自主練しない息子。モチベーションアップは親の役目ですか問題
それでも本人がプロになりたいと言っている以上は、日ごろから親がモチベーションを高めるような声掛けや環境づくりをした方が良いのでしょうか?
親の諦めが早すぎでしょうか?
<島沢さんからの回答>
ご相談いただき、ありがとうございます。
メールに「いつも参考にさせてもらっています」とあるので、この連載を読んでいただいているようです。ありがとうございます。
結論から申し上げると、親が子どものモチベーションアップに努める必要などありません。
世間ではよく「やる気スイッチ」はどこにあるでしょうか?なんて言われますが、スイッチなどどこにもありませんし、あるとしてもそれを発動するのは本人です。少なくとも親ではありません。
ひとつ言えるとしたら、日ごろから子どもが意欲的に取り組める環境を作ることです。そのためにも「やる気のメカニズム」を知っておきましょう。
■やる気のメカニズム
この連載でも何度か書いたことですが、私たち人間のやる気をつかさどるのは左右の大脳半球の下側にある「線条体」という神経核です。一度机の上を片付けたら結構達成感があり、良い気分になった。この良い気分をつくっているのはドーパミンで、分泌するドーパミン神経の束は「報酬系」といわれます。この「片付けをする=良い気分」のマッチングが繰り返されると、その結びつきは強化されやる気が出るのです。
例えばサッカーで、ある練習をしたら何かが上手くなる手応えを感じることがあります。それを息子さんが実感し「こうやって練習したら上手くなるに違いない」と思えば練習に対し意欲的になります。
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■自分がやろうとしていないことを急かされても習慣化はしない
ところがこの線条体は、誰かに否定されたり、怒られたりすると、動きが鈍くなります。大人が圧迫すればするほど、子どものやる気は出ません。つまり脳が意欲的にならないからです。お母さんがYouTubeのボールタッチ10分を習慣化させようと半年声掛けしても習慣化しなかった、とあります。自分からやろうとしていないことを急かされても「あーあ、仕方ないなあ」と半ばげんなりしてボールを触っていれば、線条体は生き生き動かないのです。そこまで怒鳴ったりしなかったとしても同じです。であれば、息子さんが自ら「頑張ったら得をした」という経験をし、彼の脳が意欲的になるのを楽しみに待てばいいのです。