失敗を恐れ「挑戦」をしない子どもたち、子どもたちのチャレンジ精神を育むために大人ができること
福富:私の息子もサカイクキャンプに参加したことがありますが、子どもが親から離れて行動することは、非常に重要な意味があると思います。親がそばにいると、親は手助けしたくなり、子どもは親に頼りたくなってしまうんですよね。でも、子どもの限界を引き出すのは、親ではなく、信頼できる第三者である可能性が高いんです。
菊池:なるほど。
福富:私の母校の大学では、幼稚園児を対象に3泊4日のキャンプを実施していました。親は同行せず、大学の先生と学生が子どもたちの面倒を見るのですが、その3日目に登山があるんです。幼稚園児が終日かけて、自分の荷物を背負い、2000m弱の山を登り切るんです。
菊池:それはすごいですね。
福富:親がいたら、絶対にできないことです。子どもは親の前では「疲れた」「抱っこして」「リュック持って」などと甘えてしまうからです。でも、親がいなくて、同年代の仲間と一緒にいると甘えない。子どもの可能性を引き出すためには、親から離れて、信頼できる大人に預けることが有効だと感じました。
■信頼できる大人がいると安心してチャレンジできる
菊池:すごく勉強になるエピソードです。サカイクキャンプは、以前は3、4年生が多かったのですが、コロナの影響でお泊り保育ができなくなったこともあり、1、2年生の参加も増えてきました。サカイクキャンプが、初めての宿泊体験になる子も多いです。
福富:うちの子もそうでした。
菊池:キャンプに参加するだけでも、子どもたちにとっては大きなチャレンジですよね。ましてや小学生のうちから、初めての場所で、初めてのメンバーと共同生活を送るのは、本当に大変なこと。それを成し遂げられるのは、とても幸せで立派なことなんだと、参加者全員に伝えるようにしています。大人でもなかなかできない経験なので、自信を持っていいんだよと後押ししてあげるんです。
福富:キャンプには、菊池コーチのように信頼できる大人がいるので、子どもたちは安心して挑戦できるのだと思います。親にできることは、どんなことがあっても常に子どもの味方でいること、そばにいてチャレンジを応援し続けること。つまり、先回りして手を出すことではなく、愛情をもって見守ることなのだと思います。
■他の子と比べることで劣等感が生まれる子ども自身の可能性を信じて
菊池:私も子育てをしているので、つい先回りしてしまいたくなる気持ちもわかります。