2022年10月22日 18:00
開催経緯の不透明さが国を分断する結果に…次世代に伝えるべき「国葬」の教訓
戦前には「国葬令」があり、皇族と、国家に功労があった者には、特別の意味をもっての国葬が開かれました。ところが何を功労とするのか規定が難しく、戦後、国葬令は失効しました。戦後に皇族以外で国葬が執り行われたのは、1967年の吉田茂元首相だけです。当時の天皇が「なんとかしてやってくれ」と言い、国会議員のなかで根回しがなされ、国葬を開く機運を作ったと関係者は話しています。
ちなみに佐藤栄作元首相は国費以外に国民から寄付を募った「国民葬」。中曽根康弘元首相は内閣と自民党の「合同葬」の形をとりました。今回の国葬にかかった費用は警備費などを含めて総額約16.6億円といわれています。
岸田首相は、国葬を開く理由の一つに、弔問外交を掲げていました。
今回のような開催経緯の不透明さは、世界に対しても、ガバナンスの利いていない国という印象を与えかねません。人々の悼む気持ちまで分け隔てられていったことは残念でなりません。今回どういう議論があったのかを記録に残し、次世代の教訓として伝えることは大事な責任ではないかと思います。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」