横尾忠則「幼児の頃から絵を描いていて、今87歳なんだけど、それでもまだ到達点が見えない」
別に親戚でもなんでもないんだけど、なんか嬉しいよね(笑)。
――惹かれる理由はなんですか?
彼は次から次へと新しいルールを開拓していくじゃないですか。大谷のそういった在り方や精神はアートの精神と近いんですよ。既成のルールをどんどん壊して、新しい道を作る。僕はその辺が好きなんです。
――横尾さんの作るアートや活動にも、そういった“既存を壊して新しいルールを作る”感覚を感じる人は多いと思いますが…。
あ、そうですか?でも、僕自身は新しいものを作りたいとは全然思ってないんです。飽きちゃうんですよ。
今日描いた絵の延長を明日描こうとは絶対に思わない。だって明くる日になったら、別の気分や発想が出てきますから。だから僕の絵には、統一したテーマや様式がない。
――“横尾忠則の作風”的なものはない、ということですか?
そう。一般的には画家は自分の統一したアイデンティティを持っていて、それを持続継続していくものだけど、でも僕は、自分が描いた絵に飽きちゃう。食べ物と同じですよ。毎日食べて飽きないのは白米くらいなもんで、おかずは別のものが食べたくなるじゃないですか。僕にとって創作は、食事と同じくらい肉体的なもので、頭で考えるよりも身体的な生理が優先されるんです。