くらし情報『正体不明の老女と出会い…米作家が日本語で描く青春小説『ばいばい、バッグレディ』』

2021年9月14日 21:10

正体不明の老女と出会い…米作家が日本語で描く青春小説『ばいばい、バッグレディ』

あけびや親友のアムール、あけびの両親やフ、周辺の人々など関係を通して描かれるのは、子どもの未来と大人の責任についてだ。それぞれが問題に直面し、ジレンマに揺れる。

「この世には子どもや若い人の情熱と未熟さを利用し、誤った信念を教え込んだりする大人がいます。自分が相手にどんな影響を与えているか、相手にとって健全な関係なのか、慎重に考える責任が大人にはあると私は思っています。若く真っすぐなあけびにそれを学ぶチャンスを与えたくて、こういう展開にしました」

現在はアメリカ在住のマーニー・ジョレンビーさんが、日本語で書いた本作。日常的に日本語を多く使う環境だというが、城狐社鼠(じょうこしゃそ)や慧可断臂(えかだんぴ)など、日本人でも難易度の高い熟語まで作中に飛び出すのは驚異的。

「小説の中で言いたいことを表す熟語を探してから、熟語とプロットが合うように調整したり。熟語が話により深い意味を導き出してくれるような感覚がありました」
作品世界もレトリックも個性たっぷり。
後味のいい青春小説だ。

『ばいばい、バッグレディ』売れない文筆家の父と暮らし、自分を残して出奔した台湾の人気女優である母を許せないあけび。

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