オダギリジョー、『サタデー・フィクション』監督に「白黒のほうがいい」と伝えた理由
「監督は独特の演出手法によって、自分すらも想像しなかったことが起こるのを待っていたんだと思うんです。カメラ同士が映り合うことも、コップが倒れることもある。次は何が起こるんだろうと、撮影を心から楽しんでいるようでした。ただ、演じる側は、毎回芝居を変えてくれと言われるのでやりがいを感じつつも、正直、疲れます(笑)。でも、主演のコン・リーさんは文句も言わない。あの大女優が謙虚にやってらっしゃるのに、僕が『もう十分でしょ?』なんて言うわけにはいきません(笑)。本当に素晴らしい女優さんですよ。今回はアクションでしたが、次は静かに、覗き合うような芝居がしたいですね」
本作は、今では極めて珍しいモノクロ映画。
カラーか白黒かで迷っていた監督に、オダギリジョーさんが「白黒のほうがいい」と言ったそう。
「あの時代の空気はこの色みで合っているのかと心配するよりも、白黒の潔さを貫いたほうが、アクション映画としても画が強くなると思い、言ったのかもしれません。上海の歴史的な背景を知っているかどうかで、映画の理解度が変わるのは確かですが、白黒の美しいロウ・イエの世界を純粋に楽しみ、混沌とした上海のパワーを素直に受け取るには知識は必ずしも必要ないと思います。