2016年8月4日 08:00
尾崎世界観「人の悪口言わない人は、好きじゃないです」
――歌詞を書くのとは違うと。
尾崎:いかに歌詞がメロディに助けられていたか実感しました。音楽だったら、曲調やテンポで感情を表現できるけど、小説は勢いではごまかせない。アイデアが浮かんだら、音楽だとすぐに曲にできるんですけど、小説は具現化するのにここまで苦労するのかと…。思いついてから鮮度がどんどん落ちて、自分の熱も冷めていく中で、果たして、ここまでしてこの気持ちを伝えたいのか、試されるところがありました。書いているうちに、書くべきか書かなくてもいいのか、わかってしまうのが、いいところだし、怖くもありました。
――執筆と作詞を並行してやっていた時期があったんですよね?
尾崎:そうですね。去年は、喉の調子は最悪だし、音楽が上手くいかなくて、「クソッ…」と言いたくなるようなことや悲しいことだとか、全部小説にぶつけていました。
なのであの小説はある種、僕のゲロ袋みたいなものです(笑)。
――それで、小説発表の公式コメントが「この小説を書いて救われた」になったわけですね。
尾崎:そうです、そうです。悔しさを日記に書き留めていく感じでした。
――『祐介』は情景描写が大半ですが、突然、膨大な分量の語りが現れます。