俳優生活50年! 多岐川裕美「若いときとは違う難しさ、そしてやりがいがあります」
人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今年、俳優生活50年を迎えた多岐川裕美さんの4回目は、“演じる”世界において女性が歳を取ることの意味、そして歳を重ねたからこそ感じる喜びについて語ります。
歳を取ると役柄の幅が、男女で異なってくる?
60歳くらいから思うようになったのですが、男性の俳優は歳を重ねても役柄のバリエーションが減らないのに、女優はいわゆる“おばあちゃん”の役ばかりになります。家でドラマや映画を見ていると、男性が演じる役で、おもしろそうなのが結構あるんですよ。会社を舞台にした物語が多いからなのか…などと考えたこともありますが、物語は現実の鏡でもあるわけで、改めて、日本は男社会なのだと、ここ10年くらいずっと思っています。
今私たちの世代の女優にあまり回ってこないタイプで、だからこそ演(や)ってみたいと思うのは、コメディ系の役。50年俳優をやっていますが、コメディってほとんどやったことがないんです。笑っちゃうような、突拍子もない70代の女性の役とか、ぜひやりたいですね。
コロナに戦争、そして不況。こんな世の中だからこそ、見終わったときに「面白かった!」と思え、なおかつスカッとするような物語が必要だと思います。