだ会ったことがない、ペンフレンドの2人の恋模様を描いた曲にインスピレーションを受けて、お互いに「顔を知らない」2人が出会い、恋に落ちていく様子を描くヒューマンラブストーリーとして、映画『大きな玉ねぎの下で』が誕生しました。神尾さんが演じた丈流(たける)は、就職活動に苦戦中のちょっぴり意地っ張りな大学生。一方、桜田さんが演じた美優(みゆう)は、現実的で真面目ながらも、恋には不器用な看護学生。同じバイト先ではありながら、昼のシフトと夜のシフトで、顔を合わせることはなく、職場のノートを通してお互いに惹かれ合っていきます。1999年生まれの神尾さん、2002年生まれの桜田さんはまさにインターネットネイティブ世代。昭和や平成中期までの文化にあまり触れることがなかった2人は、作品を通してどんなことを感じたのでしょうか。神尾『大きな玉ねぎの下で』は、僕たちが演じた大学生たちが過ごす令和と、文通やペンフレンドが流行った平成初期を行き来しながらストーリーが進んでいきます。僕は正直、平成にうらやましさを感じましたね。今はスマホを使えば、誰とでも簡単につながれるけど、関係の希薄さを感じることもあります。あの頃は不便で、ある意味不自由な時代だったからこそ、運命の恋も生まれやすかったんでしょうね。桜田ペンフレンドなんていたことがないけど、スマホで文字を打つのとは違う、手書き文字の暖かさを感じました。文字だけを通して自分の想いを伝えたり、相手がどんな人なのか想像したりするのって、エモいものなんですね。神尾人に借りたバイクで走り出すとか、今だったらあり得ないですよね。晒されるかもしれないし(笑)。そんなことをしなくてもスマホで連絡を取り合えるのは便利だけど、がむしゃらに行動できちゃう時代性に、憧れがありますね。桜田平成初期の学園パートを見て、あの頃ならではののびのびとした青春時代に憧れました。平成は今の時代にはない良さに満ちあふれていたんだなって、改めて考えさせられました。2人との対話を通して「あの頃と今の違い」に向き合ってみると、やはりスマホ、ネットの普及が私たちの人間関係に大きな影響を及ぼしていることが分かります。物心ついた時からネットでのコミュニケーションが身近だった神尾さんと桜田さんですが、窮屈さを感じることもあるといいます。神尾ネットは本当に便利だけど、特有の息苦しさみたいなものも感じます。いつでも誰かに見られている感じがするし、こうやって会話する時より、さらに言葉を選んでしまう自分もいます。桜田楓珠くんはインスタも全然更新しないもんね。神尾実は、SNSがちょっと苦手なんだよね。応援してくれる人に直接気持ちを伝えられるのはすごいことだと思う。だけどどんなことで人を傷つけちゃうか分からないから、正直怖い気持ちもあります。桜田私はSNSをよく使いますが、楓珠くんの気持ちも分かります。フォロワーさん全員を把握できるわけじゃないし、一人ひとりに配慮するのって、すごく難しいですよね。神尾だからこそ、ノートから始まるアナログな出会いに良さを感じちゃいましたね。仲良くなるのに時間はかかるけど、通じ合った時のうれしさは大きいと思います。■気持ちを素直に伝えられないもどかしさも、恋の醍醐味ペンフレンドのような、なかなか進まない恋。平成を生きたアラサー世代でも、もう懐かしさを感じる人が多いのではないでしょうか。誰もがスマホを持ち、いつでもチャットできる現代には感じることのないもどかしさがあります。だけど、スマホがなかったからこそ、会える瞬間を何より大切に思えたのかもしれません。大切な想いはいつでも伝えられるわけではないからこそ、一言の重みと愛が、今よりずっと重く感じられたのでしょう。しかし丈流と美優は、将来を見据える若者としても対立構造が描かれています。就活がなかなかうまくいかず、社会に対して反発を抱えている丈流と、目標のために看護学校に進学し、すでに実習を始めている美優。選んできた道の違いもあって、2人の恋路は難航します。神尾僕は、丈流の気持ちにも共感する部分がありました。僕も学生時代、進路に悩んで将来に希望を持てない時期があったんです。本当は優しいところがある人も、環境次第で周囲に反発しちゃう気持ちは分かります。桜田でも個人的には、丈流みたいな男子は嫌だなーって思う(笑)。ちょっと面倒くさくないですか?神尾本当は好きなのに、照れ隠ししちゃうことってあるじゃないですか。そういう人が心を開いて素直に話してくれた時こそ、キュンとするものじゃない?桜田たしかに、みんなに優しい人より自分にだけ優しい人の方がキュンとしますよね。でも、そこを引き出すまでに時間と労力がかかりそうだと、心が折れちゃう。友達になれずに終わることも多いんじゃない?神尾家族と一緒にいる時の表情を見ていれば、丈流が優しい子なのが伝わると信じています……!共演経験がある2人のやり取りは自然で、見ているこちらも癒やされてしまいます。もどかしい恋について話す2人を見ていると、苦くも楽しい恋をしていたあの頃、青春の1ページを思い出してしまいそう。私たちが生きる現代はとても便利で、待ち合わせに失敗することもなければ、伝えたい物事をシームレスに人々に届けることができます。それでも、マッチングアプリで初めて会う人にデートをドタキャンされることもあるし、ネットで見かける知らない誰かの一言に一喜一憂することも……伝えること、届けることが簡単だからこそ、傷つく瞬間もあります。海外の若い世代の中には、インターネットから距離を置くために、あえて電話機能しかないケータイを持つ人々もいると言います。不便だからこそ奇跡が生まれ、運命の恋が始まることもある――作品に向き合った神尾さんと桜田さんが教えてくれたのは、そんな「不便の美学」でした。作品は2025年2月7日から、全国の映画館で公開予定です。デジタルで溢れる今だからこそ、本作を通して改めて手書きの温もりに包まれてみてはいかがでしょうか。『大きな玉ねぎの下で』丈流と美優は、夜はバー、昼はカフェになる「Double」でそれぞれ働いている。2人をつなぐのは、連絡用のバイトノートだけ。最初は業務連絡だけだったが、次第に趣味や悩みもつづるようになった。お互い素性を知らないまま、2人は大きな玉ねぎの下で(武道館)初めて会う約束をするが――。一方、あるラジオ番組では30年前の文通相手(ペンフレンド)との恋が語られていた。顔は知らないけど好きな人と武道館で初めて会う約束をして……2組は大きな玉ねぎの下で出会うことができるのか?令和と平成2つの恋が交錯し、やがて1つの奇跡が待ち受ける――。2025年2月7日(金)全国ロードショー©2024映画「大きな玉ねぎの下で」製作委員会神尾楓珠ヘアメイク:井下成美 、スタイリスト:大内美里桜田ひよりヘアメイク:池上豪 、スタイリスト:前田涼子
2025年02月05日ハーゲンダッツ ジャパンは2月4日より、グローバルガールズグループ「TWICE」のSANAさんを新たに起用した新TVCM『サクッと、夢中になりたいの。』篇の放映を開始します。なお、新TVCMの放映に先駆けて、1月30日より、ハーゲンダッツ公式サイトおよび公式YouTubeチャンネルで公開。また、SANAさんへのインタビューの様子を収めたスペシャルインタビュームービーやメイキング映像も公開しています。■サクッとした食感とおいしさをSANAの食べっぷりで表現新TVCM『サクッと、夢中になりたいの。』篇では、SANAさんがテニスを観戦しながら、クリスピーサンド「ザ・リッチキャラメル」のサクッとした食感とおいしさに、ひとくち、ふたくちと夢中になっていく姿を通して、楽しい時間をより充実させてくれるクリスピーサンドの魅力を表現しています。濃厚なキャラメルアイスクリーム、サクサクのウエハース、キャラメルコーティングからなるクリスピーサンド「ザ・リッチキャラメル」は、片手で気軽に楽しめて、映画やスポーツ観戦、友だちと過ごすひとときなど、さまざまなシーンにぴったり。SANAさんの食べっぷりの良い演技から、食べると夢中になるクリスピーサンドのおいしさが感じられます。■新TVCM概要◇TVCM「サクッと、夢中になりたいの。」篇 内容◇TVCM概要『サクッと、夢中になりたいの。』篇(15秒)出演:SANAナレーション:サクッと、夢中になりたいの。クリスピーサンド「ザ・リッチキャラメル」 ハーゲンダッツ。スーパー:サクッと、夢中になりたいの。放映開始日:2025年2月4日放映地域:全国TV CM・URL:メイキング&インタビューURL:■SANAさんスペシャルインタビューQ.ハーゲンダッツ「クリスピーサンド」のCMに出演すると聞いた時は、どんな気持ちでしたか?A.本当に普段から自宅の冷凍庫に常に(クリスピーサンドを)ストックしてあるので、最初にお話をいただいた時は興奮がなかなか冷めなかったです。Q.普段どんな時に召し上がることが多いですか?A.普段仕事が終わって帰ってきてから、ゆっくりまったりおうち時間を楽しみたい時に食べたり、あとやっぱりお風呂上がりだったり食後のデザートによく食べます。Qクリスピーサンドのどんなところが好きですか?A最初のウエハースのサクッとした感じと、あと、その後にくるチョコレートコーティングの分厚さが絶妙で好きすぎるのと、その後にくるアイスクリームの味が本当に好きです。Q.CM撮影中に何か意識されたことがあれば教えてください。A.普段はカウントが出ると結構ダンスを踊ることの方が多いので、カウントが出た時にその癖が出てしまって、1で食べて、すぐにおいしい表情をするっていうところが、1で食べて2のカウントまで待ってる自分がいて、合わせてる自分がいたので、そういうところがちょっと大変だなって思ったけど、楽しく撮影できたと思います。Q.SANAさんがついつい夢中になってしまうものがあればお聞かせください。A.私は甘い香り全般が好きなので、街中とか現場とかで甘い香りがすると、ついつい、匂いについて行ってしまいます。Q.SANAさんが好きなハーゲンダッツのフレーバーを教えてください。A.1番……ちょっと1つだけは選べないんですけど、「マカデミアナッツ」と「グリーンティー」が好きです。最後に、視聴者の皆さまにメッセージをお願いします。A.この度、ハーゲンダッツ「クリスピーサンド」のCMに出演することになりました、SANAです。CMをご覧になったみなさんが、「クリスピーサンド食べたいなあ〜」って感じて、このおいしさに、サクッと、夢中になっていただけると嬉しいです。■クリスピーサンド商品概要ハーゲンダッツ クリスピーサンド「ザ・リッチキャラメル」商品概要:アイスクリームに塩とカラメルを加え、かじった瞬間からキャラメルの味わいをよりリッチに感じられるようリニューアルした、定番のキャラメルフレーバー。ひと口かじると甘く香ばしいキャラメルが口いっぱいに広がる、リッチな味わいを楽しめます。価格:351円販売先:全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、 デパート他ハーゲンダッツ クリスピーサンド「ホワイト&ブラック〜バニラチョコファッジ〜」(期間限定)商品概要:見た目の楽しさと味わいのバランスにこだわり、クリスピーサンドで初めて2つの面で異なるウエハースを採用。ホワイトウエハースは、バニラの甘い風味と相性が良く、ココアウエハースは、ほろ苦い味わいが特徴です。発売:2025年2月4日価格:351円販売先:全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパート他(エボル)
2025年02月04日山崎賢人、間宮祥太朗、岡山天音。同世代の人気俳優3人は、2024年も『ゴールデンカムイ』『キングダム』『変な家』『Cloud クラウド』に「アンメット ある脳外科医の日記」ほか、数々の話題作で日本映画・ドラマ界を盛り上げた。そして2025年、『アイアムアヒーロー』で知られる花沢健吾の人気漫画「アンダーニンジャ」の実写映画版で3傑がそろい踏み。現代で暗躍する忍者たちを描いた本作で、主人公の雲隠九郎(山崎賢人)、その上官・加藤(間宮祥太朗)、活躍の場所を求めてテロを起こす抜け忍・猿田(岡山天音)とキーキャラクターに扮した。シネマカフェでは、山崎・間宮・岡山の鼎談をお届け。付き合いの長い3人ならではの腹を割ったトークを楽しんでいただきたい。10代での出会い、30代での変化――山崎さんと間宮さんは「水球ヤンキース」(14)以来10年ぶりの共演と伺いました。初対面の印象や、今回の共演で変わったところ/変わらないところを教えて下さい。山崎:「水球ヤンキース」のとき僕はまだ10代で、部活のようにみんなで水球を楽しみながら撮影していました。そんななかで、間宮くんは自分と1歳しか変わらないのにすごく大人っぽい印象がありました。あれからもう10年も経ったのか…という感覚はありますが、久々に共演できてすごく嬉しかったです。間宮:賢人と初めて会ったときは、全身真っ白な服を着ていた印象があります。仲野太賀か誰かが間にいて、初共演で初めましてのときもお互いに「話は聞いています」という感じでした。そうした意味では、完全に初対面というよりはぬるっと入っていった記憶があります。そこから20歳前後で共演が続き、プライベートでも遊んでいたりしたので、僕も「10年ぶりの再共演なのか」と驚きました。――岡山さんは近年、間宮さんとの共演が続いていますね。岡山:そうですね。間宮くんの最初の印象は優しそうで、実際優しかったです(笑)。間宮:雑!(笑)もうちょっと何かないんですか(笑)。岡山:(笑)。賢人の第一印象は…。山崎:白い服着てた?岡山:いや、着てなかったけど(笑)、学生服を着てたね。初めて見かけたのは高校生役のオーディションの場だったから、みんな制服で会場に来ていた記憶がある。山崎:でも天音は制服を着てなかったよね、高校に進学していなかったし。天音に制服のイメージがない。間宮:パーマ時代の話?(※岡山さんは活動初期、約3年ほどパーマをかけていた)岡山:そう。あの頃はとがってて、「俺だ!」って主張するためにパーマをかけてた(笑)。自分はそんな感じでしたが、2人に対して根本的な印象は昔も今も変わりません。『アンダーニンジャ』では賢人との共演シーンはなく、間宮くんともかろうじてあるくらいだったので、今回の現場で大きく印象が変わることはありませんでした。ただ、試写で本編を観たときに、漫画原作ということもありキャラクターがはっきりしているなかで、これまであまり見たことのない新しい山崎賢人・間宮祥太朗に出会えたのがすごく面白かったし、これまで二人を追いかけてきたファンの方々も楽しめるのではないかと感じました。――そんな皆さんも、30代に入りました。例えば仕事の仕方などご自身の中で変わった部分、或いは周囲からの接され方で変化したと感じる部分などございますか?間宮:賢人は先生役とか来るようになった?山崎:一度もやったことないなぁ。岡山:賢人がやるならアクションティーチャーかな(笑)?山崎:そうだね、アクションをしまくるティーチャーなら今後可能性があるかな…(笑)。今回、30代にしてまた学生に戻っちゃいましたが(笑)、10代の時に一緒にいたみんなでまた集まれて、こういう作品を撮ることができて幸せを感じました。決して、当たり前のことではありませんから。――間宮さんが先ほどお話しされたように、求められる役の変化もありそうですね。間宮:そうですね。自分にお話が来る役が変わったり、周りの印象に変化が訪れたり…。下の世代もどんどん出てきますから、自分がいつまで「若手」と思ってもらえるのかとも思いますし。自分の内面においてはゆったり変わっていくものですから、30代に入ったからどうということはあまりなく、どちらかといえば周りが変わった印象の方が強いです。岡山:プライベートの部分も含めて、生活のリズム感が変わっていっている気はします。10代の頃から学園ものを一緒にやってきた同年代の人たちが男女問わずに家庭を持つ話もよく聞きますし、そういったところで年齢を重ねていることは実感します。仕事としては、俳優という職業は常に岐路に立たされているといいますか、選択を迫られていると感じます。年齢を重ねて演じる役柄が変わったり、主戦場が移っていく人もいますが、それは10代のときも20代のときも、30代に入ってからもそうですし、上の世代を見ていても「この先もそうだろうな」という予感があります。いつまでも在り方が移ろいでゆく流動的な職業だからこそ、いつも柔軟でいたいとは思っています。原作「アンダーニンジャ」に触れたきっかけは?――『アンダーニンジャ』での再集結により一層意義を感じられるお話をありがとうございます。元々、原作を山崎さんに薦められたのが岡山さんだった、というお話を聞きました。山崎:そういうことにしています(笑)。というのも、天音とはしょっちゅう様々な漫画の話をしていますし自分も結構な数を読んでいるため、ぼんやりとしか覚えていなくて。岡山:ただ、賢人との漫画談義の中で『アンダーニンジャ』の話はしていました。――なるほど。ちなみに岡山さんは、その時点で猿田がご自身をモデルにしたキャラクターということはご存じだったのでしょうか。岡山:いえ、知りませんでした。山崎:知ってたから薦めたんでしょ?間宮:「これ天音じゃない?」待ちだったんでしょ?岡山:どういうこと!?(笑)いままでの人生で「これ天音じゃない?」待ちしたことがないんだけど(笑)。山崎間宮:(笑)。――岡山さんはどういったきっかけで『アンダーニンジャ』の原作に触れたのでしょう。岡山:元々花沢健吾先生の作品が好きで、その流れで読み始めました。独特の設定で惹きつけられますし、細かいところに花沢先生のオリジナリティやおかしみが込められていて、荒唐無稽なのに妙な生々しさや不思議な説得力があるところがワクワクしました。間宮:どこに着陸するのかわからない予測不能な展開が面白いよね。個性的なキャラクターの役作り――個性的なキャラクターも魅力の一つかと思いますが、三次元化するにあたってどのような工夫を行いましたか?山崎:それでいうと、澤田石和寛さんが一から衣装を作って下さったことが本当に大きいです。有り物の衣装ではなく、忍っぽいシルエットと機能性を両立したものを用意して下さいました。僕だけでなく、浜辺美波さんたちのも含めて全てです。原作好きとしては、「あの装束が現実のものになった!」という感動がありました。九郎を演じるうえでは、忍者は謎めいた存在ですから「何を考えているんだろう?」とわからないような雰囲気を出せるように意識はしていました。岡山:白い宇宙服のようなスーツ「摩利支天」においては何度も衣装合わせをして調整を繰り返しました。3次元に立ち上げる際、どういう解釈で作るのかここまで丁寧に時間をかけて話し合い、具現化していく現場はなかなかありません。福田組や澤田石さんならではだと感じました。猿田でいうと、漫画の中では結構笑っている印象があったため、演じるときも引っ張ってこられたらと思っていました。かつ、加藤のように強いキャラクターではなく劣等生だけど摩利支天の力で戦闘力を底上げしているという設定があったため、強くなさそうだけれど戦闘が始まったら互角以上に戦えるといったギャップがあったら面白いのではないかと考えました。原作の印象と自分の解釈をミックスした形です。間宮:原作がある作品は、内面をいくら準備しても外見が全く違っていたら原作ファンには「あのキャラだ!」と思えないものだと思います。ビジュアル面の肉付けがどんどんできていけば、自ずとその中に入っていける感覚がありました。そのうえで声色や表情を最終的に自分たちが調整して、完成する印象です。自分でいうと、帽子を取って「10点」というところは原作漫画のコマに極力近づけられるようにしました。「もうちょっと眉毛が見えるか見えないかの位置で…」といったように微調整を行いました。――映画の九郎は足技も特徴的ですが、どのような練習を行って習得されたのでしょう。山崎:指の間をグッと広げる練習や、お風呂などでなるべくほぐして臨みました。ただ元々、足の親指と人差し指でものを掴むことをよくやっていたので、得意だったんです。間宮:そうなの?はまり役だね。山崎:まさかここで活きるとは…。岡山:花沢先生が賢人を参考にして描いたんじゃない?俺みたいに(笑)。※山崎賢人の「崎」は、正しくは「たつさき」(text:SYO/photo:You Ishii)■関連作品:アンダーニンジャ 2025年1月24日より全国東宝系にて公開©花沢健吾/講談社 ©2025「アンダーニンジャ」製作委員会
2025年01月23日取材・文:ミクニシオリ撮影:三浦晃一編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部業務内容や職場の人間関係のこと、仕事にまつわることは自分の人生全体を左右する可能性があるからこそ、深く悩み込んでしまいがちです。慎重になるのは決して悪いことではないけれど、悩みすぎると身動きが取れなくなってしまうこともあります。一方、世の中にはいとも簡単に自分の状況を変化させていく人もいます。パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社で営業主務を務める吉田美加さんも、そんな女性の一人。「自分に自信は無い」とは言いながらも、変化を恐れず常に“現在”を見つめることで、よりよいスキルやキャリアを積める場所を見つけることができたといいます。■「なんとなく」で転職してみて積み上がったキャリア吉田さんは何度か転職をご経験されているんですね。でも、ずっとIT関係で働かれているのには理由があるんですか?正直、職種や業種には全くこだわりが無いんです。実は大学時代にダブルスクールで税理士を目指していたこともあり、もともとは会計に携わる仕事をしようと思っていたのですが、会社の中で過ごす総務系の仕事に向いているか自信が持てず、会計ソフトの会社に営業として入社しました。転職ではその時に持っているスキルを買われることが多く、その後も会計かITをきっかけにお声がけいただいた結果、現在のキャリアが積み上がっています。キャリアって気づくと積み上がっているものですもんね。ですが、会社を変えることに抵抗はありませんでしたか?どちらも辞めたい理由が明確にあったわけではなくて……実は、私はけっこう行き当たりばったりな人間なんですよね。ちょっと休みたいな、とか、30歳を迎える前に新しい挑戦をしてみようかなとか、正直なんとかなるだろ、という軽い気持ちで転職してきました(笑)。なるほど……!メンタルが強いですね。いやあ、そんなことはなくて……ただ、何事も深く考えすぎないことがモットーなので。1社目が上場企業、2社目が中小企業で、もう一度大きい会社でトライしてみたいという気持ちがあり、パナソニック インフォメーションシステムズに入社を決めました。パナソニック インフォメーションシステムズは母体が大きな会社ですし、ここでなら今まで経験したことが無い仕事ができるかも、という期待もありました。では、パナソニック インフォメーションシステムズのこと、そして吉田さんの現在の職種についても詳しく教えてください。弊社の事業は大きく二つに分かれています。一つは、パナソニック グループ全体のシステムを管理・運用・導入などを行う事業。もう一つは、パナソニック グループ以外のお客様に対してSIerとしてシステムを提供する事業で、私はその営業部隊に属しています。ソフトウェア会社を2社経験しましたが、営業としては今の会社での仕事が一番楽しいのではないかと思っています。お客様に合わせていろいろな商品を取り扱えるので、コミュニケーションの幅も広いんですよね。■「会計」と「コミュニケーション」、得意なことには関わり続けたのも成功のカギ吉田さんはもともと職種や業種にこだわりはなかったとおっしゃっていましたが、15年近くIT業界でご活躍されていますよね。どうしてそこまで長く続けることができているのですか?私はコミュニケーション能力の高さが自分の長所だと思っていて、人と話すことや交流だけでなく、交渉も好きなんです。業界はずっと同じですが職種は変えていて、もともと好きな“会計”か“コミュニケーション”の分野で活躍できていることが大きな理由だと思います。もともと飽き性なタイプなのですが、営業と総務、両方を経験しながら、より自分に合う会社を探していた中で、弊社は私にぴったりの会社でした。より向いている分野を見極めながら、影響できる範囲を少しずつ広げられたので、似たことをしているようで少しずつ成長できていることが、やりがいにも繋がっていますね。営業職は数字やノルマなどのプレッシャーもあると思いますが、大変さを感じることはありますか?今の仕事が好きなので、つらいと思うことはあまり無いですね。私は特に新規営業が好きなんです。イチから自分で開拓した企業さんと交流・交渉がうまく進むとうれしいですし、大きな額の見積もりを作るのも楽しいです。営業も請求まわりで会計を扱うので、大好きな数字と向き合っている時間は、働いているというより趣味感覚ですね。営業職で“好き”を実践できているなんてすごい!最近、自分へのご褒美で高級車を購入されたとの噂も聞きましたが、働き方やワークライフバランスにも満足されていますか?営業職はどうしても出社日が増えがちではあるのですが……必要なタイミングで出社して、あとはリモートワークをしているので納得感はありますね。リモートワーク後の平日夜や休日には最近購入した愛車でドライブしたりオンオフのメリハリがあって、ワークライフバランスも満足しています。■置かれた場所で咲く花もある。タスクをこなして自信を養う仕事だけでなく趣味も満喫されているんですね。今も十分充実していると思いますが、今後のキャリアには展望はありますか?正直、こだわりは無いですね。最近は後輩の育成にも携わっているのですが、現場に出るのも好きなんですよね。だけど、会社の人間関係が好きだから、上司から見て私が適切な人材であればそのポジションへチャレンジもしてみたいです。まさに、やってくる波に乗っていくような生き方ですね。良いのか悪いのかは分かりませんが、来るものを拒まなかった結果、新しい経験が積めた時も多かったので、後悔もありません。人間関係に恵まれた会社が多かったので、好きな人たちと一緒だから、なんでもがんばれるのかもしれませんね。現在の会社やチームの雰囲気も気になってきました。弊社は本社が大阪にもあるので、ノリがいい方が多いかもしれませんね。リモートワークもありますが、チーム単位での社内交流はけっこう盛んです。強制される雰囲気も無いので、みんな好きな時に絡みに来てくれます。私は飲み会や交流が好きなので、誘われればなんでも行っちゃう派です!それぞれの価値観が大切にされていていいですね。吉田さんも社内では中間層の年齢だと思うのですが、後輩とのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?後輩自身が納得感を持てているかどうかは注視していますね。ひとまわりも上の人と交流するのは大変だと思うので、上から目線にならないようにしたり、分からないことを聞きやすい人であれるように気をつけています。なんていい先輩なんだ……吉田さんって、かなりポジティブですよね?実際はくよくよした部分もあると思うんですけど、いつからか悩んでいる時間ってもったいないなと思うようになったんですよね。仕事に熱中している間は、見えない将来の不安のような、答えの無い疑問に向き合わずに済むと思っています。だから私は、働くのが好きなんですよね。最後に改めて、吉田さんが働く理由や軸を教えてください。いろいろ深く考えるのは苦手なタイプなので、目の前にいるクライアントや、チームのみんなのことを大切にしていきたいと思っています。骨を埋めたいと思える会社が見つかったので、あとは仕事効率をアップしていくだけ。悩んだって失敗する時はあるから、まずはやってみるのが私のポリシーです。営業以外の職種も経験してきましたが、シンプル化が私の人生の軸かな。タスクをこなすと自信に繋がっていくと思うので、これからもコツコツがんばっていきたいです。
2025年01月14日日本郵政は、俳優の趣里さんを起用した、日本郵政グループの新TV-CMを公開しました。新しいコミュニケーションの一環として1月14日から、TV-CM「3色の鳥・登場篇」(15秒/30秒)(2024年7月から放映中)につづく第二弾の新TV-CM「3色の鳥・いつでもそばに、をもっと。篇」(15秒/30秒)を全国で放映します。趣里さんが出演する同CMは、郵便局が暮らしの中でいつでも身近にある様子を描いています。「いつでもそばに、をもっと。」というメッセージには、「リアル」の郵便局の価値はそのままに、各種アプリなど「デジタル」の利便性を掛け合わせ、郵便局がユーザーに「いつでもどこでも」サービスを利用できるよう進化し、日々の暮らしの中でもっと身近にいるという想いが込められています。同CMは郵便局の魅力を発信するWebメディア“JP CAST”内の特設ページでもメイキングインタビューと共に発信。また、日本郵政の公式ソーシャルメディアアカウントでは、新しいコミュニケーションのアイコンである3色の鳥『チッチチ』の魅力を訴求する3本のショート動画を発信します。(“JP CAST”内特設ページは1月10日 15時に更新。公式ソーシャルメディアアカウントでは1月7日からショート動画を順次配信。)■新TV-CM「3色の鳥・いつでもそばに、をもっと。篇」3色の鳥『チッチチ』の登場と共に始まる、趣里さんの「そばにいるって安心だ」というナレーションに、「大切だ」と趣里さん自身が呼応するシーンから始まる新TV-CM「3色の鳥・いつでもそばに、をもっと。篇」。『チッチチ』が、街を見下ろせる高台から飛び立ち、街角の郵便局や、夜の駐輪場、家族へ手紙を届ける郵便局社員のもとなどに現れます。アプリなどデジタルの進化で、郵便局のサービスが24時間ユーザーとつながり、日本郵政グループが、“いつでもそばに”あることを『チッチチ』が紹介していきます。全国の郵便局に加えてデジタルチャネルを利用する人々の周りを軽やかに飛び回る、『チッチチ』の視点を中心に描かれるストーリーを通して、「いつでもそばに、をもっと。」という想いを表現。3色の鳥『チッチチ』は2024年7月から展開している日本郵政グループ横断の新しいコミュニケーションのアイコンとして、グループ各社のTV-CMなどにも登場しています。◇<撮影エピソード>趣里さんの出演シーンの撮影およびナレーション収録は、12月上旬、都内の高台で行われました。趣里さんは、前回同様の日本郵政のコーポレートカラーの赤を基調とした華やかなワンピースで登場。穏やかな自然光が差し込む高台で「よろしくお願いします!」と元気に挨拶し、カメラ前にスタンバイしました。高台から住宅街を眺めるシーンでは、趣里さんの穏やかで優しい表情に撮影スタッフが見とれてしまうほど。監督もすかさず一発OKを出し、現場では「さすが趣里さん!」といった声も上がっていました。その後も趣里さんは細やかな表情の違いや、表現の違うナレーションなどの対応にも笑顔で応え、撮影は順調に進みました。様々な演技に、拍手で称える撮影スタッフたちに対して、趣里さんも「ありがとうございます!」と満面の笑みで応えていました。さらに、SNS用のショート動画撮影でも、複数パターンのコメント撮影に、声のトーンや表情、ポーズを変えながら挑み、撮影スタッフに「いまの大丈夫でした?」と聞く趣里さんでしたが、スタッフからは「かわいすぎる!」と声が漏れるなど和気あいあいとした雰囲気となりました。撮影時の天気の良さと趣里さんの穏やかで優しい様子も相まって、日本郵政グループが“いつでもそばに”いる存在として安心感を与える姿が具現化されたような撮影となりました。■<趣里さんへのインタビュー>2025年の抱負は「いつでも“思いやり”をもっと」――CM撮影の感想をお聞かせください。【趣里さん】:久しぶりに皆さん(CM制作チーム)に会えて嬉しかったのと、今日は外での撮影だったので、(陽の光が)暖かくて、「いつでもそばに、をもっと。」というフレーズがすごく心に来ました。――見どころや印象に残ったシーンを教えてください。【趣里さん】:風景がすごく綺麗だったのとセリフの一言一言がすごくいいなと思って、それがいちばん印象的でした。――第一弾CMから『チッチチ』の声、日本郵政グループ全体の共通ナレーションも 担当されています。周りから何か反応や感想はありましたか?【趣里さん】:「あの鳥が可愛い!」とか「色もすごく可愛くて、印象に残るね」というのを沢山言っていただいています。あと、ナレーションをしているときも楽しくて、映像との掛け合いがすごく面白かったです。だんだん(『チッチチ』の)キャラクターが出来上がっている感じがしています。――ちなみに……趣里さんが思う、『チッチチ』の魅力、かわいいところは?【趣里さん】:すっと来て、大事なことを言っていく、というような存在です。ダンスもできたり、ラップもやったり、すごいアーティストなのかな?と思ってます。 次の『チッチチ』は何をするんだろうっていうのがワクワクしています。――今回、『チッチチ』の魅力を訴求するショート動画も公開されますが、ショート動画についての見どころを教えてください。【趣里さん】:クイズが入っているのですが、これが難しくて。けっこう何回も見ちゃう感じになっています。あとは、『チッチチ』の特技のダンスや動きが魅力的で面白い動画で、ついつい見てしまうので、みなさんに楽しんでいただきたいですね。――昨年も大活躍の一年でしたが、多忙な時間の中でも届いて嬉しかった、プレゼントなどはありましたか?【趣里さん】:ちょうどお誕生日にドラマの現場だったのですが、その時皆さんに大きな似顔絵入りのケーキをプレゼントしていただいて、みんなで食べた時間がすごく楽しかったです。また、スタッフさんや共演者の皆さんがプレゼントをくださったのも嬉しくて、頑張ろうって思いました。手紙とかもすごく嬉しくて、やっぱり贈り物って嬉しいですし、自分も返したいなと思いました。すごく温かい気持ちになりました。――昨年、多忙な日々の中でも支えになった趣里さんにとって 「いつでもそばに」あったもの、肌身離さず持っているもの・大事にしているものが あれば、教えてください。【趣里さん】:おせんべいが好きで……。現場に置いてあったら食べるのですが、なんだかちょっと噛みたくなっちゃうんですよね。あと、セリフ覚えている時とかも、口寂しかったりとかするときがあるので、おせんべいは“いつでもそばに”あります。――新年になり、いよいよ仕事始めとなりますが、趣里さんが今年も俳優として活動するにあたって、「いつでも〇〇をもっと」(していきたい)などの抱負があれば教えてください。【趣里さん】:“思いやり”です。やっぱり 自分ひとりで生きているわけではないので、思いやりを感じたりする時ってすごく前向きになれるし、ちょっとしたことでも思いやりを忘れずにいたら、なんかうまく回っていくというか、前に進んでいけるなっていうのをドラマの現場とかも通して思ったので、みんなが心身ともに健康でいられるっていうのがいちばん素敵だなと思うので、そのためには、隣にいる人に優しさを忘れず、思いやりを忘れずいきたいなと、そういう年にしたいなと思いました。■TV-CM 概要「3色の鳥・いつでもそばに、をもっと。篇」(15秒/30秒)出演:趣里オンエア開始日:2025年1月14日オンエア地域:全国(エボル)
2025年01月06日シネマカフェでは映画やドラマなど映像作品に関わる様々な方々に取材を敢行。今年掲載した記事の中から、多くの方に読まれた人気記事をランキングにして発表する。(2024年01月01日~2024年12月25日の期間の【インタビュー】に関する記事のアクセス数を元に集計したランキング)1位 【インタビュー】佐藤健×山田智和監督、作り上げたのは“いま”を映す恋愛映画(2024年03月20日公開)米津玄師の「Lemon」やあいみょんの「マリーゴールド」ほか、名だたるMVを手がけてきた山田智和が、佐藤健を主演に迎えて劇場長編映画デビューを果たした。川村元気の小説「四月になれば彼女は」を映画化した本作は、精神科医の藤代(佐藤健)と失踪した婚約者・弥生(長澤まさみ)、大学時代の恋人・春(森七菜)をめぐる切ないラブストーリー。初対面から4年。脚本会議から参加し、共にクリエイティブを高めあってきた山田監督と佐藤さんの“同世代対談”で、健全な創作環境づくりについて語り合ってもらった。【インタビュー】佐藤健×山田智和監督、作り上げたのは“いま”を映す恋愛映画2位 【インタビュー】俳優デビューから5年、快進撃が続く高橋文哉――自分の知らない自分の顔が見たくて(2024年01月31日公開)高橋文哉は、俳優デビューして5年。主演ドラマ、映画、CMなど、その快進撃はとどまるところを知らない。当の本人はと言うと、「まだまだ」といった鋭い表情ではるか先を見据えていた。満足をしない自分への飢餓がガソリンとなり、次の大きな道を拓いているのだろう。こうした進化に、観る者も惹きつけられるわけだ。2024年の最初の出演作は、竹内涼真主演による『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』となった。高橋さんは、竹内さん演じる間宮響と終末世界で行動を共にすることになる柴崎大和役として登場。喧嘩っぱやく、熱い側面を持つ元とび職人の大和は、いつも無我夢中で考えるより先に行動するタイプで、どこか初期の響を彷彿とさせた。何よりも、大和は高橋さんがこれまで演じることのなかった役柄となり、まさに新境地を踏んだといえる。劇中で大和が宿した「愛する人を必ず助けたい」という一途な想いは、俳優業にメラメラと全身全霊を傾ける今の高橋さんの真っすぐさに通じるよう。その想いをインタビューで聞いた。【インタビュー】俳優デビューから5年、快進撃が続く高橋文哉――自分の知らない自分の顔が見たくて3位 【インタビュー】石原さとみ&中村倫也、共演作で得た新たな“気づきと感覚の共有”(2024年05月13日公開)万引き事件が様々な人物に波紋を広げていく『空白』ほか、長所も短所もひっくるめた人間の本質を悲喜劇的に描き続ける奇才・吉田恵輔監督(※吉は<つちよし>が正式表記)。彼が新たに書き下ろした最新監督作『ミッシング』は、幼い娘が行方不明になってしまった両親の苦しみを描いた物語だ。のちに主人公・沙織里を演じることになる石原さとみが「この人なら自分を変えてくれるかもしれない」と吉田監督の作品に感銘を受け、伝手を辿って直談判し、その3年後に彼女の手に渡った脚本が『ミッシング』だった。 沙織里と夫の豊(青木崇高)を取材するテレビ局員に扮したのは、中村倫也。石原さんが壊れてゆく一人の母の姿をひりつく熱演で魅せれば、中村さんが他者の人生を食い物にしがちな世の中で苦悩する報道者の心情を細やかに体現し、動と静の競演が展開する。シネマカフェでは石原さんと中村さんの対談インタビューを実施。撮影の舞台裏からそれぞれの芝居における“感覚”の共有まで、存分に語り合ってもらった。【インタビュー】石原さとみ&中村倫也、共演作で得た新たな“気づきと感覚の共有”4位 【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」(2024年06月10日公開)『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』『PLAN 75』『ある男』『少女は卒業しない』等々、数々の力作で存在感を発揮してきた河合優実。2024年も『四月になれば彼女は』やドラマ「不適切にもほどがある!」「RoOT / ルート」、アニメ映画『ルックバック』、第77回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品された『ナミビアの砂漠』ほか、話題作がひしめく彼女が『あんのこと』では、幼い頃から母親に虐待され、売春を強要され、その過程で薬物依存症になってしまった21歳の杏を熱演。人情派の刑事・多々羅(佐藤二朗)とその友人でジャーナリストの桐野(稲垣吾郎)と出会い、どん底の人生をやり直そうと奮闘していく。生傷が広がっていくような壮絶な役どころを、一人の人物として寄り添い、文字通り「生きて」見せた河合さん。舞台裏と共に、表現者としての信念や葛藤を語ってもらった。【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」5位 【インタビュー】新垣結衣、芝居は「見え方を意識しない」経験から導かれた表現術(2024年06月03日公開)ヤマシタトモコの人気漫画を、新垣結衣主演で実写映画化した『違国日記』。ある理由から疎遠だった姉が事故死。姪の朝(早瀬憩)と久々に再会した小説家・槙生(新垣結衣)は、葬儀会場で腫れ物を扱うような目に遭っている彼女を見て「たらい回しは無しだ」と朝を引き取る決断をする。その日から始まる同居生活を描いた物語だ。「あなたの感情も私の感情も自分だけのものだから、分かち合うことはできない。あなたと私は別の人間だから」というセリフに代表されるように、真の意味で他者を尊重しながら寄り添う道を探していく人々を温かく見つめる本作。原作の大ファンという新垣さんに、撮影の舞台裏と自身の芝居に対する「無意識の変化」について伺った。【インタビュー】新垣結衣、芝居は「見え方を意識しない」経験から導かれた表現術6位 【インタビュー】真田広之、日本とハリウッドを繋いだ20年の学び「SHOGUN 将軍」(2024年02月29日公開)ハリウッドで活躍する。言葉にすると簡単だが、もちろん容易なことではない。それを誰よりも知る1人が、真田広之だろう。『ラスト サムライ』でのハリウッドデビュー以来、彼は世界の第一線で戦ってきた。そんな真田さんが主演を務め、プロデュースも手掛け、ディズニーが持つ製作会社の一つ「FX」が制作するスペクタクル時代劇、「SHOGUN 将軍」が全世界で配信中。天下人が死去し、その座を狙う武将たちの思惑が入り乱れる戦乱の世界を、真田さんはハリウッドでどう作り上げたのか。そこには、細やかな気配りと揺るぎない信念があった。【インタビュー】真田広之、日本とハリウッドを繋いだ20年の学び「SHOGUN 将軍」7位 【インタビュー】山本耕史&仲里依紗が回顧『はたらく細胞』でのアクション経験や親としての思い(2024年12月20日公開)細胞を擬人化するという斬新な設定が話題を呼び、シリーズ累計1,000万部を突破した清水茜による人気漫画「はたらく細胞」。本作&スピンオフ作品「はたらく細胞BLACK」を原作にし、シリーズ史上初となる人間の世界も加わった実写映画『はたらく細胞』。物語は、酸素を運ぶ赤血球(永野芽郁)、細菌と戦う白血球/好中球(佐藤健)をはじめとした37兆個の細胞たちが、人間の健康と命を守るために日夜全力ではたらく様子が描かれる。白血球は外部から体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する細胞で、いわゆる武闘派。そんな白血球とともに暴れまわってくれたのが、山本耕史演じるキラーT細胞&仲里依紗演じるNK細胞なのだ。山本さん&仲さんには、豪快なアクションに挑んだ際の驚きのエピソードのほか、本作を観て思わず振り返る「どきっとした悪習慣」など、賑やかにクロストークしてもらった。【インタビュー】山本耕史&仲里依紗が回顧『はたらく細胞』でのアクション経験や親としての思い8位 【インタビュー】見上愛×宮世琉弥、家族思いな二人が「これだけは絶対負けない」意外なコト(2024年08月26日公開)「禁止」と言われると、さして興味のなかったものでも気になってしまい、かえって欲求が高まってしまう。そんな人間の性、いわゆるカリギュラ効果をそそるような、新たなNetflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」が独占配信中だ。ドラマの舞台は“男女交際禁止”の校則が制定された超エリート高校。性交渉をした生徒は、校則違反で退学処分という厳しい内容に緊張が走る校内。生徒同士が見張り合う中、嫉妬・羞恥・背徳・憎悪が渦巻く前代未聞のバトルロワイヤルが始まるのだ。主人公の高校生・有沢唯千花を演じたのは大河ドラマ「光る君へ」の藤原彰子役や、主演映画『不死身ラヴァーズ』に出演するなど、活躍目覚ましい見上愛。そんな見上さん演じる唯千花が惹かれていく真木陵悟役となったのは、主演映画『恋わずらいのエリー』、ドラマ「くるり~誰が私と恋をした?~」など、こちらも数々の話題作に出演する宮世琉弥。勢いに乗る二人の若手俳優に、センセーショナルな新時代の学園ドラマ出演への思い、彼らの「絶対これは負けない」というバトル事情まで聞いた。【インタビュー】見上愛×宮世琉弥、家族思いな二人が「これだけは絶対負けない」意外なコト9位 【インタビュー】高橋文哉、田中圭からも学んだ“座長の在り方”「あのときの意味を再認識」(2024年09月20日公開)高橋文哉と田中圭が、4年ぶりに再共演を果たした。「ブラッシュアップライフ」の水野格監督がオリジナル脚本を書き下ろした映画『あの人が消えた』だ。高橋は担当先のマンションで巻き起こる事件から住人を救おうとする配送業者・丸子を、田中はお調子者に見えて、丸子を何かと気にかける先輩・荒川に扮している。初共演時、座長としての背中を見せた田中さんと、座長として迎え入れる立場にまで成長した高橋さん。「経験」をテーマに、それぞれの想いを語ってもらった。【インタビュー】高橋文哉、田中圭からも学んだ“座長の在り方”「あのときの意味を再認識」10位 【インタビュー】井浦新、海外出演作で伝える「違うを認めること」の大切さ(2024年06月07日公開)アメリカ映画『東京カウボーイ』で、初の海外作品主演を果たした井浦新。冷静沈着、効率至上主義のビジネスマンが、米国モンタナ州で思いがけず人生の豊かさに出会う物語の中で、異文化と触れ合ったことを機に自らを再生させる主人公ヒデキを演じている。役柄同様、勝手の異なる現場を体験したという井浦さんに、撮影について、そして映画の魅力について聞いた。【インタビュー】井浦新、海外出演作で伝える「違うを認めること」の大切さ(シネマカフェ編集部)
2024年12月30日取材・文:ameri撮影:佐々木康太編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部12月6日に公開された、美しく神秘的な南国の海を舞台にした感動のミュージカル・アドベンチャー『モアナと伝説の海2」。海に選ばれたプリンセス・モアナの新たな冒険が前作よりも大きなスケールと映像美で表現される。今作で、モアナと一緒に冒険へ向かう、 島の歴史や伝説に詳しい“伝説オタク”の青年・モニの日本吹替版声優を務めるのが小関裕太さんだ。今作の魅力のほか、ミュージカル・アニメーションの声優に決まった時の気持ちや、自身が人生という名の冒険を進む中で大切にしている価値観を話してもらいました。■モニとの共通点は“好奇心旺盛なところ”──今回、出演が決まった時はどういった気持ちでしたか?歌を歌うキャラクターの声優を務めることが、役者としても、ディズニーに影響を受けた人間としても憧れで夢の一つだったので「かなった!」という驚きと「自分でいいの?」という感覚がありました。昨年公開された作品で、アニメーション映画の声優を務める経験を経て、とても楽しかったんです。そもそもミュージカル・アニメーション作品がそれほど多くなく、毎年いろいろな作品が出ているわけではない中で「僕の声と合うキャラクターと出会えるのはいつなんだろう」「きっと遠い未来なんだろうな」と思いつつ、それまでに技術と経験を培っていこうと考えていたところ、このタイミングでオーディションに受かったのでとても驚きました。──オーディションではやはり強い思いが……?ここだけの話、どこか「どうせ受からないだろう」という思いがありました。もちろんその場で全力は出しましたが、そういった思いがあったからいい意味で力が抜けていたのかな。後悔なく出来たらきっと楽しい時間になるだろう、このオーディションも一つの経験になるだろうと緊張せずワクワクした気持ちを持って挑めたことが、今回のご縁につながったのだと感じています。──今回、小関さんが演じるモニという役はどんなキャラクターですか?ご自身と共通する部分はありますか?好奇心が旺盛で、好奇心を原動力に生きているキャラクターです。僕も好奇心が旺盛なので、そこは共通しているかな。好きな物と対峙した時に興奮する気持ちにすごく共感しました。あとは、喜怒哀楽がはっきりしているんですよね。悲しい時はすごく悲しい顔をするし、うれしい時にはとってもうれしい顔をして、ちょっとお調子者なところもあったり。本当に表情豊かなキャラクターだなと思います。■人生では険しくもワクワクする道を選ぶ「新しい景色を見たい気持ちが強いです」──今作でも“冒険”がテーマとして描かれていますが、小関さんご自身は平坦な道を進む派ですか?それともモアナたちのように険しくもワクワクする道を選びますか?僕は、平坦な道はあまり好きではないですね。常にワクワクしていたいし、新しい自分を知りたいし、新しい景色を見たい気持ちが強いです。出来るようになった自分が見た景色や、いろいろな作品や出会いを経た時の「こんな考え方もあるんだ!」という自分の中での変化、追い詰められ続けてようやくたどり着いたゴールで見た夕日などこれまでの人生でも感じることがあり、次の景色を見てみたいという欲は強いと思います。今回も新しい景色でしたし、何よりモアナと一緒に歌えることが初めての経験でワクワクしました。──険しい道でも、乗り越えていけるタイプですか?そうですね。確証がなくても自分の成功した姿は考えている方だと思います。──その道を楽しむコツは……?目的と、自分がどうなりたいのか、どういう人でありたいのかを考えることですかね。僕は走り続けている人の姿を見ると走る原動力をもらえるので、僕もそうありたいなと思っています。目標としている尊敬できる先輩方がいるのですが、彼らが自分の時間をパフォーマンス向上に費やし突き詰めている姿を見て「こんなところで挫けていられないな」と思わせられてきましたし、そのたび「先輩方にはかなわないな」と感じながら今があるので、僕もその姿勢でい続けたいです。■レジェンド2人といつか共演できたら──これからの人生で冒険したいこと、挑戦したいことはありますか?小さい頃からの夢の一つなんですが、カフェを作りたいんですよね。時間もお金ももっと費やすべきところがあるので、いつかなえられるかは分かりませんが……(笑)。僕自身、カフェで台本を読んだり仕事をしたりすることが多いんです。家よりもざわついているカフェの方が集中できるので、そういった落ち着く空間をいつか作りたいです。──仕事で挑戦したいことはありますか?僕、スティッチが大好きで。というのも、作品はもちろん、声まねをするくらい好きなんです。以前、山寺(宏一)さんの前で一方的に「初めまして。僕、実はスティッチの声まねだけは得意なんです。やらせてもらいます!」と伝えて披露したこともあります(笑)。優しい方なので褒めてもらいました。スティッチとは言わずとも、山寺さんと共演してみたいです。そして、山寺さんとも交流が深い戸田恵子さんは、僕が小学5年生の時に出演したドラマでお母さん役を演じてくださっていて、今でもずっと交流があります。お仕事はその時以来ないのですが、プライベートではよくお会いしており、戸田さんともご一緒できる機会があればうれしいなと思っています。声優が一つ僕にとってもルーツになったので、レジェンドのお二人と、もしチャンスがあるならば共演の機会に巡り会えたらいいなと思います。■くじけそうな時に見たくなる作品に──最後に改めてマイナビウーマン読者に向けて、今作の見どころを教えてください。第1作目も素晴らしく、たくさんの方が魅了されたと思います。モアナが皆さんの背中を押してくれる存在になったのではないでしょうか。2作目では、映像美も音楽美も、いろいろな分野でグレードアップしていて、目で耳で癒やされ楽しめる作品になっています!そして、モアナが成長しさらに強くなっていて、くじけそうな時に見たくなる映画に仕上がっていると感じました。物語を通して、仲間同士の絆の大切さや大変さ、海の厳しさなど、綺麗なところだけではない部分が描かれており、それが苦難という部分でどの世代にも重なるはず。そして、その苦難を乗り越えるための言葉がたくさん詰まっている作品なので、ぜひ今劇場で出会ってもらい、頭の片隅に残るならば、その方が壁にぶつかった時にもう一度見返してもらったら、勝手に涙が出てくるのではないかと思います。『モアナと伝説の海2』愛する人たちを守るため、海を愛する“モアナ”が迷いと葛藤を乗り越え、相棒のマウイ、そして新たな仲間たちと果てしない冒険に漕ぎ出した先に待ち受けるものとは……?ディズニーらしい至極の音楽が彩る感動のミュージカル・アドベンチャー。<大ヒット公開中>配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン(C)2024 Disney. All Rights Reserved.
2024年12月29日取材・文:瑞姫撮影: 佐々木康太編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部ヘアメイク:菅野 史絵スタイリスト:町野泉美真っ直ぐ、一生懸命に頑張っていても、報われない時がある。不幸が重なって、日々に嫌気が差して、「どうして自分ばかりこんな目に遭うのだろう?」と挫けそうになってしまう時がある。前向きに生きることが大切だと分かっていても、“大人なのだから”と気持ちを切り替えたくても、人間はそう上手くいかない。そういう経験がある人は、少なくないように思う。そんな風に“不遇”に見舞われながらも、決して諦めずに立ち向かう1人の新人作家の逆襲劇を描いたのが、2024年12月27日より全国公開される、『私にふさわしいホテル』だ。同年2月に惜しまれながら全面休館を迎えた「山の上ホテル」を舞台にした本作品では、好きな小説のためならありとあらゆる手を使ってでも逆境に立ち向かう、破天荒でチャーミングな主人公・加代子を俳優やアーティストとして活躍するのんさんが演じている。“自分の好きに対して純粋”でいる、そのためだったらなんだってする。そんな真っ直ぐに生きる主人公について、少し似たところがあると明かしてくれたのんさん。作中の加代子のように、同じように理不尽な出来事や不遇な境遇に直面した時はどうやって乗り越えるのかと聞くと、意外にも私たちと同じように悩み、嫉妬する人間らしい一面を見せてくれた。そして、彼女が好きだと語った「自分からスポットライトの下に走っていく」という加代子のセリフと重なる、“自分の好きに対して純粋”な思いで物事を乗り越えてきた彼女の真っ直ぐな強さを知ることができた。■大切にしたのは好きの“純度の高さ”不遇な境遇や世の中の理不尽さに対する怒りや反骨精神は、ともすれば憎しみに変わるだろうし、湿っぽく重いものになりがちだ。しかし、今作では加代子の決して正しくはないやり方だけど、どこか憎めないキャラクターと、文壇の裏側に迫るリアリティとスピード感あふれる展開で、コミカルかつドラマティックに描かれている。実際に加代子を演じたのんさんは、どのようにして加代子を応援したくなる存在となるように演じたのか。「本当に悪いこともしているし、人としてどうかということもしてるので、これが人の目に映った時にも、気持ちの良い人物であるように気をつけました。加代子は『自分が書いた小説を読んでほしい』『小説が好き』っていう気持ちだけはすごく純粋なんです。そこにはよどみがなくて、そのためだったら悪い人になってしまうけれど、それ以外はすごく良い人。だからこそ、“好き”という気持ちの純度の高さを意識しました。何事もめちゃくちゃ突き抜けさせる。迷いをなくして、猪突猛進さを出せればと思いながら演じました」自分の好きに対して真っ直ぐに走る。その道を阻むものだからこそ、跳ね除けようとする。悪い人ではあるものの、嫌な人に映らないのは、加代子の根っこの部分の純粋さとのんさんの気持ちいいくらいに振り切った直向きな演技からだろう。改めて、加代子を動かす感情の根底にあるものを「すごく純度の高い“好き”があるからこそ、権力やしがらみが自分の好きなものに関わってくるのを煩わしく感じるのだと思う」とも話すのんさん。どこか共感するように語る姿に、加代子と似ている部分はあるのかと聞くと、「少し似たところはありますね。だから、ちょっと私も人でなしですよ」とお茶目に笑ってくれた。■怒りも、悔しさも、原動力として昇華する好きのパワーは偉大だ。好きなことだからこそ、努力を努力と思わずに頑張れることもある。ただ、のんさん演じる加代子は、不遇に見舞われたからこそ「こんなことで負けてたまるか」と、純度の高い好きに加え、怒りや悔しさをエネルギーとして加速させている。「悔しさをバネに」とはよく言ったものだが、のんさん自身もそういった経験はあるのだろうか。「怒りが原動力になる時はたくさんあります。というか、ほとんどです。エンジンをかける時にめちゃくちゃ力になるんですよ。怒りのパワーが強すぎて周りが見えなくなるような“使えない怒り”と、エンジンが掛かってどんどんパワーになっていく“使える怒り”の両方があるんですけど、使えない怒りが、使える怒りになる時もある。自分が残したものの表現は、全部使える怒りがアウトプットされたものなんです」怒りを原動力にするという行為は、好きだからこそ感じる悔しさの上に、「このままで終われない」「負けてたまるか」という強い意志があってこそ成り立つ。一方で、怒りは強いエネルギーである反面、感情に翻弄されたり、落ち込んだりしそうなものだが、それはどうやって昇華しているのか。「実は『自分がこの役やりたかったな』と嫉妬することもあるんですけど、『私だったらこうやるな』とか『これは負けたな』って思えると、自分の課題が見えてくるし、相対的に自分を良くしていく方法が明確になっていくんです。他の作品を見ていろいろなところから情報をキャッチしたり、実際に自分で練習してみたり。そうやって日々のセンサーが鋭くなる感じですね」そうやって、マイナスにふれがちな感情すらもプラスに変え、演技に昇華するのんさん。しかし、『私にふさわしいホテル』を演じた時は、壁にぶつかったと感じたという。「堤監督に撮影が始まる前に、『私のいつものカット割りじゃなくて、普通の映画みたいに撮るので、舞台みたいに丁々発止でテンポよくやってください』と言われたんです。現場でも演出をいただいて、いろんな動きをしながら会話していくんですけど、早口なセリフだとつまずいたり、噛んだりすることが多くて。その中でも、東十条先生役の滝藤賢一さんや、田中圭さんが素晴らしくやっていらっしゃるのを見て、私はもう全然駄目だって。本当にちょっと修行してもう一回撮りたいなって……」周りと比べて、上手くできない自分に悔しさを覚えることはよくあることだ。ただ、その感情が沸いた時にも歩みを止めず、今できることを考えて動いてきたからこそ、今のキャリアがあるのだろう。「舞台をやってきたからこその基礎的な技術とか、基礎があるからこそ持っているテクニックとかテンポというのを身につけたいなと思いましたね。舞台の経験がそんなにたくさんあるわけじゃないんですけど、その時に勉強になったことを思い出して、今回必要だなって思うことを日々練習して、動きに取り入れた時にセリフが言えるように練習しました」■迷宮入りして答えが出なくても答えの出ないことをいつまでも悩んでいても仕方ない。そんなことは分かっていても、ぐるぐると考えてしまう時は誰にだってある。頭では前向きに考えるようにしても、いつのまにか感情が引っ張られてしまい情けなく感じる。そんな風に、理不尽な出来事や不遇な境遇に直面した時や、上手く行かなくて悩んでいる時になかなか気持ちが切り替えられずに悩む人に対してアドバイスを求めると、のんさんは「難しいですよね」と気持ちを慮りながらも、こうアドバイスをくれた。「自分が上手くいかないなって思っている時って、結構迷宮入りして答えがでないものだと思うし、歯痒くて焦っちゃうんですけど、ちょっと待って時間が経ってみると、『なんだ、こういうことだったのか』と分かる時が来ると思うんです。そのうち自分のスキル、生き方、やり方みたいなものが追いついて、たやすくできるようになっていたりするし、悩んだ先に、答えが待っていることがある。だから今、うまくいかなくても焦るんじゃなくて、“今は上手くいかない自分なんだ”って思って一回置いとく。そうやって寝かせることも大事かなって」上手くいかない時は辛い。辛いからこそ、早くその現状を打破したくて焦ってしまう。けれど、そうやって悩み、考え、試行錯誤することも楽しめれば、いつの間にか楽しんだことがメインになっていくと、のんさんは教えてくれた。「未だに私もどうしたらいいんだろうってなりますけど、本当にどうにもならない時は、自分をもう全肯定してくれる周りの人に、人を選んで助けを求めるのがいいかなと思います」悩んでも悩んでも答えが出ない時は、今はそういう時なのだと納得させる。挫けそうになった時は人に素直に助けを求める。複雑に考えてしまいがちな自分の中の大きな悩みこそ、シンプルに考えることができれば、のんさんが言うように、いつのまにか自分のスキル、生き方、やり方みたいなものが追いついて、人生は生きやすくなっていくのだろう。『私にふさわしいホテル』新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により、華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られなかった不遇な新人作家・加代子。この恨み、晴らさでおくべきか——。そう決意しながら憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子の部屋の上階に泊まっていたのは……なんと東十条だった!大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが加代子の更なる不遇と試練の始まりだった……。加代子 VS東十条の因縁の対決は、誰にも予想できない方向へと突き進んでいく!果たして加代子は文壇に返り咲き、作家としての道を歩むことができるのか!?2024年12月27日(金)全国ロードショー配給:日活/KDDI©2012 柚木麻子/新潮社 ©2024「私にふさわしいホテル」製作委員会
2024年12月27日バリー・ジェンキンスが『ライオン・キング:ムファサ』を監督する。そう聞いて、驚きを隠せなかった人は多いはずだ。『ムーンライト』や『ビール・ストリートの恋人たち』で“人間”を描いてきた名匠は、ライオンの世界にどう向き合うのか。その傍らには、『モアナと伝説の海』『ミラベルと魔法の家』と、今やディズニーとの縁も長くなってきたリン=マニュエル・ミランダがいる。映画ファンを魅了する監督と、現代ミュージカル界を担う天才音楽家。『ライオン・キング:ムファサ』のキーパーソン2人に話を聞いた。バリー・ジェンキンス Photo by Belinda Jiao/Getty Images/リン=マニュエル・ミランダ Photo by Jesse Grant/Getty Images for Disney遺産を受け継ぎ生まれた物語と音楽――この映画を共に手掛ける前、お互いに対してどのような印象を持っていましたか?ミランダ:僕は『ムーンライト』の大ファンなんです。『ムーンライト』がアカデミー賞の作品賞を受賞した年に僕は『モアナと伝説の海』でノミネートされていて、授賞式の会場にいました。あのクレイジーな夜の客席にいたんです。なので、バリーが僕の参加を望んでいると聞いたときは感激しましたね。ジェンキンス:僕だって、リンの作品の大ファンです!だから、実は過去に一度、リンと仕事をしようとしたことがありました。ミランダ:そのとき、「イエス」と言えなかったことを僕は今も後悔しています(笑)。ジェンキンス:ある事情があってね。残念ながら、実現しなかったんです。なので、リンがこの作品に参加することになり、本当にうれしかった。僕はリンのインタビューすべてに目を通していましたし、何事にも真摯で情熱的な彼の姿勢が大好きです。そういった人を作品のために見つけるのは、なかなか難しいものですしね。――『ライオン・キング:ムファサ』は『ライオン・キング』の遺産を受け継ぐ映画であると同時に、新しい物語でもあります。作り手としては、自由と制限のどちらを感じましたか?ジェンキンス:間違いなく、自由です。第一に、僕たちはイメージを作り直す必要がありました。前作に敬意を払いながら、そのスピリットやエネルギーを自分の中で再構築するよう求められたんです。スタジオは僕に、「『ライオン・キング』に君自身の声を持ち込んでほしい」と言ってきましたから。ミランダ:僕にとって、『ライオン・キング』の音楽は不滅。一口に「『ライオン・キング』の音楽」と言ってもいろいろありますが、僕は特に、世界中で上演されているブロードウェイ・ミュージカルの『ライオン・キング』のことを思い浮かべます。ブロードウェイで最も長く上演されている作品の1つですしね。舞台版は『ライオン・キング』のサウンドの可能性を広げました。だからこそ僕は今回、創造の余地というものを感じたんです。ムファサとタカの関係「シンプルで、複雑」――おふたりともジェフ・ナサンソンの脚本に魅了されたそうですが、本編で描かれるムファサとタカの“兄弟関係”はシンプルであり、複雑でもありますね。ジェンキンス:シンプルで、複雑。それが一番いい表現だと思います。僕たちは4歳の子供から104歳の大人にまで見てもらえる映画を目指しました。4歳向けのシンプルなものも、104歳向けのかなり複雑なものも込めたんです。104歳は大袈裟ですけどね(笑)。でも、それこそが『ライオン・キング』のクオリティであり、魅力ですから。ミランダ:そして、そのシンプルさと複雑さを担っているのが、おっしゃる通りムファサとタカの関係。僕は6歳と10歳の男の子2人の父親ですが、彼らは常にお互いをイライラさせています。と同時に、お互いのためなら何でもします。本当に、その2つが一緒に成り立つんですよね(笑)。だからこそ、シンプルで複雑だし、自分の作品では触れてこなかった新鮮な題材だと感じました。――どの曲を作るのが一番難しかったですか?ミランダ:(両親がムファサに歌う)「遥かなミレーレ」ですね!バリーが気に入ってくれて幸いです。まだ見ぬ安息の地・ミレーレを表現した曲ですが、パラダイスを表現するのは難しいし、パラダイスを音楽化するのはもっと難しい(笑)。だから、僕は教会の音楽やスピリチュアルな曲をたくさん聴きました。パラダイスについて書く心境になれるようにね。ジェンキンス:そして、僕のお気に入りが生まれたわけです(笑)。「遥かなミレーレ」はとてもパワフルで、『ライオン・キング』が何を表しているのかを深く示す楽曲。リンは本当に素晴らしい仕事をしました。この曲はムファサを駆り立てるエネルギーにもなりますから。――ミュージカルシーンの演出はいかがでしたか?ジェンキンス:映像作家として、僕が好きなディズニー映画の1つは『ファンタジア』なんです。僕たちは『ライオン・キング:ムファサ』を現実に根ざしたものにしなくてはいけませんでしたが、『ファンタジア』もそうであるように、時に音楽は深遠で魔法のような世界にいざなうための窓とも道とも言える役割を果たします。実際、「遥かなミレーレ」のシーンでは(両親役の)アニカ・ノニ・ローズとキース・デイヴィッドの歌と演技のおかげで、大地が文字通り色を変えるシーンを描くことができました。タンポポが蝶になるような、圧巻のシーンをね。リン、アニカ、キースが作り上げた歌の世界を視覚的に表現するのは、とてもクールなこと。しかも、そこに彼らの子供であるムファサの視点が加わるのが素晴らしいんです。ミランダ:ちなみに、僕のお気に入りは「バイバイ」です。僕はバリーに、悪役の曲を売り込みました。『ミラベルと魔法だらけの家』の“悪役”は世代間のトラウマでしたから(笑)、今回は素晴らしい悪役の曲を書きたかったんです。(キロス役の)マッツ・ミケルセンは印象的な悪役をたくさん演じてきましたし、彼の声のために何か書きたかった。その機会をもらえてうれしかったですね。2人の“人生の1本”は?――『ライオン・キング』が“人生の1本”だと感じている人は多いですし、『ライオン・キング:ムファサ』もそうなり得る作品です。おふたりにとっての“人生の1本”は?ミランダ:僕は黒澤明の『七人の侍』が大好きです。10歳の息子にも半分まで見せました。長い映画なので、半分までですけど(笑)。息子は映画が大好きで、映画の道に進みたいと思っているんです。なので、映画を見てたくさんの質問をしてきました。10歳の彼が白黒の日本映画を観て、字幕を読んでいることすら驚きなのに。彼は完全に、『七人の侍』に夢中です。僕にとっては、それこそが偉大な芸術作品の証。完璧なテンポのストーリー展開も素晴らしいです。今までに作られた最高の映画の1本ですね。リン=マニュエル・ミランダ Photo by Jesse Grant/Getty Images for Disneyジェンキンス:その時々でお気に入りは変わりますし、とてもじゃないけど1本には絞れませんが、今はたぶんウォン・カーウァイの『恋する惑星』。僕はしばしば、自分の作品の中に“感情”を求めるんです。フィルムで撮ったものか、デジタルで撮ったものか、バーチャル・プロダクションによるものかに関係なく、僕は音と映像で感情を捉えたいと思っている。そして、ウォン・カーウァイは非常にシンプルなその映画の中で、可能な限り最も刺激的な感情を捉えました。それは、僕が楽しい協力者たちと一緒に、『ライオン・キング:ムファサ』で捉えようとしたものと同じなんです。バリー・ジェンキンス Photo by Belinda Jiao/Getty Images(渡邉ひかる)■関連作品:ライオン・キング:ムファサ 2024年12月20日より全国にて公開© 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2024年12月24日2019年の『ライオン・キング』で弟スカーの毒牙にかかり、息子を残して世を去ったムファサ王。そんな彼がいかにして王となったのか?そして、スカーはなぜ兄に刃を向ける存在となったのか?そのすべてが明かされる『ライオン・キング:ムファサ』で物語の鍵を握るのが、マッツ・ミケルセン演じる敵ライオンのキロスだ。さまざまな役に取り組んできた“北欧の至宝”はキャラクターにどう息を吹き込んだのか、12月の日本を満喫する彼に話を聞いた。歌唱シーンは「少しだけ怖かったけど…」――本編では、キロスのすべてが語られるわけではありません。マッツさん自身の中に、演じる上で大切にしたバックストーリーはありますか?キロスの背景に関しては、バリー(・ジェンキンス監督)と少し話し合う程度に留めた。ただ、キロスがライオンの中でも異質の見た目なのは明らかで、動物界で生きるのが困難だったことも容易に想像できる。殺されるか、拒否されるかの中で、はぐれ者として生きる道を選んだんだ。だからこそ、彼と同じ境遇にあったり、別の理由でのけ者にされた仲間を受け入れることで、自身のプライドを築き上げたのだとも思う。でも、その一方、はぐれ者としての生き方をやめたい思いも心のどこかに抱えていたんじゃないかな。――そんなキロスの胸の内を観客は歌を通しても知ることになりますが、オファーを受けたとき、歌唱シーンがあることは決まっていたのですか?最初にバリーとSkypeで話したのだけど、30分ほど経った頃には歌うシーンがあるのだと分かった。「歌える?」と聞かれたからね。僕の答えは「ノー」だったけど(笑)。でも、「とりあえず何か歌ってみてほしい」と言うから、スマホに録音した音源を送ったら喜んでくれて。なので、覚悟を決めて頑張ることにしたんだ。――映画の中で歌うのはどんな体験でしたか?少しだけ怖かったけど、周りがサポートしてくれたし、いい雰囲気で取り組むことができた。レコーディングを行ったアビー・ロード・スタジオがすごく素敵でね。それに、歌うと決めたからには思いきり歌わないと。――ミュージカルはお好きなんですか?大好きだよ。ダンサー時代はミュージカルにもたくさん参加したし。ただ、ソロで歌うのは初めてだった。“声を通しての表現”で体験したこと――来年日本公開の『愛を耕すひと』もそうですが、役の性格が寡黙だったり、作品自体が台詞を抑えたテイストだったりと、マッツさんが演じてきた役には台詞以外の表現を求められるものも多い印象です。『ヴァルハラ・ライジング』に至っては台詞が全くないしね(笑)。『愛を耕すひと』に関して言うと、物語の舞台が18世紀なのも大きいと思う。当時の人たちは現代に生きる僕らほど、なんてことない会話を交わすようなことがなかった。でも、作品によっては膨大な台詞量に悩まされたこともあるよ。――もちろんです。ただ、台詞以外の表現にも長けていますよね。ありがとう(笑)。――そして、今回のキロス役は表現の中心に台詞があります。演じる上で違いは感じましたか?それはすごく感じた。僕たち役者は常々、カメラの前に立っている。言ってしまえば、カメラの前での姿が最大のツールなんだ。その点、本来なら声は2番目くらいのツールなのだけど、今回は声を通しての表現が求められた。おかしなことに、だからこそ自由でもあったのだけど。もし僕が収録している姿を見たら、どれだけクレイジーな動きをしていたか分かるよ(笑)。動き回ったり、大袈裟に腕を振り上げたりしてね。そんなことは、カメラの前では絶対にしない。でも、そうすることに解放感を覚える自分もいたんだ。――『ライオン・キング:ムファサ』はディズニー史上、最も温かく切ない“兄弟の絆”の物語ですが、マッツさんの兄ラース・ミケルセンさんも素晴らしい俳優ですね。プライベートのことは話さないようにしているのだけど、これだけは教えてあげる。僕は兄が大好きで、愛している。兄としてだけでなく、人として素晴らしいんだ。――今や2人ともディズニーファミリーです。そうだね!兄も『スター・ウォーズ』の世界にいるから。影響を受けたスコセッシ&デ・ニーロ作品――家族関係を含め、『ライオン・キング:ムファサ』で観客はムファサのルーツを知ることができます。俳優マッツ・ミケルセンさんのルーツを語る上で欠かせないものは?やはり、僕のルーツには映画があると思う。多くの人たちと同様、僕もいろいろな映画を見て育ったから。そして、監督や俳優から明らかに大きな影響を受けてきたのだけど、1つ挙げるとするなら、70~80年代のマーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロからは多くを学んだ。あの時代に彼らが組んで残したすべての作品が傑作だったと思う。――マッツさんにとっての“人生の1本”は?『タクシードライバー』だね。スコセッシ&デ・ニーロの中でも特に傑作だと思う。あと、『雨に唄えば』は子供の頃から今まで変わらず大好きだし、クシシュトフ・キェシロフスキの『デカローグ』も。すでに1本じゃないけど(笑)、黒澤明を外すわけにもいかない。彼の作品を見ていると、違う世界に吸い込まれた気分になるんだ。映画作りの素晴らしさも教えてくれるしね。――『雨に唄えば』を見て、いつか自分も映画の中で歌いたいとは…。思わなかったし、それは話が違う(笑)。歌が得意じゃない人だって、ミュージカルは好きだろう?あんなにもチャーミングな作品だったら、なおさらだよ。――ですね(笑)。マッツさんは出演作選びにおいては監督の存在が大きいと常々おっしゃっていますし、今も名匠たちの名前が出ました。今回、バリー・ジェンキンス監督との作品づくりはどんな体験になりましたか?本当に素晴らしかった。僕たちは話し合いながらシーンを作っていったわけで、通常の撮影とは勝手が違ったけど。どんな作品に仕上がるか想像もつかなかったから、俳優は監督を信頼するしかない。そんな僕らにバリーは見事なインスピレーションを与え、上手く導いてくれた。それに、人柄もいいんだ。すごく優しくてね。だから、彼との出会いは僕にとってのハイライト。Skypeでの出会いだけどね(笑)。――次は実写作品でもぜひ。僕もそれを心から望んでいる。バリーにそう伝えておいてくれるかな?(text:Hikaru Watanabe/photo:You Ishii)■関連作品:ライオン・キング:ムファサ 2024年12月20日より全国にて公開© 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2024年12月20日取材・文:瑞姫撮影:三浦晃一編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部成海璃子さんといえば、2000年に子役としてデビューし、彼女が12歳の時にドラマ初主演を務めた「瑠璃の島」の印象が、当時小学生の私にとっては衝撃的だった。同世代の女の子なのにこんなにも自分とは違うのかと思うほど大人びていたし、何よりテレビの中で放つ圧倒的な演技力と、人を惹きつけるミステリアスな雰囲気に釘付けになったのだ。しかし、そんな成海さんのイメージは出演作によって変わっていく。テレビ、映画など主演作多数だが、その度に柔らかい雰囲気をまとったり、儚げな雰囲気を漂わせたり、はつらつとした太陽のような明るさを見せたり……。20年以上にも渡る芸能人生の中で見せてきた成海さんの演技力の幅は計り知れない。止まることなく、さまざまな役柄に挑戦してきたように思う。そんな成海さんが出演する、2025年1月より放送予定のABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課MOGURA(もぐら)』は、これまでに見たことがないような“新感覚のHIPHOPエンターテインメント”だという。今回はドラマの魅力や成海さん演じる役柄の見どころ、そして長きに渡る芸能生活でさまざまなことに挑戦し続けてこれた理由について聞いた。■いまだかつて誰も見たことのない作品ABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA(もぐら)』は、ラッパーの般若さんが主演を務める。さらに、毎回人気のラッパーが登場するなど、新感覚のHIPHOPエンターテインメントとはいうものの、見ていない者にとっては正直想像がつかない。成海さんは今回のお話を聞いた時のことについて「般若さんが俳優活動もされていることは知っていたんですが、他にもたくさんラッパーの方が出るということで、どんなドラマになるんだろうという興味が一気に湧いてきました。私は昔から般若さんの曲も聴いてましたし、なかなかご一緒できる機会ってそう多くはないですし、絶対に受けたいなとすぐにお返事しました。誰もいまだ見たことのないような作品だと思います」と、胸を高鳴らせた様子で振り返る。ドラマの中で成海は警視庁・麻薬取締課の高橋舞子を演じているが、いったいどんな役柄なのか。「一筋縄ではいかない複雑な心境にある結構不思議な役です。だからそれを解釈しながら演じる作業が難しくもあり、演じていて楽しかったですね。般若さんに“ラッパーとは”と指南するまさかの役所なんですよ。ある夢に向かってまっすぐ進んでいく、とても純粋な人間です」数々の役に挑戦した成海さんでも、難しいと口にした今回の役。どういった部分に苦労したかを具体的に聞くと、「この行動はどうして?とか、なんで?とか思ってしまうような行動をとる役柄です。境遇を想像すると共感できるセリフもたくさんあったんですけど、純粋で真っ直ぐが故の危うさみたいなものがあったりして、そこを落とし込むのに少し苦労しました。現場で監督とお話ししながら作っていきました」と明かしてくれた。誰もいまだ見たことのないような作品の難しい役所でも、自分の中に落とし込んで、現場で監督と擦り合わせながら演じていく。言葉で言えば簡単なように思えるが、その難しさは計り知れない。20年以上にも渡る成海さんのキャリアのすごさを改めて感じさせられる。■大好きだったアーティストとの共演本作は俳優が本業ではなかったラッパーの方々が多数出演している。様々な役と向き合ってきた成海さんは現場でどのような役割だったのかと尋ねると、「普段の現場と同じで、変わったことは無かったです」と答えてくれた。「単純に興味があるので、自分から話しかけたりはしたんですけど、演技の話とかってそんなにしてないかもしれないです。言いたい内容が変わらなければ、多少セリフの言い回しが変わっても良いと思うんですよね。皆さん、私たちとは違う瞬発力の高さがあって、臨機応変に起こる化学反応が楽しかったです。現場の雰囲気は賑やかでした」中高生からHIPHOPが好きで、般若さんの曲も通学路で聴いていたという成海さん。今回の般若さんをはじめ、さまざまなラッパーの方との共演はうれしかったそうで、「こんなことがあるのか!と本当にうれしくて、ご褒美かなと思いました。私は口下手な方なんですけど、般若さんには撮影初日に緊張しつつ自分から『ずっと聞いてます』って話しかけました。作中でも一番一緒にいることが多い役所だったので、般若さんのいろんな一面も見れましたし、いろんなお話もさせてもらえて光栄でしたね。怖い人じゃなくてよかったです」と喜びいっぱいの様子で明かしてくれた。さらに、他のラッパーの方にも自分から話しかけたそうで、「『台詞はどうやって覚えるんですか?』って聞かれたんですけど、私は地道に毎日コツコツやるタイプなので……。昔はパッとすぐ覚えられたものが、今は時間がかかるようにもなってきたので、コツコツと。自宅でソファに座ってコーヒー飲みながらぶつぶつやってますね。シンプルです」と、役者の先輩としての一面も見せていた。■成海璃子が挑戦できる理由幼いころからお芝居を続けてきて、確かな実力を持ちながらも、本作品のように常にチャレンジングなお仕事をしている印象がある成海さん。その原動力や挑戦し続けられる理由について尋ねると、「純粋に自分がどんなことでも楽しみたいです。あまり狭めずどんなジャンルでも通用する俳優になりたいので」と真っ直ぐな瞳で話してくれた。「意思が強そうな見た目をしてるとよく言われるので、戦ってたりとか、孤独を感じたりする役柄が多い印象があるかもしれませんが(笑)、自分の視点だけだとどうしても偏りが出てしまうので、マネージャーさんと相談しながら、客観的な意見も聞きつつ、なるべく、楽しめそうなものをやろうって思ってます」挑戦することが良いことだとは分かっているが、実際には“挑戦して失敗することが怖い”と安定を求める人も多い。そんな人に向けたアドバイスを成海さんに求めると、「人生一度きりなので、自分の心の声に従っていいんじゃないかなと思います。私はわりとネガティブな思考なのでいろいろ考えちゃうんですけど。挑戦した方が後悔は無いですからね。どんなことでも、楽しめそうなのを選んでるのかもしれないです」と成海さんらしくも、シンプルな答えが返ってきた。そこで、ふと疑問に思い「芸能の仕事をやめたいと思ったことはないのでしょうか」と尋ねると、成海さんは「自信を無くして落ち込んだりもしますけど、辞めて何ができるの?って思いますし、本当にこの業界しか知らないので、辞めることはないと思います」とキッパリと宣言してくれた。そして、落ち込んだ時のリフレッシュ方法として「音楽を聞きながら歩くとスッキリしますね。HIPHOPをはじめオールジャンルの曲を聴きながら30分から1時間くらい歩く。無心で足を踏み出してるとクリアになるので、散歩をよくしてます」とのアドバイスも。さまざまな役柄に挑戦し、確かな演技力で実力をつけてきた成海さんでも、私たちと同じように自信を無くして落ち込んだりすることもあるのだと思うと、少し安心すると同時に、自分もマイナスに触れた感情をプラスに持っていくリフレッシュ方法を持っておくと、大変な日々の中でも“頑張ろう”と思えるような気がして、見習いたいなと強く思える。最後に成海さんはドラマの見どころについて聞くと、「般若さんがラップ初心者の役を演じるのが私としてはたまらなくおもしろくて見どころです。みなさんが見たことの無いようなドラマになっていると思います。とにかく多くの方に見てほしいなと思います」とメッセージを送ってくれた。“新感覚のHIPHOPエンターテインメント”という、聞いたことの無い新ジャンル。インタビューをしてもまだまだその全貌は見えないが、数々の主演作を演じ抜いてきた成海さんが難しいと感じながらも、ワクワクした気持ちの中で楽しく演じてきたことを聞くと、今回演じる役所で見せる新たな成海さんの演技の一面も含め、配信を楽しみにせずにはいられない。衣装協力・オールインワン@tarajarmon_jp・靴@sergiorossi・ネックレス/イヤリング@agete_official・ブレスレット@nojess_official『警視庁麻薬取締課 MOGURA』ラップスキルのある警察官が、覚醒剤や麻薬などの違法薬物を摘発するためにラップグループに潜入捜査を行ったという実話を基に描く、「ABEMA」オリジナルのHIPHOPエンタメドラマ。2025年1月より、放送予定。<あらすじ>大麻の使用が疑われるラップグループの一斉摘発を目的に、現役刑事である主人公・伊弉諾(いざなぎ)に突如ラップグループへの潜入捜査が命じられるー。潜入先での抗争や新しい真実に葛藤する主人公を描いたHIP HOPエンタメドラマ。キャスト:成海璃子、吉村界人、Jin Dogg、G-k.i.d、Red Eye、CYBER RUI、Jinmenusagi、ELIONE、Ashley、葛飾心板橋駿谷、Mummy-D、眞木蔵人、吹越満、風間俊介企画・プロデュース:鈴木おさむ原案:漢 a.k.a. GAMI監督:志真健太郎、南虎我脚本:ナラミハル、秋葉恋制作:BABEL LABELドラマ視聴ページURL:ドラマ公式Instagram:ドラマ公式X:
2024年12月20日細胞を擬人化するという斬新な設定が話題を呼び、シリーズ累計1,000万部を突破した清水茜による人気漫画「はたらく細胞」。本作&スピンオフ作品「はたらく細胞BLACK」を原作にし、シリーズ史上初となる人間の世界も加わった実写映画『はたらく細胞』が全国公開中だ。物語は、酸素を運ぶ赤血球(永野芽郁)、細菌と戦う白血球/好中球(佐藤健)をはじめとした37兆個の細胞たちが、人間の健康と命を守るために日夜全力ではたらく様子が描かれる。白血球は外部から体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する細胞で、いわゆる武闘派。そんな白血球とともに暴れまわってくれたのが、山本耕史演じるキラーT細胞&仲里依紗演じるNK細胞なのだ。キラーT細胞は「KILL」と書かれた帽子がトレードマークの体育会系で、肉弾戦が大得意。一方、NK細胞は生まれついての殺し屋で、単独で攻撃の先陣を切る一匹狼。クールなサーベルさばきも披露し、アクションパートの見どころはこの3人がリードしてくれている。山本&仲には、豪快なアクションに挑んだ際の驚きのエピソードのほか、本作を観て思わず振り返る「どきっとした悪習慣」など、賑やかにクロストークしてもらった。人気作品への出演、実は原作を知らず…――百戦錬磨のお二人が“細胞”を演じました。山本さんはキラーT細胞、仲さんはNK細胞のオファーがきて、どう受け止めましたか?山本:僕は「『はたらく細胞』って何…?」というところから入りました。子供と一緒に原作のアニメを見てみると、体の中を勉強しながらそれぞれの細胞の個性をちゃんと理解できる作りで、感心しましたね。自分の役はと思ったら、勢いがあり体も大きく、「いくぞー!!」と隊員を引き連れるようなキャラクターだったので、とにかく体を鍛えてキープしとかなきゃな、と(笑)。役としてはある意味、難しいことはない…と言ったら誤解が生まれそうですけど、すごく繊細な芝居を求められている役どころではないのかなと。難しいことを考えずに、キラーT細胞の役目というものに集中できました。里依紗ちゃんはどうだった?仲:私も山本さんと同じです。原作を知らず、オファーをいただいてから「どんなのだろう?」と見て、「え、こんなかっこいい役なのーっ!?」と自分の役柄にびっくりしました。こうしたかっこいい役を演じること自体ずいぶん久しぶりだったので、まずはNK細胞という役をオファーされたことがすごく新鮮で、嬉しかったです。あと…情報解禁の後、周りから「『はたらく細胞』に出るの!?」とめちゃくちゃ言われたので、すごい人気なんだなと!「すごい好きな作品だからうれしい!」、「里依紗ちゃん、何役なの?えーめっちゃかっこいい!」とかうれしい言葉ばかりをもらって、こんな人気作品に出られて幸せだ…と後からじわじわきました。最初はアクションでいっぱいいっぱいで、そんなことを考える余裕がまったくなかったんですが、終わって「NK細胞を演じられて良かった~」と実感しています。――おっしゃるように、キラーT細胞、NK細胞ともにすごい手数のアクションを披露されています。準備なども含めかなり時間を費やしたのではないですか?仲:撮影の前にアクション練習がありました。一番最初に「大体こういう感じのアクションを想定しています」とさらっと、ものすごく高度なアクションの映像を見せられたんです(笑)。あまりにすごすぎて、「えーっと…どれを私がやるんですか…?どれもやれないんですが」という感じでした(笑)。最初は務まるのか、本当に不安でした。それから、かなりの回数のアクション練習をやりました。受け身などの基礎的なところから始まり、最後は振りをきちんとつけてもらって。筋肉痛と戦いながらやりました。仲里依紗、山本耕史に「本当に助けられた」――山本さんはアクションがお得意かと思いますが、本作ならではのアクションの大変さはありましたか?山本:いやあ…本当にお互い、立ち回りは苦労したと思いますよ!仲:うん、本当に、本当に大変でした。山本:ねえ!仲:私は武器があるけど、(山本さんは)素手なのでもっと大変でしたよね?山本:確かに僕は素手のまま殴る、持ち上げて投げる、というような立ち回りが多かったんです。もちろん相手にはぶつけないようにぶんぶん殴るので、空振りをするわけなんです。そうしたら、次の日に手や腕まわりがブワーッと腫れてきて…。何にもぶつけてないんですよ?つまり、(腕を)振った遠心力で細胞がやられてしまって!――空振りで腕が腫れてしまうものなんですね!?山本:そう!初めて知ってびっくりしました。空振りはすごく危ないそうで、特に僕は力が強いもんだから、振っただけでその遠心力で血がガーッと腕に流れるらしいんです。ちゃんとキュッと止めたりしないと、「手、持ってかれますよ」なんてアクション監督に言われて。それでこんなに激痛だったんだ…と。パンパンに腫れたのは衝撃的でしたし、この役で勉強になりましたね。仲:本当に山本さんはすごいですよね。アクションも殺陣も、私は経験がなかったので本当に助けられました。いつも後ろからこそこそ隠れて山本さんのことを見ていたんですよ(笑)。山本:え~、そうなの(嬉)?仲:キャラクター的には対立しなきゃいけないから、そのあたりが難しいんですけど。先日、時代劇で共演させていただいたときも(「大奥」)、時代劇への挑戦が私は初めてだったから、大のプロの山本さんのことを後ろから見ながら勉強させてもらいました。どの作品でも、いつも助けられています。――細胞を擬人化するという着眼点の面白さ、細胞の働きの奥深さも魅力ですが、お二人は作品のどんなところに魅力や面白さを感じられましたか?山本:単純にファンタジーとしても楽しめるし、子供たちに細胞のことをスッと教えてあげられること自体なかなかの発明な気がします。「一緒にパズルやろう」と言えばやるけど、座学の勉強になると途端に子供は退屈になってしまうんですよね。それが映画を観ているだけで知らない間に「白血球かっこいい!」とか「赤血球はすごい頑張っているんだな」と教えてくれますし、入り口をいろいろな細胞に与えてくれているのが、すごくいいことだと親としても思いました。身体の中は一緒だから、世界中どこでも通用するじゃないですか。日本にとどまらず楽しめるのも、すごく魅力かなと思います。仲:本当にそうですよね。私も息子がいるのでわかります。映画版だと、オリジナルで阿部サダヲさんと芦田愛菜ちゃんが演じている人間の世界が描かれていますよね。家族のストーリーがあって、その中で体の中はこうなっている、とわかるのがいいなと思います。体の中の映像だけだと、もしかしたら子供たちはただの戦隊もののように感じて、お勉強が少し薄れてしまうかもしれないけど、人間模様を入れると「あ、こういうことで人間はこうなるんだ」と理解が深まるので。すごく子供にも見せたいなぁと思います。欠かせない習慣は「お酒」「アイス」――阿部さん演じる茂は不摂生な日々を送っており、細胞たちも苦労していました。本作を観て茂ほどとは言わなくとも、思わずどきっとした&やめようと思うような悪習慣はお二人にありましたか?山本:俺は茂さんのようにタバコは吸わないけど、お酒は毎日飲むんです。だから「こういう雨が降ってんだな、体の中で…」と、(板垣)李光人くんと(加藤)諒くん(※ともに茂の体内の赤血球)が「酒だー!」と叫ぶシーンで思いました(笑)。お酒について、映画ではなかなか刺激的な表現でしたけど(笑)、僕自身はお酒というのはすごくリラックス出来る時間なんですよね。飲み過ぎは望ましくないとしても、自分が「いいな、この時間」と思う程度なら、体には多少与えてもいいのかなと思う。だって筋トレも、オーバーワークは体に害になるからね。――壊してから再生、という感じですもんね。山本:そう!再生を促すためにいろいろな動きをさせて、それが運動という意味ではいいけど、本当に身体のことを思うとダメージなんか与えないで静かにしてるのがいいわけで。だからものは考えようだと思うんです。俺はこの作品を観る前と後、なんだかんだ何も変わらない(笑)。里依紗ちゃんは、ないでしょ!どう?仲:いや、ありますよ!私はやっぱり…。山本:アイス?仲:アイスです(笑)。砂糖を摂りすぎてるなとすごく思います。甘いものを本当に摂っちゃうんです。あまりお酒が得意じゃない代わりに、というか、ごはんを食べた後のデザートがないと絶対に無理で。山本:でも朝はさすがに食べない?仲:朝は食べなくなりました。前は食べていたんですけど(笑)。夜のアイス、チョコ、お菓子…絶対に食べたいんです。だから、デザートが美味しいごはん屋さんに行くのが好きです。…何の話をしてるんだろう(笑)。――(笑)。山本さんのおっしゃるように、ストレス解消の一種でもあるので変えずに食べ続ける方向で、と?仲:そうですね(笑)。休みの日どこかに出かけたりすると、「今日はいいよね!」と言うものの、「いや…今日だけじゃなくて昨日も食べたな…」と思っています。日々の楽しみでストレス解消になっているから…ほかで頑張ります!という感じです。山本:でもさ、全然問題ないよ!変な話、「ちょっと大きくなった?」となると甘いものが原因かなと思うけど、どこで調整してるのって思うくらいだから!仲:山本さんにおっしゃっていただけると、心強いです(笑)。(text:赤山恭子/photo:You Ishii)■関連作品:はたらく細胞 2024年12月13日より全国にて公開©清水茜/講談社 ©原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 ©2024映画「はたらく細胞」製作委員会
2024年12月20日取材・文:ねむみえり編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部『ライオン・キング』の主人公シンバの父、ムファサの若き日の物語を描く、『ライオン・キング:ムファサ』。同作をもって、『ライオン・キング』が完成すると銘打たれています。日本では「超実写プレミアム吹替版」が制作され、演技力と歌唱力を最高レベルで兼ね備えたキャストが集結。ムファサ役を演じる尾上右近さんと、後のスカーとなるタカ役を演じるTravis Japanの松田元太さんに、収録時のエピソードや、作品への思いなどをうかがいました。■受かった後は孤独との戦いだった!?オーディションにかけた熱い思い――まずは、声優に決まった時の心境や感想をお聞きしたいです。右近さん(以下、右近):オーディションという形でオファーをいただいたんですが、絶対に自分がやらせていただきたいと思いました。というのも、もともとディズニーの作品が好きでしたし、声優のお仕事をやってみたいという気持ちもあったんです。僕は『ライオン・キング』と共に育った世代なのですが、歌舞伎界に身を置いている人間としては、伝統の世界の中で感じることと、『ライオン・キング』の中で描かれる自然界の伝統みたいなものが重なる部分があり、自分と照らし合わせて共感するような形で『ライオン・キング』に親しみを持って接してきました。オーディションに受かった時はうれしかったですが、情報解禁までは誰にも言えなかったので、そこは孤独との戦いでした。――松田さんはいかがですか?松田さん(以下、松田):オーディションのお話をいただいたタイミングで、「『ライオン・キング』か、大きい仕事だ」と感じて、とにかく合格したくて、全力でオーディションに挑みました。今、けんけん(尾上右近)も仰ったように、声優に決まったことが言えないというのは辛かったです。ちょうどTravis Japanのワールドツアー中だったんですが、コンサートの本番前に合格を知らされたんですよ。右近:それは。ご苦労さまでした。松田:「受かった!」と言ったら、メンバーも「うわーっ!」て喜んでくれたし、マネージャーさんたちも「よかったね」と言ってくれて。そのテンションで本番に挑んだので、その日は僕だけ特にルンルンでした。■まずは自分が楽しむということを大事に収録に臨んだ――お二人とも声優の仕事は初挑戦だったかと思うのですが、実際に挑戦されてみていかがでしたか?松田:初めてのことだらけだったので、色々とスタッフさんに聞いて勉強しましたし、字幕版の人たちの声を聞いて、秒数も揃えながら、1個1個丁寧に向き合って収録をしていきました。ものすごく集中しましたが、やっている上での楽しさは忘れずにしていました。右近:まさに同じことを思いましたね。どんなお仕事でもそうですが、真剣に向き合えば向き合うほど、楽しむということから遠ざかりがちなんです。でも、ディズニー作品は、楽しい中に色んなメッセージが入っているじゃないですか。なので、まずは自分が楽しんでやるということが、とても大事だなと思っていました。――楽しみながら取り組んだのですね。右近:ただ、正直言って、初めての声優の仕事にしては膨大な量のセリフがあるし、歌もあるし、やらなきゃいけないことが沢山あったので、それらにまみれて、あたふたしていくうちに終わっていったところもあるんです。でも、今回自分が演じたムファサは、必死にもがきながら自分の道を見つけて、みんなと共に歩んでいくんですよ。なので、もがくことはミスマッチではなかったと信じています。今の自分にしかできないお仕事として、全力でやらせてもらいましたね。――とくに苦戦した点はありますか?右近:最初のうちに録った、狩りの訓練のようなものをしているシーンは苦戦しました。そこのセリフのタイミングを合わせるのが、全然できなくて。英語を聞きながら吹き込むんですが、英語は日本語よりも割と早口なので、それにつられて早く喋っちゃうんですよ。そうすると、時間が余っちゃうんですよね。それは全編通して課題ではありましたけど、最初の頃はそこにめちゃくちゃ挫折していました。松田:僕もけんけんが仰っていた、言葉が早くなってしまうという点は苦戦しましたね。あとは、そもそも滑舌が悪いのもあって、途中で自分が何を喋っているのか分からなくなるんですよ。右近:分かるわ。松田:ゾーンに入っちゃうというか。右近:「ツノだ」が言えなくなったんです。アフレコから帰ってきて、楽屋で「『ツノだ』が言えないんだよ」と話そうと思ったら、その時はいくらでも言えるのに、なんであの場に行ったら言えないんだろうって。松田:イントネーションもおかしくなりません?右近:おかしくなっちゃう。――吹替ならではの難しさというか。松田:そこは勉強ですね。■別々の収録では“お互いの声が励み”に――実際にお二人そろったのは今日(取材の日)が初めてなのだそうですね。お互いの声の印象や魅力を聞かせてください。松田:かっこいいし、きれいですし、安心感があって大好きな声です。このけんけんのすてきな声を聞いた時は、感動していました。最初は「右近さんだ!本物だ!」と思って聞いていたんですが、だんだんそれがなくなって、「ムファサだ」と思うようになっていったんです。その瞬間が楽しかったですね。右近:僕は、予告編の一部で声を聞かせてもらった時の印象がずっと変わらないですね。覇気があるし、エネルギーがあるし、やんちゃっぽさもあるし、明るさもあるし、そこにかわいげがあるから、 愛おしい声ですね。だからムファサは、俺がしっかりして守ってあげなきゃ、という気持ちになったんだと思います。タカがちゃんとしてないからではなくて、 守ってあげようと思わせる声を聞かせてもらったことは、自分が収録をする上でもすごい励みになりました。――印象に残っているシーンはありますか?右近:ムファサがみんなの前で演説をするシーンがあるんです。大事なシーンでもあったので、とても気合いが入りました。松田:僕の好きなシーンは、ムファサに直接自分の気持ちを伝えて、タカがどんどん変化していく瞬間です。全てを告白する時は、声を荒げながら、今までのタカの気持ちを全部言葉に込めてぶつけるんです。その瞬間は切なさもあって、すごく心が動くので好きですね。■運命を変えた出会いは、歌舞伎とTravis Japan――今回のストーリーの中で、ムファサとタカの出会いは運命を変えるきっかけになったかと思うのですが、 お二人の今までの人生の中で、自分の運命を変えた出会いや物事はありますか?右近:僕の場合は、歌舞伎に出会ったということが1番大きいです。歌舞伎との出会いは、3歳の時に、曽祖父の『春興鏡獅子』という歌舞伎の演目の映像を見たのがきっかけなんですが、獅子ってジャパニーズライオンなんですよね。僕の人生はライオンと出会うことによって何かが起きて、今につながっている。なので、ライオンには縁があるんですよ。松田:僕はTravis Japanですね。メンバーとは、コンサートに来てくれるファンの皆さんとの時間や、自分たちで作り上げていくリハーサルの時間、その他色んなジャンルのお仕事の時間を、家族のように一緒に過ごしているんです。なので、変われる瞬間や変わらなきゃいけない瞬間とかも、みんなで日々更新し続けていて。一緒にいながらも切磋琢磨して変わっていけているところは、グループのみんなに感謝しています。『ライオン・キング:ムファサ』『ライオン・キング』の主人公シンバの父、ムファサの若き日を描く、ディズニー史上、最も温かく切ない“兄弟の絆”の物語。本当の“ライオン・キング”はムファサで完成する――。動物たちの王国、プライドランドをおさめ、民から尊敬と愛情を集めていた王ムファサはいかにして“大地と生物を統べる王”になったのか?これまで繰り返し語られてきた『ライオン・キング』の原点にして、その要素を構成する哲学、純粋なドラマ、熱い想いのすべてがスクリーンに描きだされる――。12月20日(金)全国劇場にて公開(c) 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.尾上右近ヘアメイク: 西岡達也(Leinwand)、スタイリスト: 三島和也(Tatanca)松田元太ヘアメイク:宇佐見順子(JOUER)、スタイリスト:日夏(YKP)
2024年12月18日今年台湾で、太平洋戦争末期に日本に徴兵されて東南アジア戦線に送られた台湾人日本兵の運命を描いたドラマ「聴海湧」(日本語タイトル:「波の音色」)が放送されて話題を呼んだ。戦争という深刻なテーマを扱った作品ながら、ネットには「一気に見た」「涙が止まらない」という感想があふれ、「今年最高の台湾ドラマ」とそのクオリティを評価する声も多い。評判を聞き、主人公らに過酷な運命を強いた日本人としては複雑な気分になることも覚悟して視聴したところ、どんな立場の登場人物も表面的に描くことのない内容に驚いた。5話というミニシリーズながら、サスペンスの要素も盛り込みつつ、一気に見せるストーリーテリングも秀逸だ。どうしてこんな作品づくりが可能だったのか? 台湾で開かれた「TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」取材の機に、本作の孫介珩(スン・ジエホン)監督にインタビューを実施。お話から見えてきたのは、歴史、戦争、アイデンティティーというセンシティブなテーマに正面から向き合い、ドラマで自分たち台湾人の物語を語ろうという姿勢。日本でも、過去を語り継ぎ未来につなげるために映像作品で何ができるか、考えるきっかけになるマスターピースではないだろうか。きっかけは表情の読めない台湾人の写真孫介珩監督――「聴海湧」の主人公は、日本軍に徴兵されてボルネオに送られ、捕虜の監視員となる台湾人日本兵の三兄弟。彼らは思いがけず虐殺事件に巻き込まれ、戦犯として裁かれることになります。台湾人、日本人、戦犯を裁くオーストラリア人、中華民国の外交官、さらにボルネオの原住民に至るまで、どの立場のキャラクターについてもしっかり調べて描き込まれたことが分かるすばらしい作品だと思いました。まず、このドラマを製作したきっかけから教えてください。孫介珩監督(以下、孫)台湾では、中学、高校の歴史の授業で台湾光復(日本による統治が終了し、中華民国の統治下に入ったこと)について学ぶ時、必ず目にする写真があります。台北の中山堂で、日本と中華民国が降伏文書を取り交わしている場面です。写真を見て、戦争に負けて降伏する日本人がつらかったのは想像できます。向かいにいる中華民国の代表は当然、うれしかったでしょう。8年におよぶ戦争の末、台湾を取り戻したのですから。しかし、彼らの背景に写っている、式典の参列者はどうでしょう? ぼやけていて表情は分かりません。笑っているのか、泣いているのか、想像もできません。その日、式典に参列するまで、彼らは日本人でした。式典が終わって中山堂を出た時には、中華民国の国民になっていた。国籍も、身分も、社会で使用する言語も、法律や制度も、すべて変わってしまったのです。でも、人は簡単に変われない。何もかもが急に変わってしまったあの時、台湾人は何を思い、どんな経験をしたのか?彼らのどんな思いが、その後数十年にわたって続く台湾人のアイデンティティーの問題につながっていくのか、とても興味が湧きました。――ドラマの構想を練り始めたのはいつ頃ですか?孫5年前、VRのイベントに参加するため中山堂に行った時です。建物の保存状態がよく、学生の頃にここの写真を見たことがあると思い出しました。第二次世界大戦後の世の中の変化に、台湾人はどのように直面したのか?中山堂に立ち、あらためてそれを考えたことが、このドラマを作るきっかけになりました。いろいろな資料を読むと、さまざまな職業の人が、この頃、どんな変化を経験したのか書いてありました。たとえば作家は日本語から華文へと使う言語を変えなくてはいけなかった。庶民も同じで、異なる背景を持つ台湾人が、それぞれ異なる変化の問題に直面していました。その中に、非常に珍しい職業がありました。それが台湾人日本兵です。中には、捕虜の監視員をしていた者もいた。それがこのドラマの主人公です。戦争が終わった時、彼らはほとんどが外国、つまり東南アジアにいました。そして捕虜の監視員たちは、戦時中に日本軍の命令で捕虜を監視・虐待したため、そのまま現地で戦争犯罪に問われたのです。東南アジアで開かれた裁判は、すべて英語で進められました。日本人の弁護士は日本語を話しましたが、英語も日本語も台湾人日本兵にとって母語ではありません。台湾語で自分を弁護することは不可能でした。しかもその時、彼らの国籍は日本なのか中華民国なのか分からないという異常な状況でした。これは極端なケースですが、なぜ台湾人の間でアイデンティティーの問題が生まれ、今日に至るまで長い間議論されているのか、ドラマという形で視聴者に理解してもらうには、いい例だと思いました。ドラマで“台湾の物語を語る”意義――歴史ドラマ、特に戦争を扱ったドラマは、台湾でも人気のジャンルとは言い難いと思います。資金集めなど企画段階で苦労はありませんでしたか?孫資金集めは確かに大変でした。まず、題材が特殊です。しかも、台湾人のアイデンティティーという、現在でも議論を呼ぶテーマを扱っている。この問題を語りたくない人たちが出資してくれることはありません。次に、コストのかかる歴史ドラマ、しかも戦争ドラマであるということ。この2つの理由で、資金を回収できるのか不安を覚えた人は多かったと思います。キャスティングについても、三兄弟は10代から20代の若い俳優に演じてもらいたかったのですが、この年齢層で実力のある俳優は台湾には少ない。かといって年齢層を上げて名のある俳優を起用するつもりはなかったので、出資者を見つけるのは簡単ではなかったのですが、なんとか公共電視(台湾公共テレビ)に出資してもらえることになりました。第二次世界大戦後、台湾では戒厳令が布かれたため、その後、数十年にわたって台湾人日本兵の話を語ることができなくなりました。しかも、台湾で教えられる第二次世界大戦の歴史は、中華民国の立場から見た歴史――つまり中国大陸における抗日戦争の歴史だったのです。台湾に50年におよぶ日本統治時代があったことは、何世代にもわたって台湾の人々が記憶している事実であり、戦時中20万人もの台湾人が戦場へと動員されましたが、数十年もそのことを語ってはいけなかった。特に、戦争経験のある台湾人日本兵たちは、生き残って台湾に帰っても経験を語ることはできず、当時の国民党政府に管理されました。軍事訓練を受けた者が行動を起こすことを恐れたためです。「第二次大戦中、日本人のために戦った」などと言うことは、もっと不可能でした。1990年になってやっと、中央研究院や学者たちが生き残った台湾人元日本兵を訪ね、急いで当時の出来事を記録し始めましたが、すでに長い年月が過ぎて記憶も細切れになっています。このドラマのスタッフたちの中にも、祖父母の世代は家で当時のことを語ったことがないという人が多かったですね。あえて語らなかったのです。でも、何があったのかを知りたいという理由で、製作に参加してくれた人も多くいました。台湾ではいわゆる教育改革を経て、台湾の歴史、地理、社会が教科書に記載されるようになりました。私はそんな教育を受けた第一世代です。大人になり、台湾で起きたことを作品として語るべきではないか、第二次世界大戦や、過去の歴史に対する認識をもっと多様にするべきではないかと思ったのです。――何十年も語ることができなかった話だということでしたが、公共電視が出資したというのは、そのような題材を扱う作品であることが評価されたからでしょうか?孫確かにそういう面はあると思います。公共のテレビ局として「聴海湧」のようなドラマをサポートし、異なる立場、異なる考えを示すことで、国民に自分と違う立場の人がどんな考え方を持っているのか理解しようとしてもらおうという考えから、最終的に出資しようと考えてくれたのだと思います。立場の違う人々の視点を大切に描く――公共電視の公式サイトで公開されていたこのドラマのメイキング・ドキュメンタリーを見たのですが、脚本家をはじめ、スタッフが若くて驚きました。皆さんで日本語の書籍を調べたり、専門家の方に話を聞きに行ったりするなどして、脚本執筆に取り組む様子が収められていましたね。脚本開発の過程について教えてください。孫脚本執筆には、調査や資料探し、専門家への取材も含めて3年かかっています。時間をかけたのは執筆以上に、そこに取りかかるまでの準備でした。台湾人の視点だけで語りたくはなかったからです。台湾人の口述、回顧録はもちろん大事な史料ですが、オーストラリアの裁判所を尋ね、当時の台湾人や日本人の戦犯に対して行われた裁判の記録を読みました。日本やオーストラリアの戦争の記念館、ボルネオの森、原住民の集落など、物語と関係のある様々な場所に赴きました。できるだけ違う立場の人々から話を聞き、史料を集め、それらを検討してドラマのストーリーとして描けそうな内容を選び出したのです。――膨大な材料の中から、全5話にストーリーをまとめるのは大変な作業だったと思います。必ず語りたかった軸は何でしょうか?孫一番大事にしたのは、もちろん主役の三兄弟の運命です。「主人公は1人でいいじゃないか」「1人にフォーカスしたほうがイメージしやすい」という意見もあったのですが、当時の台湾人の姿は1種類ではありませんでした。3人の中で一番年長の新海輝(しんかい・あきら)は小さい頃から日本人に囲まれた環境で育っているので、日本に対する親しみが強いという設定。歴史的に台湾には、彼のような人が大勢いました。ドラマでは、輝の父親は日本人が経営する製糖工場で働いており、そこで育った輝は、いつか自分も本物の日本人になりたいという気持ちを持っているという設定にしました。一番年下の木徳(きとく)は、家が貧しかったという単純な理由で従軍を志願した設定です。当時の台湾の水準に比べてかなり高給だったうえ、政府は連戦連勝だと宣伝していたため、危険も少ないと考えた。真ん中の志遠(しおん)は少し特殊で、好きな女性が日本人だったために志願したという設定です。娘が台湾人と一緒になることを望まない彼女の家族に自分を証明したいという個人的な理由で志願します。国のため、家族のため、誰かのため。3人を主役にすることで、当時の台湾の若者の姿を反映させることができました。そして最後に伝えたかったのは、どんな劣悪な環境でも、信念を持っていれば、人は善良さを保つことができるという願いです。――毎話エンディングにかけて緊迫感が増し、どんどん次のエピソードが見たくなりました。演出やストーリーテリングの部分でこだわったことはありますか?孫おっしゃった緊迫感というのは、脚本の段階で工夫した面もあるのですが、俳優たちの演技が担った部分が大きいと思います。田中という日本軍指揮官を演じた塚原大助さん、弁護士の渡辺を演じた松大航也さんは、日本から来て出演してくださった俳優です。撮影現場では、私はカットをかけるたび「どう思う?」「どうだった?」と聞き続けました。監督1人の視点で作り上げた役を演じるのではなく、俳優も一緒に役を作ってもらいたかったからです。このドラマには、日本人、台湾人、オーストラリア人など、さまざまな人が登場しますし、立場が全員違います。私はこの作品を、俳優の口をとおして監督の思いを語らせるようなドラマにはしたくありませんでした。印象深かったのは、最後の法廷シーンの撮影です。26分間ワンカットで撮影したのですが、最後には俳優たちが皆、泣いていました。その後、皆さんがおっしゃっていたのは、1つの法廷の中でお互いが影響し合う、演技の魔法のようなものを感じたそうです。――このドラマを見て一番印象深かったのは、どの立場の人物の主張も、それぞれ筋が通っていると感じられたことでした。孫それが脚本執筆の段階から、視聴者に伝えたかったことです。戦時下では、多くの人がやむを得ない状況に追い込まれていました。日本軍の指揮官として、上層部の命令に従うしかなかったという言い分も正しい。大勢の仲間が捕虜となって殺害されたのだから、オーストラリア人が監視員たちを恨むのも正しい。では、台湾人はどうだったのか?何か間違ったことをしたのだろうか?俳優ひとりひとりが自分の役に入り込んで演じてこそ成立する場面だったと思いますし、やり場のない感覚に、視聴者も胸がしめつけられたと思います。主演俳優が1か月東京に滞在“日本の社会で暮らす台湾人”を体験――メイキングのドキュメンタリーを見ると、三兄弟を演じた3人は、日本で語学などのレッスンなどを受けていらっしゃったようですね。孫撮影が始まる前、1か月間、東京の狛江に滞在してもらいました。結構な出費になるので、行かせる価値があるかどうか何度も話し合いましたが、劇中の5分の3から5分の4は主役である彼らが話す場面でした。もちろん、植民地である台湾と内地の差はあるとはいえ、学校でも家の外でも使っていた言葉は日本語。丸暗記しただけのたどたどしい日本語ではよくありません。少なくとも、俳優たちには自信を持ってセリフを言ってほしかったので、東京で生活しながら先生のもとで学んでもらうことにしました。現在の狛江と80年前の台湾は全然違いますが、日本の社会で暮らす台湾人の感覚を体験してほしいという狙いもありました。ちょうどコロナ禍が終わったばかりで、航空券も宿も安いいいタイミングでした。とても価値のある投資だったと思っています。――日本では台湾旅行や台湾の食べ物などが大人気です。交流が盛んになるのは喜ばしいことですが、どんな歴史の延長線上に今の台湾と日本があるのか、知らない人が増えていると感じます。このドラマが日本でも視聴できるようになり、改めて歴史を知るきっかけになればいいと思います。孫台湾人の話ではありますが、日本軍の指揮官、弁護士などを通して、当時の日本人の戦争に対する見方をある程度は盛り込んだつもりです。今、台湾と日本はとても友好的な関係にあり、観光も好調ですし、文化交流も盛んです。80年前はどうだったのかというと、双方の関係はもっと特別で、戦線では同じ側で戦っていました。その後、歴史の流れで分かれてしまいますが、当時の台湾と日本の関係が現在とどのように違うのか、ぜひドラマを見ていただければと思います。――最後に、あらためて日本の読者にメッセージをお願いします。孫戦争とは、人類の社会における極めて異常な災難です。戦争を経験した人々の深い悲しみを鎮めるには、何世代にもわたる長い時間がかかります。第二次世界大戦のあと、台湾ではそれまで違う陣営にいた人々が努力して1つの島で生きてきましたが、戦争によって生まれたアイデンティティーの問題は、今なお激しい議論を呼ぶテーマです。そこで、聞かずにはいられません。日本ではどうでしょうか? あの戦争は今日の日本の社会に何を残しましたか? 原因について、過程について、結果について、戦争経験者とその子孫たちについて。「聴海湧」には異なる経歴を持つさまざまな人物が登場します。日本の皆さんにも、その中に、ご自身の家族の物語を見つけていただけたらと思います。現時点で「聴海湧」の日本における放送・配信は未定であり、プラットフォームを探している最中とのこと。また、台湾では劇場で全5話を一気に鑑賞するマラソン上映が「没入感がある」と観客に好評とのことで、終戦から80年となる来年2025年に日本で同様の企画上映が実施できないかどうか、劇場や美術館など関心を持ってくれる上映施設とのコラボレーションを希望していると語ってくれた。孫介珩監督プロフィール歴史学の学士号と政治学の修士号を取得し、修了後はニューヨークで映画制作を学ぶ。2019年にドキュメンタリー「恁」、2020年に短編映画「第一鮪」を発表。後者は新人の育成を目的にした短編映画賞「金穂奨」で最優秀脚本賞を受賞、台北映画祭で最優秀短編映画賞と最優秀助演男優賞にノミネートされた。(新田理恵)
2024年12月15日2023年、配信サービスにおいて映画史上世界NO.1の視聴数を突破し、世界で最も観られたアニメーション映画『モアナと伝説の海』。待望の続編、『モアナと伝説の海2』が公開中だ。海に選ばれた島育ちの少女モアナが、半神半人マウイと出会い共に航海した1作目から3年後が舞台。少し大人になったモアナが、広い海を分断する呪いを解き、再び世界をひとつにするための冒険に旅立つというストーリー。美しい海や島々のうっとりするような描写に、おなじみの愛すべきキャラクターたちがひしめきあい、スペクタル度も大増しとなった『モアナと伝説の海2』。物語をさらに盛り上げるべく、新たなキャラクターも投入されている。中でも、敵なのか・味方なのか、妖艶ないでたちでモアナを翻弄するマタンギは、劇中でもキーとなるニューキャラクター。日本語吹き替え版を担当したソニンは、「電話で合格を聞いて、道端で叫びました!」と配役後の喜びを語り、熱心に役作りに打ち込んだという。アーティストとしてデビューし、現在、主に舞台でその圧倒的な歌唱力と演技力を発揮しノリに乗っているソニン。インタビューでは、マタンギ役を演じる上での心構え、本作が導いてくれる「勇気を出して踏み出す」ことの大切さなど、実体験を交えて心のうちを語ってもらった。「悪人でも善人でもない」マタンギの声を担当――ソニンさんは、オーディションでマタンギ役に決まったと伺いました。報せを受けたときは、どのような気持ちでしたか?受かったと聞いたときは、本当に信じられませんでした。声優のお仕事自体、本作が初めてなんです…!ディズニー作品の声を務めることは、おそらく多くの役者さん、声優さんの目標というか、憧れだとも思うんです。私も例に漏れずでしたので、選んでいただいたことが本当にうれしかったです。――ソニンさんの圧倒的な歌唱力と表現力が際立っていた印象です。どのようにマタンギに挑んでいかれたんですか?正直すごく難しかったです。マタンギはわかりやすく「悪者」でもなく、「いい人」でもなく、どこの位置にいるのかが見えないような、わざとそういうポジションにいるキャラクターなんですよね。その塩梅をかなり探りながら、声を吹き込んでいきました。監督にご指導いただきつつ、何よりもオリジナルのキャストさん(アフィマイ・フレイザー)がいらっしゃるので、アフィマイさんから受ける印象に照準を合わせました。自分だけで生み出したマタンギというよりも、オリジナル版の雰囲気をできるだけ日本語にするように、ニュアンスを崩さずということを一番に意識して取り組みました。――オリジナルを踏襲しながらもご自身の声で表現することは、自分で100%構築するよりも難しそうに感じます。特に苦心した、こだわった点はどこでしょうか?やはり、悪人でも善人でもない、わからないような声の感じを出すことです。一見すごく悪そうに見える、いわゆるヴィランっぽいシーンもあるじゃないですか。通常であれば徹底して悪に見えるように表現するところを、あえて“抜く”ようにしました。それは台詞にしても、歌い方にしても、同じく意識した点です。微妙なところを狙って「マタンギってどっちなの!?何なの、この人~!」みたいな、ある意味軽さを出すところに一番苦戦しました。「何度でも通いたい」ミュージカル映画――歌唱では非常に艶っぽさもありましたが、そのあたりも意識されたところですか?はい。私は普段ミュージカルでパワフルに歌う役が多いんですけど、そっちに行きすぎないように意識しました。声は妖艶にしつつ、「ちょっとつかみどころなくて謎だよね」という雰囲気を残すように、といいますか。パワーだけで行き過ぎず、妖艶さもあるという歌唱方法も、すべてオリジナルの楽曲を忠実にやった感じです。――ご自身の声も入った日本語版の本作を、ソニンさんはどんな風に楽しみましたか?私が声を吹き込んでいたときは、ずっと洞窟というか貝の中の世界だったので、そこだけしか映像を確認していなかったんです。全編を観て「ええっ、こんなに壮大な映画なんだ!」と感動しました。海もすごく綺麗で…。私は1000年も貝の中にいるので、「みんな気持ちよさそう!」みたいな(笑)。癒されましたし、海外に行った気分になりましたね。映画館でこんなにヒーリング効果を得られるのなら、何度でも通いたいと思うぐらいです。すごくスケールの大きい、ディズニーならではのミュージカル映画だと思いました。何より、日本版声優を担当された皆さんの声が本当に素晴らしかったです。それぞれ役のイメージにぴったりすぎて、オリジナルの方を意識したのか、どこまで盛り込んだのか、すごく気になりました。皆さん、一人で収録したそうなんですが、「みんな一緒に録ったんじゃないの!?」と疑いたくなるくらい(笑)。すごく息の合った掛け合いで、吹替版も絶対に楽しんでいただけると思います!――本作ではモアナのよき相棒として、マウイ、ブタのプア、ニワトリのヘイヘイなども活躍します。ソニンさんにとって、そんな相棒的存在はいますか?相棒かあ…難しいですね!もう天国に行ってしまった私のワンちゃんにプアちゃんの柄がそっくりで、鼻もピンク色なので同じなんですよ!だから観ているときも、プアが映るたびに癒されて。相棒と言うと、いつもそのワンちゃんを思い出します。本当にプアが可愛くて可愛くて、プアだけはマタンギのそばにいてほしいから、貝の中に閉じ込めておきたいくらいですね(笑)。勇気をもらった言葉「あなたが進む道がすべて正解」――マタンギは、道は一つではないとモアナにそっと助言しますよね。その台詞やモアナの行動から勇気をもらう観客も多いと思います。ソニンさんご自身もいくつかの道で迷った末、勇気を出して踏み出した経験などあれば、ぜひエピソードを教えてください。マタンギがモアナに向かって伝えた言葉は、本当にその通りだなと思います。誰もが割と「こっちが幸せ」、「こっちしかない」と思い込んでしまいがちですけど、道は意外とたくさんあるんですよね。でも、若い頃なんかは私も全然そんな考えを持てなかったですし(苦笑)、年を重ねたから分かることもあるなと思います。私の話をすると…12年前、ニューヨークに留学しようと決めたときが、似た状況でした。信念を持って学びに行こうとしていたのに、いろいろなタイミングがそろわないと行けないから、行けるかどうかわからない、となったことがあったんです。自分が決めた道だったのに叶わないかもしれないと思ったので、あのときは本当に落ち込んで…。そのときに、友達が「万が一行けなかったとしても、それがおそらくあなたの正解の道なんだと思うよ」と言ってくれました。「一見うまくいっていないと思うかもしれないけれど、それがあなたにとってベストな道、なぜなら結果がそうなるから。今そんなに落ち込まなくてもいいんじゃない?」って。私が進む道がすべて正解だと言われて、すごく勇気をもらいました。――非常に素敵な言葉ですね。まるで指針の一つになるような。はい、本当に。そのときに「迷わなくていいんだな」と思ったんです。今ここでぐじぐじ悩んでいても結果はついてくる、と思えて。結果、ニューヨークには行けて1年半くらい住んだんですけど、その言葉はいまだに支えになっています。私たちはいつもすべてがうまくいくわけではなくて、モアナのように迷ってしまったり、自分が思い描いたことじゃないシチュエーションも起こるじゃないですか。常にジャッジメントされますし、いろいろな道が目の前に現れるときもある。最初はAを希望していて、もしAではなくBになったとしても、それは私の目指している方向にいけるんだと信じられるようになりました。そこが私の一番の生き方だと、すべての物事に対して思うようになりました。――ソニンさんの纏っているオーラがハッピーなのも、自分の選んだ道のすべてが正解になるという考えが根底にあるからかもしれないですよね。後悔もあまりしないですか?いやあ…どうでしょう。(後悔も)するけど…絶対そのままで放っておかないです(笑)!だって、苦い思いをしたまんまって、なんか悔しくないですか!?予期せぬ何かが起こったとしても、それを絶対に生かします。前向きにしてやる、くらいの気持ち…何なら「あれがあってよかった」と思える人生にしたいので、結果「良かったよね」という方向に向けようとしますね。(text:赤山恭子/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:モアナと伝説の海2 2024年12月6日より全国にて公開© 2024 Disney. All Rights Reserved.
2024年12月10日台湾・台北市で開催された文化コンテンツ産業の大型展覧会「2024 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」。今年は11月5日から11月8日の日程で実施され、文化コンテンツ産業を重点戦略に据える台湾が、国際共同製作を通して存在感を高めようとする姿勢を色濃く感じるプログラムが目を引いた。「ノー・ボーダーズ:国際共同製作作品における台湾俳優のニュー・ウェーブ」と銘打ったフォーラムには、MCを務めたエスター・リウ(劉品言)をはじめ、ウー・クーシー(呉可熙)、クー・チェンドン(柯震東)、リン・ジェーシー(林哲熹)ら、国際共同製作作品への出演経験を持つ若手実力派俳優が登壇。自らの経験や考察を語り合った。“台湾は安い”から抜け出すには?フォーラムに登壇した4人の話からは、俳優たちが抱いている危機感や台湾の映像コンテンツ産業が抱える課題、「業界全体をよくしたい」という熱意が感じられた。日本の映画ファンの間では『あの頃、君を追いかけた』(2011年)などで知られ、『黒の教育』(2022年)で監督デビューも果たしているクー・チェンドンが作り手らしい感想をシェア。「フランスでCMを撮ったとき、仕事時間は必ず1日6時間以内だった。台湾では11時間、12時間撮って、食事時間は30分というケースもある」と語り、決められた時間以内に仕事をやりきる姿勢と、それを可能にする事前準備の必要性を学んだという。クー・チェンドン昨年、ニューヨークで『ブルー・サン・パレス』(2024年/今年の東京フィルメックスで上映)を撮ったウー・クーシーは、「米国ではスタジオや監督らの打ち合わせにも俳優が自分で行く。MeToo以降はそういう場の安全も配慮されているし、俳優をアーティストとして扱ってくれて、作品に対する考え方や、どういう作品を作りたいかなど、意見を聞いてくれる」と米国での体験を語った。『ブルー・サン・パレス』さらに、「台湾には多くの優れたクリエイターがいるけど、外国のフィルムメーカーに台湾と共同製作する理由を聞くと、『安いから』という答えが返ってくる。どうすれば、こうした“受託生産”から抜け出せるのか?」と問題を提起。国際共同製作では、できるだけ資金が台湾のプロダクションに入るようにすること、また「これが台湾の作品」と世界に打って出られるストーリーやオリジナル作品の必要性などにも言及。業界全体で課題に取り組んでいく必要性を訴えた。日本ではドラマ「悪との距離」(2018年)などで知られるリン・ジェーシーは、フランスでは、資格を認められ、就業時間の基準を満たしたアーティストには、毎月約2000ユーロの補助金が出ることに驚いたという。リン・ジェーシー「新人俳優にとってはすばらしい生活条件。台湾でも俳優の待遇改善を求めるなら、どれだけ資金を回収し、市場を拡大できるコンテンツを作れるのか考えて努力していかないと。ずっと政府やTAICCAに頼っていてはいけない」と指摘。さらに、「インドの俳優から、インドでは大規模なダンスシーンの練習に1年から1年半かけるケースもあると聞いた。台湾は、そんな早くから準備に入れる環境ではない。2週間で痩せろとか、バイオリンを習えというような要求をされることも。そんな短期間で何でもできたら、今頃俳優はやっていない」と俳優が置かれている苦境についても触れた。ウーが、米国で英語のアクセントコーチについて学んだという経験を話すと、「僕らをサポートしてくれるのはYouTube」とユーモアを交えつつ、台湾でも同様のレッスンやアクション指導など俳優へのサポートが必要だと同調した。「台湾には、グレッグ・ハン(許光漢)が100人必要」と独特の表現で語ったのはクー。今年ヒットした日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』にも主演したグレッグ・ハンは中華圏だけでなくアジア全土で人気が高く、韓国ドラマにも出演している。「もっとエンターテインメントを価値のあるものだと考えてほしい。グレッグ・ハン1人ではなく、100人必要。彼は奇蹟じゃないし、偶然でもない」。さらに、「僕に外国からのオファーが多いのは、インスタグラムのフォロワー数が多いから」と語り会場を沸かせた。これは別にジョークではなく、俳優も自身の存在をアピールしていくことが必要だと考えての発言だ。『青春18×2 君へと続く道』©2024「青春 18×2」Film Partners国際的な出演経験を積み重ねて信頼を勝ち取るフォーラム終了後、多忙を縫って日本メディアのインタビューに答えてくれた4人。まずは先ほどのクーの発言を、さらに深掘りしてみた。―― フォーラムで、台湾にも俳優に対するサポートが必要だという話題が出ました。たとえば日本では、俳優が自腹でトレーニングのためのスタジオを建てたというような話も聞きます。台湾で俳優が自主的に行動を起こしたり、たとえばクーさんが何か働きかけたりしたことはありますか?クーもちろん、俳優自身の能力を伸ばすことは必要ですが、やはり、自分たちがそれをして、どのくらい経費を回収できるのかという話になると思います。新人や、コマーシャルなどの仕事をしていない俳優にとっては、お金や経験を消耗することになってしまう。やはり大事なのは、どのようにして外国のチームに台湾の俳優やスタッフの実力、台湾と合作する意義を知ってもらうかということ。合作したいと思ってもらえるようになることだと思います。―― 国際的な作品に挑戦したい俳優が、日頃から準備しておくといいと思うことは?クー広く友人を作ることです。僕は、たとえば韓国に行けば現地の友達に会うし、日本にも友達がいるので、そういう交友関係を使って人脈を作っていくんです。いつか僕のことを思い出して、一緒に何か仕事をしようという話になるかもしれませんよね。リンチェンドンと知り合いになって、友達をたくさんつくること。冗談です(笑)。僕は、経験の蓄積だと思います。実績を作り、「国際共同製作の作品への出演経験がある」という信頼を勝ち取ること。チェンドンがフォーラムで言ったように、外国のフィルムメーカーは僕らのことをあまり知らない。国際的に知名度のある台湾の俳優はとても少ないので、キャスティングの際は、まず既に知名度のある俳優にターゲットが絞られる。でも、全く知らない俳優から探すとなった時に、相手が見るのは経験値です。ウー演技などの技術を磨くことはもちろんですが、国際共同製作に興味があるなら、まずは外国の文化に近づくことが大切。少なくとも、まず外国の映画を見て、どういう監督がどんな作品を撮っているか、どんなジャンルの作品があるか、商業映画なのかアート系映画なのかを知ること。たとえば、金馬映画祭やさまざまな映画祭に参加し、映画関係者と知り合うこと。そして、もし欧米の作品に出ることを目標に掲げるなら英語の勉強、日本の作品なら日本語を学ぶこと。ただ「出演したい」と夢見るだけでは始まらない。目指すものが何なのかを知ることです。リウ脚本開発やクリエイティブの部分で、ストーリーを工夫することもチャンスにつながると思う。国際的な配信プラットフォームからどんどん文化が輸出されています。国際共同製作の脚本の中に、台湾独自のストーリーや台湾でしか撮れないシーンを盛り込めば、チャンスは増えると思います。エスター・リウ―― 多国籍なスタッフと一緒に仕事をした経験から学んだことは?その経験から見えてきた台湾の課題は?クー以前の1日12時間撮影のような環境が今では多少は改善はされているけれど、それらはすべてスタッフの犠牲によるもの。どうすれば個人を消耗させることなく仕事の効率を上げられるか、考えていかないといけない。やはり仕事の効率化が大切だと思います。リウ台湾での撮影は、コストパフォーマンスが高いと見なされてきました。少ないバジェットでも目的のものが撮れてしまう。実際それでもやっていけるのですが、あらゆることが犠牲のもとに成り立っている。その成功は、偶然か幸運だっただけ。そういう問題点を既に意識して早めに変わる準備をしたほうがいいと感じている人もいるけど、みんながみんな気づいているわけではない。業界全体で同じ方向を向いて前進していけるといいなと思います。リン俳優の意識の持ち方にも課題があると思う。今の話にあったような、限られた予算でそれなりのものを作っている現状に対して、皆はそれでいいと思っているようだけど、まずスタートの意識として、自分たちはどんなものを作りたいのか、どうすれば世界の舞台に打って出られるのかという意識を持っておくこと。台湾の業界全体が一緒に考えて挑戦しなければいけないと思います。大谷翔平さんの「憧れるのをやめましょう」という言葉がありますよね。国際共同製作の作品に出演する時の意識はこれ。実際、台湾の俳優は他国の俳優と比べても劣ってはいない。では、どうすれば世界レベルに到達できるのか?そこは僕らが努力しなければいけないのですが、もっとしっかり準備できる環境がほしい。短い期間で準備してくるのだから、僕は使い勝手のいい俳優だと言えるけど、外国と同じ条件なら、求められる以上のことができる。その環境を作るために、みんなで努力していくという意識が大切だと思います。演技のことだけに集中できる環境を―― ウーさんはフォーラムで、俳優がもっとクリエイティブな仕事に専念できる待遇を得られるようしなければいけないと指摘されていましたね。ウー米国で撮影した時、俳優には専用のトレーラーがあり、中には冷蔵庫やベッドやメイク台などがありました。スター待遇しろということではなくて、あそこではヘアメイクを心配する必要がない。私のヘアメイクチームは皆、脚本を分かっていたのです。次の撮影シーンが寝起きなら、起き抜けの乱れ髪がほしい私を、きれいにスタイリングしたりしない。あちらのスタッフは、それぞれの専門を生涯の仕事としてとらえていて、待遇もいいし、リスペクトされていると感じました。たとえば、その作品のスクリプターは、スクリプターだけやっていきたいと話していました。台湾でスクリプターというのは、監督を目指す人の通過地点であることが多い。あるポジションの技術を学んでも、それが継承されていかないのです。台湾のスタッフは、仕事はスピーディーで能力も高く、すぐ状況に適応できます。でも、その状態を持続することは難しい。日本の状況は分からないですが、分業がきちんとできている環境では、効率がいいし、皆が何をすべきか分かっている。俳優も演技のことだけに集中できます。自分のクリエイティブのことだけを考えればいいなんて、そんな環境なら天国だと思います。ウー・クーシー―― 台湾では、どんなジャンルやテーマの作品が必要とされていると感じますか?クー商業映画ですね。コスパがよく、資金を回収できればいいという考えから抜け出すべきで、台湾には大きな規模の作品が足りないと思います。リン僕も同じ意見です。台湾は文芸作品が強いし、製作本数も多い。でも、それらは全部、コストや環境が起因している。大規模な商業作品は大きなバジェットやサポートが必要にはなりますが、作らないと経験を得られない。そうやってこそ、市場を拡大していけると思います。台湾の観客は、台湾の文芸作品のことは信頼していて、好きな人は映画館に足を運びます。でも、商業映画には「はあ?」というリアクションだし、ひどい出来になると思っている。俳優も含めて、そういう作品での経験値が必要。「アイアンマンを演じろ」と言われたらどうする?できるかもしれないけど(笑)、努力が必要です。―― 一緒に仕事をしてみたい日本の俳優、監督は?リン最初に思い浮かんだのは三池崇史監督。小栗旬さん主演の『クローズ』が好きです。ウー「ロングバケーション」が好きなんです。数年前に見直したのですが、やはりいいドラマでした。あと北野武監督や、『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督の作品が好きです。リウ私も木村拓哉さん世代(笑)。是枝裕和監督の作品の雰囲気が好きですね。クー僕は奥山大史監督です。今年の台北映画祭で審査員をしたのですが、(出品されていた)『ぼくのお日さま』がすばらしかった。授賞式で会った時、すごく若い監督で驚きました。機会があれば、お仕事してみたいです。TCCFは、台湾文化コンテンツ産業のサポートと国際化を促す独立行政法人「台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー 」(TAICCA 読み:タイカ)が主催。今年で5年目の開催となる。(新田理恵)
2024年12月07日ある中学校のクラス35人全員に密着した『14歳の栞』で注目を集めた竹林亮監督が、齊藤工による企画・プロデュースのもと、新作ドキュメンタリーを創り上げた。ある児童養護施設に暮らす子どもたちの成長を見つめた『大きな家』だ。現在、年齢制限は撤廃されたものの基本的には18歳を過ぎて準備ができたら自立しなければならない環境の中で、各々が人生と向き合うさまを描いた本作は、劇場上映のみを予定している。子どもたちや職員の配慮を施しながら、そこに生きている人々そのものを映し出した本作。竹林監督と齊藤さんに異端のドキュメンタリーに込めた思いを伺った。子どもたちが意見を言ってくれるような関係性に――本作を拝見した際、構図であったりカメラの置き所が子どもたちに寄り添うようなものだったのが印象的でした。竹林:いまおっしゃったカメラの目線や高さは、まさに全員が意識していた部分です。各パートそれぞれの主人公の目線になるように調整しました。距離感をもって撮りつつも、大事なカットは話している子たちと目線を揃えられるように。また、作品全体がパートごとに年齢が上がっていく構造にしているので、徐々にカメラの目線も上がっていきます。――ただ、目の前で被写体が生活を送っているわけですから、インタビューパート以外の決め打ちはなかなか難しいですよね。どのような工夫をされたのでしょう。竹林:おっしゃる通り、撮りたいものって大体撮れないんです。だから計画しても基本的にその通りにはいきません。ただ、みんなでご飯を食べたりしながら「こういう子だよね、こういう癖や面白さがあるよね」という話をしていくうちに、僕たちが撮っている相手の見方が変わってくるんです。僕らが気になっているポイントや被写体にとってのキーワードが何となく見えてきて、かつそれをスタッフ間で共有できている状態なので、撮影部や録音部が瞬間的に動けたのではないかと思います。あとは、数百時間ぶんくらい撮っているため、様々なアングルを試すことができたということも、大きいかと思います。――それだけの素材を約2時間に収めるのは相当大変だったかと思います。被写体の方々に意見を聞きながら編集作業を進めていったそうですね。竹林:「本人が嫌なものは絶対に出さない」が最重要ルールでした。編集作業はトータルで半年くらいかけていて、ある程度見えてきた段階で本人や職員の方に観てもらい、気になるところをヒヤリングして再編集する形で進めていきました。「自分のプリクラは映さないで」や「背中の筋肉がちゃんと映っているところにしてほしい」といった可愛いリクエストも反映しつつ――最後のエピソードの男の子は「自分は恥ずかしいけど、映画にとってはすごくいいよね」と受け止めてくれたのですが、本人が折り合いを付けられる場所という映画のあるべき姿に落ち着けた気がしています。齊藤:子どもたちの年代にもよりますが、長い間共存して下さったおかげで各々が撮影という装置を理解し出しました。そして後半になると本人たちが「こう切り取ってほしい」と意見を言ってくれるような関係性に昇華されていった点が、傍から観ていて面白かったです。竹林:「子どもたちが学校から帰ってきたらいる人たち」のような状態でやらせていただきましたが、最初からカメラを意識していなかったということはやはりありませんでした。職員の方も「普段はこんな感じじゃないのに、カッコつけちゃっている」とおっしゃっていましたが、本人がいま人に見せたい姿を切り取るのは、決して嘘ではありません。それもまた、本人の一面ですから。齊藤工、監督のクリエイションに対する信頼――乱暴な言い方で恐縮ですが、ある種ホームビデオ的になる可能性もあったなか、本作が「映画」として確立しているのは竹林監督のクリエイションだと感じています。齊藤さんはどのようにご覧になっていますか?齊藤:おっしゃる通り、これだけ情報があふれていて、映像・映画を受け取る環境が配信ベースになりつつあるなかで、映画と個人で配信している映像の差別化がものすごく問われる時代であり、「これにお金を払うの?」と言われてしまう可能性も建付けとしてはありました。ただ、僕が出会った被写体の子どもたちと施設の方々、そして竹林監督のクリエイションと被写体との距離感は絶対にそっちにはいかないという確信がありました。この座組でなければ、やろうと思えなかった気がします。竹林監督の『14歳の栞』が劇場に足を運ばせたのは、口コミが援護射撃になっているのも大いにあるかと思いつつ、作品から漂う「クオリティの高さ」かと思います。『大きな家』も構図をはじめ結果的に映像のクオリティがとても高かったですが、企画当初はそうした映像面においては、かつて自分が被写体としてマダガスカルやカンボジアに竹林監督と行くドキュメンタリーを経験した関係値もあり、竹林監督のクリエイションに対する信頼だけでした。そのうえで「コロナが明けてきたいま撮らないと逃してしまう何かが確実に映り込むはずだ」という漠然とした確信に突き動かされた形です。目的やフィロソフィーが掲げられないと映画の企画は成立しないかと思いますし、商業的な成立のさせ方がプロデューサーの役割でしょうが、むしろそうではないものに宿る本質が竹林監督と児童養護施設の子どもたちの間に生まれるんじゃないかと考えていたのです。この作品が世に出るものになるかも定かではないからこそ、映画づくりにとっては不誠実でもあるような変則的な進め方をできました。年齢という括りで“成長”という流れを作る――先ほど伺った「被写体が制作に参加する」体制含めて、一般的なドキュメンタリーに対するカウンター的な作品でもありますね。各々の背景を説明しない、というのも新鮮でしたし、音楽やナレーションを排している点も興味深かったです。竹林:まず、様々な人に影響を及ぼしてしまうため全てをオープンにはできないという制約がありました。そのうえで、被写体の子どもたちが「この映画に出てよかったな」と思えるものがいいという前提の思考の整え方を行っていきました。大抵のドキュメンタリーは課題を提示する役目を担っているかと思いますが、その観点でいうと「背景を説明しよう」となっていたかと思います。ですが「こういう子です」と見せてしまうことでわかった気になって整理してしまうのも危険ですし、本作ではそれを行いませんでした。背景に想像を巡らせながら「自分に近いところがあるのかもしれない」などと考えながら観ていくと、一つひとつの言葉に耳を澄ませることになり、子どもたちに向き合うことができると信じて。ただ、ドキュメンタリーとしてそれを行うことは非常にチャレンジングでした。どう成り立つのかわからない怖さがあったのは確かです。そんななかで、「こういう性格だからこの順番に並べるんだ」ではなく、普遍的な年齢という括りで“成長”という流れを作ることにしました。個人に限定しない共感の仕方を生み出したいという想いから、そうした整理を行った形です。齊藤:その構成については、僕は仕上げの段階で知りました。子どもたちが全員僕のことをメディアを通して知っているわけではありませんでしたが、とはいえ自分の存在がノイズになりかねないので、極力内に入らないようには気を付けていたつもりです。僕の担当としては、作品の中身というよりも、長い間カメラが子どもたちや職員の方々の生活に入ることに対して安心してもらえるような役割であり、そのために接点を設けていました。自分が現場にいかに立ち会わないかが大切だと感じて、作品の完成を楽しみに待っていました。そのなかで、子どもたちの何人かが、福田文香プロデューサーをはじめスタッフの方々の働く姿を見て映像業界に興味を持ってくれたことが記憶に残りました。「映像業界で生涯働いていく」というところにたどり着かなくても、職業を知ってもらい、働く大人――しかも心を許せる人たちとかれらが出会えたことはひとつのゴールになった気がします。被写体になってもらい、撮影する仕事を近くに感じてもらったことが、貴重な体験になったのかもしれないと思えた出来事でした。▼齊藤工スタイリスト:Yohei "yoppy" Yoshidaヘアメイク:赤塚修二衣装クレジットセットアップ・スニーカー:Y’s for men/ワイズフォーメンシャツ:Yohji Yamamoto/ヨウジヤマモト(text:SYO/photo:You Ishii)■関連作品:大きな家 2024年12月20日より全国にて公開※12月6日ホワイトシネクイント、TOHOシネマズ梅田、センチュリーシネマ先行©CHOCOLATE
2024年12月04日取材・文:ミクニシオリ撮影:渡会春加編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部グラビアアイドルから芸能人としてのキャリアをスタートさせたその人は、現在はタレント、女優、実業家、映像プロデューサーなど、活動の幅を大きく広げている。彼女の名前はそう、MEGUMIさんだ。美容オタクとしても知られる彼女が2023年に出した著書は、2024年には単行本実用部門で1位となり、ベストセラーに。バラエティでもよく通る声や、その聡明な話しぶりから、いつの間にか悩める全女子のアドバイザーのような存在になっていった。2024年10月には元メジャーリーガーのイチローさんとともに、悩める大人の相談ライブ「イチ問一答」にも出演。世界のイチローさんの前でも彼女は凛としていて、彼女ならではの視点で、漠然とした子育てや恋愛のお悩みに対する「答え」を与えてくれたのだった。しかしMEGUMIさんは著書や、さまざまなインタビューの中で「メンタルが強くない」と話している。画面の中でトークする彼女は、あんなにも堂々して見えるのに。■20代、30代は「今より辛かった」「悩みが解決した女の子が元気になるのを見るとね、すごくうれしいし元気がもらえるの」MEGUMIさん自身は、身近な人にはあまり自分の相談をしないのだそう。友達と過ごす時間は楽しい時間として割り切るために、客観的な目線で話を聞いてくれるエステティシャンや、トレーニングコーチに「独り言のように」話すという。「友達といる時は、友達にも楽しんでもらいたいし、自分の話ばっかりするのもアレなのでね。少し距離のある人に相談するようにしています。身体のメンテナンス中って自然と言葉が出るから。話してみてから、思ったより疲れてたなって気づくこともあります」現在は女優、タレント、実業家にプロデューサー業、それに加えて母親業と、畑違いの仕事をいくつも抱えているMEGUMIさん。日々頭の使い方が違う物事に向き合いながら、自己管理もしっかりこなしているというのだから、驚きだ。「コツはたまに、考えるのを辞めること。やる気が出ない日は、何かしら理由があるんですよ。身体が疲れてるとか、天気が悪いとかね。そういう日は割り切って、すべきことも全部手放しちゃいます。昔はできなかったけど、この歳になってだんだん自分を飼いならせるようになってきた。悩み続けるのって、自分をすごく痛めつける行為だから」MEGUMIさんは今よりも、20代から30代にかけて、自身のキャリアについて悩んだ時期の方が辛かったと語る。やりたい仕事がなかなかできなかったり、新しいことを始めても、うまくいかなかったり。「20代から30代前半にかけては、今よりずっと辛かったです。将来が不安だったし、もっと認められたいっていう、刺々しい承認欲求もありました。なりたい自分になれていないのが苦しかったし、他人を理解しようとする余裕もなくて、孤独でした。だけど年齢を重ねる中で、失敗してるのは自分だけじゃないこととか、みんなの考えていることとか、気持ちが少しずつ分かるようになってきた。母親になったことも大きかったかもしれませんね。子どもという他人と向き合って、学べることも多かったです」紆余曲折や挫折を経て、43歳を迎えたMEGUMIさんは「今が一番楽しくて、健康で、美しい」と感じるのだという。「自然に変わったというより、変わりたくて踏ん張った時期がありました。競争や入れ替わりの激しい芸能界で、ずっとこのままだったらもうやっていけないかもと思うほど追い詰められていた。思考のクセで、起こってもいない問題を不安がっていたんですよね。臨床心理士の方や、メンタルケアの先生のお話を参考にして、悪いクセを少しずつ断捨離していきました」■人生アドバイザー?いえいえ、私も学ばせてもらってるんです30代、仕事も子育ても一番忙しい時期に、MEGUMIさんはどんどんと新しいことにチャレンジしていった。今や著書はバカ売れ、ドラマやバラエティにも引っ張りだこ。その上近年になって、映像の企画・プロデュースや飲食店経営をスタートさせている。「20代、30代の時には、今の自分のキャリアは全く見えていませんでした。俳優として頑張りたいという一本筋はあったけど、ただそれだけ。ただ美容が好きだったから、発信していたらそれが本になった。映画業界を盛り上げたいという思いがあって、そのことを周りに話していたら、プロデュース業がスタートした。好きなものを公言していくうちに、自然発生的に広がっていった感覚です。だけど、これまでたくさん失敗もしてきました。子ども服ブランドは上手くいかなかったし、夏フェスをやりたくて頑張ってた時もあったけど、実現しなかった。でも今、飲食店を経営できているのはこれらの失敗のおかげです」誰しも、失敗するのは怖い。事業を始めるとなればお金が必要だし、リスクも大きい。だけど「失敗からしか学べないことはあった」と、MEGUMIさんは語ってくれた。「ある程度リスクを取ってでも、大きく展開しないと認知してもらえないよねとか、全部一人で抱え込んでたら、潰れちゃうんだなとか。失敗の点と点が、線になっていくんです」失敗続きの人生も、最後に線になるのだとすれば、むしろ失敗が多かった人ほど、大きな人生経験を得ることができるのだろう。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」なんていうのは古い考えにも思えるが、意外と時代とは関係のないことなのかもしれない。「今も、俳優として頑張りたいという軸は変わっていません。だけど飲食店での経験が俳優業に生きるなんて、私も思ってなかったんですよ。仕事柄、スペシャルな人とばかり関わることが多いけど、実際にドラマや映画で演じるのは、普通の子だったりするわけじゃないですか。オーナーとしてお店で働いてくれるスタッフさんと話したり、SNSで私のファンだって言ってくれる子と話したりしてみると、どんどん自分の考え方も広がっていくんです。今の若い子が考えていることとか、将来何が不安なのかとか、画面を通すと私がただ教えているだけに見えるかもしれないけど、私もたくさんのことを学ばせてもらっています」■自己肯定感の低い日本女性、少しでも背中を押したくて芸能人の方とのコミュニケーションは、一方通行だと感じる人が多いだろう。SNSでコメントしても、相手が見ていてくれているかは分からない。だけど目の前にいるMEGUMIさんは、私の言葉一つひとつに真剣に耳を傾けて、咀嚼してから言葉を投げ返してくれる。私たちを「一人の人間」として見て、交流から何かを見出そうとしてくれていることが、とてもうれしかった。「イベントの度に、本を持ってきてくれる子がいたり、私の発信を見て何か新しいことを始めたって言ってくれる子がいることが、活力になっています。もともと美容に関する発信を始めたのも、とある経済ニュースの番組で、日本の女性の自己肯定感が低いってことを知ったから。私もそうだったのかもなあ、分かるなあって思ったし、だから少しでも女性が自信を持つきっかけになれるような情報を届けたくて、勝手に発信を続けています」経営者としてスタッフの人生を背負いつつ、日本の女性たちの背中を押すために活動を続けている――そんなMEGUMIさんだからこそ、今ここまで女性たちから支持されているのだと実感する。母のような、姉のような、保健室の先生のような、頼れるMEGUMIさんが頑張る姿を見ていると、たしかに「私も頑張ってみよう」と思えるのだ。「今のキャリアにプレッシャーはありますけど、人って、こういうことの積み重ねで成長できるんだと思うんですよ。私の姿に背中を押される人が一人でもいるなら、これから先も踏ん張っていきたいです」テレビ越しには凛として見えるMEGUMIさんの笑顔は、強さと自信、そして愛情に溢れていた。仕事・転職・独立、恋愛・結婚・離婚、人間関係など、皆さまから寄せられた「大人な悩み事」に対して、イチローさんならではの哲学で生回答するお悩み相談ライブ「イチ問一答」。MEGUMIさんが出演した第3弾のアフタートーク動画「Bar51」の公開が決定しました。ライブ終了後の打ち上げとして、イチローさんとMEGUMIさんがさらにお酒を飲みながら深掘りトークを展開したスペシャルな動画。ライブ配信では話しきれなかったこと、打ち上げの場だからこそ明かされるプライベートなエピソードなど、「Bar51」ならではの“ここでしか聞けない話”をお届けします。2024 年 11 月 28 日(木)より順次配信オリックスグループ公式 Instagram アカウント「SMILE ON」(@orix_smile_on)
2024年11月29日かつて光文社が発行していた女性ファッション雑誌『JJ』は、サントリーが2024年4月に全国で発売した「茉莉花(まつりか)〈ジャスミン茶割・JJ(ジェージェー)〉缶」と “JJ同盟”を結成し、共同アクションを実施。元JJモデルの筧美和子さんを起用し、JJ缶とコラボしたJJ表紙風デザインが完成しました。SNSで公開される『JJ』雑誌記事では、筧美和子さんが平成メイクに挑戦。また、平成のシチュエーションをイメージした撮影に挑みました。さらに、筧美和子さんの特別インタビューも公開。「今見ても平成のグッズやメイクは可愛いくて、きゅんきゅんしました」と、当時を振り返るコメントも閲覧できます。掲載URL:■サントリー✕光文社の“JJ同盟”とは?ファッション雑誌『JJ』4年ぶり“デジタル表紙”が完成した背景は……長年、多くの女性たちのファッションバイブルとして愛され続けてきた光文社の『JJ』が、サントリーのジャスミン焼酎〈茉莉花〉の商品JJ缶との“JJ同盟”を結び、JJ缶とコラボしたオリジナル“”表紙”が完成しました。きっかけは、サントリーがJJという愛称を冠したジャスミン焼酎「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉」の商品を、雑誌『Hanako』や『Casa BRUTUS』など他メディアとのタイアップ記事掲載を発見したところから始まります。光文社の『JJ』の公式Xアカウントからは、「JJといえば私たちなのに、なぜ別雑誌で掲載しているのか」とサントリー公式Xアカウントに問いかけたところ、サントリーからは、「JJさん、本当にすみません。JJともコラボさせていただきたいと思っていたんです。本当に本当です」「ぜひ一緒にプロジェクトを実施しましょう」と話が進み、同じ“JJ”の名のもとにタッグを組んだ“JJ同盟”を結成しました。そして、“JJ同盟”の光文社とサントリーは共同アクションを実施します。光文社からは平成時代の雑誌『JJ』表紙をモチーフにしたオリジナル“表紙”をSNSに掲載。かつて『JJ』の誌面を華やかに飾った筧美和子さんを再び起用し、平成メイクに挑戦した撮りおろし写真と特別インタビューを公開します。■【光文社アクション】元JJモデル筧美和子の取り下ろし撮影メイキング・インタビューも公開!今回の共同アクションでは、かつて『JJ』の誌面を華やかに飾った元JJモデルの筧美和子さんを再び起用し、新作撮りおろしの撮影を行いました。筧さんは「『JJ』を卒業してから何年も経ちますし、私も30歳になったので、どうなるのかなとドキドキしていました」と、撮影前の心境を語りました。当時のアイテムやスタイルにこだわり、筧さんは囲みメイクやデコ小物、ビジューワンピースなど、かつてのイメージを蘇らせるようなスタイリングでの撮影に挑戦。さらに、筧さんへの特別インタビューを実施し、当時の『JJ』に対する思い出などを振り返りました。筧さんは「芸能界に入ったばかりの私にとって、『JJ』はホームのような存在。家族のように温かく、様々なことにチャレンジさせていただきました」と振り返り、「久しぶりに当時のスタッフさんともご一緒させていただいて、時が戻ったような気持ちになります」と語っています。また、メイキング映像では、計3シーンを収録。『JJ』表紙撮影の他、JJ缶を手に取っておうち時間を過ごす様子や、夜の女子会のようなシーンなど、様々な筧さんの姿を見られます。撮影の合間には筧さんがデコ小物やガラケーを手に取りながら「懐かしい〜」と当時の話で盛り上がる場面や、雑誌『JJ』のページをめくりながら、モデルとして活躍されていた当時を思い出す姿もあり、現場は終始和やかな雰囲気に包まれました。JJ世代の人々にとって懐かしいアイテムの数々にも注目の内容となっています。青春時代を思い出すような今回のプロジェクトをぜひ、楽しんではいかがでしょうか。◇インタビュー内容レポートQ:今回の撮影で印象に残っている場面はありましたか?A:今回、久しぶりに当時の『JJ』スタッフさんとご一緒させていただき、本当にすべてが懐かしくて時が戻ったような気持ちになりました。懐かしいものも沢山あって、今見ても平成のグッズやメイクは可愛いし、きゅんきゅんしながら撮影していました。今日使った中で特にお気に入りの平成グッズは、ガラケーです。ファーやストーンがついていて、私も昔はそういうものをやっていたな〜と。あとはつけ爪もお気に入りです。校則が厳しかったので、休日につけて遊んでいた思い出があります。最近だと、今またガラケーが欲しくなっています(笑)。友人との間でも「ガラケーが欲しい」という話をすることがあり、当時、メールの受信を待っていた時間がエモかったなあとすごく懐かしくなりました。Q:『JJ』の紙面に登場した時の懐かしいエピソードを教えてください。A:撮影のときに出てくるおにぎりがおいしかったことが印象に残っています(笑)。朝、スタッフさんがモデルそれぞれに好きなおにぎりを用意してくれるんです。体型も気をつけなきゃと思いつつ、撮影中にパクパク食べてしまっていた思い出があり、今でもそのおにぎりが恋しくなります。特にごまがついている「たらまよ」おにぎりがとても美味しくて好きでした。Q:30代を迎えるにあたっての目標を教えてください。A:最近のテーマは「よく食べ、よく動き、よく眠る、よく働く」ですね。20代の頃はオフの時間は省エネな生活をしていたのですが、今はむしろ動くようになって、わんぱくになった感じがします。動いていると気持ちも元気になる気がして、30代ではもっとたくさん動きたいと思っています。ランニングも始めて、2日に1回のペースで続けるようにしています。最近は高尾山に登りました。とても気持ちよかったので、これからいろいろな山に登って山頂でおにぎりを食べたいですね(笑)。Q: 今回はサントリーの茉莉花JJと『JJ』のコラボでの出演ですが、茉莉花JJの印象を教えてください。A: 食事と一緒に飲むことも多いですし、これだけでも美味しいのでテレビを見ながら飲むこともあります。最近はスパイス系の料理にハマっているので、スパイスカレーやスパイスを使った炒め物と一緒に茉莉花JJを飲むことが多いです。■「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」についてサントリーが2004年に発売した「ジャスミン焼酎〈茉莉花(まつりか)〉」は、爽やかなジャスミンの香りと軽やかな味わいが特徴で、飲食店を中心に好評を得てきました。特に近年、大阪や沖縄を中心に「JJ(ジェージェー)」と呼ばれる、ジャスミン焼酎をジャスミン茶で割る飲み方が話題となり、2019年と比較し2023年での販売量は約10倍にまで増加。この人気を受けて、サントリーは2024年に「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」を発売しました。手軽に楽しめる同商品には、3種類の特徴の異なる茶葉をブレンドしたジャスミン茶が使用され、軽やかで爽やかな飲み口を実現しています。・「茉莉花(まつりか)〈ジャスミン茶割・JJ〉缶 335ml」希望小売価格:167円(税別)アルコール度数:4%発売地域:全国「ジャスミン焼酎〈茉莉花〉」ホームページ:(エボル)
2024年11月29日メイクアップブランド「エクセル」が、この秋にメイクアップクリエイターのGYUTAE(ギュテ)さんと、ブランドとして初めてのクリエイターコラボを実施。新商品「メロウシェード リキッドライナー」のGYUTAEさんプロデュースカラー「ML05(ダスクグレージュ)」を発売しました。このスペシャルなコラボを記念し、2024年11月17日(日)に原宿の@cosme TOKYOで「エクセルדGYUTAE”プロデュースカラー発売記念イベント」を開催!マイナビウーマン編集部がイベントに参加し、GYUTAEさんにインタビューもしてきました。イベントの様子とともに、GYUTAEさんプロデュースカラーのこだわりポイントも教えていただいたので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね!■GYUTAEが「自信をもっておすすめできるカラーができた」語る渾身の一色日曜の朝早くから行われた本イベント。抽選で選ばれた参加者はドキドキした表情でGYUTAEさんの登場を待っていましたが、GYUTAEさんの姿が見えるとあたたかい拍手と笑顔で満ちた空間に!GYUTAEさんが「朝早くからありがとうございます」と感謝を述べる姿が印象的でした。今回のコラボアイテム「メロウシェード リキッドライナー ML05(ダスクグレージュ)」について聞かれると、「自信をもっておすすめできるアイテムができた。毎日使っていて、これが無いとメイクできないくらい愛用しています」と笑顔を見せてくれたGYUTAEさん。もともとエクセルのリキッドアイライナーを愛用しており、リニューアルのタイミングでコラボが実現したのだとか。開発中は、サンプルを10~20本つくって吟味していったと語られました。アイライナーのカラーはGYUTAEさんが日々アイライナーで眉やまつ毛を描くうえで「どんな色が本物の毛の色に近いんだろう?」と試行錯誤を繰り返した結果、「パープルを入れたらいい感じになるのでは」と思っていたところ、ファンの皆さんのお声でも「パープルのアイライナーがほしい」という要望があり、決まったのだとか。カラーをつくっていくうえで、目力を出せる濃さと、時間が経っても変色しないキープ力、そしてパープルならではの透明感のバランスが難しかったと明かしてくれました。■GYUTAEが「エクセル」愛用品を明かす「メロウシェード リキッドライナー ML05(ダスクグレージュ)」には、エクセル定番人気のアイシャドウ「スキニーリッチシャドウ SR03(ロイヤルブラウン)」を合わせるのがおすすめとのこと。ピンク系のブラウンに透明感あるパープル系アイライナーがマッチします。イベント当日は上記の組み合わせに、リップは「リップステディ」のローズベージュ系を使っていたそう。同じ組み合わせでメイクしてみたい……!エクセルには他にも愛用品が多数あるそうで、毎年冬に数量限定で発売されている「エクストラリッチパウダー」は発売されるたびにストック買いをしているのだとか。「自然なパール感と粒子の細かさがお気に入り。通常商品にしてほしいと思ってます」とラブコール。さらに、ブランドとしても人気の3WAYアイブロウペンシル「パウダー&ペンシル アイブロウ EX」はメイクをフル装備するときでもきれいに発色してくれるところがお気に入りと紹介。「普段のベースメイクは7層なんですけど、フル装備の時は10層」と語ると、会場からは驚きの声も。カラー展開の多さにも言及していました。■ファンからの質問に回答!話題の「カーペット肌」にも言及イベントでは参加者から寄せられた質問にGYUTAEさんが回答するコーナーも。質問が発表されるたびに「○○さんどちらにいらっしゃいますか?」と呼びかけ、ファン一人ひとりに目を向けている様子が印象的でした。今回のコラボの広告ビジュアルについて聞かれると、「頭の中でイメージしていたものが具現化できたような、カチッとハマったような感覚が新鮮だった」と振り返ってくれたGYUTAEさん。他にもこの秋におすすめのアイシャドウやイベント前のルーティンなども答えてくれました。出先でのメイク直しについて聞かれると、「メイクが崩れないんですよね……」と回答に迷いつつ、最近GYUTAEさんのTikTokで話題になった「カーペット肌」について言及。薄く何層も重ねているので、外部刺激で崩れても撫でると元通りになるんだとか……!GYUTAEさんならではのエピソードを明かしつつ、ファンが日常的に活かせる内容としては「全体にパウダーをのせると直しにくくなるので、クッションファンデーションで仕上げて、崩れやすい部分にだけパウダーを使うのが良いかと思います」とアドバイス。締めに「ぼくのメイク動画を見て同じメイクをするとカーペットができあがります(笑)」と会場の笑いを誘いました。イベントの最後にはGYUTAEさんとのツーショットチェキが撮れる抽選会も実施され、3名が当選。当選した方には会場全体から拍手が沸き起こるなど、あたたかい雰囲気に包まれてイベントは終了しました。■「いろいろな人に使ってほしい」今回のイベントで、GYUTAEさんに個別インタビューのお時間をいただくことができました。気さくにお答えいただいたやり取りの様子をお伝えします。――今回、エクセルとして初のクリエイターコラボが実現しましたが、お話を聞いたときの率直な感想を教えてください。ずっと昔から愛用していたので、コラボさせてもらえるというだけでうれしかったのですが、さらに初ということで「ぼくでいいんですか?」という心配もありつつ、でも素直にうれしかったです。エクセルさんはいろいろな場所で見かけますが、プチプラながらも品のあるブランディングが大好きで。低価格でいいものを作っているイメージがあったので光栄でした。――GYUTAEさんにとってもここまでしっかりプロデュースされるコスメは初めてとおっしゃっていましたが、商品に込めた思いやこだわりを教えてください。今まで「スキニーリッチライナー」のグレージュで眉やまつ毛、アイラインを描いていたのですが、それがリニューアルするタイミングということで、ぼくがつくるのであればいろいろな用途に使えるカラーをつくりたいと思いました。自分自身も黒髪になって眉の印象が薄くなったと感じていたところだったので、自分がほしいもので、なおかつファンの方々やユーザーの方々が求めているカラーをつくりたいと思っていろいろと意見を聞いていったのですが、その中で「紫」という単語が出てくることが多くて。ぼくも自然な毛並みの質感を再現しようとしたときに、黒で描くと濃すぎるし、グレージュは薄いなという印象があって、でもダークブラウンだと濃すぎる。ブラウンが入ると毛の質感が出ないなというところで、何が良いんだろうと思っていたのですが、パープルが入ることによってすごく自然な毛並みに見えて、なおかつ透明感が出るということに気が付きました。そこで今回のカラーリングをつくったのですが、グレージュ・パープル・黒それぞれの良いところが絶妙に混ざったのがこの「ダスクグレージュ」になっていると思います。――アイライナーとして使ったときのポイントはどこですか?もともと目力を出すことに重点を置いていたので黒いライナーしか使っていなかったんです。太めに引くことも多くて。太めに引けば引くほど薄い色のライナーだとすごく薄くなってしまって目力が出ないように感じていたので、黒ばかり使っていました。でも、世間的にカラーライナーが流行っていて、ぼくも使ってみたいなという思いがありました。今回のダスクグレージュは引きで見ると黒のライナーのように目力がしっかり出るのですが、近づくとパープルのニュアンスが見えて透明感を感じられるという二面性があって、そこがこだわりポイントです。――開発の上で苦労した点を教えてください。パープルを入れたいという色味のコンセプトは早めに決まっていたのですが、黒みや白みの配合のバランスで色味が変わるので、自分の頭の中にあるカラーを具現化させるのが大変でした。でも、最終的には思い描いていたままのものができあがったので納得がいっています。――完成品を手にしたときのエピソードを教えてください。最後、2色くらいで迷っていたのですが、いざ使ってみると「ああ、もうこれだ」とすぐに決まりました。最後はビビッときて即決だった印象があります。――苦労してできあがったアイライナーが実際に店舗に並んでいるところは見られましたか?はい!@cosme TOKYOさんにはパネルが置かれているのを知っていたので見に行きました。全身白コーデで行ったのですが、全然誰にも気づかれず普通に写真を撮って帰りました(笑)。――お忍びで行かれたんですね。ファンの皆さんからの反応はどうでしたか?こんなに反響があると思っていなかったので、完売情報を聞いて「ホントに!?」と思いました。ファンの方から「買えない!」とコメントが来て、申し訳なさとともにうれしさもあり、複雑な心境です。ぼくがつくっていると知らずに買ってくださる方もいると伺って。色の名前を決めるときにぼくの名前を入れる案もあったのですが、カラーそのものが人気になってほしい思いがあったので、色に合うものにしたくて「ダスクグレージュ」という名前にしたという経緯があったこともあり、カラーが褒められているのがすごくうれしいです。――改めておすすめの使い方を教えてください。彩度が低めのシェードカラーと相性が良いと思うので、普段あまりメイクしない方でも馴染みが良いはずです。ナチュラルなメイクの方が黒いライナーを使うと印象が強くなりすぎてしまうこともあると思うのですが、そういう方にもすごく使いやすいのではないでしょうか。さりげなく使いたいときも、ぼくのように濃いメイクでも使えます。用途にあわせて万能に使えると思います。――今回、ファンの方を招待したイベントとなりましたが、ファンの皆さんと対面でやり取りしてみていかがでしたか?イベント全体の感想と併せて教えてください。実際に使った感想を聞けるのがうれしくて。SNSでコメントを見るのと生の声を聞くのって違いますし、ぼくがコラボでつくったアイライナーを使っている方を間近で見ると、本当に(皆さんの)手に届いている実感が湧きました。感慨深いと思いながら今日のイベントを過ごしました。また、「あの@cosme TOKYOでイベントができる」というのがうれしかったですし、あんなに大きいブースを組んでくださってありがたかったです!――ありがとうございました!■GYUTAEさんのこだわりが詰まったアイライナーさまざまなメイクをSNSで披露しているGYUTAEさんのこだわりが詰まった「メロウシェード リキッドライナー ML05(ダスクグレージュ)」。メイク好きならではの着眼点から生まれたカラーということで、年齢やメイクの好みを問わず幅広いユーザーの心をつかんでいます。大好評につき現在は購入できる場所がかなり限られていますが、店頭で見かけた方はぜひそのこだわりカラーを試してみてくださいね。(取材・文:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部)
2024年11月21日邦画にアニメーション映画、ハリウッドのアクション大作がひしめく中で、公開規模は小さくとも観る人の心に刺さる良質な洋画をいかにアピールし、その存在を人々に知らしめ、興味を持ってもらうか? 配給・宣伝会社の宣伝担当の腕の見せどころと言える。今回、【映画お仕事図鑑 番外編】として、11月に公開される4本の洋画のそれぞれの宣伝担当者による座談会を開催! 担当作品の紹介、および宣伝方針を語ってもらうと共に、同業他社の宣伝部員が自身の担当作品以外の作品の魅力や宣伝戦略について語り合うという、なかなかない企画が実現した。後編では11月22日(金)公開の『ドリーム・シナリオ』、11月29日(金)公開の『JAWAN/ジャワーン』について語り合う!<座談会参加者>株式会社サーティースリー奥村(『ドリーム・シナリオ』宣伝担当)株式会社ツイン松本(『JAWAN/ジャワーン』宣伝担当)映画宣伝会社 樂舎渡辺(『動物界』宣伝担当)株式会社ウフル青木(『ぼくとパパ、約束の週末』宣伝担当)『ドリーム・シナリオ』(11月22日公開)© 2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED宣伝担当・株式会社サーティースリー 奥村プロフィール:約16年、在籍した前職の宣伝代理店では『ジョン・ウィック』シリーズや『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』などを担当。個人的にも好きなホラー系の映画の宣伝を多く担当するほか、ジャンル映画を手掛けることが多い。今年の春に現在の会社に転職し、最初に宣伝を担当したのは『ルックバック』。奥村『ドリーム・シナリオ』についてご紹介させていただきますが、その前にこれを着けさせていただきます。奥村このアイマスクが(製作会社の)A24から100個くらい送られてきまして…(笑)。『ドリーム・シナリオ』は、ニコラス・ケイジ演じる大学教授・ポールがなぜか人々の夢の中に現れるようになったことでものすごい人気者になるんですけど、ある日を境に夢の中のポールが悪さをするようになり、大炎上してしまうんですね。ポール自身は何もしてないのに人気絶頂を迎え、何もしてないのに大炎上してしまうというお話です。『ミッドサマー』、『ボーはおそれている』のアリ・アスターが製作として参加していて、『シック・オブ・マイセルフ』という、承認欲求モンスターの女性を描いたスリラーを撮ったクリストファー・ボルグリが監督を務めています。ポイントとしては、たくさんの人々の夢の中にポールが出てくるというある種の都市伝説的な設定と、何もしていないのに大人気になり、大炎上するというSNS社会の恐ろしさが凝縮されているというところ。ニコラス・ケイジは特殊メイクもして本作に臨んでいるんですけど、彼自身、ある意味で“ミーム”化されてきた俳優ですよね。インタビューでも「ポールの気持ちがよくわかる」と言ってまして、自身も知らないところで勝手にニコラス・ケイジTシャツが売られたり、映画の中の怒っているシーンを切り取った動画がバズって困惑した経験をしているんですよね。そういう意味で非常に彼とマッチしている作品だと思います。日本における彼の映画の宣伝でも、ニコラス・ケイジ=“ニコケイ”みたいな感じで面白いじりをする宣伝に走りがちなところってあったと思うんですけど、僕は今回「そういういじり方はしない!」と宣伝チームに宣言しまして、あくまでも本格派の俳優がここまでの演技をやっているというのを見せていきたいなと考えています。試写でのマスコミの評判も上々で、SNS社会について考えさせられるという声もありますし、何より主人公ポールが「かわいそう」という声が多いですね。松本本当にかわいそうですよね。渡辺切なくなりました…。青木本当に彼自身は何もしてないし、周りが勝手にいろいろ動いた挙句に人生が流転していくという恐ろしい映画ですよね。ネットミームで「This Man(ディス マン)」という多くの人の夢に出てくる男の都市伝説があるんですよね。奥村「世にも奇妙な物語」にも同じような話がありましたね。宣伝として、そこまで特別なことは仕掛けてはないんですけど、ひとつだけ、この作品を担当することが決まった時から、“夢”の映画ということでやりたいと思っていた施策がありまして…(笑)。青木これは全部持っていきますね…(笑)。奥村“夢”コラボはしたいなと思っていて、オピニオンに関しても、ゆめっち(3時のヒロイン)や平山夢明さんにもお願いしています。青木「特別な仕掛けはしない」と言いつつ、しっかり仕込んでいますね(笑)。奥村作品そのものの面白さ、正当な部分は担保しつつ、こういう企画ものも入れ込んでいろんな角度で作品を訴求できればと考えています。サーティースリー・奥村(『ドリーム・シナリオ』宣伝担当)青木勉強になります!!(笑)。奥村ビジュアルに関しても、ティザーはニコラス・ケイジを前面に出して「この男を夢で見ませんでしたか?」という設定を押し出し、別のチラシでは、炎上して堕ちていくポールを見せるという見せ方をしています。青木(チラシにある)「悪夢で、逢いましょう」というキャッチも書体がおどろおどろしくなくてかわいらしく見せているのが良いですよね。奥村ホラー作品もダークに打ち出し過ぎると、そのまま受け止められて狭めてしまう部分があるので、ちょっとした“隙”というか“ギャップ”を出すのは意識していますね。『JAWAN/ジャワーン』(11月29日公開)©2023 All rights reserved with Red Chillies Entertainments Pvt Ltd.宣伝担当・株式会社ツイン 松本プロフィール:以前は韓国の配給会社の日本支社で宣伝を担当。現在の会社でもアジア映画を中心に宣伝を行なっており、『RRR』、『バーフバリ』シリーズなどのインド映画をはじめ、韓国、中国の作品を担当。松本『JAWAN/ジャワーン』はインドの大スターのシャー・ルク・カーンが主演して、本国でも大ヒットを記録しました。ご存じかと思いますが、既にインドは映画大国となっており、世界を相手に戦っておりまして、この作品も初日世界興収22億円、最終興収200億円となっています。青木インドだけで5,000スクリーンで上映されているんですよね。渡辺すごい!松本インド映画にはいわゆる、ムンバイで制作されるヒンディー語映画の“ボリウッド”と『ムトゥ 踊るマハラジャ』を生んだタミル語の“コリウッド”という映画産業がありますが、本作はこの“ボリウッド”と“コリウッド”が融合した新しい映画なんです。映画はまさに”観る”というよりも“体感する”映画で、『RRR』のように見せ場はスローモーションを使用するなど劇画タッチの演出がとても面白いです。七変化的な感じでシャー・ルク・カーンが変装をするので、いろんなシャールクが見られるのもファンには堪らないかと思います。青木予告のPVも映画の中の役名じゃなくて「シャー・ルク・カーンが帰ってきた!」みたいな打ち出し方なんですよね(笑)。松本歌詞自体が「シャー・ルク・カーンが歩けば…」みたいな感じですから(笑)。青木日活の映画で「石原裕次郎が帰ってきた」みたいな感じですよね。松本まさに日本で言う石原裕次郎ですね。奥村あのダンスのシーンだけでも圧巻でした!松本1000人の中で踊ってますからね。青木CGを使わずに全員が生身でね。奥村観ていてクセになる感じがありますよね。松本『RRR』の「ナートゥ・ナートゥ」と同じですよね。パワーで押し切ってます。青木インド映画とそれ以外の作品だとやはり宣伝の方向性とかテンションは変わってくるものですか? インド映画のほうがよりコアなファンが多く、お客様の顔が見えやすい部分はありますよね?松本ありますね。そういう層を意識して宣伝をする部分はありますし、ある種のベタなくどさみたいな部分が他の洋画にはないインド映画の魅力だと思うので、そこは前面に出していく感じですよね。青木さっきも1,000人の中でダンスという話がありましたけど、以前はハリウッドが担っていたフィジカルなスペクタクルという部分をいまはインド映画が担っているところはありますよね。松本ハリウッドの良い部分をうまく吸収して、以前よりも洗練されて見やすくなって成長している部分があるかと個人的には思っています。奥村進化し続けていますよね。『ムトゥ』の時代があって、その後のCGが異様に進化した『ロボット』(2010年)の時代があり、最近では『バーフバリ』、『RRR』で熱いアクションと流行る曲も入っていて…。松本インド映画の面白さって「週刊少年ジャンプ」なんですよね(笑)。「友情・努力・勝利」――すごく漫画的なんです。奥村かたや『きっと、うまくいく』や『スタンリーのお弁当箱』のような良質なドラマも育っていますよね。青木洋画って、一度公開されたら実稼働の宣伝ってあまりないんですが、インド映画はマサラ上映(※応援上映の一種で紙吹雪や鳴り物もありの上映)をやったり、いろいろありますよね。松本そこは今回もぜひやりたいなと思っていて、紙吹雪をまくと掃除が大変で怒られちゃうんで(笑)、紙吹雪はなしで、でもいろいろやれたらと思っています。ただ、以前はコアなファン層が多かったインド映画が『RRR』や『バーフバリ』などで一般的になってきた広がりをすごく感じています。インド映画の武器ってやはり“体感型”という部分だと思います。劇場で観ないとなかなか楽しさが伝わって来ないと思うので。もちろん、以前からボリウッド映画のファンの方々がすごく熱いので、一番のターゲットはそういう方たちになります。先日、代々木公園で行われた「ナマステ・インディア」というフェスでもすごく多くの方が集まってくださいました。青木ツインさんがインド映画でやっている、コアなファンとのコミュニティの構築みたいなことは、いろんなタイプの作品をやっている僕らには難しい部分もあるかもしれないけど、でも実はすごく大事な正しいやり方なんじゃないかって思いますね。松本そうしたコアなファン層に加えて、映画自体がものすごい大作であり、映像もなかなか見られないすごいものなので、そういう部分を押し出して、若い人たちに届くようにしたいですね。あとは『RRR』や『バーフバリ』など神話を元にしていたり、ゲームの「Fate」でもインドの神様が出てきたりもするので、そういう部分を通じてライト層にも広がっていく部分があるのかなと思います。青木以前よりも見やすくなっているという部分が大きいですよね。松本上映時間約3時間でも全く飽きさせないですからね。そこはすごいですよね。青木そろそろ時間になりますが、同時期に公開される洋画について、こうやってお話しする機会というのも普段、なかなかないですが、いかがでしたか?奥村それぞれの作品の特色を活かして、みなさん、いろいろと考えて宣伝をされていて、聞いてて刺激になりました。青木奥村さんの仕込みに全部持っていかれましたけど(笑)。あれはズルいよね。奥村いやいや(笑)。ただ、青木さんが最初におっしゃっていた「物語を売る」というのが宣伝の神髄なんだなと改めて思いました。「アリ・アスター製作」とか「ニコラス・ケイジ主演」と打ち出しつつも、それはスイッチに過ぎなくて、みんな何が見たいかっていうと、“物語”なんだなと。物語の部分が実際どうなのかっていうところが一番、お客さんの鑑賞意欲をかきたてるところだと思うので、それを忘れない宣伝が大事だなと思います。松本本当にその通りですね。勉強になりました。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:JAWAN/ジャワーン 2024年11月29日より新宿ピカデリーほか全国にて公開©2023 All rights reserved with Red Chillies Entertainments Pvt Ltdぼくとパパ、約束の週末 2024年11⽉15⽇より新宿ピカデリー、⾓川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBHドリーム・シナリオ 2024年11⽉22⽇より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED動物界 2024年11月8日より新宿ピカデリー、 ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.
2024年11月20日お付き合いをしながらもなかなか結婚に踏み切れない2組のカップルが7日間の海外旅行を経て、最終日に“結婚”か“別れ”かのどちらかを必ず決断しなければならないという、ABEMAオリジナル結婚決断リアリティ番組『さよならプロポーズvia ギリシャ』が最終回を迎えました。最終的には結婚を選び、実際に帰国後に晴れて入籍した2組ですが、旅ではさまざまな葛藤もあり、同じような経験をしたことのある人から大きな共感を呼びました。今回は、自分自身、そしてお互いと徹底的に向き合ったアオイ×モナカップル、シュウヘイ×カホカップルのクロストークを実施し、旅で学んだことや最終的な決断へつながった転機などについてお話を聞きました。■婚約延期を番組で公表することに不安は?――番組出演はどちらから声をかけたのでしょうか?出演を決めた理由とあわせて教えてください。モナ:私から出たいっていう話をしました。最初は「こういう話があるんだけど、アオイとモナは違うよね?」という感じの連絡をいただいたんですけど、私たちはカップルでSNSをやっているものの、正直二人の関係性って全然良くなくて。SNSってハッピーな時だけ載せるものだから、どうしても幸せって思われてる。でも、そうじゃないっていうのがすごく自分の中でつらかったので、アオイさんに「こういう番組があるんだけど……」って話をして、「分かったよ」って了承してもらった感じです。カホ:私も最初にお話をいただいた時は婚約をしていたので、正直関係無いというか、「私たち婚約してるからな〜」とくらいに思っていたんですけど、もし少しお悩みとかあればアンケートに答えてくださいという感じだったので、アンケートを書いてみたところ、出演に至ったって感じですね。――アオイさんとモナさんの場合は“幸せそう”“仲良いよね”というイメージがある中で、番組で実際の現場を曝け出すのは勇気がいりませんでしたか?モナ:私はそういう面での心配はありませんでした。というのも、結構リアルに生きてる人なので、自分がしんどいを思いしているのに、“幸せだけを感じている人”と思われるのはすごく嫌だったんです。ありのままをいろんな人に伝えたかったし、一応SNSではハッピーを伝えてるんですけど、その裏にもやっぱりしんどい思いっていっぱいあって……。そういうのも見せたいという思いが強くあり、どちらにせよYouTubeで出そうかとも考えていたので、出演に抵抗はありませんでした。アオイ:僕も、二人のそのまんまが出るっていうことに全然抵抗はありませんでした。僕自身も普段と変わらないですし、すごく忙しくてお互い向き合う時間が無いタイミングだったので、旅の中で改めて向き合えるのはすごく良いきっかけになるんじゃないかなと。――シュウヘイさんとカホさんはどうですか?視聴者もそうですが、家族や友人も現場を知ることになるので不安とか怖さは無かったのでしょうか。カホ:お互いが向き合える時間を作れるのは良いなと思ったんですけど、私の過去の話をすることは旅に行く前も、旅に行ってからも正直抵抗はありました。実際に話す直前まで話すのに迷ってました。でも、言わなきゃ伝わらないなって思ったので結果的に言いましたね。シュウヘイ:恋愛相談自体、人にしたことが無かったので、自分の恋愛を人に見られるのはすごく恐怖だったんですけど、それ以上に今の関係をカホちゃんとズルズル続ける方が申し訳ないなと思ったので、自分の殻を破って、何か話し合えて新しい関係が作れたらと思いました。■優しさは“当たり前ではない”――番組に出ることによってより明確になったお互いの価値観の違いや、新たな相手の一面などはありますか?アオイ:やっぱりモナはモナなんだなと。――(笑)。でも、最後の方の成長はすごかったように思います。アオイ:そうですね。その中でも僕が伝えて何か受けようとしてくれたのがうれしかったです。モナはモナなんですけど、その中でがんばろうとしてくれる部分に旅を通じて向き合うことができました。それは今後も「伝えていけば、モナも少しは分かってくれる」ということに繋がったので、ありのままのモナを受け入れていこうと思いましたね。――モナさんは逆に自分自身が気づいたことが多かったとおっしゃってましたね。モナ:私は彼と出会ったときから、彼のことを完璧と思ってたんですよ。私の理想すぎる人って。だから、彼が私のこと好きだからがんばって作ってる部分があったって気づかなかったんです。私のための思いやりや、気遣いや、いろんなものが重なっていて、それがアオイさんの魅力だったので、私が見えてないところで彼が意識してやってくれた部分も、番組を通して第三者目線で見ても“彼はそういう人”という風に、私の中では当たり前だと感じちゃってて……。でも、本当は“そういう人”じゃなくて、それは彼の中で人に対して思いやりをもって対応してたから。“当たり前”“こういう人”って捉えたのがちょっと間違ってたなと思いますし、それが分かったので、“私もちゃんとしなきゃ”って気づくことができました。――してくれないことより、してくれていることに目を向けるようになったのは、視聴者として見ていてもモナさんの大きい変化だなと思いました。モナ:アオイさんのしてくれていることが当たり前になってたんですよ。アオイさんに限らず、周りにいる友達とかに多分私は甘えきってたのかなってちょっと思うので、すごい勉強になりました。アオイ:今聞いていても変わったなって思います。自分自身がちゃんと納得しているからこその言葉なんだろうなとも思いますしね。――シュウヘイさんとカホさんは何かありますか?シュウヘイ:モナちゃんみたいまではいかないけど、カホちゃんなりに感情を出してくれるようになったというのはあります。それを見て僕も、「ダサい部分もあっていいんだ」「完璧すぎなくてもいいな」と思えたし、男としてかっこいいところを見せたくなるんですけど、自分のダサい部分を見せられるようになったのは旅を通しての自分の大きな変化でもあります。カホ:私は旅から帰ってきてシュウヘイくんが「ゼクシィを買いに行こう」とか「入籍いつにしよう」とか「結婚式どうしよう」とか、自発的に、楽しそうに未来の話をしてくれるようになったのはすごく変わった部分だと思うし、感動しました。ギリシャに行って本当に良かったなと。■お互いのカップルからの学び――2組のカップルが変わっていく様子が、見ていて本当に感動しました。ちなみに、同じ悩みを抱えつつも正反対なカップルだなと思っていたのですが、相手のカップルを見て学びになった部分とかってありますか?カホ:ありました!モナちゃんの思いをストレートに投げるところ!(笑)モナ:直球投げるよ!ってね。カホ:大事だなって思いましたね。変化球はいらない、直球。――名言みたいなのがでましたね!モナ:直球か変化球かじゃないです。直球か、直球か!(笑)――逆にモナさんは何かシュウヘイさんとカホさんから学んだことはありますか?モナ:シュウヘイくんがバスケしてるのをカホちゃんがずっと座って見ているのはモナにはできへん!と思いました。「はよしてや!暑いし!」とか私なら言っちゃう(笑)。アオイ:絶対言う!(笑)モナ:でも、自分の時間を相手のために使うというか、楽しそうにしているのを何も言わずに見届けて、終わったら普通に「お疲れさま」みたいな……。相手のことを思うってこういうことなんだって思いましたね。――なるほど。やっぱり正反対の2組だったからこその学びみたいなのはあったんですね。モナ:アオイさんの言う思いやりと、カホちゃんの言う思いやりが一緒で、私が思っている思いやりじゃなかったんですよね。私は“思いやってますよ”と相手に見せるのが大事だと思ってたんですけど、二人はそうじゃない。見せたり、言ったりせずに思いやりを持って行動してるし、それに相手が気づかなくても、認めてもらわなくてもいいっていう気持ちがあるなって。私は“やったから見て”って認識してほしい気持ちが強かったんですけど、二人の思いやりが本当の思いやりなんやなって思いました。――旅を終えたモナさんの成長はすごいですね。アオイ:大成長ですね。モナ:実感と、第三者目線で見るのでもすごく良い機会をいただいたなと思ってます。でも、アオイは元々言わないタイプだったのが、この番組を通してめちゃくちゃ言うようになったんですよ。それはちょっと腹立ちましたけどね!(笑)――シュウヘイさんはどうですか?シュウヘイ:二人を見てると別の生き物かなって思ったくらいです(笑)。でも、それってすごく良いな、うらやましいな、と思いましたね。あと、アオイくんはモナちゃんのストレートを全部受け止めて、全部言葉にして返しているところがすごいなと思いました。――関わり方も人それぞれっていうのはすごく見ていて思いましたね。カホ:私は怒りって感情にならないんですよ。その代わりに悲しいって感じですね。感情にコントロールされたくないんです。モナ:私は逆に波打ちたいタイプ。悲しいことがあって、ハッピーなことがあって、また喜んで、また泣いて……。これが人生なんじゃないの!?っていう。私は感情の波を平らにするみたいなのが全く想像できないので、この話をカホちゃんとしたときに真逆だなって思いました。■価値観や愛情表現が違う人同士の工夫――ちなみにアオイさんとモナさんはお互いの価値観や愛情表現が違っていた二人でしたが、旅を終えた後の変化や、うまくいくためにした工夫はありますか?モナ:愛を伝える5つの方法で“The Five Love Languages”ってあるじゃないですか。なんとなく知ってたんですけど、私はボディータッチが無いとダメなタイプなんですけど、アオイさんは相手を考えた行動を示さないとダメ。それがセックスレスになったきっかけだったんですよね。私が自分のやりたいことだけして、アオイさんのことを想定した行動しないから、愛を感じなくなった。――なるほど。モナ:ギリシャから帰国後もケンカになったんですけど、入籍のきっかけが、私が行動しようと思って朝ご飯作ったり、掃除したり、服を畳んだりとか、二人のためになることをやりだしたら、自然とボディタッチが増えたりっていう関係性になったからなんですよね。やっぱりアオイさんにとっては行動が大事なんだなというのは気づきました。アオイ:僕は旅の中でも今も意識してるんですけど、基本ロートーンで話したいんですよ。でも、モナがハイトーンで話すと釣られちゃう。そうなってしまったら、なってしまったことにまず気づくことが大事だと思うんです。お互いにやりたいのは建設的な話し合いや、前向きな話し合いだから、そうなるにはやっぱり笑顔でいないといけないな。お互いの笑顔が大好きだから、まず笑う。片方が笑うとお互い笑けちゃうから、そうすると、なんでこんなに言い合いしてるの?ってなれるんですよね。笑ってたら、笑ってる方に釣られる。――ありがとうございます。では、最後に結婚にあと一歩踏み出せないカップルに今だから伝えられるアドバイスをお願いします。モナ:結局は自分がどうしたいかだと思います。自分の覚悟を持つこと。例えば、私の場合だと「レスだったら他の人にいけば良いじゃん」っていう簡単な答えや道もあったけど、それでも“彼じゃないと嫌だ”っていう自分の決断があったし、それに対して、アオイさんが訴えかけてきたこともあったので、“自分が変わる”っていうことを選択しました。自分が納得できるまでぶつかることができたから、この答えにたどり着くことができたと思うんですよね。悩んでるってことは、きっとどこかで引っかかってるってこと。諦めるのは簡単だけど、そこを突き抜けた先に絶対答えがある。人生にはやっぱり波があるから、何回波がきても、“この人となら乗り越えられる”っていう自分の芯を結婚するときに持てば、どんな相手とでも絶対に大丈夫だと思います。結局誰を選んだって、自分の決断が全て。相手ではなく、自分軸。向き合うことを諦めないで欲しいですね。結局、諦めて他の人へいっても、その人と諦めるか、諦めないかの問題になるので、今目の前にいる人を諦めないで全力で向き合ってほしい。その結果駄目だったら、仕方ないですけど、自分がどう思うかだと思います。アオイ:僕も自分の心がどう思うかが大事だと思います。自分の声に素直になる。したくないんであれば、なんでしたくないんだろう?っていう気持ちは自分に確認する。何かが引っかかってるから、今したくないんだろうなと思えたし、そこの話し合いができたので。カホ:今って結婚してもしなくても幸せになれる時代。自分で幸せを選択できる時代だからこそ、迷ってしまうと思うんです。年齢とかいろんなことで悩んでしまうと思うんですけど、自分で納得できる選択をしてほしいなと思います。シュウヘイ:モナちゃんとアオイくんが言ったように、自分の感情に素直になること。日本で生活してると仕事やお金の不安があるけど、それをかき消した上で好きだなって思えるか。その気持ちと素直に向き合うことですかね。あと、家族の大切さを感じました。今って結婚しなくても幸せになれる時代かもしれないんですけど、結婚が家族が増えることってプラスに考えられるようになったら、結婚したからこそ得られる幸せが見えるようになるかなって思います。ABEMA『さよならプロポーズ via ギリシャ』年12月下旬には、旅を終えたシュウヘイ&カホカップルのその後を追ったスピンオフコンテンツを、「ABEMA」限定配信予定。帰国後の式場探しからドレスフィッティング、感動に包まれた結婚式当日までの約2か月間に完全密着した様子をお届けします。ぜひお楽しみに。インタビューの感想はこちらから(取材・文・撮影:瑞姫、編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部)
2024年11月20日邦画にアニメーション映画、ハリウッドのアクション大作がひしめく中で、公開規模は小さくとも観る人の心に刺さる良質な洋画をいかにアピールし、その存在を人々に知らしめ、興味を持ってもらうか? 配給・宣伝会社の宣伝担当の腕の見せどころと言える。今回、【映画お仕事図鑑 番外編】として、11月に公開される4本の洋画のそれぞれの宣伝担当者による座談会を開催! 担当作品の紹介、および宣伝方針を語ってもらうと共に、同業他社の宣伝部員が自身の担当作品以外の作品の魅力や宣伝戦略について語り合うという、なかなかない企画が実現した。前編では11月8日(金)公開の『動物界』、11月15日(金)公開の『ぼくとパパ、約束の週末』について語り合う!<座談会参加者>有限会社樂舎渡辺(『動物界』宣伝担当)株式会社ウフル青木(『ぼくとパパ、約束の週末』宣伝担当)株式会社サーティースリー奥村(『ドリーム・シナリオ』宣伝担当)株式会社ツイン松本(『JAWAN/ジャワーン』宣伝担当)『動物界』(11月8日公開)© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.宣伝担当・樂舎 渡辺プロフィール:新卒で映画宣伝会社・樂舎に入社し、現在10年目。最近では『関心領域』などを担当。会社として宣伝のみならず配給業務にも進出しており、今年7月公開のデイジー・リドリー主演『時々、私は考える』を配給した。渡辺『動物界』はSF映画で、人間の身体が動物化していく奇病が発生した近未来が舞台となっています。描かれるのはシンプルに親子の絆であったりするんですが、宣伝の方針としては“アニマライズ・スリラー”という、かなりホラー寄りの方向で打ち出しています。注目していただきたいポイントは「フランスで100万人突破」という本国での成功と今年、日本でもかなり話題を呼んだ『落下の解剖学』とフランスのセザール賞で競り合った作品であるというところですね。こういうジャンル映画がセザール賞で評価されることは少ないので、ぜひそこは日本の映画ファンにもお伝えできたらと思います。SF映画でありつつ、社会的なテーマを描いているという部分も評判になっていて、自分たちとは別種の存在にどう向き合うのか? というのは、いま私たちが考えなくてはいけない社会問題でもあり、そこが多くの人に刺さったのではないかと思います。樂舎・渡辺(『動物界』宣伝担当)青木最初に予告を見た時は『グエムル-漢江の怪物-』っぽいなと感じたんですが、本編を観て泣きました。渡辺意外と感動ものなんです。まさにトマ・カイエ監督がインタビューで『グエムル』も参考にしたということを言っていました。これが長編2作目で、日本公開されるのはこれが初めてです。青木僕も監督のインタビューを拝見しましたが、(デヴィッド・)クローネンバーグの『ザ・フライ』と、あとは意外ですが小津安二郎の『父ありき』も参考にしたと語っていましたね。海外版のチラシを見ても父と子が並んでいるビジュアルなんですよね。松本新鋭監督でここまでの映画を撮れるってすごいですね。渡辺そうなんです。フランスの名優ロマン・デュリスが出ていたり、映画ファンに刺さる要素はあると思うんですけど、“アニマライズ・スリラー”とすることで、普段あまりフランス映画を観ない方たちも入りやすくなっているんじゃないかと。青木宣伝を打ち出す上でのジャンル設定が難しい映画ですよね。渡辺配給・キノフィルムズさんの中でもかなり議論があったようなんですけど、ただ最初に試写をした際に「泣いた」という声が多かったんですね。そこで「親子のドラマとして宣伝すべき」という声もあれば「いやいや“クローネンバーグ”という映評が出ているんだから、そっちを推していこう」という声もあったようで、最終的には、近年はホラーが人気というのもあってスリラーのテイストを押し出していこうということになったそうです。松本冒頭からいきなり羽根の生えた男が出てきて、最初から「これはこういう世界の話です」という描かれ方をしてるんですよね。そこにすごくびっくりしました。渡辺説明がないんですよね。人間が動物化していることが既に当たり前のこととして受け入れられている世界として描かれてるんです。青木普通はああなるまでのプロセスを描くものだけど、そうじゃない。最初から宇宙人が地球で暮らしているという設定で描いていた『第9地区』と同じ描き方ですね。渡辺導入も含めて見せ方がうまいですよね。青木いま、世界中で移民の問題があったり、「分断」が叫ばれる中で、自分と異なる存在にどう向き合うべきかを描いているのがうまいですね。奥村原題は『Le Règne Animal』で英語だと“The Animal Kingdom”ですよね。これを『動物界』という邦題にした経緯は知りたいです。渡辺当初はそのまま『アニマル・キングダム』でいこうかという話もあったんですけど、既に『アニマル・キングダム』という別の映画があるんですよね。加えて、『アニマル・キングダム』だと動物ドキュメンタリーみたいな雰囲気があるので日本語にしようという流れになったそうです。編集部オーウェルの「動物農場」を思い起こさせるような“ディストピア”感がある邦題ですね。青木結構、攻めている感じがあって、すごく良いと思います。奥村映画自体がヨルゴス・ランティモス監督の『ロブスター』を彷彿とさせるセンセーショナルな雰囲気がありますよね。青木たしかに“ランティモス感”ありますね。渡辺映画を観ると突然変異ということで『X-MEN』のほうがイメージとしては近いかもしれません。松本こういう映画だとどういう層の観客に向けて打ち出すことになるんですか?渡辺わりと大人向け、30~40代で映画を観慣れている層ですね。松本オープニングから、ただならぬ雰囲気というのがすごくありますよね。やはりジャンル映画としてホラー系の映画ファンに打ち出すのが正解なのかな。渡辺実は海外の予告編だと、“新生物”の姿は一切映ってないんです。青木場面写真もかなり抑えている印象がありました。渡辺本国から素材が全然こなかったんですけど、おそらく日本公開が一番最後ということもあって、予告は許可が下りたのかな? でも、その(新生物が映った日本版の)予告を観て反応する方がすごく多かったですね。「何が出てくるかわからない」よりは「これくらいの新生物が出てきます」というガイドラインがあると、反応する方が多いのかなと。松本それに関して実は今日、すごく聞きたかったんですけど、ホラー系の映画でいわゆるネタバレみたいな部分って、宣伝段階でどこまで出すものなんですか? 例えば最近だと『破墓/パミョ』は一切出してないですよね。「何が出てくるのか?」で終わらせているんですよね。どこまで踏み込んでいくべきか…。奥村ホラー系で言うと、何かしらのアイコンがいる場合は、僕はそれは出していきたいと思います。例えば『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』のペニーワイズや『LAMB/ラム』のアダちゃんのようなキャラクターです。逆に『破墓/パミョ』の場合は、出てくるものが本当の大オチなので、その場合は不穏な雰囲気を壊さないように「何が出てくるのか?」と想像力を煽る方が正解かなと思いますね。青木いわゆるネタバレに関しては、十数年前と比べて、難しい部分が多いですよね。渡辺『動物界』で言うと、本国は何が出てくるのか一切見せないというやり方でしたけど、フランスであればロマン・デュリスと若手ライジングスターのポール・キルシェが出ているというだけで「観たい」と思う人も多いですが、日本だとなかなかそれだけでは難しいですよね。松本出し過ぎると「ネタバレだ!」って怒られるけど、逆にあんまり出さないと「どんな映画かよくわからない」となってしまうじゃないですか。奥村“わかりやすさ”と“想像力”のバランスですよね。どこまで想像させたいか? というのを予告編でブレーキを掛けながら見せる感じです。『動物界』に関しても、新生物の姿をたくさん出し過ぎちゃうと「いろいろ出てるんだな」と予想がついちゃうけど、出す数を絞ったりチラ見せに留めることで「他にも出てくるのかな?」と想像が膨らむ。青木難しいですよね。あえて見せないで、ティザー感を出しているつもりでいたら「何も起こらない」ということもありうるし。煽っているつもりが何もしてないみたいな…(苦笑)。ただ『動物界』に関しては、実際に僕自身、観てみたら「こんな映画だったのか!」と驚いたので、良い衝撃を与えられるんじゃないかと思います。泣かされます。松本この予告やチラシの雰囲気で「泣ける」って思わないですよね。そこは公開後に口コミで広がるといいですよね。青木振れ幅がすごく大きな作品なので楽しめると思います。『ぼくとパパ、約束の週末』(11月15日公開)© 2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH宣伝担当・株式会社ウフル 青木プロフィール:映画配給会社、ビデオメーカーを経て、現在はIT企業の内部の映画事業部に所属し、映画宣伝を行なう。最近では濱口竜介監督『悪は存在しない』を担当。今回の『ぼくとパパ、週末の約束』では宣伝プロデューサーを務める。青木この作品は、自閉症の男の子と父親が、推しのサッカーチームを見つけるためにドイツ中のスタジアムを巡るというお話です。どう宣伝をしていくかと考える中で、静岡市にあるミニシアター「静岡シネ・ギャラリー」さんのXが時折、話題になるんですけど、ポストの特徴として、あえてタイトルを出さずにあらすじだけを書くというのがあって、作品によってものすごくバズるんですね。この作品について、シネ・ギャラリーさんに書いていただいた時、84万インプレッションもの反応がありまして、そこで「なるほど、みんなこういう作品を待っているんだ」という感触を得ました。奥村みなさん、どの部分に反応してたんですか?青木設定ですね。奥村自閉症の男の子がドイツ中のスタジアムを回る実話という部分ですか?青木加えて、お父さんが忙しい仕事をやりくりして、週末に弾丸ツアーで一緒に回るというのがポイントだったみたいです。この設定自体が宣伝のコンセプトになるんだなと感じました。あとは、別の記者さんに取材していただいた時に「ドイツで100万人を動員」という言葉がすごく引っかかったとおっしゃっていたんですね。ドイツで『ミッション:インポッシブルデッド・レコニング』を退けて大ヒットを記録したんです。『動物界』も「フランスで100万人突破」とありましたけど、「100万人」というのはインパクトがあるんですね。そうやって、宣伝を進めながら、みなさんの心に引っ掛かる部分に気づいていった感じでした。ウフル・青木(『ぼくとパパ、約束の週末』宣伝担当)もうひとつ、強調しておきたいのは「自閉症を抱えた男の子が…」ということで“感動のドラマ”と思われがちなんですけど、結構ハチャメチャで明るいエンタテインメントに仕上がっていて、試写会の感想でも「最初は構えて見たけど楽しめた」という声を多くいただいています。先日、主人公のモデルとなった本人達にもオンラインでインタビューをしたんです。いまはもう19歳になっていて、チューリヒの大学で物理学を学んでいるんですけど、映画化が決まった時から制作チームと綿密に話し合いながら進めていったそうで、自閉症というものと映画というエンタテインメントのバランスを特に気にしていたそうです。単に「かわいそう」とか「苦労を抱えながらも家族が頑張っている」という作品にはしたくないと。宣伝の難しい点としては、ドイツ映画であり、有名な俳優さんが出ているわけではないので、これからオンラインも含めて積極的に試写会を行なっていこうと考えています。奥村見た時に自分が宣伝を担当した『ワンダー 君は太陽』を思い出しました。『ワンダー』の主人公は生まれながら特別な顔をしているんですけど、それを周りの人々も含めて、普通のこととして受け止めていく物語の空気感がすごく似ていると思いました。『僕とパパ、約束の週末』でも、途中で宇宙が好きな主人公がヘルメットを被っているシーンが唐突に出てきましたけど、それを見て『ワンダー』とリンクするなと感じました。青木あのシーンは、もしかしたら『ワンダー』へのオマージュとして入れているのかもしれませんね。ただ、最近の映画、特に洋画に関しては、ホラーであったり強めで刺激的なジャンル映画のほうがヒットする傾向が強いですよね。こういうハートフルな作品を当てる秘訣をぜひ教えていただきたいです。奥村『ワンダー』に関して言うと、まず何よりも作品の良さがちゃんと伝わったという部分が大きかったですよね。宣伝側も「感動」という言葉は前面に出していきますけど、やっぱり一般のみなさんの口コミの「感動した」という言葉よりも強いものはなかったと思います。あとは主演のジェイコブ(・トレンブレイ)くんが来日して、いろんな話をしてくれたのもありましたし、彼自身、この作品をきっかけにいろんな活動をするようになって、そこでの言葉がすごく説得力を持っていたと思います。青木もう一点、『ぼくとパパ、約束の週末』という邦題についても触れておきたいと思います。原題(Wochenendrebellen)は「週末の反逆者」という意味で、映画の中で主人公のジェイソンくんは、普段は細かく守るべきルールを決めて、絶対に破らないで生きているけど「週末だけは反逆者になろう」と言うんですね。僕自身は、普段はあまり原題を変えたくないタイプなんですけど、この映画、このビジュアルで“反逆者”というのはなかなか難しいな…というのもありまして(笑)、『僕とパパ、約束の週末』としました。松本すごく良いと思いました。渡辺ハートウォーミングな感じが伝わります。ドイツ映画でサッカーが題材で“反逆者”だと…。青木フーリガンをイメージしちゃいますよね(苦笑)。渡辺その意味でも、この邦題で正解だと思います。奥村あとビジュアルとあわせて『6才のボクが、大人になるまで。』とイメージが重なりますよね。青木そうなんですよ。それはみなさんに言っていただけますね。松本ハートウォーミング作品ということで言うと最近では、どちらも松竹さんの配給ですが『花嫁はどこへ?』や『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』も評判が良かったですよね。こういうタイプの映画がきちんと当たるんだなというのを感じました。この映画も同じ匂いを感じますよね。青木方向性で言うと昨年の『パリタクシー』がありますよね。松本『パリタクシー』で流れが変わったというのは感じますね。奥村超大作やシリーズ物があふれかえる中で、規模は小さくともこういう良質な洋画があるのはすごく大事なことだと思います。青木最初にお話ししたシネ・ギャラリーさんの例もそうですが、みんな、面白い映画を探しているところはあって、そこをきちんと抽出して、宣伝を打ち出していくんですけど、何よりも基本は物語の面白さをきちんと伝えることなんだなと思います。邦画であればキャストや監督のインタビュー稼働も多いですし、制作のプロセスを宣伝材料にできるけど、洋画の場合は素材も限られる中で「物語を売る」という基本に立ち返って宣伝していくことが大事ですよね。あと今回、字幕監修に精神科医の山登敬之先生に入っていただいています。映画の中でジェイソンくんが同級生に好きなサッカーチームを聞かれて答えられないでいると、「FCコミュ障?」とからかわれるシーンがあるのですが、「コミュ障」という言葉が差別的でないか?普段使われてる言葉だからこのシーンで使用してもいいのではないかという議論を字幕ごとに検証していきました。やはり言葉ひとつにしても、いろんな受け止め方があるので、そこはいまの時代、きちんと考えていかないといけないんだなと勉強になりました。奥村僕自身、映画を観て心に残ったのが、自閉症の子が周囲の刺激をどのように感じているかというのをすごく丁寧に描いているなという点で、周りの音がどんなふうに聴こえて、どんなふうにパニックになってしまうかということなどをしっかりと描いているんですよね。経験していないからわからない感覚でしたが、例えばの話、道端やお店で騒いでいる子がいた時に、これまでなら「うるさいな」と思ってしまう人が、こういう映画に触れることで「もしかしたら、事情があるんじゃないか」と自分の中でひとつ立ち止まるきっかけを与えてもらえるなと。あとは、お父さんが自閉症の息子と向き合いたくなくて、忙しさを言い訳にしてジェイソンから逃げているという描写がすごくリアルでグサッと刺さりますよね。これは自閉症のお子さんのいる家庭に限らず、育児をするのがどうしても母親中心になりがちな部分はあると思いますし、お父さんはお父さんで「仕事をして稼がないと」という思いもあるんだけど、それが子育てに向き合わない逃げ口になっているというのは、すごくリアルな描写だなと思いました。そういう意味で他人事じゃなく身近に感じる映画だなと。青木決してすごく特殊な話ではないんですよね。そういう意味で広がりのある作品だと思いますし、みんな余裕がなくて殺伐とした世の中だからこそ、こういうハートウォーミングなものを求める気持ちが強いんじゃないかなと思いますね。大盛り上がりの洋画宣伝座談会、前半戦はここまで。『ドリーム・シナリオ』『JAWAN/ジャワーン』の宣伝戦略とは!?後半は後日、シネマカフェにて掲載予定。お楽しみに!(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:JAWAN/ジャワーン 2024年11月29日より新宿ピカデリーほか全国にて公開©2023 All rights reserved with Red Chillies Entertainments Pvt Ltdぼくとパパ、約束の週末 2024年11⽉15⽇より新宿ピカデリー、⾓川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBHドリーム・シナリオ 2024年11⽉22⽇より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED動物界 2024年11月8日より新宿ピカデリー、 ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.
2024年11月08日取材・文:瑞姫撮影:三浦晃一編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部ヘアメイク:Hair&Make 寺本 剛(JYUNESU)、 Hair&Make TAKESHI TERAMOTO(JYUNESU)スタイリスト: 吉田ケイスケ政治、経済、芸能、裏社会にいたるまであらゆる情報に精通し、社会を裏で操る謎の情報屋“インフォーマ”・木原慶次郎(桐谷健太)と、ペンで権力に立ち向かうという信念を持つ週刊タイムズ記者・三島寛治(佐野玲於)。異色のコンビが、警察・ヤクザ・裏社会の面々を巻き込みながら、事件の裏に蠢く“巨悪”を暴く「INFORMA」の新シリーズ『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』がABEMAオリジナルドラマに登場します。今回の舞台はタイ・バンコク。世間を騒がせている〈闇バイト殺人事件〉をきっかけに、木原と三島が日本とタイの2国に跨る、壮大な情報戦に巻き込まれていくというストーリーです。今回は1カ月半にも渡るタイでの撮影を経た佐野さんにインタビュー。新シリーズならではの魅力の他、タイでの撮影期間、生活する中で改めて感じたという日本との違い、そこで生まれた新たな価値観。作中の三島のように“頑張ろうとするのに上手くいかない”時の乗り越え方などについて聞きました。■佐野玲於演じる三島は“真逆のキャラクター”――『インフォーマ』のシーズン2にあたる『INFORMA -闇を生きる獣たち-』の制作決定と聞いた時はどう思いましたか?やると決まっていたわけではないんですが、製作陣や出演者の中で「やりたいよね、やるでしょ」っていうどこからかくる自信があって、ドラマが終わった後もちょこちょこ集まったりしていたんです。実際に企画・プロデュースの藤井道人さんが動いてくれていたので、ある日「決まりました!次、ABEMAで!」って言われて。その後に、(桐谷)健太さんから「祭りが始まるな」と電話がきたんですけど、「東南アジアで撮影ってどのぐらい帰ってこないんだろうな?」とか、それから30分ぐらい妄想電話をしてましたね(笑)。それくらい、ワクワクしていました。――楽しそうです(笑)。ちなみに、今シーズンで初めて『インフォーマ』を見る人に向けて、佐野さん演じる三島はどのような人物か教えてください。また、ご自身との共通点はありますか?記者としてくすぶっていたけど、木原と出会ってなかなか目の当たりにできない光景を目の前にしながら真実に迫るキャラクターが三島なんですけど、三島は見る人にとってのPOV(あるあるシュチュエーション)的な存在であり、『インフォーマ』は三島の成長物語でもあるんですよね。――たしかに、共感するというか、“こういう人いるよね”ってキャラクターですよね。三島はキャラクターとしては木原が言うように“ポンコツ”で、抜けてる。たとえば映画を見てるとゾンビから逃げていてピンチの時にコケちゃうようなキャラクターっているじゃないですか。そういう「ここでコケるなよ!」って、見ていてツッコミたくなるような部分を持っているのも三島だと思うので、演じる上でそういうところは意識しましたね。――では、佐野さんと三島は共通点があるというより真逆のキャラクターでしょうか。僕も僕で抜けてるとこはあるんですけど、三島みたいなところはないと思う(笑)!僕はどちらかというと普段は三島にイラッとしてるタイプの木原側の人間です。だからこそ、三島を演じるのがおもしろいんですよ。イラっとするポイントが分かるので、三島の役をやれているのかなとは思います。■1カ月半の海外撮影での心境の変化――今回は東南アジア・タイでの撮影になりましたね。お話を聞いたのが1年ちょっと前だったんですけど、最初に「来年3カ月くらいスケジュール空けられる?」とは確認されていたんです。ちょうど、自分のグループが2024年上半期は個人活動というか、個人で初めて時間を作る期間でした。海外にソロでDJのツアーに行くメンバーがいたり、留学するメンバーがいたりしたので、僕も留学しようと思っていて。なので、留学先がアメリカからタイになったぐらいの気持ちですね。――留学を考えていたのはなぜですか?10年以上、高校一年生の頃からエンタメの世界にいて仕事をしてきたので、20代もラストスパートになってきた今、海外も好きだったので、一人で異国の地で生活をしてみるのもインスピレーションにもなるかなと。語学ももっと上達したかったし、環境を変えてみるっていうのはすごく重要かなと思ったんです。――実際にタイに行ってみてどうでしたか?1カ月以上海外に滞在するのは初めてでしたし、40~50人の日本人クルーと共にタイに行ったので、遠征気分になりました。タイはエネルギーと活気を感じる国で、新しい生活ではあったんですけど楽しく過ごすことができましたし、タイ料理も大好きになりました。――それは何よりです。何か感じたことはありますか?タイの人たちの肩の力が抜けた感じというか、楽しんでいる感じは日本人も見習わないといけないのかなとは思いましたね。自分のいる日本という国は便利だけど、結構忙しくて頭が回ってなかったんだなと。早く帰りたくなるんじゃないかなっていう心配はあったんですけど、もうちょい(タイに)居れたなと。多分、40~50人ぐらいで行った中で僕が一番楽しんでたかなってくらい好きな国になりました。――異国の地で新しく得たご自身の学びや、成長みたいなものがあれば教えてください。国を跨いで生活すると、文化の違いとか、経済の流れとかも活気に出る。東南アジアってすごく伸びてきてるじゃないですか。日本と違ってタイは人口の半分以上Z世代で若い人も多いし、貧富の差もあるけど、やっぱり楽しくやってるし活気もある。俺は東京も日本も大好きだけど、東京とタイの働く人の顔つきって全然違う。経済や法律、いろんなことが活気に影響してるからおもしろいなって思ったし、このバイブスを持って帰らないとなとは思いましたね。まずは自分の周りから、自分の環境から、そういう空気を持ち帰ることが輪を広げていったり、楽しいことを起こすことに繋がるのかなと。■頑張っているのに上手くいかない時は?――作中で三島は頑張ろうとするのに上手くいかない時期を経験していますが、佐野さんにもそういった葛藤の時期はありましたか?また、そういった時の乗り越え方があれば教えてください。全然ありますよ。でも、全てが悪循環になって上手くいかず“苦しい”と捉えていた時期もあれば、それがありながらも“楽しい”と捉えられる時期もあるので、壁にぶち当たって“頑張ろうとするのに上手くいかない時期”にも何種類かあると思うんです。――なるほど。乗り越え方でいうと、壁にぶち当たっていても絶対どこかで楽しい思いをしている時があると思うので、それを思い出してみることって、自分も仕事をしていてすごく大事だなって思っていて。その時の自分のエネルギーとかバイブスってどんな感じだったっけなって考えてみると、どんどんいろいろな細かい情報が気にならなくなってくるんじゃないかなと思います。すっきり考えるようになれる。――視点や考え方を変えるってことでしょうか。「壁にぶち当たってる=上手くいっていない=自分は幸せじゃない」って全部紐付けちゃう場合もあるじゃないすか。それって何も楽しくないし、焦るだけ。だから、壁にぶち当たった時はどこかに抜きどころを作らないといけないのかなって思うんです。物理的な壁を想像して、その壁をどうやって乗り越えるのかを考えて見ると、工事現場にあるようなリフトで越えられたら最高だし、梯子でのぼったら、ちょっと体力が必要で大変だけど乗り越えられないことはないって分かる。壁にぶち当たってしまった時に、どうしようもないって思うとつらいし、苦しいと思うので、“壁を乗り越えるためにはどういう方法があるか”を考えるためには、冷静にならないといけないですよね。――たしかに素手で登ろうとすると“もう無理だ”って絶望してしまうかもしれないけど、道具を使っていいとなると希望が見えてきますね。素手で登ることも大事だし、素手で登ることを楽しめるんだったらそれでも良いと思うんですけど、そうじゃない時は、別の方法を考えても良いって感じですね。選択肢って本当に無限にある。その方法しか無いと思うとストレスになっちゃうんで。■ありふれた情報の多面性――では最後に改めてマイナビウーマン読者に向けて、今作の見どころとコメントをお願いします。『インフォーマ』を知っている人はもちろん、ここから見始めても全然楽しめる作品になっています。今回はエキサイティングな部分とサスペンスな部分があって、よりエンタテインメント性が深まった作品になっていますし、キャストも豪華で、国を跨いでいる分、本当にすごく壮大な作品になってます。1話1話ジェットコースターのように展開があるので、それをヒヤヒヤ、ワクワクした気持ちで楽しんでもらえたら。あと、この作品の持つメッセージとしては、この情報社会における、あり溢れている“情報”は一面的ではないということ。やっぱり多面的でいろんな角度があるので、一面的には何も判断できない……そういう裏テーマみたいなものが作品で描かれているので、そこも見ていただけたらなと思います。インフォーマ -闇を生きる獣たち-政治、経済、芸能、裏社会にいたるまであらゆる情報に精通し、社会を裏で操る謎の情報屋“インフォーマ”・木原慶次郎(桐谷健太)。ペンで権力に立ち向かうという信念を持つ週刊タイムズ記者・三島寛治(佐野玲於)。この異色コンビが、警察・ヤクザ・裏社会の面々を巻き込みながら、事件の裏に蠢く“巨悪”を暴く!「インフォーマ」新シリーズがABEMAオリジナルドラマに登場!!今回の舞台はタイ・バンコク。世間を騒がせている〈闇バイト殺人事件〉をきっかけに、木原と三島が日本とタイの2国に跨る、壮大な情報戦に巻き込まれていくーー。衝撃のストーリーと大迫力の映像、驚きの豪華キャストが織りなす、興奮のクライム・アクション・サスペンスが今、幕を開ける!配信ページ:予告はこちらから:
2024年11月07日