差別に抗う4人の危うい計画とは? デビュー作にして芥川賞候補作!
他人の体に触る仕事をしている人なら、そのあたりがより見えてくるかなと思いました」
その後ジャクソンは、動画の男は自分だと主張する他の3人のブラックミックスの男と出会う。
「マイノリティの人が周りを怖れるあまり自分で狭めていた世界が、立場が同じ人と会うことで壊れていく。ポジティブな崩壊を書きたかった」
4人が集まった時の会話が脱線していくあたりから、タランティーノ作品的な映像が浮かんだと伝えると、
「子どもの頃から観てきた監督です。今観ると描かれる価値観に疑問があるけれど、山場と山場の間のシーンも妥協せずに面白くさせるところとかがよくて。コーエン兄弟の映画も、結構本筋から脱線するじゃないですか(笑)。ああいう感じが好きです」
本作もまさにそう。彼らは入れ替わり作戦による復讐を思いつくが、「計画が雑ですよね(笑)」と安堂さん。実際、計画は思わぬ道筋を辿り、やがてラストはとんでもない展開に。
「小説って自由に書けるんだと嬉しくなって、はっちゃけました(笑)」
オフビート感を漂わせながら、彼らが抱く理不尽さも戸惑いも怒りも盛り込み、“当事者が当事者を描いた”感がひしひしと伝わる本作。