くらし情報『日中台の関係性を遠景とした男たちの物語…愛と自由と運命を描く、東山彰良『怪物』』

2022年3月15日 20:10

日中台の関係性を遠景とした男たちの物語…愛と自由と運命を描く、東山彰良『怪物』

日中台の史実と家族サーガを踏まえ、骨太に描かれる、愛と自由と運命。東山彰良さんによる『怪物』をご紹介します。
日中台の関係性を遠景とした男たちの物語…愛と自由と運命を描く、東山彰良『怪物』


「近年、僕は、どうやれば過去に起こった実際の戦争や厄災など大きな出来事を現在の物語に入れ込み、現代とどう関係しているかを語る方法を模索しているところがあります。本書『怪物』では主たる語り手を台湾出身の作家にして僕自身のバックボーンを足がかりにしました」

柏山康平というペンネームを持つ〈わたし〉(本名・柏立仁)は、『怪物』という作品でにわかに注目される存在になる。作中作『怪物』は、柏山が〈二叔父さん〉と呼ぶ従兄の父・王康平から聞かされていた体験談をもとに書かれたという設定。王康平をモデルにした主人公・鹿康平は台湾(中華民国)の〈黒蝙蝠中隊〉にいた元乗組員で、敵襲を受けて大陸で捕まり、あらゆる手段を講じて台湾に帰り着く。その過程で、蘇大方という男とどんな確執が生まれたかが語られていく。その物語パートと並行して、現代を生きる柏山のパートが描かれる。
柏山は、藤巻琴里という女性から、彼女の祖父と柏山の二叔父との不思議な縁を知らせる手紙を受け取るが、それは同時に、柏山を取り巻く現実が変容していくきっかけでもあった。

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