尾上右近「絶対後悔させません」 おすすめの“古典歌舞伎”10演目を解説!
細部にまで日本の美が詰まっている総合芸術です。
「1時間近くをひとりで踊り通すわけで、役者にとっては『鏡獅子』同様、心境的には自分との闘いのような演目ではあるんです。ただ、華やかで美しい衣装に鬘があって、大道具があって、役者がいて、音楽があって、小道具もすべてキラキラしていて、細部まですべてに日本の美が詰まっていて、それらが互いに引き立て合って、観る者を作品の世界に引き込んでくれる。役者ひとりの力で魅せる芸術ではなく、歌舞伎が総合芸術であることを実感してもらえる演目だと思います」
赤の振り袖に烏帽子をかぶっての、能を取り入れた静かで厳かな舞から始まり、引き抜きという手法で一瞬にして浅葱色の衣装に替わったり、小道具も次々と持ち替えて、さまざまな踊りを見せていく。「視覚的にも聴覚的にも起伏がたくさんあって、観る人を飽きさせないようにと考えて作られていますし、この作品の時代背景や設定などを知らなくても楽しめる演目だと思います」
【弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ) 白浪五人男(しらなみごにんおとこ)】
美しい娘だと油断するなかれ。その正体に驚き。
呉服問屋・浜松屋を、従者を連れた美しい娘が訪れる。