岡本健一「劇場で体感して、ようやくその魅力がわかる」 浦井健治と語るシェイクスピア
があったり、似たテイストの物語だから、ちょっと…というか結構混乱しますよね。
岡本:これまでは歴史劇で戦争ばかりしていたけれど、今回はそういう争いごとは全然ないし、女性を主体とした物語というのも初めてだし。今の時代に、自分たちがこの話をやることに意味がある気はしてて。
浦井:どちらの作品も、女性がすごく戦略家なんですよね。
岡本:女優陣と話してると、男性側と女性側で全然作品の捉え方が違っているのが興味深いなと。
――『尺には尺を』は、公爵の代理でウィーンの統治を任されたアンジェロが、婚姻前に男女の性交渉を禁じる姦淫罪でクローディオに死刑の判決を下したことから起こる物語。そして『終わりよければすべてよし』は、伯爵夫人の息子・バートラムに想いを寄せるが彼に結婚を拒否された侍女のヘレナが一計を案じる物語。
岡本:『尺には尺を』とか、登場人物がみんなひどい人たちだよね。
浦井:全員ひどいです。
岡本:公爵が人に統治を押し付けるとかありえないでしょ(笑)。ただ、法律っていうものをちゃんと見直さなきゃいけないのかもしれないというのは、この作品で思ったかな。あと、ひとりの女性との出会いで、こんなに人間の思想が変わるんだっていうことの面白さとか。