くらし情報『吉原に生きる人々の人生模様に胸打たれる…仇討ち時代ミステリー小説』

吉原に生きる人々の人生模様に胸打たれる…仇討ち時代ミステリー小説

ただ、彼らの半生については、私も、しゃべらせてみて初めてわかった部分もありましたね。たとえば一八は、吉原の中で生まれた男です。吉原に生きる女の生きづらさとも違う苦悩があるのだなと。小道具職人の久蔵とおよねの夫婦は、夫があんなに無口だとは思わず、話し好きな妻にしゃべってもらえてやっと詳細が見えてきたり」

薄衣に包まれていた真相が明かされたときの驚きもさることながら、「悪所」とされた吉原や芝居小屋で懸命に生きてきた彼らが訥々と語る人生模様が胸を打つ。そこには、身分や職業、女性やジェンダーをめぐる差別の問題があるからだ。時代小説ではあるが、現代にも通じる温かなメッセージが内包されている。

「私は辛い話を現代小説で読むと、過剰に感情移入してしまうので、少し現実と距離がある時代小説の方が気楽に想像して楽しめるんです。でも、江戸の社会システムは、調べれば調べるほど今に似ているところもある。
そこで生きた人々の物語を考えるのは、今を考えることにも通じて、面白いです」
『木挽町のあだ討ち』大叔母の影響で立ち回りをワークショップに参加し学ぶこともあるほど歌舞伎ファン。落語や能も愛する永井さんの古典芸能知識も活きている。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
漫画家・脚本家募集LPバナー 上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.