幻想的な美しさはまるで桃源郷!? 蜷川実花、自身過去最大規模となる体験型展覧会

それゆえに、他の施設への巡回などはできない。まさに唯一無二の展覧会なのだ。

イントロは、蜷川実花の代名詞ともいえる鮮やかな極彩色のイメージを覆す、漆黒の暗闇から始まる。次に登場する《Flashing Before Our Eyes》は最高天高15mのドーム型天井全面を使った大型のインスタレーション。動と静、生と死、緊張と緩和など対となる概念が走馬灯のように現れる。無意識の状態から、意識を取り戻して再び目覚めるまでをイメージした作品だ。《Intersecting Future》は上下左右、鑑賞者の視界一面を埋めつくす花々の様子を桃源郷のように表現。これは映画のセット技術を活用した迫力のある体験型展示だ。《胡蝶のめぐる季節》は蝶に誘われながら、四季の映像を巡る作品。投影される花々はCGではなく実物。6層ものスクリーンを行き交う鑑賞者も、作品の一部となる仕掛けになっている。

「何気ない日常の景色も少し見方を変えるだけで、全く異なる美しさや情感に出合うことができる。本展の核である映像全てに共通するのが、夢のように見える美しい景色であっても、全て現実の映像であること、それらの大半は人々の日常にある、何気ない場所で撮影されている」