2022年10月16日 18:30
「母なる大地 (Mother Earth) 」から小さな「私 (Me) 」へ…写真家・川内倫子の眼差し
自分が生かされていて、いろんなものとつながりがあるということを」
こうした眼差しを持つ川内さんにとって、地球環境や社会情勢に対する不安は大きい。
「今、自分なりに危機感を覚えているのかもしれません。ついこの間も豪雨でパキスタンに大きな洪水が起こったというニュースを見ました。温暖化やCO2問題は1つの国だけの問題ではないし、今もどこかの国の工場から排出されているものが影響し合っている。そういう『つながり』の意識がなおざりになると、戦争になってしまったりもする」
そうした気持ちが、無意識のうちに大自然の中へと川内さんを向かわせたのかもしれない。アイスランドの大自然や、北海道のハードな寒さの中に身を置いて、圧倒的な景色の中で、自分の小ささをひしひしと感じながらシャッターを切る。ある種の極限状態の中で、体が反応するまま、反射神経で撮っていったものを1つの作品として並べたとき、初めて自分が無意識の部分で何を考え、何を求めているのかがわかるという。
「結局、そこで何に反応したかということが、作品をまとめるときに見えてくるんです。
答え合わせみたいに、ああやっぱりそうだったんだという最後のピースは、展示にしたときにわかるんだろうな」