コーチのアドバイスに聞く耳を持たず言い訳ばかりする息子。父親として何もできず悩みます問題
<島沢さんからの回答>
ご相談いただき、ありがとうございます。
ご相談の中で、お父さんのようにご自分と似た性格傾向があると打ち明けてくれる方は珍しいです。
当然ながら、親子は顔や体つき、能力的な部分以外にパーソナリティも遺伝します。新たな視点を与えていただきありがたいです。
三つほどアドバイスさせてください。
■親は過去の栄光より失敗話を話してあげるようにして
ひとつめ。
息子さんに対し、ご自分の自慢話を控えましょう。一般的に親は子どもに「俺がお前くらいの頃は......」と過去の栄光を自慢しがちです。
特に優秀な親御さんは「少年野球で最初は補欠だったけど自主練をして最後はエースになった」とか、「成績はいつもトップクラスだった」「大学受験のときは睡眠3時間で頑張った」などと、自身の武勇伝を子どもに言ってしまう。自慢する材料があったとしても、そこは能ある鷹は爪を隠すが如く胸にしまいましょう。
その理由は、子どもにとって立派であればあるほど、不安をかき立てられるからです。
どうしたって乗り越えられない。
もう自分には伸びしろがない。
「到底お父さんみたいにはなれない」と自己肯定感が下がります。特に、自我が確立する思春期以降は気をつけなくてはいけません。息子さんは12歳なので「前思春期」といって思春期の入り口です。
自分と周りを比較して自分が何者であるかを見極めようとする自我を持ちつつあるいま、ぜひそこを意識して接しましょう。
それよりもお父さんがやらかした話、つまり失敗談のほうが、子どもの自己肯定感は上がります。なぜならば「そんな失敗をしたのに、お父さんはちゃんと大人になって楽しそうに生きている。僕も大丈夫だ」と思えるからです。そうすれば家庭は子どもにとって安全基地になりえます。
子育てセミナーでそんな話をしたら、一度「ちゃらんぽらんでも生きていけるって勘違いしませんか?」と父親らしき男性に質問されたことがあります。そこで「生まれたときからずっと接してきた親がどれだけ仕事を頑張っているか、真面目なのか、努力家なのか、優しいのかなど、お子さんは親を見ています。十分知っています。
お子さんとの時間と、お子さんの力を信じましょうよ」と話したら、質問された方は深くうなずいていました。
しかも、お父さんは相談文に「自分も大人になり過去を振り返ってみると、もっと周りのアドバイスに耳を傾けていればと後悔する」