おどろおどろしく肝が冷える話も…〈体〉をめぐる怪奇短編集『禍』
とは何かとうかがってみた。
「目や視線に苦手意識を持つ男の話『喪色記』に出てくる不思議な石や大きな化け物は、いわば典型的なファンタジー作品でよく見る要素ですし、『裸婦と裸夫』で描いた電車内での混乱ぶりは、ゾンビもののバリエーションともいえるかも。怪奇について影響を受けたこれといった作家や作品があるというより、すでに広く共有されている奇妙なイメージを自分なりにどう料理するかの挑戦なんですよね。僕自身が怖いと思うのは、幽霊のような観念的なものではなくて、たとえば何か病気にかかって自分の意思とは関係なく体や脳の一部がどうにもならなくなっていくような現実的なことですね」
小田雅久仁『禍(わざわい)』早くも韓国と台湾での翻訳版刊行が決定。所収の「耳もぐり」はコミカライズされ、WEBマンガサイト「くらげバンチ」で連載されている。新潮社1870円
おだ・まさくに作家。1974年、宮城県生まれ。2009年に「増大派に告ぐ」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。
『残月記』で吉川英治文学新人賞、日本SF大賞受賞。
※『anan』2023年7月26日号より。写真・土佐麻理子(小田さん)インタビュー、文・三浦天紗子
(by anan編集部)
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