2022年3月27日 20:40
会いたい人がいる喜びを描く! 売野機子の本格ファンタジー漫画『君に会いたい』
今こそ切実に響いてくる、会いたい人に会いに行く喜び。売野機子さんによる、コミック『君に会いたい』をご紹介します。
売野機子さんの本格ファンタジーと聞いて少々意外だったが、むしろ満を持してだったのかもしれない。
「デビュー時から、ファンタジー含めいろんなジャンルを描きたかったのですが、世に出す機会がなかっただけで、私自身は勝手に頭の中で描いていました。中世っぽい世界観で、少年と少女がお互いに会いたくて会いに行くというお話を最初からイメージしていましたね」
子どもだけが罹患する伝染病が蔓延する世界。キスリムとアルという少年は、初めて城塞の外に出て雪の中を旅している。旅の目的は、キスリムの許嫁として出会った火の国の姫ウルルと再会すること。純粋無垢だが、王の器ではないと判断されたキスリムは、心が通じ合っていたウルルと引き離されてしまったのだ。
「私は心の美しさにかなうものはないとどこかで信じているのですが、キスリムがまさにそうだと気がついて。今回は自分の理想の主人公像をぶれないように描くのが目標です」
同行するアルは、王族以外の血が入っていて王位継承順位は低いが、キスリムとは兄弟のような仲。