くらし情報『孤立死、引きこもりに男性の妊娠?! 中島京子の新作『キッドの運命』』

2020年3月16日 20:30

孤立死、引きこもりに男性の妊娠?! 中島京子の新作『キッドの運命』

昨年話題になった、日本の近代図書館の歴史を物語に融合させた『夢見る帝国図書館』など、過去を題材にすることが多かった中島京子さん。新作『キッドの運命』は珍しく、近未来を描く作品集だ。

奇妙だけど、どこか羨ましいかも。身近な未来を描くユニークな小説集。
孤立死、引きこもりに男性の妊娠?! 中島京子の新作『キッドの運命』


「以前、おじいさんがニッポンジンというロボットを作る掌編を書いたことがあって。古き良き日本に幻想を持っている人のイメージですね。その後『小説すばる』の特集で“30年後”というテーマに短編の依頼がきた時にその話を膨らませて書き、そこから近未来の話をいくつか書きました」

表題作は旧式ロボットを作る老人と暮らす青年の日常が描かれ、最後に意外な事実が明かされる内容。

「SFを書いているつもりはなくて、今の現実がこのまま発展した未来を想像して書いた、という感覚です」

と言うように、たとえば人口減でスラム化した高層マンションで老人が失踪する話などは、「最近孤独死という言葉をよく耳にしますが、自分ももしそうなったら、人に迷惑かけない死に方はあるかなと考えて、この話になりました(笑)」

どんな死に方なのかはぜひ、作品でお確かめを。
また、自然の中で老婦人たちが運動補助機能ロボットを駆使して自給自足の生活を送っている話などは、なんだか羨ましくなる。

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