夫を射殺された“雌のゴリラ”が裁判を起こす!? 斬新な設定も話題の『ゴリラ裁判の日』
第64回メフィスト賞を受賞した須藤古都離さんのデビュー作『ゴリラ裁判の日』が話題だ。主人公は、なんと、雌のゴリラである。
主人公は知能を持つゴリラ。彼女が起こした裁判とは?
「小説を書き始めたのは4年くらい前から。最初は人間を書きたいと考えていたんです。大学の授業で進化について学んでいた時に、人間が進化する際に零れ落ちるものってなんだろうと気になって。それで調べてみたら、人間の定義は曖昧だと知り衝撃を受けました。自分は人間だと思っていても、定義がないなら証明できない。
それを小説で書けないかと思っている時に、なぜか突然、ゴリラが浮かんだんです」
カメルーンの動物保護区で育ったニシローランドゴリラのローズ。言葉を理解し手話で会話する知性を持つ彼女は、アメリカの動物園へと移住、リーダーゴリラのオマリと夫婦になる。しかし4歳の少年が柵を乗り越えてゴリラのエリアに落下、危険を感じた園長の指示でオマリは射殺されてしまう。ローズは園側を訴えて裁判を起こすのだった。
ゴリラ射殺に関しては、数年前にハランベ事件と呼ばれる同様の出来事があり、賛否両論があった。
「ハランベ事件と、手話を使って有名になったゴリラ、ココのことは知っていました。