自分らしくいられる居場所はどこに? 思春期の少女の葛藤と成長を綴った連作短編集
クラスで浮かないこと。一緒の話題で盛り上がれること。そういった空気の中で、どうサバイブするかが世界のすべてのように感じてしまうローティーンの女の子たち。こざわたまこさんの『教室のゴルディロックスゾーン』は、思春期の葛藤と成長を、繊細に綴った群像劇だ。
自分らしくいられる居場所はどこに?迷いながら成長する少女たちの群像劇。
語り手を務めるのは、引っ込み思案で空想の世界に居場所を求める依子、依子に親近感を抱いて友だちになったものの他の女子たちに誘われて日和ってしまうさき、クラスの中心グループにいるが依子とも普通に接する優等生のひかり。さらに、おのちんや琴ちゃん、亜梨沙などを交え、みなそれぞれに居場所を求めて右往左往。気持ちが不器用に掛け違っていくさまがリアルに描かれる。
「10代の子たちが寄り集まったときに、そのグループ内での自分の役割やキャラクターが、グループによって変わったりしますよね。人と関わる上で、自分の言葉を相手に届けることが大切なのに、この言葉を口にしていいのか悪いのか自分で判断がつかなくて、自分を偽ったり言葉を封じたりしてしまう。そのせいで、コミュニケーションにつまずく人は大勢いると思うんです。