黒木華「どうすれば相手に伝わるのだろうと神経を使いました」 『せかいのおきく』でモノクロ映画初挑戦!
原田さんは映画を通して環境問題を伝えたいと「YOIHI PROJECT」を発足。糞尿を肥料として畑にまき、野菜を作り、その野菜が食料となり人の口に入る。おきくたち3人の若者の物語の背景に、循環型社会としての江戸時代の暮らしを描くというのがこの映画の大きな柱になっている。
「モノクロで直接的にはわかりませんが、現場にはリアルな美術セットが作られていました。(下肥の)粘度を出すのにダンボールを混ぜようとして、でもそれでは紙のロスになるからと、別の素材に変えたり、環境に配慮されたそうです。現代でも誰かが下水処理をしてくださって暮らしは循環しているということに、改めて目を向けられたらと思いましたね」
映画だからこそ伝えられることがある。それもエンタメの力。エンタメを通して、さまざまな事柄に想像を膨らますことは豊かな経験だと思うと黒木さんは続ける。
「私は、最終的に観客にゆだねるような、想像の余白のある作品が好きですね。最近は、映画を早送りで観る人が増えていると聞きますが、『せかいのおきく』のような作品はスキップしたら味わえないものがたくさんつまっています。舞台でも映画でも、劇場で空間を共にすること、大きなスクリーンだからこそ感じられることってあると思います。