くらし情報『嫉妬、所有欲、女性の感じている身体性…生々しく濃密な描写に引き込まれる『煩悩』』

嫉妬、所有欲、女性の感じている身体性…生々しく濃密な描写に引き込まれる『煩悩』

5年の歳月を経て完成した破壊的青春小説『煩悩』について、作者の山下紘加さんに話を聞きました。

あの子こそが自分を惑い悩ませる、〈煩悩〉そのもの。破壊的青春小説。
嫉妬、所有欲、女性の感じている身体性…生々しく濃密な描写に引き込まれる『煩悩』


「この小説の核になるようなアイデアが最初に浮かんだのは、24歳くらいのときでした。ヒントになったような人もいるんです。親友とも、同性への思慕みたいなものとも違う無二の存在。言葉にした途端に消滅してしまうような、どんな言葉にも当てはまらない関係性を書いてみたいと思いました」

それから、年に1度くらい書いては消し、書いては消し、を繰り返してきた。『煩悩』は、山下紘加さんの中で5年の歳月を経て熟成し、やっと完成に至った特別な一冊だ。


語り手の涼子は、中学時代から何かにつけ、同い年の安奈と一緒にいることを望んだ。やや男性嫌悪がある安奈は涼子を頼り、涼子は安奈を庇護下に置きたがる。だが、社会人になった安奈に恋人ができ、男の存在が安奈に何らかの影響を与えているのが見えてくると、涼子はそのことに苛立つようになり…。

「安奈は涼子に対してずっと明け透けだったのに、特に男性関係について追求してもはぐらかすようなことが増えていきます。女の子たちは年頃になったら恋愛してセックスしてなんとなくの通過儀礼を経て汚れていく、そんな感じに拒否感があるんですよね。

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