微笑ましいエピソードも満載! 心温まるファミリーヒストリー『てつおとよしえ』
楽観的で新しモノ好き、マイペースすぎる父。家事とパートをこなす働き者、心配性ゆえに小言の多い母。『てつおとよしえ』は、昭和っぽさあふれるご両親に育てられた山本さほさんが、家族史を振り返るハートウォーミングなコミックエッセイ。
「思い出した順にマンガにしていったので、子ども時代の話も大人の反抗期のころの様子もあって、わりと時系列がバラバラになってしまいました。その分、私が両親からどんなふうに影響を受けたかが伝わっていたらいいなと思います」
性格は正反対なのに、金婚式を越えても仲がいいというご両親の睦まじさはもちろん、子ども時代の山本さんが甘えん坊ぶりを発揮するエピソードも微笑ましい。
たとえば、第10話の「温泉とサラミ」は、子どものころに両親と車で温泉に出かけた、雪が降る日の思い出だ。パーキングエリアの自販機で買ってもらったカップラーメンのおいしさや、帰り道で寝たふりをして家までおぶってもらった幸福感…。思わずほっこりしてしまう。
「お風呂に入るときには、必ず父についていきました。父は常に食べ物を隠し持っていたので(笑)、それ目当てに。ハムとかサラミとか、母だと『体に悪い』となかなか食べさせてくれないものをこっそり分けてくれるのが楽しみで」