くらし情報『横尾忠則「幼児の頃から絵を描いていて、今87歳なんだけど、それでもまだ到達点が見えない」』

横尾忠則「幼児の頃から絵を描いていて、今87歳なんだけど、それでもまだ到達点が見えない」

まあ、飽きっぽいんですよ。

――飽きっぽい性格は昔から?

子どもの頃からですね。だから87歳になった今も、子どもの頃の延長で絵を描いてる感じです。

寒山拾得の顔つきには自由を感じるんです。
――現在、東京国立博物館で展覧会が開催されていますが、今回のテーマは“寒山拾得(かんざんじっとく)”。中国、唐の時代に生きた伝説的な2人の詩僧、寒山と拾得だそうですが、展覧会の資料を拝見すると、先ほどのお話のとおり、全く異なる作風の絵がズラッと並んでいて、驚きました。

そうでしょう。今回は1年2か月の間に描いた100点くらいを展示するんですが、毎日コロコロ作風が変わっていったから、並べてみると、もはやどれが僕の作品なのかよくわからないけれど、僕が描いたんだから全部僕の作品だ。
僕はコンセプチュアルアートのような観念や言葉を、脳の中から廃除して、極力、考えないことに徹している。自由になるためには観念は邪魔だからね。だから僕は、描きたいものを描くだけ。あとは見た人が勝手に評価してくれればいい。今回来てくれる人には、100枚のスタイルの変化を見て、僕の頭の中の複数の小さい僕と出合ってくれれば、それでいい。

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