岡本健一「劇場で体感して、ようやくその魅力がわかる」 浦井健治と語るシェイクスピア
浦井:僕が演じるクローディオ側の目線で言うと、政治とか権力側の意向で人間の生死が決まるっていうのが不条理ですよね。クローディオのセリフに「生きようと願うことが死を招くことであり、死を求めることに生があると覚悟しています」っていうのがあるんですけど…。
岡本:えっ今の、もう一回言って。
浦井:(笑いながら復唱して)死に立ち向かうことが生きることに繋がるって、他のことにも置き換えられる気がするんです。大変なときこそ成長のチャンスというか。生きる意味を考えさせてくれる話だなと。もう片方もまた、生きることの意味をみんなで見つけていくような作品ですけど、こっちのほうがもっと体当たりな感じはありますよね。
岡本:『終わりよければすべてよし』で自分が演じる王は衰弱して死の間際なんだけれど、ひとりの女性との出会いで元気になる。
一応、薬が効いたってことなんだけど、人間の生きようとするエネルギーがそうさせたと思ってるんだよね。まさに「終わりよければすべてよし」って思うことで、物事が前に向いていくことってある気がして。そう思ってもらえる作品にできたらいいなと。
――演出の鵜山さんをはじめ共演者も、これまでシェイクスピアシリーズを一緒に作ってきた面々ばかり。