尾上右近「絶対後悔させません」 おすすめの“古典歌舞伎”10演目を解説!
それゆえ、俊寛を演じる俳優によって、作品の印象がガラッと変わってくるのも面白いところ。
「この作品に限ったことではないですが、さまざまな俳優で比べて観られるのも歌舞伎の面白さです」
【実盛物語(さねもりものがたり)】
どんでん返しに次ぐどんでん返しで飽きさせない。
平家全盛の世。平家の武将・実盛と瀬尾は源氏方の木曽義賢の妻が産む子の詮議に訪れる。そこに運ばれてきたのは源氏のシンボル・白旗を握る女の片腕。それは源氏方の娘・小万の腕で、元源氏方の実盛が平家に白旗が渡るのを恐れ切り落としたもの。小万の子・太郎吉が母に悪態をつく瀬尾に刃を向けると瀬尾は自らを討たせ、小万はかつて己が捨てた娘だと告白する。
「そんなわけあるか!」と心の中でツッコんで(笑)。
「物語の舞台が源平合戦の時代であったりするので、フォーマルな堅い演目のように感じるかもしれませんが、描かれているのは登場人物たちの心の話。ここに登場する武士たちは、みんなが庶民と何ら変わらないことを思っていて、我々と何ら変わらない行動を取るので、親近感を持ってカジュアルな気持ちで楽しんでいただける演目だと思います。また、切り落とした片腕を死体に繋いだら、死んだ人が息を吹き返すという馬鹿馬鹿しい展開もあるので、『そんなわけあるか!』と心の中でツッコみながら楽しんでいただければと思います(笑)。