北欧デザインの巨匠を支えた2人の妻…知られざる愛の物語が明かされる【映画】
今回は、アアルト作品が愛され続ける理由やアアルトの妻たちから学んだことなどについて、語っていただきました。
―子どもの頃に通っていた図書館がアアルトの設計だったこともあって興味を持たれたそうですが、どんなところがアアルトの魅力だと思われますか?
監督70年代当時の家はわりと質素だったこともあって、豪華で美しい家具のある図書館にいるだけで特別な場所にいるような気分を味わうことができました。なかでもアアルトの素晴らしいところは、スペースの使い方。“スケール感のマスター”と言ってもいいくらい、感覚の優れた人だと思いました。
彼は広さに関係なく、人の気持ちをワクワクさせたり、私たちを歓迎するような温かみを感じさせたりする場所を作ることができる人。そういったアアルトならではのスケール感は、まだ幼かった私の印象にも深く残ったほどです。それから、アアルトのデザインには、いま作ったと言われても信じてしまいそうになるほど時代を越えたところがあると考えています。しかも、ほかの物を許す優しさがあるというか、控えめで周りと調和しやすいところがあるので、1930年代の作品と最近のデザイナーが作ったものを並べておいても全然違和感がないんですよ。