ドーム公演リハ中に…「ホッとしました」【直木賞候補】加藤シゲアキさん記者会見レポ!
「マネージャーに呼ばれ、電話で聞きました。僕が急に抜けたものですから、メンバーの小山慶一郎という男は勘がいいので、『何かに選ばれた?』と(笑)。2人とも喜んでくれました」
『なれのはて』は、一人のテレビ局員が作者不明の一枚の「絵」を追いかけるうち、とある一族の「業」にたどり着くというミステリー作品。「一読者として、30代半ばの本が好きな男として、自分が読んで楽しめるものを。また、自分が書かなくてはいけないものがあるのではないかとも。僕個人に向けて書くところに意識を持って作品に取り掛かりました」
“書かなくてはいけないもの”の一つが、加藤さんのルーツがある秋田で実際に起こり、加藤さんの祖母が経験した土崎空襲、そして戦争である。
「戦争というものについて向き合わなければいけないという意識が、30代になってから、なんとなくあって。同世代の作家でも戦争を扱う方が増えてきましたが、おそらく全体的な意識の共有みたいなものが、ずっとあったんだと思います。
戦争を扱うことで、自分自身、戦争というものはなぜ起きるのか、繰り返されるのかということも知りたかったですし。また、土崎空襲というものを知った以上は書かなければいけないなと思ったんです」