2021年12月20日 21:10
29歳フリーターが平屋を譲り受け…阿佐ヶ谷での日常を描く、コミック『ひらやすみ』
それはすべてアナログで描かれる画の魅力も大きい。
「光の表現には少しこだわりがあるかもです。例えば、夏、手前が真っ暗なのに、奥が燦々とまぶしく見える景色がとても印象に残っていて、そういうコントラストをどう見せるかなど。季節ごと、時間ごとの光の移ろいを、下描きのときからかなり力を入れています」
2巻では、ヒロトと、平屋の管理をしている不動産会社の社員・立花よもぎの心理的距離がほんの少し近づく。だが、安易にロマンスに流れないのが真造さん流。
「僕はラブコメとかでも、両思いになっちゃうとちょっとつまらなく感じてしまうほうで(笑)。できればこの作品でも、つかず離れず、恋愛でも友情でもないけれど、お互いに気になる関係というものを描いてみたいですね」
と真造さんは言う。
「日常ものではあるけれど、ある部分はきちんと話が進んでいくようにしたいと思いました。
ヒロトは変わらないまま、周囲はどんどん変化していく。それに対してヒロトは何を思うのか、変わろうとするのかしないのか。そのあたりがテーマです」
彼らのこれからを見届けたい。そんな気分になる、2021年の大ホームラン級コミックだ。
真造圭伍『ひらやすみ』22巻では、平屋のもとの持ち主・和田はなえおばあちゃんとのエピソードも深掘り。