会場にはサーカステントまで設営!? ヒグチユウコの展覧会が遂にファイナルへ!
こんなにも吸引力のある作品を作れるなんて、と。一緒に展示を表現できたことが、今回一番達成できたことかもしれません」
ヒグチさんの描く生物は、植物と動物が溶け合ったようだったり、少し不思議。彼らはどうやって生まれてくるのだろうか?
「幼少期から図鑑や博物画、辞書についている小さいエッチング画などが好きでした。そこには、心惹かれる謎の生物たちがたくさんいて、そういった未知のものへの恐怖や憧れが今も私を魅了してやみません。想像だけで作品を生み出すのは、おそらく無理があるでしょう。意識せずとも、過去に生み出されたたくさんの名画や、滅亡してしまった生物たちの残り香を嗅いで、その跡をたどりつつ、創造しているはずです」
極細密な描写を和紙にペン、絵の具で描くのも変わらないスタイルだ。
「描くという行為は自分にとって最高の時間。これ以上の喜びはないです。
真っ白い紙を前にして、『さあ、描こう!』というときの浮き立つ感覚は何物にも代えがたいです。絵の具を実際に筆に付けて、絵を描いていく。そのときの匂いや感触はやはり物質を触っているからこそ得られるもので、その経験は奥深いもの」
手の届かない憧れ、遠い異国、出合ったことのない動植物も、描くことで手にすることができるとヒグチさん。