2022年7月23日 20:30
役者・上白石萌音×訳者・河野万里子 “翻訳書簡”で育んだ師弟関係
翻訳家を夢見たこともある俳優・上白石萌音さんに、『赤毛のアン』の翻訳を往復書簡という形で指導してきた翻訳家の河野万里子さん。教え、教えられる時間の中で確かに育まれていった、お互いへの信頼。その過程を伺いました。
意外なほど共通項が多かった、訳者と役者。
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』での流暢な英語が印象的だった上白石萌音さん。忙しい俳優業の傍ら、2年にわたって続けてきたのが『ラジオ英会話』のテキストで連載された、人気翻訳家・河野万里子さんとの“翻訳書簡”でした。月2回の手紙のやり取りは、おふたりにとってかけがえのない時間だったようです。
――初めてお会いしたときのお互いの印象を教えてください。
上白石萌音:3年前、舞台を観に来てくださったんですよね。柔らかさと包容力があって、憧れていた職業の方が素敵だったことがすごく嬉しくて。翻訳家に憧れていた自分が誇らしく思えるくらい、キラキラした気持ちになりました。
河野万里子:嬉しいです。私の大学の大先輩である井上ひさしさんのお芝居だったので、親近感がありましたし、決して明るいお話ではないのですが、萌音さんが出てくると舞台に清涼感が広がるんです。