2020年4月9日 19:00
新型コロナでも“インフォデミック” デマの拡散を防止するには?
「トイレットペーパーがなくなる」というのは根拠のないデマでしたが、「なくなるかもしれない」という情報が拡散されたことにより、不安から人々はトイレットペーパーを買い占め、本当に市場に出回らなくなってしまいました。これをアメリカの社会学者マートンの言葉で「予言の自己成就」と言います。嘘や思い込みでも、その予言を人々が信じて行動することにより、現実になってしまうのです。ニュースでは、店の空になった棚を映し、「トイレットペーパーが売り切れました」と報道されましたが、それでは不安を助長し、買い占めをさらに加速させます。「デマです」と伝えたところで、デマは収まりません。それよりも、受け手の行動を先回りして、次の入荷予定や出荷量を具体的に示すことのほうが効果的でしょう。情報発信側も、デマが社会を動かしてしまう危険を自覚するべきです。報道機関には、ファクトチェックの普及活動を行う団体を応援してほしいですね。
また、個々人の軽い気持ちのリツイートが、デマに加担してしまう場合も。シェアする前にいったん立ち止まり、不確定なものは拡散しないようにしましょう。
堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」